十一番隊書記の日常   作:わさび醤油

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第三十七話:朽木隊長は悪くないよ

「こんにちはー、七番隊からの書類を届けに来ましたー」

 

どうも、高槻葉月です。

現在おれは六番隊に来ています。

六番隊は厳格すぎる隊長とチンピラの副隊長に見えてわりと二人ともまともだから、十二番隊とかに比べておれの足取りも軽い。

比較対象が悪い? ……おれもそう思う。

 

「葉月じゃねえか。なんで七番隊から?」

「十二番隊に書類届けて、どうせ外出てるならって十三番隊への書類預かって、届けたら申し訳ないが届けてくれないかって一番隊への書類預かって、届けたら帰るついでにって七番隊への書類を預かって、届けたら隣だからって六番隊への書類を預かりました」

「……お前十一番隊の書記だよな?」

「おれもそう思ってたんですけど違うみたいですね」

 

最近、十一番隊以外でも仕事を頼まれることがやたら増えてるような気がする。おれの肩書き、『護廷十三隊書記』とかだと思われてるのかな?

……それとも、ただの便利屋さんだと思われてるのかな??

 

「あーでも、今は隊長んとこ行かねえほうがいいんじゃねえか……?」

「え、なにかやってるんすか?」

「今は……実はな、六番隊銘菓を開発中なんだよ」

「お菓子だ! って、そんな言い淀む必要あります?」

 

 

 

ところ変わって六番隊の隊長のお部屋。

おれの部屋とほぼ同じ構造だから隊長クラスでもおれと同じ部屋割り当てられるんだと思ったら、そもそもあの部屋隊長用なんだった。

──そして、おれの目の前には謎の生命体を模した和菓子があった。

 

「センス……いや、形が…………いや、えっと……うん。おれが悪いんですよ」

「どういう意味だ」

「おれがこれを受け入れられないのがいけないんです……隊長がこんなに自信満々に見せびらかしてるってことは世界的にこのデザインが素敵なのは常識なはずなのに! おれは……それがわからない……ッ!!

「命がいらぬと見える」

「葉月ーって何事起きてんだ!?!?」

 

あのクールな隊長が拳一つで別の隊の書記に殴りかかるところを、恋次さんが目撃してしまった。訴えたら勝てるんだぞこの状況。

というか、生粋のツッコミ役であるおれをしても手のつけられない謎の生命体の批評を、朽木隊長は気に食わなかったらしい。見る者のレベルが十分でないから判断できないという流れにすることで、直接『ヤバい』と言うより遠回しかつ口当たりが優しくなるテクニックのはずだったんだけど。

 

「なんだって、葉月が隊長のデザインした菓子を酷評したァ!? じゃあ葉月お前がデザインしてみろよ!」

 

己の批評の未熟さ(あるいは朽木隊長の理解力)を省みていた間に、恋次さんは隊長に話を聞いたらしい。いやちょっと待ておい、それかなり偏向報道じゃない?

 

「ずッずるいですよ恋次さん! さっきまでこっち側だったのに朽木隊長がいるとなった途端に!! 共通の敵としておれを利用すんな!」

「『こっち側』……?」

「朽木隊長。この男、先ほど六番隊銘菓に後ろ向きな発言をしていました」

「ほう……? そうなのか恋次」

「そんなわけないじゃないですか。葉月悪かった、さっきのは冗談だ」

「冗談で済むなら世界は今ごろ十一番隊がトップとってるんですよ」

「お前わりと自分の所属してる隊に辛辣だよな」

 

まあ食べてみろって、と差し出されたのは、例の高尚すぎておれにはよくわからない饅頭的なもの。中身はつぶあんらしい。

おれがつぶあん派だと知ってやっているならおれに食べさせる気満々でムカつくが、知らないでやっているなら危うく戦争が起こるところだったので乙丙つけがたい。

 

「……これって食べていいやつなんすか?」

「何か言ったか」

「美味しそういただきますと言いました。美味しそういただきます!」

 

見た目に騙されないという意思表示を込めて目を瞑って口に含む。Oh、今口にあるのはさっきのアレなんだよな。

口に入ってきたものを前歯でかじると、しゃお、といった感触がする。触った時点で薄々気がついていたが、さてはこれ外が少し焼かれていてサクサクになっているな?

そして中のつぶあんも、恐らく大人向け(というか隊士向け?)なのか甘すぎずあっさりしている。しかしつぶあんならではの食感は損なわれておらず、素材の味とホクホク感が楽しめる。

つまりこれ──。

 

「……あれ、見た目のわりに美味しい」

「『見た目のわりに』?」

「朽木隊長、『美味しいとは思っていたけど想像よりもずっと』の聞き間違いです」

 

そう、美味しいのだ。

まあでもそりゃそうか。誰が作ったと思ってる、天下の朽木隊長だぞ。精鋭のシェフだのパティシエだのを集めて作ったに違いない。

じゃあどうしてプロのデザイナーさんは呼べなかったんですか? いえこれは朽木隊長の批判ではないんですけど。

 

「では、兄の目から見て売れると思うか」

「いやいや、感想聞くなら若造のおれよりもこちらの副隊長のほうが人生経験も豊富で目も肥えてると思いますよ」

「おいお前マジふざけんなよ!!!!」

「ハーッハッハッハ! バチが当たりましたね!」

 

このとき高笑いをしながらおれは、これいつものパターンかもなと思った。おれは大抵いつも、知力をもってやり返したと思った瞬間にしっぺ返しが来るのだ。

そして、それは本当になる。

 

「恋次には既に聞いた。今私は兄に聞いているのだが。売れると思うか?

「エッアッ……ハイ………オモイマス……」

 

嘘じゃないもん! 美味しかったから見た目気にしない人には売れるもん!!

どれ好き?(参考までに。ネタ集め用:興味本位=5:5)

  • いつメン(一角、弓親)との遠慮ない暴言
  • いつメンとの男子高校生的やりとり
  • やちるとのトムジェリ
  • やちるとのほのぼの(広義)
  • 更木隊長との勝手に緊張する会話
  • 他隊長格とのほのぼの
  • 他隊長格との失言説教
  • その他の要素
  • 全部または複数あり決められない
  • 別にどれが好きとかではない
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