この終末った世界で旅をする 作:ノア(マウントベアーの熊の方)
では今回もごゆっくり、見ていってください。
あの目が覚めた時から2回ほど夜が明けた。
コンクリートジャングルなだけあって雨風しのげる場所はあっても、その場所は基本的に地面が固く、寝れたもんじゃない。
何度か体勢を変えて再度眠りにつくが、やはり今まで布団というもので寝ている時間が長かった分、なかなか爆睡とまではいかないのが現実だ。
とまあ、まだ寝れているだけいい。
食料はまだ食事の回数を減らせば数日分はあるだろう。
だが、それも時間の問題だ。
早いとこ飯や水を確保しなければ、待っているのは"死"のみだ。
…にしても、大きな戦争があったとは思えないほどに町は綺麗だ。
もしかしたら、その戦争の後にAIたちが復興させたのだろうか。
だとしたら、なぜそのAIたちはいないくなったのだろう。
あの日記に書かれていたように、人間に近付けすぎた結果、滅んでしまったのだろうか。
いや、それもおかしくないか?
人間が作った、そしてシンギュラリティという、AIが人間を超える出来事があったならば、あの日記に書かれたように滅ぶという事はないだろう。
人間というものを超えたなら、人間と同じことがAIにだってできるはずだ。
……なぜ、それをしなかったのだろう?
新人類と自らを名乗り、旧人類である我々を滅ぼしたなら、新人類として繁栄しようとは思わなかったのだろうか。
それとも、繁栄しようと思ったがやめた…のだろうか。
もしそうなら、なぜ?
平和を求めた結果、旧人類はいなくなり、新人類が治める平和な時代になった。
ならば、それでいいのではないだろうか。
別に、わざわざ自ら自分たちを滅ぼす必要なんて……
そう物思いにふけながら探索していると、食品を取り扱っていそうなスーパーの跡を見つけた。
中に入ってみると、中は荒れ果てているが、"ここはスーパーである"ということが伝わってくるほどに物が残り、無いものといえば新鮮食品くらいのものだった。
ちなみに、新鮮食品コーナーには新鮮食品だったであろうナニカが残っていた。
ここで当たり前だが、ひとつ疑問が浮かんだ。
なぜ、大きな争いがあったのに物資が残っているのだろう、と。
普通、こういう時は物資を奪い合うはずだ。
なのに、なぜ荒れ果てているだけで、物は残っているのだろうか?
そう思いながら店内を探索していると、答えはすぐに見つかった。
『物資の持ち出しは自己責任でお願いします。ヤツらに殺されたい方から持ち出してください。』
と書かれた張り紙を見つけたのだ。
おそらく、物資を持っているとヤツら…おそらく、AIに集中攻撃でもされるのだろう。
確かに合理的だ。
相手を殺す気があるなら、補給を絶ってしまえば、自分たちの手を煩わせることなく、相手が勝手に自滅するのを待つだけでいい。
それが、人間なら尚更のことだろう。
数少ない物資を奪い合い、避難所かどこかで数少ない人類が殺し合い、物資が尽きては他の人間を襲い、殺して奪い取る。
それが出来なければ死ぬだけ、できたとて物資は有限、それも沢山あるところから持ち出そうものなら殺されるのだ。
しかも、それを知っていても、極限状態になると大体の人間は半信半疑になり、結果として争いが生まれる。
そして最終的には全滅、よくてその争いにすら参加出来ない弱者が取り残され、他の強者などに殺されるか、物資が尽きて死ぬ。
なるほど、実に効率のいい殺し方だ。
まあ、それも人類がいた頃の話だ。
今なら物資を持ち出しても大丈夫だろう。
こんな世界を旅する事になる人間が1人でもいるだなんて、誰かが想像したかは知らないが、物資が残ってくれている状況ができているこの状況はもはや奇跡に近い。
ありがたく貰えるものは貰っていこうではないか。
そう思い、俺は物資を詰め込めるだけバックパックに詰め込み、その場所を後にした。
しばらく歩いて疲れてきたので座って休んでいると、どこからともなく小鳥のつがいが飛んできて、まだ辛うじて繋がっている、電線の上にとまった。
楽しそうに、そして幸せそうに小鳥たちはチュンチュンと鳴くと、またつがいのままどこかへと去っていった。
…俺も、昔は好きな女の子がいた。
しかし、彼女に告白する勇気もなく、気がつけば学校を卒業し、離れ離れになってしまったことがある。
そんな学生時代の仲間も、家族も、コールドスリープする時にいなくなると覚悟はしていたが、まさか全員いなくなるどころか、人類そのものがいなくなるとは思ってもいなかった。
あの頃を思い出すと、ふとあの頃に戻りたくなる。
あの頃とまでは行かなくても、誰か仲間と一緒にバカ騒ぎしたい。
そんな事を思いながら寝転がっていると、いつの間にか俺は、眠りに落ちてしまった。
「お前もこっちに来いよ!辛い思いをしないで済むぜ!」
そう昔聞いたような声が聞こえた気がし、俺は飛び起きる。
しかし、やはりと言ってはなんだが、目の前に広がるのは廃墟となった街並みだ。
多分、夢かなにかであの世に呼ばれたのだろう。
……確かに、俺は一瞬の痛みであっちへ行ける道具を持っている。
逝こうと思えば逝けるのだ。
ふと、空を見上げると、夕焼け空となっていた。
感傷的な気分に追い討ちをかけるように、"寂しい"という感情が心を支配していく。
言われてみれば、わざわざこんな世界を旅する理由も、意味もないのだ。
そう思うと、俺はレッグホルスターに装備されている銃へと手を伸ばしていた。
そして、銃を取り、弾を装填し、頭へと銃口を向ける。
あとは引き金を引けばそこでこの旅も終わりだ。
しかし、俺はそれ以上の事はできなかった。
死ぬのが怖かったのもある。
否定はしない。
だが、俺はこんな世界でも、こうして生きている奇跡には、なにか意味があるのではないかと思ってしまっている。
都合のいい解釈と言われればそれまでだ。
だが、きっと。
きっと、なにか理由がある。
それを知るまでは、まだ俺は死ねない。
そう思い、俺は銃からマガジンを抜き、チャンバーから弾を排莢し、マガジンに入れなおし、マガジンを銃に戻してから、その銃もホルスターへとしまった。
………火でも起こすか。
そう思い、俺は燃えるものをかき集め、避難用キットに入っていたファイヤースターターで火を起こす。
最初は小さな火種だか、息を吹きかけるなどで風を送り込むと、すぐに大きな火に変わった。
そして火の近くにレトルトを置き、変に焦げたり変形したりしないように適時置いたり冷ましたりを繰り返し、食べれる温度に調整する。
そんな事をしていると、いつの間にか日が沈み、満遍なく星が広がる夜空が広がっていた。
俺はその星空を見ながらご飯を食べ終え、パチパチと音を立てて落ちていた枝などを燃やしている火をただじっと見つめる。
俺の命も、やがてこの火のように消え、後には燃えカスが残るだろう。
でも、もしこの世界に少しでも何かを残せたならば。
何かを見つけられたならば。
それだけで、俺は満足できるだろう。
やがて燃やすものがなくなり、火が消えて行く。
俺はその火を見届けてから、月に照らされた場所から、屋根のある場所に移動し、眠りについた。
いかがでしたか?
3話くらいまではネタがあるんですがそっから先ネタが無いです!(ドヤァ)
はい。(はいじゃないが)
ではまた次回、お会いしましょう!