タロットカードは未来を導く   作:かりん

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真実の鏡は魔王を写す

 

 浮足だし、飛び出そうとする私達だが、マスルさんがドアに立ちはだかった。

 

「おちつけーい!! 今逃げても各個撃破される危険もある! 落ち着くのだ!!」

 

 仁王立ちで大音量。その言葉に、私達は固まった。

 

「マスルさん……!」

「ここに、舞踏会に出席しておる者の子はいるか! もう一度占うのだ! 皆のもの、覚悟していたはずではないか! 大いなる邪悪にこの街が狙われていると、それゆえ占い師が多いのだと、聞いていたではないか!」

「でも……でも……」

「ち、父上がっ それでも、父上がもう魔物に乗っ取られていたなんて! 聞いてない!!」

「しっかりなされよ、ルーン殿!! お父上の仇を取るのです!!」

 

 ぐっとルーンが黙る。

 

「……母上を、いや、兄上を占う。兄上が魔物なら早く見破らなければだし、兄上が人間なら兄上は生き残ると思う」

「わ、私も、占う……」

「僕も!」

「誰か、詰め所に連絡を。キース殿。お願いできますかな」

「いいでしょう」

「魔王復活じゃ! 魔王復活じゃああああ!!」

「魔王が来るぞ、来るぞおおおおおおおお!!」

「私も報告に向かいます!!」

「おい、今飛び出したオジジ達を引き戻せ、いたずらに混乱する!」

 

 と、とにかく!!

 

「ルーン様、怖い……!」

 

 女の子がルーンに近づく。

 

 とにかく、魔物がいないか見なきゃ!!

 

「やああああああああああああああ!! 真実の姿を晒せええええええええ!!」

 

 私が水晶玉を掲げると、MPをしこたま吸って水晶玉は輝いた。

 

 ルーンに近づこうとした女の子が、外に出ようとした者の1人が魔物に変ずる。

 

「きゃああああああああああああああああああああ!!」

「わああああああああああああああああああああ!!」

「あああああああああああああああああああ!!」

「成敗っ!!」

「消えろ」

 

 正拳突きで魔物を倒し、あるいはナイフで一閃し。

 

 男達……マスルとキースは叫んだ。

 

「「落ち着けぇ!!」」

 

 あまりの気迫に私達は気圧される。歴戦の戦士かよ。高レベルってことは歴戦の戦士だったわ。

 

「まずはよくやりました師匠、これで敵はここにはいないということですな」

「私は報告してくる。ここを動くなよ」

「すっ 少なくとも魔物の敵はね」

「よろしい。ではひとまず占いを。舞踏会の者全てが魔物なのかどうかだけでも調べなくては」

「う、うん。師匠、ごめん、水晶玉下さい」

「はい」

 

 水晶玉を渡され、ルーンは集中する。

 

『見られている……!? いや、これは……ルーン……!?』

『ルーン! 魔物を見破る力を得たというのは、嘘ではなかったのですね!』

『ルーン、これをお前が見破ったというのなら、なんとかしてみせろ!! 全ての魔物を明らかにせよ!』

「リーン兄上……! 母上……!」

 

 キンっと剣と爪がぶつかり合う。既に舞踏会は戦場と化していた。

 人と魔物の区別がつかないのだ。

 

「どうにか出来ませんか? 師匠!」

「出来るかどうかはわからないけれど……皆、力を貸してくれる?」

 

 占い師達が、恐る恐る頷いた。

 

「かつて一度見ただけだったけど……。占い師20人で、街一つの地面を全て鏡に変える儀式の例があったはず」

「ここには占い師は30人はいますぞ! やりましょう!」

「私ではレベルが足りない。それに、防御するものが必要よ。マスルさん、やってくれる?真実の鏡を掲げて……床に魔法陣を広げて……【我ら占い師の力を持って、全ての者、その真実を暴きたり!】っていうの。皆は一斉に鏡に魔力を注いで。マスルさん、一番危険な役目だけど……」

「……やりましょう!」

 

 儀式用魔法陣の布を広げ、鏡をマスルさんが持ち、私はカードを投げる準備をして、皆は魔力を注いだ。

 

「【我ら占い師の力を持って、全ての者、その真実を暴きたり!】」

 

 街中の床が鏡と化して、魔物に掛けられた変身の術を解除していく。

 それとは別に、鏡に囲まれた私達は四方八方から攻撃を受けた。

 私は大量のカードを投げてなんとか応戦したけど、結果はわからない。

 魔法陣に力を吸われ、気絶してしまったからだ。

 

 

 

 

 

 

 起きたら、温かいベッドだった。知らない天井である。豪華なのはわかる。

 

「お目覚めになられましたか。占い師殿。ご当主様がお待ちです。身支度のための湯浴みの準備はできております」

「……魔物の?」

「いいえ。新しいご当主様であり、聖騎士のリーン様です」

「ああ……。ルーンのお兄さんの」

「さようでございます」

「おなか空いたんですけど」

「湯浴みの後にご用意いたします」

 

 私は起き上がり、お風呂に入る。本当、久々のお風呂だ。

 時間を掛けて綺麗にした後、おかゆを食べる。弱った身体にありがたい。

 その後、もう一度着替えさせてもらう。ドレスはコルセットが恐ろしかったので、占い師の服を着ることとした。宮廷占い師の制服というかなり高価な装備なので、大丈夫だろう。ついでに化粧もちゃんとして、カードスロットを装備して、水晶をぶら下げて、戦闘準備を万全に整えて行く。

 

 向かった先には、超美形な金髪碧眼の、偉いぞおおおおおっとわかりやすい服の青年と、それに跪くリーンさんとルーンさんがいた。

 ちょっと? リーンさんがお待ちって言ってましたよね?

 その人傅いてるんですが、どういうことですかね?

 

「……そなたが全ての占い師の師、サクラか。此度のこと、不幸な事故はあったが、大儀であった」

 

 私ははっと気づいて慌てて這いつくばる。

 

「そ、その。ほんの偶然で……っ」

「ルーンから話は聞いた。権力者の子に占い師が生まれるは不吉の予兆。なぜなら、占い師はそもそも、その災を防ぐ為に神が遣わしたものだから。その言葉、しかとこの胸に刻ませてもらった。ならば、ルーンが成し遂げたように、私もまた、この国の、いや世界の救済をせねばならぬということなのだろう」

 

 いや、そこまで言っていない……いや、言った気がする……。でもですね! 占い師はフレーバーテキストてんこ盛りだけど、一般的なジョブなんですよ! 一般ジョブの仲間に入れて!

 

「そうだ。まだ名乗ってなかったな。ルーンのおかげで、私もようやくジョブを名乗れる。ルーンは私を占うと、こう告げた……「勇者導きし占い師ロードス」だと!!」

 

 あ、超重要NPCですわ。占い師で一番偉い人ですわ。

 ちなみに、私がしていたゲーム。勇者とプレイヤーは別である。別なのである。

 プレイヤーより強いNPCが存在しちゃうのである。

 

「我が師よ。これからよろしくお願いする……!」

 

 私は白目をむいて気絶した。魔王とガチでバトルやつやん……!!

 

 

 

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