今回もデュエルはないです。次回はあります。
「あふぇ?お客ふぁんでふか?おかひいな~ほんな予定はふぁいって・・・ゴクン・・・なかったはずなんだけどな~。」
そんな呆けたようなように、呟いたのは見た目8歳ぐらいの幼い少女であった。
両者の間を気まずい空気が流れていく。
そんな空気を破ったのは、篤であった。
「え~と、こんにちは、お嬢ちゃん。俺は、海谷 篤っていうんだ。こっちは時宮 裕士と日吉 奏。それでなんだが君は誰で、ここがどこ教えてもらえるかい?」
篤が落ち着いたようすでこの空間の住人であると思われる少女に話しかけると、少女は感心したようすで口を開いた。
「こんな状況に突然置かれた人間は、だいたい取り乱して泣き出すか、暴れだすんですけどね。あなたたちはかなり珍しい人間なんですね。」
「その言い方だとまるで君は人間じゃないみたいだな。」
少女の言葉の違和感を篤が指摘すると、少女はさも当たり前のように驚きの言葉を発したのである。
「まるでじゃなくて、本当に人間じゃないんですけどね。どうもはじめましてあなたがたの世界の管理者。あなたがたにもわかりやすく表現するならば神でしょうか、をやっています『 』といいます。あっ、私の名前が聞こえなくてもおかしくないので安心してください。この世界とあなたがたの世界では世界の次元が違うので、あなたがたが私の名前を知るとあなたがたの魂が崩壊してしまうのです。風船に空気を入れすぎると割れてしまうのと同じように次元が違うというのはそれだけ容量に違いがあるのです。」
あっけらかんとした少女に言葉を失ってしまう3人。それもそうであろう、自分たちよりも幼い少女が神であるとまるであたりまえのように自称しているのだから。
しかし少女の名前を聞くことができず、このような地球とは思えない場所に連れてこられている状況が、彼らにこの現状が否応なく現実であると認識させてしまった。
「さて、状況を理解してもらえたようなので説明を続けさせてもらいますね。まずはここの説明から。ここは私の空間で、私の力によって成り立っている空間です。そして肝心の、何故あなたがたここにいるかというと・・・部下のミスです。ごめんなさい。」
謝罪と共に深々と頭を下げる少女。
「「「・・・・・・・・。」」」
「そうだったんだ・・・。」
「部下のミスで・・・。」
「俺たちは死んだと・・・。」
「「「・・・・・・・・・・。」」」
「「「何~~~~~~!!!!!」」」
「ひえ~~~~ごめんなさ~~い。」
突然の絶叫に目に涙を浮かべて謝り始めた少女。そんな少女を篤が慰める。
「あっ、いやっ君に怒っているわけじゃないんだ。」
「ごめんなさい。ごめんなさい。私が部下の管理をしっかりしていればあなたがたが死ぬこともなかったんです。ごめんなさい。ごめんなさい。」
「驚かせて悪かったから謝らないでくれ。確かに、死んだのはショックだけどここに俺たちがいるってことは何かあるんだろう?」
「・・・はい。あなたがたにはこれから転生してもらいます。」
「転生ってことは?巷に聞く二次小説みたいにアニメの世界に転生って考えていいのかい?」
「はい、ついでに言うなら転生先は『遊戯王GX』の世界です。あと、遊城十代達と同年代です。」
その言葉にずっと静かだった奏が口を開いた。
「十代達と同い年なんだ?」
「はい、そうです。それとみなさんが次の世界で自由に行動できるように世界の修正力を抑えておきます。ただ、そうすると世界が原作から乖離しやすくなりますので原作のようにハッピーエンドを迎えるためにはみなさんの努力が必要になります。私の力が足りないためにみなさんにご苦労をかけますがなにとぞご了承ください。」
「そうか~。神様も大変なんだな~。」
「おっ、裕士理解できてたのか?」
「全然わからん。俺たちが転生できるってことしかわからん。」
裕士の言葉に呆れる篤だった。
「遊戯王の複雑な効果処理とかは理解できるのになんでお前はこういう話は理解できないんだ。」
「んなもん俺のほうが知りたいわ。」
開き直る裕士なのであった。
いつまでも進まない話にしびれを切らした奏が口を開いた。
「あ~~もうっ話がそれたじゃない。で、あと私たちに伝えることはあるの?」
「はい、あなたがたにはこちらのミスのお詫びとしてそれぞれいくつか能力が与えられます。」
「その能力は俺たちが選べるのか?」
「残念ながら選べません。しかし、遊戯王の世界ではとても便利な能力が与えられますよ。まず1つ目ドロー運の上昇。2つ目は精霊の力を借りることができます。この能力の副産物として、精霊との会話などができるようになります。3つ目はすべてのカードです。ただし、その世界で所有者が限られているカードには制限がつきます。」
「制限って?」
「そのカードの精霊に認められることです。」
「そっか~。じゃあ俺のデッキは使えないのか~。」
裕士が寂しそうにつぶやいた。
「話をきいていたのか?カードに認められれば使えるんだよ。」
その言葉を聞いた裕士の顔に明るさが戻った。
「そうなのか!やった~!!!またあいつらと一緒に闘えるんだ。」
「カードに認められたらな。」
冷静に篤のツッコミがはいった。
漫才をやっている男子たちを無視して、奏が疑問の声を上げた。
「シンクロとかエクシーズは使えないの?」
「そこは、私が何とかしておきました。シンクロもエクシーズもごく一部のみの人間だけが使えるカードという設定にしておきました。」
「ありがとう。これで自分たちのデッキが使える。」
「いえ、元はといえばこちらのミスです。これくらい当然です。さて、私からの説明はこれで以上です。質問はありますか?」
「俺は大丈夫だ。」
「俺も。」
「私も。」
「それでは、転生を開始します。あなたがたの人生に幸多からんことを。」
その言葉と共に篤たちの身体が透けはじめ、ついにはその空間から消えてしまった。
「頑張ってください篤さん、裕士さん、奏さん。」