お互いの頬を冷たい風が通る。
夏の終わりの夜に二人の戦士が牙をぶつけ合う。
朱く、戦場を駆ける戦士を形にした様な男と、厚く、重く。重厚感のある鎧とは裏腹に通常の槍より短い槍を器用に操り、目にも止まりぬ速さでランサーの一撃一撃に力を込めた一度触れれば即座に仕留められてしまいそうなその斬撃を、短い槍でまるで舞を踊るかの如くいなして行く。
「おい!ランサー!、テメェの槍は美しさがねぇなぁ〜、なんだい?技くらい覚えろよ。」
「黙れ!、戦場では技など通じんわ!」
槍を振りながら、ランサーは言い返してくる。
しかし、人間は基本煽れば隙が出来る確率が高くなる。
笑いながら、ランサーの槍による攻撃を全ていなしながら反撃の時を待ち、今度こそこの一撃にて潰す!
すると、ランサーは一旦離れ距離をとる。何か策があるのか槍を構えて目線を動かす、すると
シュュルルルルルル!
「なっ!?しまっ、、、」
アサシンの足にワイヤーが絡む。
ワイヤーは、しっかりとアサシンの足に力強く巻き付き、林の方向へと引きずり込む。
(くそっ!、まずい!。)
急いで体制が崩れる前になんとかワイヤーを切ろうと、槍を足に巻きついたワイヤーへと突き出そうとすると。
「さらばだ、アサシン。」
ランサーがアサシンの持っていた槍を十字槍で空へと弾き飛ばし、そのままアサシンのの胸目掛けて突き出す。
「くっ!」
しかし、アサシンも両腕から三十センチほどの刃を鎧の隙間から勢いよく飛び出し、十字槍を一歩前で止める。
「ほう、随分とおかしなカラクリが仕込まれいるのだな」
「まぁな、、チッ、、」
鍔迫り合いをしながらも、ワイヤーによって引っ張られる体を引き込まれない様に重心を前に押し出そうとする、だがランサーの槍はワイヤー方向へて向かわれるかの様に奥へと押し込んでくる。
奥の方では金属の刃が軋む音がし、後には引けない状態。
(どうする、この状態からじゃ、前か後ろにしか動けない。前からは押し出してくる、、、、、、くそ!奥の手か、、、」
アサシンの奥の手、それは人には無い第三の武具を出す。
ドシュッッッッッッッ
「なっ!」
アサシンの股の下から、腕より太い
ランサーは一歩早く気付き、鍔迫り合いをやめ、後ろへ後退する。
アサシンの背中から、股をくぐりランサーを仕留めようとしたそのハリは、器用にアサシンの足に巻きついていたワイヤーを掻っ切り背中からアサシンの頭上をかけて、その姿をハッキリと見せつける。
そのハリは人には無いものだった。
紫入れに暗く光、先の針からは、さまざまな色にどんどん変化する液体を、ぽたぽたと流しながらこちらにハリをむける。
「こいつでラストだランサー!」
するとアサシンはそれを言うと、両腕に付いた刃を腰へと引き締め、頭上にあるハリへと意識を飛ばす。
「神々の加護を受けしこの三撃にて仕留めよう!」
「
その言葉ともにアサシンの身体はランサーの近くに光の如く近づき、頭上にあるハリをランサーへと飛ばす。
「くっ!」
だがその一撃はランサーの槍で止められる。
「甘い!」
だが、その次に飛んできた両腕の二撃は止められず、腹にモロに食らう。
「ぐっ、、、!甘いのはどっちだ!」
「なっ!」
アサシンの上には、朱く、流星の如く光る槍があった。
「朱槍、、、、、、、」
間に合わない!、意識的に悟ると、ランサーに刺さった刃をぬき、避けようとするも、何かが引っかかる。
見ると、ランサーの左腕にはアサシンの放ったハリが、ガッチリと掴まれ動かない。
「一線!!!!!」
ランサーの十字槍から朱い光と共に、十字槍が飛んでくる。
そして、荒々しく飛ぶ槍はアサシンのハリを砕きながら、アサシンの体へとぶつかる、、、、だが、それはかなわなかった
(令呪を持って命ずる!アサシン帰還せよ!)
アサシンのマスターである。ハングロンの声がアサシンの脳内へと届く。
槍がアサシンの目と鼻のところで、目標であるアサシンが後も残さず消えてしまう。
目標の消えた槍は役目を終えたことを理解したかの様に、少し離れた地面へと突き刺さり、先ほどまでの光を失う。
「令呪か、」
令呪、それは聖杯戦争に参加するマスターならば、全員が持つ絶対命令権。
使えるのは3回、使えばサーヴァントを
(ランサー聞こえる?)
脳内にマスターから念話が入る。
(はい、何でしょうか?)
すると疲れた様な声で答えてくる。
(こっちの変なゾンビどもは片付けたけどそっちは?)
(すみません、宝具を使用したと言うのに、逃げられてしまいました。)
(もしかして令呪?)
マスターから疑問が入る。
(一瞬で消えたため、おそらくは令呪を使われたかと、、、、。」
(ふぅ、、、、)
その返答を聞くと、マスターはため息をつく。
(もしやマスター、怒ってらっしゃいますか、、、、?)
恐る恐る聞いてみる。
クスッ、、
すると、少し笑われるといい声で返事がくる。
(いやいや!令呪なら仕方ないし、一画は使わせたんなら価値あるから大丈夫!、それに、あんたのじゃ宝具を使ったとは言えないよ。)
それを聞くと少し安心し、こう切り出す。
(分かりました、今から戻ります)
(了解。)
それを言うと霊退化し、屋敷の方へと足を運ぶ。
△
気がつくと、其処はマスターの隠れ家だった。
「起きたか、アサシン」
マスターは銃を拭きながら椅子にもたれてこちらに振り向く。
すぐに状況を理解して、マスターの目の前で膝をつく。
「申し訳有りませんマスター。」
「いや良い、動けるのなら良い。
次で挽回してくれ。」
マスターは椅子から立ち、窓の方へと顔を向けて一言申してきた。
「ところでアサシン、私がお前に言った私の願い覚えているな、」
「はい、全生命体の祝福と記憶しています。」
具体的な内容はわからないが、聖杯ならば必ず叶えるだろう。
「あぁ、そうだそれでだアサシン、この私の全生命体の祝福について詳しくお前に話していなかったからな、詳しく話させてもらうよ。」
そしてこのマスター、ハングロン・ビルキンスの真の願いを聞くこととなった。
しばらくの間休載します。