次は『灯』メンバー達とジキル&ハイドの絡みのある間話をいくつか挟んで、続きに繋げたいと思います!
「ーー報告は以上だ」
内閣府の一室にて。クラウスからの報告を受けたロマンスグレーの男が満足そうに頷いた。
「ふむ、『奈落人形』に関する情報は全て焼却。鴉羽の暗殺者を『目』も含めて一人残らず殺害と……まぁ、成果としては重畳だな」
欲を言えば、『目』の暗殺者を一人でも生捕りにしたかったが、と呟く。
クラウスはそんな呟きを無視して、口を開く。
「それで? 『アースチェンジ』のその後の動向はどうなっている?」
「あぁ、それなら既に終わっている。玩具の製造をしていた工場は設備の不備なのか、原因不明の爆発事故が発生。幸い死者はいなかったものの、『アースチェンジ』の現社長は責任を取るという形で社長職を辞任したよ」
「……なるほど、あくまでも『奈落人形』と鴉羽の存在はなかった事にしたのか」
当然の結果と言えば、当然である。『アースチェンジ』はディン共和国が誇る大手玩具会社である。そんな会社が兵器製造に加担していたなど知られれば、ディン共和国の国際評価も落としかねない。何より世界中に『奈落人形』の存在を知られるわけにはいかないだろう。
「そういう事だ……ところで、その後『狂風』の調子はどうかね? まだ目を覚まさないのだろう?」
『狂風』というコードネームは灰色髪の青年、ジキルの事だ。「ああ、」とクラウスは口を開く。
「一命は取り止めた。また鴉羽の暗殺者に狙われるかもしれないからな。今は一応、陽炎パレスで経過を確認中だ」
クラウスからの報告を受けて「なるほどな」と男は口を開く。その判断は正しい。鴉羽の暗殺者は執念深い。暗殺という行為にあそこまで執着する集団も珍しいだろう。
「しかし、『狂風』は目を覚ますのかね? 報告にあった彼の状態を見る限り、いつ死んでもおかしくない状態だがーー」
「それなら、問題ない」
男の言葉を遮るように、クラウスが口を開く。なぜ、そんな事を即答できるのか。
「ハイドは優秀なスパイだが、少々不安が残る。面倒見の良いジキルが、そんな相方を一人置いて逝くわけがない」
そう言って、クラウスは立ち上がる。話は終わったと言わんばかりに部屋から出て行こうとする。部屋から出る前に男を横目で流し見て、告げる。
「ジキルとハイドは二人で、一人のスパイだ。必ずアイツは戻ってくるさ」
鴉羽との戦いから一週間が経過した……陽炎パレスにて。
「ーーさぁ、ジキル殿! お昼ご飯と、包帯の取り替えの時間でござるよっ」
ドアを勢いよく開けた小柄な黒髪の少女、ハイドがベッドに突進するや否や、灰色髪の青年を、持っていた包帯でぐるぐる巻きにする。
「……お前、何回言えば分かるんだ? 巻きすぎだっての」
一通り、包帯を巻かれて灰色髪の青年、ジキルが呆れたようにため息を吐いた。
鴉羽の『目』の暗殺者を倒し、炎上した工場内で意識を失ったジキルは救出に動いていたハイドとクラウスに助け出されたらしい。ただ負った傷はかなり深刻でその後も3日ほど生死を彷徨っていたが、無事に目を覚ました。任務は完了し、『灯』と行動を共にする必要はないのだが、クラウスから「傷が癒えるまで、ここにいたらいい」と言われ、今は陽炎パレスで療養させてもらっている身だ。
「うむ、包帯の取り替えは完璧でござるな! 流石、拙者」
「いや、少しも完璧じゃねぇから。俺の話、聞いてたか?」
「じゃあ、次は食事でござるな。ほーら、ジキル殿、暖かいスープを用意したでござるよ。これで身体の内から温めて……む。包帯が邪魔で口が見えぬでござるな」
「だから、巻きすぎなんだよ。てか、ご飯ぐらいもう自分で食べれるからそこに置いといてーー」
「うーむ。多分、口はこのあたりでござろう」
「いや、待て。適当にスプーンを突っ込むなって、あっつぅぅうううう!?」
熱々のスープがジキルの鼻の穴に流れ込み、悲鳴を上げてベッドの上を転がりまわる。熱い液体が包帯に染み込む事で顔全体が火傷しそうなほど熱い。顔の上で見事に二次被害が起きていた。
「おいコラ、ハイドぉおおおお!? てめぇ、ワザとやってんじゃねぇだろぉなぁあああっ」
包帯の隙間から覗かせた両眼を血走らせて、ジキルがハイドに詰め寄るが、ハイドは小首を傾げてすっとぼけたように口を開く。
「もちろん、ワザとでござるが?」
「ワザとかよ!」
予想外の回答に目を剥くジキル。「というか、」とハイドが呆れたように口を開く。
「目に突っ込むのはやめてあげたのでござるから、むしろ感謝して欲しいでござるよ」
「どこに感謝する要素が? お前、怪我人に容赦なさすぎだろ!?」
ハイドから何故そんな仕打ちを受けなければならないのか全く身に覚えがないジキルは不満を口にするが……それを部屋に入って来た茶髪の少女が静止する。
「まぁ、まぁ。ジキル先輩もそんなに怒らないで下さい。傷口が開いちゃうっすよ?」
茶髪の少女、サラが持ってきた冷たい水の入ったコップをジキルに手渡す。ジキルはコップを傾けて水を一息に飲み干した。少しだけ、落ち着く事が出来た。サラが困ったような笑顔を浮かべて「包帯、巻き直すっすよ」と言って、無駄に巻かれた包帯を外してくれる。
「おお、見事な雪だるま状態ですねぇ」
そう言って、次に顔を出したのは銀髪の少女、リリィだ。その後に続いて白髪の少女、ジビアが「よ、邪魔するぜ?」と手を挙げて入ってくる。
リリィがジキルの顔を覗くようにして、口を開く。
「ジキルくん、体調はどーですか?」
「あぁ、お陰様で。大分、回復はしたよ……何故かハイドのやつが毎日余計な事するせいで、治りが遅くなってる気もするけどな」
そうため息を溢すジキルに、ジビアが、「分かってねぇなぁ」と苦笑する。
「ハイドが事あるごとにお前に会いに来るのは、心配してるからだよ。それに毎度ちょっかいをかけられてるのは、お前が悪いと思うぞ?」
「はぁ? 何でだよ?」
「お前、あの戦いでハイドを置いて死ぬつもりだったろ。ったく、少しは残される奴の事を考えろよな?」
あたしが、ハイドの立場だったら、そりゃ怒るわ。と、ジビアが付け足す。
ジキルはどきりとする。ふと、ハイドを見る。完全にそっぽを向いてしまって表情は見えなかったが……つまり、そういう事なのだろう。ジキルが少し気まずそうに、口を開く。
「……ハイド、もしかして怒ってるのか?」
「……別に? 拙者、怒ってなどいないでござるが? ジキル殿が死んだら、拙者にパフェを貢いでくれるお財布係が居なくなるから困るぐらいでござるし? 拙者、一人でも生きていけるでござるし?」
「お、おう……俺、お前のお財布係だったのか……いや、まぁ知ってたけど」
ハイドの応えに戸惑うジキル。「まぁ、そういう事だ」と言って、ジビアがハイドの頭を優しく撫でてやる。
「今回の事はちゃんと反省するんだな……あと、ハイドの気が収まるまでは、諦めるんだな」
少しでも早く許してもらいたかったら、さっさと体治してパフェでも奢るんだな、とジビアが笑う。
それにはまだ暫くかかりそうだな、とジキルはため息を溢す。しかし、その表情は柔らかく、自然と口元に笑みを浮かべていた。
活動報告のところでも記載したんですが、そもそも活動報告って分かりやすいところに表示されんの? っていう疑問があったのでここでも同じ内容を告知します。
ジキル&ハイドと『灯』メンバーの絡みを主とした話を書こうと思います。
○○○&○○○の話を読みたい、こういう感じで書いて欲しいという要望があれば、活動報告のところにコメント下さい!
(たしか、感想のところにはそういうの書いちゃダメって規約にあった気がするので…)
駄文にはなると思いますが、頑張りますので!w