時系列はガルパ2章及びアニメ2期・3期です。
ああ、何度目だろうかこの感覚
私はゆっくりと目覚める。そして状況を確認する。
目を閉じ、自分の頭に記憶されているだろう事項をインストールする。
そっか、これが今の私。
私はハンガーにかけられている制服に手をかけ、着替えるのであった。
※
私は呪われている。永遠に生き続ける呪いだ。
とはいえ年相応に成長し、老化し、天寿を全うする。
しかしそのあとランダムに割り当てられたパラレルワールドに飛ばされ、そこで新しい私としての人生が始まる。これを無限に繰り返すのだから永遠に生きるという表現は間違いではないだろう。
今までいくつの世界を回ってきただろう。例えば女優をやっていた世界もあったし、クソみたいなブラック企業に勤めた世界もあった。ミュージシャンとして全国を渡り歩いたこともあった。軍隊にいたこともあった。
ちなみにひとつ前の世界での私は格闘家で、最強の女格闘家として世界を制したのであるがその後に交通事故にあってあっさり死んでしまった。
うわ、車に轢かれたことは記憶にない。ってことは即死だったのかなー・・・くわばらくわばら
そして今回の世界。今回の世界は・・・
「え、ただの女子高生?」
それだけである。何の変哲もないただの女子高生。
花咲川女学院に通う3年生。以上。
しかし女子高生をやるのは久々である。目覚めたタイミングでの年齢はまちまちである。
乳児で目が覚めることもあれば小学生、成人女性の時もある。いきなり軍の作戦中だったりもした。
ようは目覚めたタイミングでこの世界での私の設定が作成され、それを記憶として頭の中にインストール、世界に反映されるというわけである。
「史上最強の女子高生目指すってのも悪くないかな」
なんて冗談めいた独り言をする。
まあ今までの世界の経験値が今の私にすべて反映されているのであながち間違いではないが。とにかく今回の世界では自由にやれという思し召しであろう。
「志賀有栖(しか ありす) この世界でも頑張っていきますかー」
氏名:志賀有栖 性別:女性 年齢:18歳
特技:演技全般 楽器全般 格闘技 対人戦 アクション 銃(拳銃、小銃、狙撃) 剣道 居合道 護身術全般 車の運転 バイクの運転 諜報活動 英語 フランス語 ドイツ語 ブラック労働環境にもくじけない心 etc….
※
「アリスちゃん、おはよう!」
「おはよう、アリスちゃん」
「おはよう、アリス」
「彩ちゃん、かのちゃん、ちーちゃん。ごきげんよう」
通学途中、丸山彩ちゃん、松原花音ちゃん、白鷺千聖ちゃんに出会った。仲のいい学友のようである。
「アリスちゃん、相変わらず挨拶だけはお嬢様みたいだね」
「それはどういう意味かなー?彩ちゃん?」
「わわっごめんごめん」
「あはは。相変わらず仲いいね、彩ちゃんとアリスちゃん」
「えー?私はかのちゃんとも、とっても仲良しのつもりなんだけどなー」
「きゃっ・・・も、もうアリスちゃん。すぐに抱き着くのやめてっててばあ~」
「かのちゃん・・・相変わらずかわええのう・・・」
「アリス、またおじさんみたいになってるわよ」
「おおっと。こいつは失礼。えっと、ちーちゃんも仲間に入れてあげればいいのかな?」
「なんでそうなるのよ」
あー楽しい。でもこれもあくまで作られたものであって自分で形成したコミュニティでないのが少し寂しいな。
まあインストールのおかけでどうやって親友になったかとか幼少期の記憶もあるからまぎれもない私なんだけどさ。
「あ!アリスお姉さま!」
「アリスお姉さま・・・相変わらず美しい・・・」
「アリスお姉さま!おはようございます!」
「ふふ・・・ごきげんよう、みなさん」
門に入ると下級生たちが私を見つけ騒ぎ始める。
挨拶に返答しながら歩く私。
ありがたいことにどうやらこの世界の私は大層な人気者らしい。
「相変わらず下級生にすごい人気ね、アリスちゃん」
「みんなかわいいねえ」
「会話が嚙み合ってないような・・・」
「かのちゃん、それは気のせいさ」
「はぁ・・・なんだか薫を見ているようで頭が痛くなるわ」
「そんなこと言いつつ一緒にいてくれるちーちゃんのこと、私は大好きよ?」
「も、もう!先に教室行くわよ!」
「あはは、ちーちゃんごめんって」
そういって進んでいるうちに中庭が騒ぎになっていることに気が付いた。
「なんの騒ぎかしら?」
「アリス、あれ・・・!」
ちーちゃんに言われて上を見上げるとそこには屋上の柵を超えて立っている女の子がいた。
「キミ、危険だから!」
先生が下からそして屋上の柵の向こうにもいるようで説得しているようである。
「ど、どうしようアリスちゃん!?」
「彩ちゃん、落ち着こうか」
「逆になんでそんなに冷静なの!?」
自ら命を絶とうとしている女子生徒を見上げ私は考える。
飛び降りる高さ、落下速度、下で受け止めたとして私にかかる負荷は・・・
「いけそうね」
「え?」
彩ちゃんがそういった瞬間、その女生徒は―
飛び降りた。
「きゃあああああああああああああああ」
あたりに悲鳴が木霊する。
「え?あ、アリスちゃん!?」
「アリス!?」
そして駆け出す私。
「はっ!」
そして見事に落ちてきた女生徒をキャッチし衝撃を受け止めるために受け身をとった。
「上手くいった~。ケガもしてないみたいね」
「どうして助けたんですか!?私は・・・私は・・・」
「目の前でみすみす死なれたら目覚めが悪いじゃない」
「うう・・・これで苦しみから解放されると・・・あいつらから逃げられると思ったのに・・・!」
「あいつら?ってあれ、おーい」
気が緩んだのか気絶してしまうその子。
その後救急車が到着し、その子は運ばれていったのであった。
※
「アリス!!何を考えているの!?」
「まあでもあのままだったらあの場にいたみんなトラウマ確定よ?」
「だからってあなたが巻き込まれたら・・・!」
「実際巻き込まれなかったからいいじゃないのよ。でもゴメン、普通は心配になるよね・・・ごめんねちーちゃん」
涙目で怒るちーちゃんをなだめる。確かに逆の立場であんなものみたら心配するし怒りたくもなるよね。私は私のことをわかっているけど他の人が見たら普通の女子高生だもんね。
「でもさっきのアリスちゃん動きすごかったね」
「うん、突然駆けだして綺麗に受け止めるだもん。一瞬何が起きてるかわからなかったよ」
「人生経験の賜物だよ。あ、そういえば今日警察の事情聴取に呼ばれてるから一緒に帰れないや。このあとも職員室に生徒会・・・呼び出しがいっぱいなんだよなあ・・・」
「た、大変だね・・・」
※
さて、放課後。まずは職員室である。職員室に行くと担任と教頭、学年主任が待ち受けており色々とお説教を貰った。結果的に人命救助に繋がったのでおとがめなしではあるが無茶はするなということであった。
でもそのあと件の飛び降りた女生徒のご両親が来てめちゃくちゃ御礼を言われた。その時に入院先の病院も教えてもらい後で見舞いにいくことにした。
「失礼しまーす」
「アリスさん。すみませんご足労いただいて」
生徒会室のドアを開けると生徒会長・白金燐子ちゃんと風紀委員長・氷川紗夜さんが待っていた。
「いいよいいよ。紗夜ちゃんとりんりんちゃんの頼みならいくらでも。あれ?今日は有咲ちゃんはいないのかな?」
「市ヶ谷さんは別件で動いてもらっています」
「えー有咲ちゃんいないのかー。有咲ちゃんのおっぱいに顔を埋めたかったのになー。りんりんちゃん、代わりにいい?」
「ええ!?///」
「アリスさん、貴女そのうち捕まりますよ」
「冗談冗談。それで、今朝の件だよね?」
「はい。実は今日飛び降りた子、どうもいじめを受けていたようで・・・」
りんりんちゃんが説明を始める。
「いじめ?」
「白金さん、ここからは私が。実は彼女の友人と思しき方から匿名で相談を受けていたのです。何かを理由に脅しにあって色々理不尽な目に遭っていたと。それで生徒会でも調査することになったのですが・・・」
「その矢先に今朝の騒動ってわけね。でもいじめがあったってのは合ってるかも」
「何か心当たりがあるのですか?」
「うん。実は今日彼女をキャッチした時にね。言ったのよ、やっとあいつらから逃げられると思ったのにって」
「なるほど・・・しかしそうなると誰が、という話になりますが・・・」
「調べてみるしかないねえ。んじゃそれが今回の生徒会の依頼ってことでいいかな?」
「はい、よろしくお願いします」
「いつもすみません、アリスさん」
「いえいえー」
どうやらこの世界の私はこうやって色々な人の依頼を受けて動くことをやっているらしい。
そして今回の依頼は生徒会より、いじめ犯の特定。
よっしゃ、手始めに被害者の子のお見舞いがてら情報収集かな。その前に警察に行かなきゃだからそのあとか。
「きゃー!アリスお姉さまよ!」
「今朝の活躍みました!カッコよかったです!!」
「アリスお姉さま!私のお姉さまになって!!」
「あ、抜け駆けずるい!」
「こらこら、授業中止になったんだから早く帰らなきゃダメだぞ」
外に出たらなんだかすごい騒ぎになっている。私は捕まらないようにそう言い放ち、そそくさとその場を後にしたのであった。
※
「腹が減っては戦はできぬというしね」
「あ!アリスさん!!いらっしゃいませ!!」
「さーやちゃん、ごきげんよう」
警察署に行くまでまだ少し時間があったので私はおやつがてらやまぶきベーカリーによる。
「さーやちゃんは今日も可愛いねえ」
「もう、アリスさんそれみんなに言ってません?」
「みんなにも言っているけど可愛いに込められている感情はひとりひとり違うからさーやちゃんへの可愛いはオンリーワンだよ?だから安心してくれて大丈夫!」
「相変わらずですねえ。それで今日は何にしますか?」
「いつもどおり今日のおすすめを2~3個包んでくれるかな?」
「かしこまりました!」
パンを包むさーやちゃんを待っている間、私は軽く情報収集をすることにした。
なんせ今日飛び降りた子はさーやちゃんの学年の子だからだ。
「ねえさーやちゃん。少し聞いてもいいかな?」
「何でしょう?」「今日の事件知ってるよね」
「・・・ええ。あの子はあまり知ってる子じゃなかったけどああいうことが起こるとやっぱショックですよね」
「何か知らない?」
「・・・実はあの子が飛び降りる前、あの子と違うクラスの子がもめているっぽいのを見たんです」
いきなり核心的な情報きちゃったよ。
「それ、誰かわかる?」
「隣のクラスの―」
私はさーやちゃんが知っていることをすべて聞き出し、パンを受け取った。
「私が何かしていれば変わっていたんでしょうか?」
「ううん。気付きようがないしさーやちゃんは何も悪くないよ。後のことは私に任せてね」
「アリスさん・・・」
「もう、そんな顔しないの。またパン買いに来るからさ。その時また笑顔でいらっしゃいませって言ってよね?」
「・・・わかりました!ありがとうございます、話を聞いてくれて。今朝からずっとモヤモヤしてたので助かりました!!」
「うんうん。やっぱりさーやちゃんは可愛いねえ」
「からかうのやめてください!!」
「あはは。じゃあ私はこれでいくね。ばいばい」
「ありがとうございましたー!」
さておいしいパンも手に入った栄養補給もバッチリなところで動きますか。
次回はなるべく早めに投稿する予定です。
完全不定期になりますのでよろしくお願いいたします!