久々のガッツリ勧善懲悪、超人アリスです!
「あ、来た来た!」
「お待たせしました。しかしまた人気のない場所ですね」
「来たよ、やっちゃって!」
「なんですって・・・?」
あとをつけて正解。紗夜ちゃんが呼び出されたのはとある廃工場跡。
人に謝るのにこんな所に呼び出す意味が分からないしそもそもそんな殊勝な心掛けをしているとは思えなかったのだ。
件の生徒のうち1人とその後ろから現れた彼氏の姿を見て紗夜ちゃんは流石に動揺しているようだ。
「バッカみたい。こんなところに本当に一人で来るなんて」
「それはあなた達が謝りたいって言うから・・・」
「そんな訳ないじゃんwwwあんたのせいで停学に・・・絶対に許さない!」
ニヤニヤしながら前へ前へと進む彼氏。
これがほんとの前ヘススメ?やかましいわ。ポピパに謝らんかい。え?わたし?知らんがな。
「やっぱりそんなこったろうと思った」
「アリスさん!?」
「やっほ、紗夜ちゃん」
「あ!お前は!?」
「ごきげんよう。お久しぶりですね」
彼氏と再会の挨拶を交わす。まあ向こうは威嚇しまくってくるけど。
「知ってるの?」
「い、いや知らない」
「え~この前ナンパしてくれたのにもう忘れちゃったんですか~?」
「ナンパ!?アリスお姉さまを!?」
あ、こんな状況でも私のことお姉さまって呼んでくれるのね。
女生徒は彼氏をギロリと睨み付けるが、取り敢えず誤魔化すのに成功したようだ。
「それで、何で女のケンカに男が介入してるんですか?本当に情けないですね」
「んだと!?おい、アイツもやっちゃっていいのか?」
どうやらボロが出る前に私を黙らせたいようである。
「え!?アリスお姉さまを!?・・・ええと・・・アリスお姉さまに恨みはありませんから、ここは黙って立ち去ってくれませんか?」
「そんな虫のいい話あるわけなくてよ?見てしまったものは対処するしかないわ」
「そっか・・・・うーん・・・それなら・・・見られちゃったなら仕方ないわ」
「よっしゃ!」
彼氏が駆け寄ってくる。開き直ったのか女子生徒はニヤニヤと見守っている。そして紗夜ちゃんは驚愕した顔でこちらを心配している。
「この前の仕返しだ!!」
「あらかた恥ずかしい動画でも撮るつもりだったんですか?ほんっと、こういう悪人って芸がないですわね」
「な!?ぐごおおおおおおお」
勢いよく飛び込んできたので思いっきり胸倉を掴み、宙を浮かせてみる。
「は、はなせえええ・・・」
「あらやだ。放すわけないじゃないですか」
「く、クソ・・・うおおおお」
「痛いし重たいのでもういいです。お返しします」
脚でゲシゲシ蹴ってくるからね、スカートが汚れちゃうしね。
私はソレを持ったまま壁に歩み寄り・・・
「ウソだろ!?ぎゃあああああああああ!?!?!?」
そこに向かって思いっきりぶん投げたのであった。
衝撃で彼氏は転倒し、思いっきり背中を強打したようでこれはしばらく動けないだろうね。
「さてと。邪魔者はいなくなったことだし女のケンカ、はじめる?」
「うそ・・・」
「アリスさん・・・?」
あららびっくりしてる。でもしょうがないよね。これしか方法なかったもん。
「貴女が停学になったのは貴女がルールを破ったから。紗夜ちゃんはルールに則った行動をしただけ。なのに仕返しとかお門違いもいい所じゃないかしら?」
「そんなもん大人が決めた勝手なルールじゃないですか!私は自分の意思でやってるんだから!!」
「ええそうよ。これは大人が決めたルール。でもね、少なくとも長い歴史の元制定された法律として施行されているし学校も法を遵守しなければならない。それにね、自分の意思って言ってるけどそれこそ貴女が決めた勝手なルールよね?そこには何も根拠がない、ただのワガママ。子供が癇癪起こしてるだけ。抗いたいのなら世の中のルールに則った上で抗いなさい」
「くっ・・・」
火の玉ストレートのド正論をぶん投げてみると図星で言葉が出ないようだ。
所詮、暴力に訴える人たちなんてこんなものね。
「なぜ紗夜ちゃんなの?仕返しするならそれこそ学校。紗夜ちゃんは学校のルールに則り動いたに過ぎない。停学の判断をしたのも学校よ?」
「で、でもそいつが私のことを突き出さなければ・・・」
「それは違う。貴女は弱いものを狙っただけ。都合よく憂さ晴らしを出来る対象を狙いやすい紗夜ちゃんにして自分勝手なコトを起こしているだけ。何なら今からその彼氏と学校に乗り込んでみなさいな。貴女の理屈で言うならそれくらい出来るでしょう?」
「そ、それは・・・」
これ以上は言葉が出ないみたいだ。
「さて、紗夜ちゃんどうする?これはもう校則で解決できる範疇を超えていると思うけど。まだ紗夜ちゃん次第ではまだ後戻りできるかもしれないわ」
「そうですね・・・ひとつ聞きます。今の話を聞いてどう思いましたか?」
展開についていけてないのか紗夜ちゃんが多少あたふたしつつ、冷静になった紗夜ちゃんはそう問うた。
「・・・・私が間違ってました。本当にごめんなさい」
「よろしい。道を外れても己の過ちに気付きただす勇気を持つのは素晴らしいことです。今回のこと、私は明らかにするつもりはありません。ただし、学校が公式に下した処分は受けてください」
「あ、ありがとうございます!!」
うんうん。これにて一件落着だ。
「オイオイオイオイオイ。なーに勝手に終わらせようとしてんだ!ああん!?」
「あらら。結構思いっきりやったのにもう立ち上がれるなんて」
ぶんなげてダウンをとっていた彼氏の方が動けるようになったようだ。思いのほか頑丈だったのね。
「もう容赦しねえ。マジで殺す。女だって関係ねえ」
「ナンパに失敗した相手にぶん投げられてブチ切れてそんなおもちゃを出すなんて物凄くかっこ悪いわよ」
「うるせえ!!」
そう、彼氏が手に持つのはナイフ。高校生が持っていいものではなかった。
「アリスさん!逃げましょう!!危険です!!」
「そうねえ・・・危険は危険なんだけどあのまま放っておく訳にもいかないでしょ?」
あの手の奴はしつこいし、一度清算しないと終わらないだろう。
それに逆上してまた紗夜ちゃん単独を狙われたそのほうが危ないもんね。
「ちょっと!もういいの!」
「うるせえ!彼女だろうと邪魔すんならテメエからぶっ殺すぞ!!」
彼女もそういうがダメみたい。うん、完全に冷静さを失っている。確かにこのままここに残るのは危険かもしれない。・・・素人の二人は、だけどね。
「紗夜ちゃん、彼女を連れてお逃げなさいな」
「しかしアリスさん!」
「我に秘策ありってね。大丈夫だから」
「しかし!」
「・・・二度は言わないわよ」
「・・・!?」
威圧の気配を感じ取ったのだろう。紗夜ちゃんは一転して素直になる。
「わかりました。くれぐれも気を付けてください!!」
紗夜ちゃんと女生徒が立ち去るのを確認すると彼氏の方に向き直る。
「さて。あなた随分いいオモチャを持ってるけど、人に向けるのは初めてね?」
「なんでそんなことが分かるんだよ!?」
「見れば分かるわ」
だってホラ、私っていろんな経験してるじゃない?軍にいた頃はあんな高校生が持つオモチャなんかじゃなくて本場のサバイバルナイフでのナイフ術もあらかた習得してるしナイフ戦だって上位成績だったのだ。
私からしたらあんなオモチャ、もはやスプーンみたいなものである。
それにあの構え方に及び腰。威嚇で出したは良いが人に向けた事なんかないし引っ込みがつかないっていうのが正直な所だろう。
「それを捨てれば今なら見逃してあげないこともないけど・・・どうする?」
「うわああああああああああああああ」
完全に冷静さを失っている。あんなスキだらけで突進してきたら押さえつけて制圧して下さいといっているようなものだ。
「警告はしたよ」
「なっ!?」
1.ナイフを持つ腕を取る 2.ナイフを持つ手からナイフを捻り落す 3.落ちたナイフを拾う 4.動けない姿勢にして首元にナイフを突きつける。
以上、一連の流れ。素人高校生にやるなんぞ赤ん坊にやるようなものである。
「ナイフってのはね、こう言う風に使うんだよ」
「ひ、ひいいいいいいい!?」
私はナイフを皮膚が切れない程度にあてて切り裂くふりをした。
本当に切るつもりなんてないし力加減をしている。
「アリスさん!!それ以上はいけません!!」
「あら紗夜ちゃん?逃げたんじゃなかったのかな?」
紗夜ちゃんの声と同時に彼氏の方は気絶したようだ。これくらいでバテるなんて情けないわね。
「本当にやるわけないじゃいのさ。こんなアホのために殺人者になりたくないしね」
「アリスさん・・・?」
おおっとちょっと雰囲気が怖いな。いけないいけない。
「それで紗夜ちゃん?どうして戻ってきたのかな??」
「それは・・・やはりアリスさんが心配になって・・・」
「そっか。でも危ないから今度からはやめてね?」
私はそういいつつ伸びたアホ彼氏に往復ビンタを何発か打ち込み、ムリヤリ目を覚まさせる。そして紗夜ちゃん聞こえないようにこう言い聞かせるのであった。
「おい小僧。これ以上私や私の周りをウロチョロするな。次お前の姿を見たら・・・」
「あ・・・あ・・・・」
「 殺 す ぞ 」
「うわあああああああごめんなさああああい」
そんなクッソ情けない声を出して彼氏は全力疾走で消えていった。
「帰ろっか、紗夜ちゃん」
※
「聞いてもいいですか?」
「いいけど答えられないことの方が多いかも」
帰り道、紗夜ちゃんに訊ねられた。
「アリスさん・・・あなたは何者なんですか?」
「何の変哲もない、ただの志賀有栖だよ」
「・・・答える気はないようですね」
「答えてるよ。私はただの志賀有栖。それ以上でもそれ以下でもないよ」
「・・・ふう。わかりました。今日は助けられました。ありがとうございます」
「いえいえ。友達を助けるのは当然のことよ」
その後しばらく沈黙して歩き続ける。
「色々思うことはあるかもしれないけどさ」
その沈黙を先に破ったのは私だ。
「私は紗夜ちゃんの味方だから」
「・・・ふふっ」
「あー笑ったな~?」
「すみません。そうですよね、今日見てしまったものは衝撃的でしたが・・・アリスさんはアリスさんですね」
紗夜ちゃんは吹っ切れたように笑いながらそういった。
「納得したの?」
「・・・してませんけど冷静に考えたらアリスさんが意味不明なのはいつものことだなど」
「ひ、ひどい~~~~~・・・ま、でもありがと。明日からもいつも通りでいてくれると嬉しいな」
「ええ、わかりました」
私は私だ。この世界における役割があるのか、ないのかもわからない。
培った力をこうやって友達を守るために使うのもいいことだろう。
なんかトラブル続きな気がするけど、願わくばもっともっと常に平和であらんことを。
え?だから手遅れだって?知らんがな。
おはよう、私の愛す世界よ。
ギリギリになって申し訳ありません!
久々に暴れさせてみました。
次回はゆるい感じの1話完結で予定しています。まだ登場してないキャラだしたですね~
引き続きよろしくお願いいたします。