想像以上の大長編になってしまい驚いているのは本人という・・・・
というわけでドウゾ
「新サブマネージャーの瀬長 瑠衣(せおさ るい)と申します。以後お見知りおきを」
無事に事務所へ潜入した。軽く挨拶を済ませたがちーちゃんも私の変装を見破れないようだ。
「瀬長さん、どこかでお会いしたことないですか?」
「いえ?私は活躍を存じておりますが実際にお会いするのは初めてだと思います」
ファッ!?一瞬バレたかと思って冷や汗モノだよ。
流石はプロ、鋭い。なんとかごまかしたけど。
その後は別の世界(以下略)でマネージャー業務を全うした。
「瀬長さん、白鷺さんはどうですか?」
「やはりすごいですね。仕事に無駄がなく方々からの評判もいいです」
「それはなにより」
事務作業中に話しかけて来たのはメインマネージャーだ。
千耶ちゃんや神谷が言うところのネズミである。
「それは・・・白鷺さんのスケジュールかな?」
「ええ。色々と予定が立ってきたので作成しているところです」
「なるほど。そうだな、僕にも後で見せてくれるかな」
「どうしてですか?」
「いや深い意味はないよ。所属タレントのスケジュールくらいメインマネージャーが把握しているのもおかしくないでしょ」
「確かに」
ここで抵抗すると怪しまれるな・・・仕方ない
「承知しました。完成しましたらお送りいたします」
「ありがとう」
それだけ話してメインマネージャーは帰宅していった。
「そろそろかな」
昼は学友として、放課後はマネージャーとしてちーちゃんと接する二重生活も終わりが近いかもしれないね。
「まあ近くする、が正しいけどね」
私はスケジュールを組み込む中で、明らかな穴のスケジュールを作っておいた。
近いうちに奴らが動くなら、この穴を狙ってくるだろう。
私は完成したスケジュールをメインマネージャーに送り、諸々の準備をするために帰宅したのであった。
※
「今日は白鷺さん、本日はお疲れ様でした」
「瀬長さんも、いつもありがとうございます」
そして私が作った「穴」当日。
この日は他のメンバーより早く仕事が終わり、帰るには早すぎる時間。
そう仕事が終わるよう調整したのである。
「いえいえ、お礼を言うのはこちらの方ですよ。白鷺さんみたいなすごい人を担当させてもらって身が引き締まります」
「それは褒めすぎですよ」
「このあとは直ぐ帰られますか?」
さて、どう出るか。
「いえ、実はメインマネージャーに呼ばれていて」
どうやら綺麗に罠にかかってくれたようである。
「あ、そうなんですか。わかりました・・・あ、そういえばこれよろしかったら」
「これは?」
「白鷺さんが前に気になるけど売り切れで買えなかったって言ってた本です。たまたま売っていたのでもしまだ買っていなければ・・・」
「ありがとうございます、ちょうど今日も帰りに探しに行こうかと思っていたんです」
そういってとある一冊の本を渡す。
ちなみに本に挟んである栞に高感度の集音チップが仕込んである。
これで状況をうかがい、奴らが動いたらちーちゃんに危害が及ぶ前に突入して救出。果たして黒幕まで言ってもらえるかどうか・・・
「私はもう読んだのでまた感想を言い合いましょうね」
「ありがとうございます!あ、本代・・・・」
「大丈夫ですよ、役作りの資料購入費ってことで経費で落としてあります」
経費(極道のカネ)で買ったのは盗聴器もであるが。
「では、私はこれで」
「ええ、帰りもお気を付けて」
さて・・・・
「もしもし神谷?うん、今日動くみたい。ええ、後をつけてみるからこっちに向かって。場所が分かったら合流しましょう」
※
場所はある雑居ビル。こんなところに呼び出しちゃって・・・
メインマネージャーの呼び出しだし警戒心がないのも仕方ないとは思うけど。
私は神谷に所在地を送り。盗聴器を聞く。
------「まあ諦めてくれや。定期的にアイドルを間引きしてな、こうやってビデオ撮らせてもらうんだよ。ただ今のままだと未成年だから売りに出せない。まあでもこれを使って被写体をコントロールすることはできる。んで18になったら元アイドルの女優としてデビューさせんのさ」-----
-----「・・・なぜ私なんですか」-----
「そこにいるプロデューサーいんだろ?そちらの方は志賀組っていうヤクザのお偉いさんでな。その方が気に入った娘とヤるためにこの場を設けてんだよ。それが今回お前だったってだけの話しさ」-----
-----「ま、そういうことだ。子役の頃から見てるけど男の影ないし枕した形跡もなかったから処女だろキミ。そういう子を犯すのが私の趣味なのだよ」
-----「うへ~相変わらずロリコン外道すね~」-----
-----「所属アイドル売り飛ばして荒稼ぎしてるおめえに言われたくなねえなあ」-----
-----「「はっはっはっはっはっは!!!」」-----
はいビンゴー。志賀組の偉い人ってこれ黒幕確定やん。
なるほど、そういう理由・手口で被害者を呼び出していたのね。
「随分身勝手な理由ね。反吐が出るわ」
私は即座に雑居ビルの階段を駆け上がる。
その間にもことは進み、どうやら黒幕がちーちゃんに近づき始めたみたいだ。
「やーっとこの日が来た。長かったなあ」
潜入して1か月。長かったけど意外と早く尻尾を出したというべきか。
もっともネズミの尻尾は長いから最初からみえていたけどね。
「せ、瀬長さん・・・?」
そりゃ驚くわね。しかしちーちゃんの恐怖に歪んだ絶望した顔。
こんな顔をさせた奴らを許しておくわけにはいかないなあ。
「い、今まで私に見せてきた姿は嘘だったんですか・・・!?優しくしてくれたのはこの日のためだったんですか・・・!?」
変態共が迫る→わたし、参上→やっとこの日が来たとかぬかす→このシチュエーションを待ってました→被害者からみたらグルのクソ野郎
・・・・これはアカン
「ん・・・?あ~そういうことか。ごめんごめん。勘違いさせちゃったね。大丈夫、私は味方だよ」
あくまで冷静に、優しく語りかける。
瀬長瑠衣の声ではなく、慣れ親しんだ志賀有栖の声でね。
「え・・・・?貴女・・・そんな・・・!?」
「おい瀬長ァ!テメー・・・なんでここにいる!?」
「この現場を押さえるためですよ。そして親友を守るためかな」
「んだと!?」
「ちーちゃん、すぐ済ますからさ。怖いだろうけどちょっとだけ待っててよ」
「アリス・・・・アリスなの?」
さすがプロの女優。姿形は違えど声と雰囲気で正解にたどり着いたようだ。
「ごめんね、ワケあって黙ることになっちゃって。それにこんな危ない目に遭わせちゃって」
これは心底反省しているところであった。
本来はこの状況になる前にどうにかすべき。しかし今回の場合、極道が絡んでいるためネズミだけを叩いて強行突破するのは根元が断ち切れないため、弊害が出る可能性があった。
故に言い逃れのできない証拠を押さえ、神谷・千耶ちゃんという本職の元、コトを処理をする必要があったのだ。
「おいなんだテメエ。邪魔すんなよ」
そう言ってカメラマンが二人私に近づいてきて、肩を掴み凄んでくる。
うーんこいつもカタギじゃないね。
「邪魔すんなってセリフはね、私が言うべきセリフだと思うんですよ」
刹那、私は奴の持つカメラを奪い取り、死なない程度にぶん殴った。
女相手でナメてかかっているのか隙だらけで2人とも一撃。
意識を刈り取ることに成功した。
「その身のこなし・・・まさか本家の回し者か・・・?」
「ん~正解っちゃ正解。でも私はカタギよ?今回はちょっと協力しただけ」
「ほ、本家だと?俺のことが本家にバレているのか?」
黒幕と思しき奴がそういう
「バレているかどうかで言ったらバレてないよ(神谷が到着するまでは)」
「それなら瀬長、テメエの口を塞げば問題なさそうだな」
メインマネージャーが凄んでくる。
しかしこの雰囲気は本職ではないね。本当にただの協力者なんだろう。
「アリス!私はいいから逃げて!!」
「大丈夫だよ」
「でも・・・貴女に何かあったら・・・!」
「ん~この状況を作ったのがそもそも私だし。ちーちゃんならわかるでしょ?そういうことよ」
「・・・・!」
「耳を塞いで、目を閉じていてくれるかな」
ちーちゃんはとても複雑そうな表情を見るに理解はしたけど・・・といった具合だ。正直、かなりひどいことを言っている自覚はある。
でも仕方ないのだ。ちーちゃんを完全に安全な、日の当たる世界で居続けてもらうためにはこうするしかない。
瀬長瑠衣として潜入すると決めたときには、悪になる覚悟はとうにできているのだから。
「さて、罪状の確認をしましょう。メインマネージャー、あなたは立場を濫用してそこのヤクザと結託してタレントを堕としていた。そしてそっちのヤクザは自らの欲望を満たすためにタレントの女性を蹂躙し、それに飽き足らずAV業界で荒稼ぎをしていた。間違いないないかな?」
「それがなんだってんだ?ビジネスってものはよ、誰かの犠牲の元成り立つもんだろ?」
「確かにね。ビジネスは一筋縄ではいかない。誰かが笑う一方で誰かが泣くこともある。でもそれは真っ当なビジネスの場合。あなたのように非合法で人の心を踏みにじる行為はビジネスとは言わない。ただの外道の犯罪行為よ」
「知った口をきいてるんじゃねえ!」
「こっちは色々知ってんだよ」
私は迫ってきたメインマネージャーの首を真正面から掴み、そのまま持ち上げた。
「ぐ、がががががががががが」
「人一人を持ちあげる力で首を締め上げているんだもん。苦しくて仕方ないでしょうね」
「は、はなしでぐれええええええ・・・・ヤメテ・・・ヤメ・・・」
「あなたが今まで堕とした被害者たちは一回もやめてって言わなかったのかな?でも言ったとしてもやめてないよね。権利ばかり主張しやがって義務を果たせよコラ」
そしてそのまま壁に顔面を叩きつける。
その後、奴は鼻血を噴き出して意識を失った。
「オイ女。テメエ、タダ者じゃねえな。何モンだ」
「私はカタギだよ。それ以上でもそれ以下でもない。ただの友達想いの女の子」
「んなワケあるかよ。この迫力、いったいどれだけ修羅場をくぐってきたら身につくんだ?」
「ご想像にお任せします」
「フン。まあいい。俺はそこの雑魚とは一味違うぞ」
懐からドスを出し、雰囲気を一気に”本職”に変えてきた。
私も構えたのであるが、そこで状況が変わった。
「おう柿本。カタギ相手に結構なモン向けてるじゃねえか」
「神谷のカシラ!?」
こいつ、柿本って名前なんだ。
神谷が来たようね。うん、私の仕事はここまでか・・・
できればこいつをぶちのめしたかったけど、ちーちゃんもいるしこの辺にしておくか。
「ってお嬢・・・あ~もう派手にやっちゃって。血なまぐさいのはイヤじゃなかったんですか?」
「だーかーらーイヤだけどダメじゃないって」
「それ屁理屈じゃないすか」
「あー!屁理屈っていった!神谷、あんた何でもかんでも屁理屈で片付けるオッサンになってるわよ?」
「誰がオッサンですか!?・・・まあいいです。あとは俺でやります。その子を連れて逃げてください」
「りょーかい」
耳を塞いで震えていたちーちゃんの元へ向かうべく背を向けたのであった。
引き続きよろしくお願いいたします。