史上最強の女子高生   作:光の甘酒

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前回までが真っ黒だったので今回は平和です!




第8話 こころこねくと

「お食事会の付き添いですか?」

「ええ、実はこころが社長令嬢の食事会に招待されてるんだけどね。こころはいい意味でも悪い意味でも個性的だろう?中には悪意を持って近づいてくる令嬢もいるかもしれないからね。有栖ちゃんさえよければ付き添いをしてあげられないかい?」

 

 

ある日、突然黒服の方々に囲まれたと思ったらある会社の社長室にいた私。

目の前にいる弦巻さんからそんな話をされた。

 

 

「主催者のお嬢さんがライバル会社社長の娘さんでいつも断っているんだけどね。しかしあまり無下にもできない。もしかしたら娘に新しい友達もできるかもしれないしね」

「いいですよ。私もこころさんが良くない目に遭うのは不本意ですし」

「助かるよ」

「弦巻さんにはお世話になっているのでこんなことでよければ。それに実は・・・」

 

 

弦巻さんはこの世界での私の父の親友らしい。

父と母が事故で亡くなった時も相続やその他諸々で助けてくれて、遺産にすり寄ってくる有象無象も対処してくれたようだ。

そのおかげで私は両親の財産を問題なく想像できて、相続税などの問題も弦巻さんがやってくれた。

私は一人っ子だったため、一生使いきれない資産と父が経営していた会社の株も父と母の持ち株をすべて相続したため、筆頭株主という立場を手に入れたわけである。

そんなこともあり私はこの人に大きな恩があるわけである。

 

 

「実は私のところにも招待が来ていたんで。スルーしようと思ってましたけどそういうことなら」

「そういうことか。有栖ちゃんはもステータス的には参加資格は十分だし頼むよ」

 

 

 

 

 

「こころ、わからなかったら私がやるし周りがなんて言おうと気にしなくていいからね」

「何が起きるのかしら?ワクワクするわ!!」

 

 

うーん・・・

わかってねえやこれ。ま、露払いは私がしますか~

 

 

「今日はお集まりいただいてありがとうございます。楽しんでいってください」

 

 

主催者の令嬢がそういう。

テーブルには5人

主催者令嬢、お仲間の令嬢2人、私、こころちゃんだ。

メンバーの下調べは済んでいる。

お仲間の令嬢はどうやら主催者令嬢の父が経営する会社の役員の娘たち。

つまり3人は完全に派閥と考えていいだろう。

 

 

「ようやく弦巻こころさんと志賀有栖さんにお会いできて光栄ですわ。招待してもなかなか来てくださらないんですもの」

「申し訳ありませんわ、色々と忙しくて」

「さすがあの会社の筆頭株主様は違いますわね」

 

 

嫌味っぽく言われる。

どうやら友好的な食事会ではないみたいね。

 

 

「弦巻さんも、ようやくお会いできましたわね」

「あなたは誰かしら?」

 

 

おおう、いきなり爆弾投下してるやん・・・

 

 

「弦巻と比べたらわたくしなど名前を覚える価値もないと・・・?」

「あら?どうかしたのかしら??お腹が痛い時の顔してるわよ???」

 

 

すげえ!こころちゃん天然で嫌味に迎撃してる・・・そしてクリティカルしてるわ

取り巻きの令嬢も”まあなんて失礼な”って顔してるし。

しかしこれでは進まないのでここは空気を切り替えよう。

 

 

「まあまあご挨拶はそれくらいにしておいてお食事にしましょう」

「コホン、そうですわね」

 

 

令嬢は手を上げてスタッフを呼ぶ。

 

 

『いつものをいただけるかしら』

『かしこまりました』

 

※『』会話は外国語で会話していることを表しています。

 

 

「あら?どうかなさいました?このお店では英語でオーダーするのが決まりでしてよ?」

「あら、そうなの?困ったわ、あたしは英語が話せないもの」

「まあまあそうですの!仕方ありませんわね、ここはわたくしが代わりにご注文して差し上げますわ!!」

 

 

こころちゃんの返しに水を得た魚のように元気になる主催者令嬢。

あ~やっぱそういうことね。

 

 

「そうですわね、せっかくなのでお願いしましょうか。あ、でもその前に・・・ご注文するもののメニューをご説明いただけます?もしかしたらアレルギーがあるかもしれないので・・・」

「え!?ええと、その・・・・」

 

 

私はそういう。

 

 

「まあ!アレルギーは大変ですわね。私はいつも主催者令嬢さん(仮名)にお任せしていますので・・・・」

「わたくしも・・・」

 

 

取り巻きたちがそういう。

 

 

「どうかしたのですか?」

「ええと・・・」

『ま、ろくに英語も話せないくせにマウントをとろうとするからそうなるのよ』

「え・・・?」

 

 

私が突然流暢な英語を話し出したので驚いているようだ。

そもそもこの食事会自体、主催者令嬢が私やこころちゃんにマウントを取るために開催されているもの。

英語を話せない私たちの代わりに華麗に振る舞い、英語を話せないことをバカにしつつマウントをとる。そんな計画のようだ。

ぶっちゃけ彼女の英語は発音が怪しいし、なんというか文章を”丸暗記しました”という感じがわかる。つまるところ彼女は簡単なビジネス場面でのあいさつ程度の英語しか話せない。

おそらくレストラン側に事前に話を通しておき、ヘタクソな英語で”いつもの”といえば料理が出る仕組みにしておいたんだろう。

故に彼女はどんな料理が出てくるか知らない、だから私の質問に困惑しているのだ。

さらに言うと私がさっき英語でいったことも理解できていないだろう。

 

 

『え?わからないのかしら??はぁ~マウントをとるならもっと英語を勉強してからしなさいな。あなた、最高にカッコ悪いわよ』

「え?え?」

「主催者令嬢(仮名)さん、志賀さんはなんとおっしゃってますの?」

 

 

取り巻きが追い打ちをかける。

 

 

『あなたに聞いてもラチが明かないわね』

 

 

そういってスタッフの方を向き直る。

スタッフは必死に笑いをこらえている様子だった。

 

 

『と、いうわけで彼女の注文したメニューの解説をしてくれるかしら?』

『かしこまりました。メニューは・・・』

 

 

メニューの解説を聞いた。まあ内容はどうでもよかったので適当に聞き流したわけであるが。

 

 

『ありがとう。そうね、ノンアルコールワインはあるかしら?あいにく未成年だから・・・メインディッシュのステーキにあうものがいいわ』

『でしたらこちらのメニューの・・・これがおススメです』

『いいわね。彼女たちにも同じものを頼めるかしら?』

『かしこまりました』

「主催者令嬢さん、全員同じものでよろしいでしょうか?」

「え!?あ、はい・・・」

『と、いうわけで”いつもの”を全員分と私がさっきいったワインを人数分、頼むわね』

 

ニヤッと笑ったスタッフはオーダーを取り終えて下がっていく。

きっとバックヤードは爆笑の渦になっていることだろう。

 

 

「ノンアルコールのワインを勝手に注文してしましましたわ。今日の出会いに感謝して私から皆様にご馳走いたしますわ」

「~~~~~~~~//////!!!!」

 

 

余裕たっぷりな感じでそういうと主催者令嬢は顔を真っ赤にしてプルプル震えていた。

 

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

 

どう反応していいかわからない取り巻きたち。

 

 

「まあ!アリスは英語が上手なのね!!」

 

 

ひとりいつも通りのこころちゃん

 

 

「さあ、いただきましょうか」

 

 

こうして、運ばれてきた料理たちを前に、食事会をはじまった。

主催者令嬢は終始おとなしく、平和に平和に終わったのであった。

 

 

うん、平和だなあ。ごはんは美味しかったし久々にこころちゃんと遊べたしマウント令嬢っていうオモチャでも遊べたしたまにはこういう日があってもいいわね。

 

おはよう、私の愛す世界よ。

 

 

 




平和だってでしょう?
というわけで引き続きよろしくお願いいたします!!

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