モニカの二人とクソ映画を満喫して美味しいコーヒーを飲みました!
以上!!
今回ちょっと長めです。
「お姉ちゃん・・・?」
とある休日、街を一人で歩いていると女性に声をかけられた。
そちらのほうを向くとそこにはいかつい男を数名連れた若い女性。
「あ、すみません・・・あまりに亡くなった私の姉に似ていたものですから・・・」
「千耶・・・?」
思わずつぶやいてしまった。
私は思い出す。いくつ前の世界だろうか?
私の記憶にある関東最大の広域指定暴力団・志賀組の組長宅襲撃。敵対する組が送り込んだヒットマンが組長宅に乗り込み、組員数名とたまたま居合わせた組長の娘を殺害したという事件だ。そのあとのことは知らない。
だってその時死んだのがその世界にいたころの私なんだから。
「やっぱりアリスお姉ちゃんなの・・・?なんで・・・?どうして・・・?」
「千耶!!」
全力で飛び込んでハグをする。
そこにいたのはその世界での私の妹。志賀千耶の姿であった。
※
「まさかあの世界とこの世界が繋がっているなんてなあ・・・えっと私が死んでから何年になるのかな?」
「20年だよ」
私はかつての妹にすべてを話した。信じてもらえるとは思えなかったんだけど全く疑いもせず信じてくれた千耶。いやいや、まさか再び会う日が来るなんて思ってもみなかったよ。
「そっか。今はあなたが?」
「うん。組を仕切ってる。そうでないと後継争いで内部抗争になりそうだったし」
「あの可愛かった千耶がなあ。えっと当時の千耶が10歳だから・・・今は30歳かな?」
「お姉ちゃんは逆に全然変わってない・・いや、違うか。変わっていないお姉ちゃんになってだけかな」
「私が死んだのが18の時だからあの時と同じ年齢ね」
その後はしばらく姉妹水入らずで話した。
近況のこととか色々ね。
「お姉ちゃん、ウチに来る気はない?」
「・・・気持ちは嬉しいけど今の私は戸籍上、亡くなった志賀有栖と同姓同名の人物ってだけだからね。それに私は今あるみんなとの関係を大事にしたいんだ」
「そっか。でもせっかく会えたんだしなんでも頼ってね?こう見えても私、強くなったんだから!」
「そりゃ天下の志賀組の組長様だもんね。うん、ありがとう。いざというときは頼りにさせてもらうね」
こうして私たちは連絡先を交換してわかれた。
思わぬところで再開した妹。長い間、あまたの世界を渡り歩いて生き、そして死んでを繰り返してきたけどこんなこと初めて。きっとこの世界においてとても強い武器となるであろう。私はそう安堵したのであった。
※
「ばーちゃんただいま~」
「お帰り~有咲ちゃん♡ごはんにする?お肉にする?それとも・・・サ・カ・ナ?」
「ええ・・・(ドン引き)」
私は有咲ちゃんの家に用事がありお伺いしたところまだ帰っていないとのことだったので待たせてもらうことにしたのだった。そして無事帰宅を果たした有咲ちゃんをエプロン姿でお出迎えしたわけである。
「なんでアリスさんがいるんですか!?」
「ちょっと有咲ちゃんに用事が~(以下略)」
「なるほど。いや用事あるなら学校でよかったのでは?」
「ん~ちょっと野暮用でタイミングがね~」
「なるほど。とりあえず家に入れてもらっていいですかね?」
「おっとごめんよ」
そういって有咲ちゃんは家に上がる。
きちっとした姿勢で靴を脱ぎ、きれいにそろえるその動作には育ちの良さがにじみ出ている。
「あ・・・」
「どうしたの有咲ちゃん??」
「ごはんもお肉も魚も全部食べ物じゃないですか・・・どんだけ食欲旺盛にみられてんですか私・・・」
「タイムラグのあるツッコミも好きよ」
「そこはご飯かお風呂か・・・・」
「お風呂か・・・?」
「そ、その・・・ワタシ・・・っていうところじゃ・・・」
恥ずかしそうに顔を伏せる有咲ちゃん。完全にツッコミが藪蛇になっている。ここはお姉さんらしく対応しなきゃ。
「なぁに有咲ちゃん?ワ・タ・シがよかったのかな~ん?」
「しりません!!!」
「あーん、待ってよ~」
後ろから顔を近づけてくっついたら有咲ちゃんがショートしそうになったのでそのさまを堪能しつつ、有咲ちゃんの背中を追うのであった。
※
「ほんとにお肉も魚もあった・・・」
「さあ、召し上がれ♡」
有咲ちゃんを待っている間、暇だったので有咲ちゃんのおばあちゃんにキッチンを借りて市ヶ谷家の夕飯づくりを担当させてもらっていた。こう見えて料理は得意、というかとある前の世界では調理師をやっていた時代もあったからうまくやる自信はあったのである。
そしてメニューは見事肉も魚も取り入れてあるものにしたのだ。
「もぐもぐ」
「どうかな・・・?」
「美味すぎる・・・!」
「やったあ!」
どうやら大変好評のようである。
「なんか至れり尽くせりですいません」
「私が好きでやってることだから」
ご飯を食べながら雑談する私たち。
他愛のない話で盛り上がり、隙を見て有咲ちゃんをからかったりセクハラしたりとても楽しい時間だ。
「有咲ちゃんあの写真・・・」
「ん?ああ、私のお母さんの遺影です。私が小さいころに病気で死んじゃったんですけどね。そういえばうちのお母さんの有栖って名前だったな・・」
「え、すごい偶然!じゃあ私たちは実質親子でいいのかな??」
「なんでそうなるんですか!!!」
「冗談冗談。さて、私はそろそろ帰ろうかなあ」
「アリスさんが結局来た目的ってなんだったんです?」
「ん~もう済んだかなあ」
「ええ・・・なんか要領を得ないですね」
「まあ有咲ちゃんにご飯を作ってあげたかったってことで」
「うわあ~適当だあ~」
そんな会話をしながら玄関に向かい、ドアを開けたところで私はずぶぬれになった。
「ファッ!?」
「うわ、すげー雨風!?アリスさん!!とりあえず閉めて!閉めてください!!」
有咲ちゃんに言われピシャっとドアを閉める。
どうやら外は急に天候か崩れ、嵐のようになっているようだ。
「うわーこれ一晩続くみたいですね」
「マジかあ・・・」
天気アプリを見ながら有咲ちゃんが教えてくれる。
「んー困ったなあ。ねえ有咲ちゃん、雨合羽とかある?あるなら貸してもらえれば何とか帰れると思うからさ」
「いやいやこんな嵐の中放り出すわけにはいきませんって!」
「ん~そうはいってもなあ」
うーむと考えていると有咲ちゃんのおばあちゃんがやってきてこんな提案をする。
「今夜は泊まっていきなさいな」
※
「アリスさーん、湯加減どうですかー?」
「最高です~有咲ちゃんも一緒に入る?」
「入りません!!!タオルと着替えここに置いておきますから!!」
「つれないなあ」
ずぶぬれになってしまったのでお風呂をいただくことにした。
ちょうどよい湯加減に市ヶ谷家の広いお風呂はとても快適である。
「し、失礼します」
「あれ、有咲ちゃん??」
「ばあちゃんがせっかくだから一緒に入れって」
「サンキューバッバ」
結局一緒に入ることになった私たち。
「よし、洗いっこしよう!」
「洗いっこするのになんで鷲掴みする手の形してるんですか!?ぎゃああああああ」
「おお、でけェ・・・」
「うう・・・いつもやられっぱなしの私じゃないですよ!」
「わわっ有咲ちゃんったら大胆」
刹那、有咲ちゃんに鷲掴みにされてしまった。
「・・・・でけェ」
「そりゃどうも」
いや、私もそこそこサイズに自信あるけどさ。あなたの方が明らかにでかいからね?
「なんか全然動じなくてちょっと悔しいです」
「生乳掴まれる程度じゃねえ」
「どの程度なら動じるんですか!?」
そんな戯れをしていたらあっという間に時間が経過する。
さすがに長すぎ、騒がしすぎということでおばあちゃんにお叱りを受けてしまったので一通り入浴をすませて出ることにした私たちであった。
※
「パジャマに下着まで貸してもらって申し訳ない」
「いいですよ。アリスさんのは洗って乾燥機かけてるんで」
「何から何まで申し訳ない」
「晩御飯の御礼ってことで。あ、寝るときにブラはつける派ですか?」
「あ、つけない派なんでそれは借りなくて大丈夫だよ~」
「了解です」
借りたとしても若干有咲ちゃんの方がでかいからね。少し惨めになりそうなのでつけない派でよかったと思う。
「なんか不思議な感じです。アリスさんが家にいて一緒に寝てるなんて」
「有咲ちゃんと今までこういうことなかったもんね」
「なんで私だったんですか?」
「・・・んー・・・ある人との約束を果たしただけ」
「ある人・・・?」
「やっぱ何でもない。私の自己満足ってことにしておいてよ」
※
千耶ちゃんに再会した件で、他にもどこかの世界とつながっているのでは?という疑念が生まれた。色々調べると、少なくとももう一つつながっている世界があったのだ。
それが、私が調理師をしていた時の世界。その時に親友だったのが本郷有栖(ほんごう ありす)だ。高校で知り合い同じ名前で趣味も一緒ですぐに意気投合し親友となった彼女。同じ名前だったので、区別するために私が彼女を「あーちゃん」と呼び、彼女は私のことを「りーちゃん」と呼んでいた。そして大人になり、私は調理師、彼女は結婚して専業主婦になって、名字が市ヶ谷に変わった。
「え!?あーちゃん妊娠したの!?」
「そうなんだ~」
「おめでとう!!」
ある日呼び出されて何かあったのか!?と身構えていったらとても嬉しい報告であった。
「いやあ・・・あーちゃんが母親か~・・・感慨深いですなあ」
「ありがと。りーちゃんはいい人いないの?」
「私の恋人は当分包丁と鍋だよ」
「あはは、そっか」
親友に子どもができた。こんなにうれしいことはなかった。
「そっか~じゃあ私も生まれてくる子においしいものを作れるように腕を磨いておかなきゃなあ~」
「りーちゃんの料理、めちゃくちゃ美味しいじゃない」
「もっとだよもっと!あーちゃんの子どもに下手な物は食べさせられないし」
「大げさだなあ。でもありがと、楽しみにしてるね」
「うん、約束する!その時まで乞うご期待ってことで!!」
その日の帰り、私は死んだ。
高齢者が運転する暴走車があーちゃんの方へ向かってくるのを確認した私は瞬時にあーちゃんを突き飛ばした。それがその世界での私の最後の記憶だ。
実は、今まで有咲ちゃんに正体のわからない親近感がずっとあった。
そのせいか他の子よりスキンシップが激しめであった自覚もある。
そして千耶ちゃんとの再会、そしてさっき見た有咲ちゃんの母親の遺影・・・すべてが繋がった。
やっぱり有咲ちゃんはあの時のあーちゃんの子どもだったんだね。
でもあーちゃんが早くに亡くなっているのはとても残念だ。
※
「アリスさん?」
「あ、ごめんね有咲ちゃん。ぼーっとしちゃって」
しみじみと思いだしていたらぼーっとしていたようで有咲ちゃんに声をかけられた。
「大丈夫ですか?」
「うん、まあ」
「なんか歯切れが悪いですね。アリスさんらしくない・・・ってちょまっ!?」
有咲ちゃんが言い切る前に私は有咲ちゃんの布団に潜り込んでぎゅっと抱き着いた。
「ねえ有咲ちゃん。私ね・・・何があっても、世界の全員が有咲ちゃんの敵になっても私は有咲ちゃんの味方であり続けるから」
「え、いきなりどうしたんですか?」
「・・・・・ぐぉー」
「って寝てるし!?」
嘘だ。本当は寝ていない。
あーちゃん。有咲ちゃんがね、私の料理を食べてくれたよ。あーちゃんがもういないのは残念だけど約束、果たせたのかな?
これからは私が有咲ちゃんを守っていくから見ててね。
※
「あのままガチ寝しちゃってた」
「おはようございますアリスさん」
「あ、おはよう~有咲ちゃん」
「起きて早々申し訳ないのですがそろそろ離してもらえませんか?」
「あら、ごめん」
私は有咲ちゃんを解放した。
「いや~あまりに抱き心地よかったから」
「こっちは緊張してあまり眠れませんでした・・・」
「え~私ごときに緊張することなんてないでしょ~」
「ありますよ!アリスさんはもっと自分を理解してください!!」
「これ褒められてる?」
そういいながらパジャマを脱ぎ捨てる私。
「せめて前隠してくださいよ!」
「女同士じゃん~」
そういいながら顔を覆う掌の指は開かれており可愛いおめめはバッチリと私の胸部を凝視している。このムッツリさんめ。
「えっとアリスさん」
「何かな?」
「昨日のことなんですけど・・・」
「やっぱその話よね。えっと、今はまだ話せないけどさ。いつかその時が来たら絶対に話すから。待ってくれると嬉しいな」
「・・・わかりました」
「うん、素直でよろしい」
さすが有咲ちゃん。物分かりが良くて助かる。でもいつか、話すときは来るのだろう。
その時に備えて今はこの世界を満喫しよう。
おはよう、私の愛す・・・
「あー!」
「びっくりした!?どうしたんですか?」
「有咲ちゃんも寝る前はつけない派だったよね・・・?」
「ええ、まあ。あれ、あの、アリスさん!?手が!手の形がおかしいです!?ぎゃああああああ!」
ちょっと勢いで誤魔化す感があるけど、今はこれでいいのだ。
今度こそ。おはよう、私の愛す世界よ。
間が空き申し訳ありあません。
今回は設定紐解き回で、とても便利そうなでご都合主義に使えそうな肩書を持つ新キャラと、有咲とアリスは実はこんな関係があったという設定の公開です。
めちゃくちゃ前から書いてたんですけどなかなか文章にまとまらず申し訳ありあません。
ちなみに時系列的を解説すると
志賀組アリス世界→たくさんの別世界→調理師アリス世界(志賀組アリス死亡から年数が経っているため当時同じ世界だと気付かなかった)→たくさんの別世界→現世界という流れです。
千耶だけに正直に話したのは流れ上仕方なかったのと、そのほうが都合がよいとアリスが判断したからです。
今後はまた色んなキャラを登場させて絡ませていきます。引き続きよろしくお願いいたします!!