飯食って露出狂のTINTINを蹴飛ばして倒しました
「おいっす~」
「あ、アリスさん。お疲れ様です」
「やっほー、あーちゃん。あれ、紗夜ちゃんはまだ来てないの?」
放課後の生徒会室。留守を預かっているのは市ヶ谷有咲ことあーちゃんであった。
「ええ。もうすぐ来ると思いますけど・・・アリスさんはあの件ですか?」
「うん。特定できたからその結果報告にね」
ご存知、私は生徒会の依頼で探偵の真似事をしている。
今回は度々敷地内の目立たないところに落ちているタバコの吸い殻の調査であった。
うちの生徒がタバコをやっているのであれば問題だし、教員がやっているのであればマナー違反だし、第三者が侵入してきているとしたら大問題だ。
「じゃあ紗夜ちゃんを待たせてもらおうかなー」
「わかりました」
「・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・あれ?」
「どうしたのあーちゃん?」
少々の沈黙。それを破ったのはあーちゃんだった。
「え、いや。いつもだったら何振り構わず抱き着いてきたり胸揉んできたりしてくるのに今日のアリスさんおとなしいなって・・・」
「え~?私がいつでもそんなことしているわけじゃないよ~でもそういうことなら・・・」
「え・・・あの、アリスさん。何ですかその何かを鷲掴みにする手の形は」
「覚悟ぉ!」
「やめなさい!!!」
ゴスッ!
「ぬぐぉおおおお・・・・」
リクエストにお応えしてあーちゃんにセクハラをしようとしたところで頭に衝撃が下る。
そこには分厚い生徒会報をタテの持つ紗夜ちゃんがいた。
「ちょっと紗夜ちゃん!!目ん玉が飛び出たらどうしてくれんのさ!?」
「人体はそんなにたやすく目玉を分離してくれないから安心してください。それになんですか・・・人が部屋に入るや否やまたふざけて!!」
「あーはいはいごめんちゃい。超反省してまーす(反省しているとは言っていない)」
「カッコの中身が見えてますよ!!」
「わぁ、メタ発言だぁ」
うんうん、いつも通りだ。やっぱり生徒会室はこうでないと。
「さて紗夜ちゃんも来たことだし。本題かな。りんりんちゃんもでておいで~」
「え!?燐子先輩いたんですか!?」
「す、すみません・・・出るタイミングがわからなくて・・・」
奥の方からりんりんちゃんが出てきた。あーちゃんはいると思っていなかったらしくびっくりしている。
「えっとね。全部特定できたよ~これが吸っている時の動画、これが吸っている生徒の情報、これが生徒の交友関係と家族関係ね。ファイリングしてあるからみてね」
「相変わらずやべー調査能力・・・」
「はぁ~・・・本当に優秀なのになんで・・・」
「さ、さすがです。アリスさん」
「しかしこれだけ揃っていれば・・・」
「うん。あの子たち、タバコを数時間と場所でローテーション組んでるみたいで法則性があったからすぐに特定できちゃった。うーん、どうやら他校の人とお付き合いしているみたいだけど、あんまり素行のいい人たちじゃあないみたいね」
吸い殻の犯人はこの学校に通うとある女性と2人組だった。他校に通う男子生徒とお付き合いをしているようだが、その彼氏が所謂DQNと呼ばれる人たち。
うーん、女子高育ちって世間知らずだからなあ。
悪いことをしている男が新鮮でカッコよく見えちゃうんだよね。
あと趣味とかもオトコに影響されやすい。野球とか好きな女子がいたら十中八九彼氏がいるか元彼の趣味だから野球好きの女の子を狙っている人がいたら覚悟した方が良いぞ☆
「ひとまず調査お疲れ様でした。あとは風紀委員で対応いたします」
「りょーかい、じゃあ法則性教えるから現行犯になるようお願いね。私も手伝おっか?」
「そこまでお手を煩わせるわけにはいきませんよ」
「そっか。じゃあ頑張ってね」
「はい」
まああとは紗夜ちゃんに任せておけばよいだろう。
私の仕事はこれで終わり。さて、帰るとしますか。
「またお仕事あったら呼んでね~」
「ありがとうございます」
「お疲れ様です~」
「ありがとうございました」
生徒会室を出て校門に向かう。
うーん、今日は何しようかなあ。
「あ!アリス先輩!」
「そのハイパー元気な声は香澄ちゃん」
「こんにちは!今帰りですか!?」
「ごきげんよう。ええ、今帰りよ」
そこに現れたのは元気いっぱい、ポピパのギター&ボーカル担当、戸山香澄ちゃんであった。
「こんな時間にどうしたの?」
「この後バンド練習なので有咲を迎えに行こうと思いまして!」
「なるほど。あーちゃんとはさっきまで一緒だったんだけどね。まだ少し仕事が残ってるみたいよ」
「そうなんですか!まあいつものことなので大丈夫です!」
「香澄ちゃんが迎えに行くとあーちゃんも喜ぶだろうね。表面上は嫌がってそうだけど」
「そうなんですよ~有咲ってば可愛いんですよ~」
「わかるわかる!ツンツンしているよう見えて思いやりの塊だからね。ついついからかっちゃうんだよね」
「アリス先輩わかってるぅ~今度はぜひ一緒に!」
みなさんご存知香澄ちゃんはあーちゃんが大好きなので話が弾む。
「なに本人のいないところで不吉な相談してんだよ・・・・」
「あ!有咲だ~!!生徒会の仕事はもういいの?」
「今日はもう上がっていいってさ。それよりアリスさんまで何やってんですか!?」
「ごきげんよう、あーちゃん。さっきぶりだね」
「あ、ごきげんよう・・・じゃなくてぇ!」
「あはは!有咲楽しそう~!」
「何をどう見たらそう見えるんだあああああ」
いいねェ・・・
あーちゃんは香澄ちゃんの前だと本当に自然体という感じだ。
とても楽しそうでお姉さん嬉しいよ。
「私も帰るからさ。途中まで一緒しよっか」
※
帰り道。あーちゃんと香澄ちゃんはバンド練習のためにライブハウスへ、私は帰路につく。
他愛もない話をし、時々あーちゃんをちょっとイジる。そんな楽しい帰路であったが思わぬ横槍が入った。
「や~君たち可愛いね~。今からちょっと遊ばない?」
他校の男子生徒だ。なんだよこんちくしょう、人が楽しくお話しているときに。
あれ?こいつよく見たら・・・
「でね~あーちゃん。この前・・・」
少し困惑するあーちゃんと香澄ちゃんにアイコンタクトで「ガン無視を決め込め」と送り、二人は理解したようでそれを決行する。
それに合わせて私も雑談を続ける。
「って無視してんじゃねーぞ!俺が話しかけてんだ!」
あ~はいはい。わかったもう。
「すみませ~ん。私たちに言ってるとは思わなくて」
「あ、そうなの?ならいいよ。んで、遊びに行こうよ」
皮肉だ馬鹿野郎。
「ん~この子たちは本当に用事あるんで私だけでお付き合いするんでそれでいいですか?」
「いいよいいよ!マジかよこんな可愛い子!」
喜んでいるところ悪いが付き合うつもりはないんだよね。
「じゃああーちゃん、香澄ちゃん。みんな待ってるだろうし行きなよ」
「え、でもアリスさん・・・」
「大丈夫大丈夫!安心して?」
不安そうなあーちゃんと香澄ちゃんの背中を見送る。
さて、どうしてくれようかな~
「で、どこ行くよ?カラオケでもいっちゃう?」
「いいですね~ぜひ彼女も呼びましょうよ」
「え?俺、彼女なんていないよ・・・?」
「ふ~ん」
そう、こいつは例の調査で上がったタバコ犯人の彼氏なのだ。
「彼女とおんなじ学校の生徒に手を出すとろくなことないですよ~今なら何もなかったことにしますから退いてもらえるといいんですけど」
「この子あいつのこと知ってるな・・・バラされたらさすがに・・・しょうがねえ・・・」
無理だとわかるや否やそのまま立ち去ってしまった。
「人の時間奪ったんだから一言くらい謝ってくれてもいいと思うんだけどなあ」
まあああいう人に言っても仕方ないか。
私はあーちゃんに無事である旨のメッセージを送り、普通に帰宅したのであった。
※
「紗夜ちゃん、ごきげんよう」
「アリスさん、こんにちは。先日はありがとうございました」
3日後、帰ろうとしたところで紗夜ちゃんに会った。
「あれからどう?調子は」
「ええ。無事に現行犯で捕まえて先生に報告しました。どうやら件の生徒は停学になってしまうようなのですが・・・」
「ルールを破るっていうのはそういうことだよ。そのリスク込でルールを破ったんだから因果応報。紗夜ちゃんが気にすることはないよ」
「本人たちも反省しているようです。今日もこの後、そのうちの一人が停学になる前に私に謝っておきたいというのでこれから向かうところです」
「なるほど」
なるほど・・・ねえ
「では待ち合わせがありますので私はこれで」
「うん、じゃあね」
そういって学校を出る紗夜ちゃん。
私は同じ方向に歩き出したのであった。
後編は明日の予定です。引き続きよろしくお願いいたします。