聖なる剣を束ねる英雄〜女神アストレアに誓う、僕は僕の【正義】を貫く!〜   作:クロウド、

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過去話はまだまだ先ですよ〜。


【ロキ・ファミリア】と正義と自己満足

「え?ロキ様からお食事の誘い、ですか?」

 

「ええ、今日のお昼頃にロキがホームに訪ねてきてね」

 

 僕が久しぶりにダンジョンに潜ってからさらに数日がたったある日の夕食の後。アストレア様が切り出したことに皆、驚いている。【ロキ・ファミリア】といえばオラリオ最大派閥の一角だ。五年前に個人的にも何度か付き合いのある派閥だ。僕が目覚める少し前に遠征に向かったからアイズさん位しか僕が眼を覚ましたことを知らないはずだ。

 

「【ロキ・ファミリア】が遠征の打ち上げをするからそのときにベルの退院祝いをしないかって」

 

「あれ?しましたよね、僕の退院祝い?」

 

「いいじゃない、何度したって。それだけめでたいことだったんだから」

 

「だけど、あの【勇者】がそれだけでウチを呼ぶか?」

 

 アリーゼさんは乗り気のようだが、ライラさんは向こうの団長になにか考えがあるのかと勘ぐっているようだ。確かに、あの人色々考えてそうだし。

 

「次の遠征は貴方達と行くことになるかもしれないから、ベルの紹介もしておきたいんですって」

 

「あ〜、今じゃベルのことを知ってる奴らって結構少ないしな。一部じゃ、死んだって噂もあったし」

 

「確かに五年間、昏睡状態でここまでもとに戻ったのは奇跡的だろうからな」

 

 アストレア様の返答にライラさんが納得するようにいい、輝夜さんが相槌を打つ。えっ、僕って死んだことになってたの?いや、確かに五年も目を覚まさなかったらそうなるかもしれないけど……。

 

「それで、ベル?貴方はどうしたいのですか?」

 

「どうしたいって?」

 

「お前は行きたいのかということだ。この場合主役はお前なのだから、お前が決めればいい」

 

「留守番なら気にしなくていいぞ、あたし達が残るからアストレア様達と行って来いよ」

 

 リューさんと輝夜さんの質問とライラさんたちの気遣いに僕はう〜んと考える。【ロキ・ファミリア】には知り合いが何人かいるし、久しぶりにあってみたいし、行きたい気持ちはある。

 

「僕、行きたいです」

 

「そう、なら決まりね!ベル、やっぱり楽しみ?」

 

「はいっ!久しぶりに皆さんに会いたいです」

 

 アストレア様の質問に笑顔で答える。今から楽しみだ。

 

「ベルって、【剣姫】ちゃんと仲良かったしね」

 

「そういえば、そうだったな。ベルが昏睡状態になったときには毎日のように見舞いに来ていたしな」

 

「え、そうだったんですか?」

 

 輝夜さんがなんの気無しにこぼした言葉に僕は反応する。そんな僕にリューさんが当時のことを話してくれる。

 

「はい、貴方が眠り始めてから一年は毎日のように。それからも頻度は落ちましたが月に一回は必ずと行っていいほどに」

 

「そっかぁ、アイズさんにも迷惑かけちゃったんだ……。」

 

「そうよ!あの事件で沢山の人が怒って悲しんだんだからッ!リオンなんて【ルドラ・ファミリア】にカチ込みに行こうとしたのよ!」

 

「ご、ごめんなさいッ……!」

 

 僕が漏らした言葉にアリーゼさんが当時のことを思い出したのか怒り出し僕の顔に自分の顔をズイっと近づけてくる。近い近い!あまりにも近いから反射的に謝っちゃったよ……。

 

「というか、【ルドラ・ファミリア】にカチコミって……。」

 

「アリーゼ、その話は……!」

 

「あぁ、この直情妖精が珍しく烈火のごとく怒りだしてな。あの事件の発端になった【ルドラ・ファミリア】に報復に行こうとしたんだ、あわやファミリアの人間を皆殺しにするような顔をしていたぞ」

 

「輝夜、それはベルには話さない約束でしょう!?そもそも、報復に行こうとしていたのは私だけではないはずだ!」

 

「つうか、全員行く気満々だっただろ。ユーリとアストレア様に窘められなかったら行ってたかもな」

 

 皆の顔を見ると、ものすごく気まずそうな顔をしているのでライラさんの言うことは本当らしい。

 

 ライラさんの言葉に僕の気はさらに沈む。まさか、僕のせいで危うく皆の道を踏み外さ冴えてしまうところだったんだと思うと罪の意識が更に強くなった。僕の表情が暗くなるのを見て僕が何を考えてるのか悟ったリューさんが慌ててアリーゼさんと輝夜さんに言う。

 

「ホラッ、ベルが罪悪感を感じてしまったではないですか!?ベルの性格からしてこうなることはすぐにわかったはずだ。だから、この話はファミリアでは禁句にしようときめたではありませんか!」

 

「これくらいいっておいたほうがいいだろう、このアホ兎はそのままにしていたらまた同じことをやりかねんぞ」

 

「そうそう、ベルにはこれくらい言っといたほうがいいのよ。ベルの師匠達ってユーリが言うには結構甘いらしいし、姉としてしっかり行っておかないと駄目でしょ?そうですよね、アストレア様?」

 

「う〜ん、そうね……ベルにはこれくらいが丁度いいんじゃないかしら?」

 

「アストレア様まで……。」

 

「ベル、貴方の覚悟は高潔なものだけど、そのせいで多くの人を悲しめることは貴方にとって正義なのかしら?」

 

「ちがい、ます……。」

 

「そう、それは正義ではなく自己満足よ。だから、もう皆を悲しませるようなことをしては駄目よ、わかったわねベル?」

 

「はい……わかりました。ごめんなさい、アストレア様、皆……。」

 

「うんうん、わかればいいのよ」

 

 いつのまにか近づいていたアリーゼさんが座っていた僕を抱きかかえて膝の上に乗せて座ると頭をなでてくれる。こうして撫でてもらうのはいつぶりだろう?五年前は良くしてもらった気がするけど、夢の中じゃもっと経ってたような気がするからすごく懐かしく感じる。

 

 ……なんか眠くなってきた。

 

 ―――僕は食後のせいか心地よさのせいか、重くなった瞼が閉じるのを我慢できずそのまま意識が暗転した。

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 

「あれ、ベル?」

 

「寝てしまったようだな」

 

 私がベルを抱き上げて膝に乗せて頭をなでていると、いつの間にかベルの口数が減ったことに気づき輝夜が顔を覗き込んでみると、どうやら眠ってしまったらしい。そんなに私の膝の上は気持ちよかったのかしら♪

 

「こうしてみると、本当にただの子供のようですね」

 

「だよなぁ、これがL()v().()()の冒険者って言っても誰も信じなさそうだぜ」

 

 リオンとライラの言葉に心のなかで同意する。ホント、この見た目であの強さなんだから反則よね〜。六年前には偶然保護したこの子が私達の家族になって何度も私達を助けてくれるまで強くなるななんて思いもしなかったのにね〜。

 

 すっかり、熟睡しているようで他の姉たちに頬を突っつかれたり頭をモフられたりしてもみくちゃにされているベルを見て感慨深くなる。

 

 今こうして【アストレア・ファミリア】が全員揃っていられるのもこの子のお陰。五年前、闇派閥にはめられて絶体絶命になったはずの私達を村に帰省していたはずのベルがユーリに掴まって飛んできたときは驚いたけど。

 

 でもそのせいで、ベルが昏睡状態になったのは本当に悲しかったし、だから一月前に目を覚ましてかすれた声ではあったけど、私達の名前を呼んでくれたときはもう号泣しちゃったわよ。輝夜があそこまで泣いてるの始めてみたわよ!

 

 さて、と。そろそろ私も寝ようかしらね。

 

 私はベルをもみくちゃにしている団員を引き離し自室に戻ろうとすると、

 

「待て、団長様」

 

「なによ、輝夜?」

 

「今夜は私の番だ。お前はこの間ベルのベットに忍び込んでいただろう」

 

 クッ!自然に連れて行こうとしたのに、流石ね輝夜!

 

 まぁいいわ、五年も待ったんだもの一晩くらい大したことはないわ!だけど、アッチの方の一番は譲らないわよ!フフン!




ユーリに掴まってというのはトウマがサウザンベースに乗り込むときに最光に捕まって飛んでたアレです。
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