聖なる剣を束ねる英雄〜女神アストレアに誓う、僕は僕の【正義】を貫く!〜 作:クロウド、
「それじゃあ、古株のものは知っているだろうが紹介しよう。彼は【ベル・クラネル】。【アストレア・ファミリア】の冒険者だ」
「ど、どうも、ベル・クラネルです……。」
フィンさんに紹介されて僕はペコリと頭を下げる。僕の知っている人達やノリのいい人達はパチパチと拍手を送ってくれる。
一部、主に灰色髪の狼人さんや山吹色の妖精さんとか……。特に妖精さん人殺しの目してるんですけど!?
「次回の遠征は【アストレア・ファミリア】と合同になる可能性が高い。その時は彼にも主戦力として参加してもらうつもりだ。なので、彼の顔を覚えておいてもらいたいと思い。今日は彼女らに来てもらった」
「今日はウチのベルをよろしくね!あっ、でも手を出しちゃ駄目よ?その子は近いうちに私達の……」
「アリーゼ、それ以上はいけないわ」
「自重しろ、団長様」
「酒を飲みすぎだ、もう少し慎みを持ってください」
フィンさんの説明にいつのまにかお酒を呑んでたアリーゼさんがなにかとんでもないことを言おうとしたような気がするが、アストレア様、輝夜さん、リューさんに窘められる。変わらないなぁ……。
「あれ、【アストレア・ファミリア】って男子禁制って話じゃなかったっけ?」
「いえいえ、そんなことはありませんよ【大切断】様?ただ、私共のファミリアに入りたいという殿方が下心の見え透いた方ばかりだったというだけですわ」
ふふふと笑ってアマゾネスの双子の妹さんに悪い笑顔でそう言う輝夜さん。実際、ウチのファミリアにはたまにそういう人が来たらしいけど面接の時点でライラさんと輝夜さんに下心を見抜かれて追い出されたらしい。
「ベル……目覚めてくれて、本当に良かった」
「うむ、元気そうで何よりじゃ」
「リヴェリアさん、ガレスさん……。」
僕が椅子に戻ると【ロキ・ファミリア】の歳古株であるリヴェリアさんとガレスさんが懐かしむように向かいの席から僕を見る。
「リヴェリア様、目覚めてってどういうことですか?」
「そうか、まだ言ってなかったなベルは五年前にとある事件でスキルの反動を受けて今まで昏睡状態だったんだ」
『『『!!?』』』
リヴェリアさんの言葉に僕のことを知らない方は全員驚愕の表情を浮かべる。自分でも五年も眠っていた人間にしてはあまりにも普通の生活をしているので信じられないと言った表情だ。しかし、副団長であり、そういった冗談を言う人ではないリヴェリアさんの言葉が嘘でないとわかっているのでさらに驚きの色が濃くなる。
しかし、そんな団員のことは放ってリヴェリアさんは僕に質問を始める。
「それで、いつ目覚めたんだ?」
「つい、一ヶ月前ですリヴェリア様」
リヴェリアさんの言葉にリューさんが敬語で答える。リヴェリアさんは王族のハイエルフらしくて、オラリオのエルフ達はほぼ全員彼女に敬意を払っているらしい。
「一ヶ月というと、儂らが丁度遠征に出た頃じゃったな」
「ほんと、なんの前触れもなく目覚めて驚いちゃったわよ〜」
「おまけに半月で退院できるまで回復したので、珍しく「どんな体してるんですか!」とご乱心される【銀の聖女】様を見るのは中々愉快でした」
純粋な感想を言うアリーゼさんと当時目覚めた僕を見て発狂しかけ、僕が半月で日常生活ができるまでに回復すると完全に目を回していたアミッドさんを思い出し笑みを零す輝夜さん。
……僕が悪いわけじゃないのに、なんだろうこの罪悪感。
ここにはいない恩人に心のなかで合掌して謝罪する。
「アイズとフィンは知っていたんだろう?何故教えてくれなかった?」
「ロキが黙ってろって……。」
「同じくだ」
「そっちのほうがおもろそうやろ?実際、さっき泣きそうな顔してたやないかママ」
「だ、誰が泣くか!!馬鹿を言うな!というか、誰がママだ!!」
ロキ様の言葉にリヴェリア様は珍しく取り乱して怒鳴り返す。この光景も久しぶりだなと、懐かしんでいると背後から聞き覚えのある声が聞こえてくる。
「「ベル、久しぶり(っす)ね」」
「ラウルさん!アキさん!」
振り返った先にいたのは人族の男性と黒髪の猫人の女性、ラウル・ノールドさんとアナキティ・オータムさん通称アキさんだ。久しぶりに見た顔なじみの二人に僕は笑顔を浮かべて体を向ける。
「本当に良かったっす!俺はてっきりもう目覚めないのかと……!」
「ほんとよ!でも本当に目覚めてくれてよかったぁ!」
「心配かけてすみませんでした……でもこうして今はピンピンしてますから!」
「そっすか……それならなによりっす」
「うんうん」
二人とも若干涙目になってそう言ってくれる。それだけ、心配し僕が目覚めてくれたことを喜んでくれていることがとても嬉しかった。僕が元気でいることをアピールするとふたりとも目元を拭って喜んでくれた。
「ねぇねぇ、二人は知り合いなの?」
「え?まぁ、そうっすね。レベルが近かったのと、派閥間の仲が悪いわけでもなかったし、よく一緒にダンジョンに潜ったことがあるっす」
「でも、私達あっという間に追い抜かれてね……そこから頻度は落ちたけど何度かは一緒に潜ってたのよね?」
「はいッ!」
「ホントは私達が行きたかったんだけど、その頃ってうちの派閥って色々忙しかったのよね」
アマゾネス特有の褐色の肌の女の人がラウルさんとアキさんに質問をし、僕がそれに答えるとアリーゼさんが悔しそうに俯いてジョッキをテーブルに叩きつける。ひょっとして酔ってる?
そういえばアマゾネスの人が同じ顔の人が二人いるから多分姉妹なのかな?多分こっちの活発そうな人が妹さんでもうひとりのフィンさんにベッタリの人がお姉さんかな?
「え?ちょっと待って、五年前から恩恵を貰ってたってことはその頃から冒険者だったってこと?アンタ、いくつよ?」
「十三歳です」
今度はアマゾネスのお姉さんのほうが質問してきたので特に気にすることもなく答えた。すると、皆さんから驚いたような顔をする。まぁ、当時は僕7歳だったし。
「活動していたのは一年半位だけど当時のオラリオじゃベルはそれなりに名のしれた冒険者だったんだ。君達も名前くらいは知っているんじゃないか?【聖刃】の二つ名を」
「団長それって確か、一年半でLv.4になったっていうレコードホルダーのことですよね?」
「え?じゃあ、ひょっとして……!」
「はい……僕が、【聖刃】の二つ名を貰った冒険者です」
僕が答えるとさらにざわめきが大きくなる。どうやら、僕とその人物のイメージがあまりにも合わなかったらしい。
「あれ?でも、その人って確か死んだんじゃ?」
「ティオナ、ベルは死んでない……!」
「あ、アイズ?それは見ればわかるからそんな怖い目向けないでよ……。」
妹さんの言葉にさっきから僕の頭をモフモフしてたアイズさんが鋭い目つきで妹さん、ティオナさんを睨む。それはそうと、僕はそれより鋭い目をアイズさんの背後の山吹色の妖精さんに向けられているのですが……。
「馬鹿ティオナもそうだけど、アイズもそんな目向けないの。五年も昏睡状態だったのよ?死んだって噂が流れても不思議じゃないわよ」
「ティオネ……でも、ベルは起きた」
「あのねぇ……。」
お姉さん、ティオネさんが二人をたしなめるけど、アイズさんは相変わらずどこかずれた答えを返す。どう、フォローしたものかと思っていると、お酒を飲んでいたロキ様が酔っ払ってるのか頬を赤らめて口を開いた。
「まぁ、でも死んだって噂が流れたのはラッキーだったかもしれんな」
「「「…………。」」」
「ロキ、それはどういう意味かしら?」
「ちょっ!別にやましい意味で言ってるんやないで!?寧ろベルを心配していってるんやで」
ロキ様の言葉に対し、アストレア様はとても怖い笑みで問いかけ、その背後から冷たい眼が三対。流石にそれを見て酔いがさめたのか慌てて弁解を始める。
「確かに、あの頃のオラリオでベルが昏睡状態になっているなどと噂になれば、どうなっていたかわからんな」
「リヴェリアそれって、どういう意味?」
「詳しくはいえんが、ベルには優秀な危機察知スキルがある。それを使って碌でもない輩を虱潰しにしていたせいで目をつけられた、それだけだ」
「おまけに百発百中やったしなぁ、ほんと、
「「「「…………。」」」」
「やだなぁ……………。
冗談やめてくださいよ、ロキ様」
後ろに回り込んできたロキ様が僕の方に腕を回しながらトレードマークの糸目を珍しく半開きにして僕の前でニタァと笑う。ロキ様が言わんとしていることを悟っているアストレア様達は目元を険しくする。当然、僕もそのせいか声が一段低くなった気がする。
だが、次の瞬間ロキ様の頭部に平手打ちが飛んだ。
「あだっ!何すんねんママ!」
「誰がママだ。お前が馬鹿なことを言うからだろう。ベルを困らせるな」
平手打ちの主であるリヴェリアさんは
「リヴェリアの言うとおりだ、ロキ。派閥間での仲がいいとはいえ失礼な態度をとっていい理由にはならない」
リヴェリアさんとフィンさんが続けざまに注意され、流石にこりたのかロキ様はこっちを見て笑いながら「すまんな、ちょい酔いが回ってたようや」と謝ってくれた。
二人のお陰でどうやら、他の人達はさっきの話はいつものロキ様の戯言だと思ってくれたようだ。
そう思っていると、立っていたリヴェリアさんが僕の隣に空いた席に座り小声で僕に話しかけてきた。正直、エルフの方からの目が怖いからこういうのは遠慮してほしいんだけど……。
「すまんな……お前のそれは
「……構いませんよ。信じて話したのはこっちですし、話されたらこっちが見る目がなかっただけですから」
「思っていたより辛辣な言い方だな……。」
「すみません、少し輝夜さんの真似をしてみました。勿論、【ロキ・ファミリア】の方はそんなことをしないって信じてますよ?」
小声で謝罪するリヴェリアさんの言葉に冗談と皮肉を交えてそう返すと、「彼女の皮肉はそんな甘くないだろう」と言ってフフッと小さく笑みをこぼす。
僕の
「……それに、見たものが全てじゃないって知ってますから」
「……そうか」
僕が言った言葉にリヴェリアさんが静かに頷いて微笑んだ。それからしばらく、口を閉ざしているとアイズさんを押しのけてアマゾネスのえっと……確か、妹さんの方のティオナさんがフィンさんに質問を投げかけた。
「ねぇねぇ、次の遠征で【アストレア・ファミリア】と一緒に行くのってベルのその察知能力っていうのが役に立つから?」
「それもあるけど、ベルは十分前線で戦力になり得るからね」
「え?そんなに強いの、この子?」
「あぁ、彼は強いよ」
「ハッ!5年も寝てただけのやつに何ができる」
例の狼人の男性はフィンさんの言葉を鼻で笑ってお酒の入ったジョッキを傾ける。まぁ、普通はそういう反応だよね……。五年も寝てたってことは
それに、別に
でも見た目も相まって【ロキ・ファミリア】の人はあんまりいい反応ではなさそうだ。一応、こんなでも第二級冒険者なんだけどなぁ。
「ンー、まぁ、彼の戦っている姿を見たことがなければ当然の反応か。だったら、アイズ」
「なに、フィン?」
フィンさんは未だに僕の頭をモフモフといじっているアイズさんに視線を向けてなにか悪いことを考えているときの笑みでアイズさんに尋ねた。
「ひさしぶりにベルと戦ってみたくないかい?」
フィンさんがアイズさんに提案したのはアイズさんにとって、そして
次回、ついにライダー登場!