聖なる剣を束ねる英雄〜女神アストレアに誓う、僕は僕の【正義】を貫く!〜   作:クロウド、

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早朝訓練

 早朝、【アストレア・ファミリア】の本拠【星屑の庭】で僕は一人の剣士と相対していた。

 

「はっ!」

 

 斜めから回転しながら振り落とされる二本の翠の剣からなる連続の斬撃を僕の相手の剣士、金髪エルフのお姉さん【疾風】の二つ名を持つリューさんが木刀でそれを受け止める。

 

 ―――何故か、今朝起きるとアストレア様だけでなくアリーゼさんにまで抱き枕にされていた僕は二度寝して【剣士の修練場】で修行していたが、ようやく二人が起きたことで動けるようになり、毎朝の日課であるアリーゼさん達との早朝特訓を始めた。

 

 今日の相手はリューさんだ。流石に変身せずに普通の組手のようなものだ。

 

「ッ!フッ!」

 

 リューさんは文字通り風のように僕の攻撃を躱し、受け流しふとしたすきに一撃を見舞おうと自分の身の丈ほどの木刀を振るってくる。それをかわそうと身をかがめて翠の双剣、二対一体の風の聖剣【風双剣翠風】を左右に交差させて振り抜く。

 

 ―――【風双剣翠風】の最たるはそのスピードと軽やかさ、そして、二刀流による変幻自在の攻撃。だからこそ、似た戦闘スタイルのリューさんとの戦いが自分の弱点や新しい戦い方を考える上で一番経験値を積むことができる。

 

 しかし、僕の足元からの剣戟を後ろに飛んで回避したリューさんはそのリーチの長い木刀の突きが左手に直撃し、双剣の片方【翠風・裏】が僕の手元から離れて地面に転がる。それを拾うスキもなく次の攻撃が迫りなんとか、【翠風・表】でさばこうとするがそれよりも早く僕の眼前に木刀が突きつけられた。

 

「……っ、参りました」

 

 若干の悔しさをにじませながら敗北を認めると、リューさんは訝しげな表情で木刀をおろした。

 

「どうかしましたか、ベル?今日はいつもより動きにキレがありませんでしたが」

 

「そんなことは……。」

 

「あるわ馬鹿者」

 

「輝夜さん?」

 

 リューさんの言葉を否定しようとする前にいつのまにか朝食の準備をしているはずの輝夜さんとアリーゼさんが庭に出てきていた。アリーゼさんは落ちていた僕の【翠風・裏】を拾うと僕に差し出しながら話す。

 

「輝夜の言うとおりよ、ベル。明らかに動きが鈍っているわ」

 

「大方、昨日のワンダーコンボの負担が残っているのだろう。全く、ただの模擬戦なのにあんなに張り切るからだ」

 

「うっ……。」

 

 輝夜さんにズバリと言い当てられ何も言えなくなる。確かに昨日のワンダーコンボの負担が残っていることは認める。師匠達みたいに修行を積んだから普通ならああはならないんだけど、やっぱり五年分のブランクがあるせいか体がキツイ。

 

 アリーゼさんと輝夜さん、リューさんがなにか目配せをして頷くと輝夜さんが一瞬悪い顔をして僕に告げる。

 

「ベル、お前は今日ダンジョン探索は休め」

 

「えぇ〜!」

 

「えぇ〜!ではないは戯け。これ以上体を酷使して遠征に間に合わなくなったら元も子もないだろう。それでいいな、団長様?」

 

「そうね、それが良いでしょ」

 

 そんなこんなで僕の意見が取り入れられることなく、僕の一日ダンジョン探索禁止令が言い渡されてしまった。なんてことだ……。

 

 僕が肩を落として、二本の風双剣を一本に合わせて腰裏のホルダーに納めるとホルダーごと風双剣を消して戻す。

 

「さ、朝食ができていますので、早く行きましょう」

 

 輝夜さんの言葉に若干肩を落としながらついていく。しかし、その次にアリーゼさんが放った言葉に僕は目を丸くすることになる。

 

 

 

「さっ、早くご飯食べて出かける準備するわよ」

 

 

 

「え?」

 

 いきなりの言葉に僕は理解が追いつかなった。出かける?はて、どこに?ダンジョン探索は出来ないし、あっ、女の人同士でどこかにお買い物にでも行くのかな?

 

「何を自分は関係ないみたいな顔をしているんだ。お前も行くのだ」

 

「えっ、なんで?」

 

 輝夜さんが僕の表情を読み取って突っ込んでくる。それでさらに僕の頭の上に疑問符が浮かぶ。

 

「ベルって昔から休みの日はいつも本を読むか執筆で一日使っちゃうじゃない」

 

「流石にそれでは不健康だ、リハビリも兼ねて最低限動かなければいけない」

 

「だから、私達美少女三人でベルを買い物に連れ出してあげようってわけよ!ふふん!」

 

 この五年でさらにご立派になったお胸を張ってそう宣言するアリーゼさん。さっきの目配せにはそんな意味が!?

 

「それに、五年も経ってるんだ。いくら同世代より背が低いからって着れる服も残り少ないだろう?」

 

「うっ……。」

 

 輝夜さんの言葉にぐぅの音も出ない、五年も眠ってたせいか成長期が遅いのかわからないけど、僕の身長は昔より少し高くなった程度で一般的にはまだ低いままだ。ただ、昔の服のいくつかは着れなくなってしまったので近いうちに買いに行こうと思ってたけど久しぶりのダンジョン探索に夢中で買いに行くのを忘れてた。

 

「というか、三人共お仕事は?」

 

 昨日の模擬戦と良い二日連続で仕事しないで僕に付きっきりで大丈夫なんだろうか?昔はいつも忙しかったから、二日連続なんてありえなかったのに。まぁ、僕も色々忙しかったけど。

 

「ないわよ、そんなもの。五年前とは違うの」

 

「そう、貴方が眠りにつく前と比べて今のオラリオは平和だ」

 

「……そっか」

 

 アリーゼさんとリューさんの言葉に安堵と若干の寂しさを感じながらそう答えた。そうだよね、五年も経ってるんだ、今のオラリオは()()()()()()()んだよね。

 

「こ〜らっ!」

 

「いたっ!」

 

 僕が若干俯き気味になるとアリーゼさんが僕の額にデコピンをはしてきた。ただのデコピンでもLv.6の冒険者が放ったものなので結構痛い。僕が額を抑えて涙目でアリーゼさんを見るとアリーゼさんと一緒に輝夜さんとリューさんも僕の表情を覗き込んでいる。

 

「辛気臭い顔をするな」

 

「この時代を造った【次代の英雄】がそんな表情をするものではない」

 

「そうそう、あの二人に叱られるわよ?」

 

「皆……。」

 

 三人は僕の表情から何を考えてるか察してくれたらしい。三人なりに僕を励ましてくれる。僕はそれに答えようと前を向こうとするがアリーゼさんが口にした()()()()というワードに再び憂鬱になる。

 

「僕、次の帰省で殺されるかも……。」

 

「「「あっ、うん……。」」」

 

 さっきとは比べ物にならない程にずーんと気の沈んだ僕に三人はその原因をしっているためもはや励ましの言葉が思いつかないのか、黙って肩を叩いてくれた。僕もアリーゼさんたちも、昔あの二人に随分な目に合わされてたし、当然といえば当然だけど……。

 

 そして、僕はここにはいない僕の友に心のなかであることを懇願した。

 

 ―――ユーリ、出来る限りあの二人の怒りを沈めていてくれ……。




異端児編、ベルに最強の助っ人が!?
え?死んだことになってるって?ハハハ、何を言ってるんですか?こっちには、記憶消せる光の剣と世界単位で記憶改竄できる時の間王様への伝手があるんですよ?
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