魔法科高校の転生人   作:1万年と二千年前から哀・戦士

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初めまして、見つけていただきありがとうございます。
駄文で文書力が低いですがお読みいただけると幸いです。

6月30日、ご指摘いただいた誤字の修正を行いました。


ep.0 衝突

 皆は好きだけど時間が経つにつれて『思い出』として消えていった作品ってない? 俺はある。

 

 

「いい加減に諦めたらどうなんですか? 深雪さんは、お兄さんと一緒に帰ると言っているんです。他人が口を挟むことじゃないでしょう!」

 

 

 人が現実逃避してる時に喋るのやめてもろて? 

 ああ、めんどくさい。

 

 

「僕たちは彼女に相談することがあるんだ!」

「そうよ! 司波さんには悪いけど、少し時間を貸してもらうだけなんだから!」

 

 

 どうしてこんな事になっているのだろうか。

 時刻は夕方、場所は国立魔法大学付属第一高校……の構内。

 

 

「ハン! そういうのは自活中にやれよ。ちゃんと時間が取ってあるだろうが」

「相談だったら予め本人の同意をとってからにしたら? 深雪の意思を無視して相談も何もあったもんじゃないの。それがルールなの。高校生にもなって、そんなことも知らないの?」

 

 

 今目の前で2つのグループが口論になっている。

 

 

「うるさい! 他のクラス、ましてやウィードごときが僕たちブルームに口出しするな! 

「同じ新入生じゃないですか。あなたたちブルームが、今の時点で一体どれだけ優れているというんですか?」

 

 

 原因は簡単、美少女の取り合いである。勿論、俺では無いよ? 俺は男だしね。

 

 

「どれだけ優れているか、か。じゃあ僕がその減らず口に教えてやろう────れ、玲乃!?」

 

 

 そう言った男子生徒を静止するように俺は手を出した。

 

 

「やっちまえ玲乃!」

「一科生の力を見せつけてやれ!」

 

 

 君らの仲間になった覚えは無いんですが? まあ、君らの所に強制的に連れてかれたから君らにとっては仲間だったかもしれんけど。相手グループ側は……警戒してるね。

 

 

「どれだけ優れているか……比べるまでもないでしょう?」

 

 

 そう言えば大人数側のグループ……俺のクラスメイト達はニヤリと笑い、少人数側のグループは警戒した表情から一転して睨んでくる。

 別に君らと喧嘩する気は無いって、話は最後まで聞きましょ。

 

 

「少なくとも差別用語を使い、相手を格下だと見下している君らよか彼らの方がよっぽど人として優れていると思うけど?」

 

 

 とクラスメイト達にニッコリと微笑みながら言い放つ。

 

 

「う、裏切る気か玲乃!?」

「裏切るも何も……元から君らのお仲間に入った覚えはないぞ」

「────な……」

「ん?」

 

 

 先程止められた男子生徒がブツブツと言っている。

 

 

「ふざけるな! 僕達の何処が! こいつら補欠に劣っているって言うんだ!!」

 

 

 男子生徒はデバイスを少人数グループに向けて『魔法』を放とうとした……が、その起動式が吹き飛ばされたように砕け散った。

 何故砕け散ったのか理解出来ない男子生徒は困惑しつつも再度魔法を展開する……が結果は同じ。

 だが今度は何が原因か分かったようだ。

 彼に手を銃に見立てて向けていた俺を見つけたようだ。

 

 

「ばーん、てね」

「……玲乃ぉ!!」

 

 

 魔法では無理だと悟ったのか殴りかかろうと1歩前に出てくる彼。

 さて、互いに怪我しないようにどうしてくれようかと考えていたところ。

 

 

「やめなさい!」

 

 

 と凛とした女性の声が聞こえ、こちらに向かって来た男子生徒はビクッとして立ち止まった。

 

 

「風紀委員の渡辺摩利だ。そこの生徒はCADを地面に置き、両手を頭の後ろで組め」

 

 

 立っていたのは生徒会長『七草真由美』と風紀委員長『渡辺摩利』の2人だった。

 男子生徒は俺と現れた2人に視線を交互に行き来していたが観念したのか、言われた通りにデバイス……CADを地面に置いた。

 

 

「奈緒君、貴方も……お願い出来る?」

「……良いでしょう」

 

 

 そう言って俺は右手中指に付けていた『指輪型のCAD』を七草会長に渡した。

 

 

「念の為話が終わるまで預からせてもらいます、それと皆さんも知っての通り、自衛目的以外での魔法の行使は犯罪行為になります」

 

 

 七草会長は脅しで言ってる訳ではなく、いくら魔法科高校に在学しているといっても、許可された場所以外での魔法の行使には厳格な規則が設定されている。

 校舎内とはいえ、魔法を放とうとした彼の行動は確実にアウトだ。

 

 

「先程の場面、私には彼が攻撃性の魔法を放とうとしていたように見えたのですが──」

「いえ、魔法の行使はありませんでした」

 

 

 七草会長の言葉に被せるように否定の発言をする。

 当然、皆の視線はこっちに集中する。

 

 

「……魔法の行使は無い、そう言いましたね」

「はい、魔法の効果が発動する前に起動式を破壊しました」

「……君、名前は?」

 

 

 渡辺委員長がこちらに名前を聞いてきた。

 

 

「1-Aの玲乃 奈緒(れいの なお)です」

 

 

 値踏みするような視線をジーッと向けてくる渡辺委員長。

 

 

「では玲乃、お前は『起動式を破壊した為、その生徒は現行法において魔法を展開したことにならない』と言いたいんだな?」

「はい」

「うーん、確かにそう解釈は出来る……だが、故意に『人を傷付けようとした』時点で罰せられる、そうは思わないか?」

「……そーです……ね……」

 

 

 実際に人を傷付けようと魔法を使おうとした、これだけで傷害罪になる。渡辺委員長は風紀委員長として見過ごせない部分なんだろう。

 

 

「その必要は無いと思います」

 

 

 来ちゃあぁぁぁぁ! 流石ですお兄様! と内心大喜びの俺。

 そして先輩2人の前に出てきたのは1人の男子生徒。先程少人数グループの方にいたあまり感情が読み取れないやつだ。

 七草会長はそんな彼に楽しげな笑みを浮かべ、渡辺委員長は訝しげな視線を向ける。

 

「達也くん、どうしてそう思うの?」

「彼が使おうとしていた魔法は収束系の風魔法です。強度も強いものではなく、精々が強風を起こす程度に留まっていたでしょう。不意打ちならまだしも、目の前で強風を起こされた程度で怪我をする事態にはならなかったと思います」

 

 

 そんな説明を楽しそうに聞く七草会長と感心したように聞く渡辺委員長。

 

 

「ほう? どうやら君は、展開された起動式を読み取ることができるらしいな」

 

 

 展開された起動式は膨大なデータの塊だ。アルファベットで数万から数十万字に相当する不規則な文字の羅列から出来ている。

 そんな起動式を1秒も無い時間で読み取って発動する魔法を予想するなど普通はできない。

『彼』は、数少ない例外に当たる人物だ。

 

 

「実技は苦手ですが、分析は得意です」

「……誤魔化すのも得意なようだ」

 

 

 値踏みするような視線を今度は彼に向ける渡辺委員長。

 疑っているんだ、起動式を読み取れたのは彼一人、怪我をしない程度といってもそれを確認する術がない。

 

 

「奈緒君、貴方はどう?」

 

 

 ニコニコとこちらを見ながら言う七草会長。

 当然、渡辺委員長の視線もこちらに来る。

 

 

「玲乃、君も見えたのか?」

「……俺の場合は起動式を読み取れた訳ではありませんが、彼の魔法は怪我をする程の物だったとは思えないと断言できます」

「ほう? なぜ断言出来る?」

「自身の魔法について話さなければいけない為、詳しくは説明できません」

 

 

 ほー? と俺と彼を交互に見る渡辺委員長。

 そんな俺たちを庇うように、件の美少女が進み出た。

 

 

「兄や玲乃くんが申したとおり、本当に、ちょっとした行き違いだったんです。先輩方のお手を煩わせてしまい、申し訳ありませんでした」

 

 

 真正面から素直に頭を下げる美少女。

 俺が彼女にならって頭を下げると他のA組メンバーも慌てて頭を下げた。

 

「摩利、もういいじゃない。怪我もなかったんだから、これからはちゃんと注意してくれればそれで構わないでしょ」

 

 

 チラッと目線だけを先輩2人に向ければ七草会長はニコニコしながら、対して渡辺委員長は『むー』とでも言いたげな表情だ。

 

 

「……はあ、会長がこのように仰っておられるので今回の事は不問とする、以後気をつけるように。それと君、名前はなんという?」

「1-Eの司波 達也です」

「司波……な、それと玲乃、覚えておこう」

 

 

 そう言って渡辺委員長は去っていき、預かっていたCADを返してから渡辺委員長と同じ様に去っていく七草会長。

 

 

「……ふう、助かったよありがとう」

 

 

 と俺が彼……司波達也に頭を下げる。

 一瞬面食らったような表情をしたが、すぐに淡々と返す。

 

 

「構わない、それに最後に動機となったのは深雪の誠意のようだしな」

「お兄様は言い負かすのは得意でも、説得するのは苦手なんですよ」

「違いない」

 

 

 と2人だけの世界に入ってしまうバカップル……じゃなくて兄妹。

 急にイチャイチャしやがって! 「コホン」と1つ咳払いをして、2人の意識を現実に呼び覚ましてから言う。

 

 

「それでも助けられたのは事実だよ、重ねてお礼を、ありがとう」

 

 

 そう言ってまた頭を下げる。

 それと自己紹介してなかったなと思い出し、頭を上げてから自己紹介を始める。

 

 

玲乃 奈緒(れいの なお)だ。一科生とか関係無く仲良くしてくれると助かる」

「司波 達也だ。妹が同じクラスということで世話になることもある思う。妹共々よろしく頼む」

 

 

 そう言って俺達は握手を交わした。

 

 

 

 そうだ、冒頭の話に戻ろう。

『思い出』に消えた作品……ある? 俺はある。

 例えば……『魔法科高校の劣等生』……とかね?




お読み頂きありがとうございます。

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