現代できれいなゲーチスがプラズマ団作るまでの話   作:srn

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 1日100文字くらいのペースで書いていたらこんなことになりました。政府がどうとかを調べたりめんどかったりでこうなりました。結果的になんも考えないことにしました。
 最後らへんにポケモン視点の話があるので、苦手な方はご注意ください。


ぼくによく似た太陽のような人

 ホワイトハウスに行くため、いかにもといった感じの黒塗りである迎えの車に乗り込んだワタクシ。車内には既に一人の男が乗っていた。

 

「ご協力ありがとうございます」

 

「いえ、問題ありません」

 

 そう、ワタクシがベルトを着けたのを確認し出発させた運転手だが、それは本当にさしたる問題ではない。問題といえば、横にいるやつが一番の問題だ。この奇想天外な髪型をした男。

 

「久しぶりですねゲーチス」

 

「アナタも呼ばれていたのですか...アクロマ」

 

 アクロマ。ゲーチスよりも若く、政府との謎のパイプもある天才エンジニア。

 

「ええ、ちょうど依頼者の浮気調査が終わったところでして」

 

「それがエンジニアのやる仕事とは思えませんがね」

 

 エンジニアというか、機械が特に得意な何でも屋みたいな感じになっている。

 

「しかし、世界は面白いことになってしまいましたね」

 

 急ぐため、スピード違反スレスレの速度を出しながら走る車の車窓から外を眺めるアクロマが呟く。

 

「動物も植物も、果ては無機物でさえもあの奇妙な生き物に成り代わっている。それに合わせて変わらなければならない人間のなんと多いことか、生物学なんて専攻してた人は特にではないですか?」

 

「人を小馬鹿にしているような態度はいつまで経っても治りませんねえ...アナタのそういうところが嫌いなんです」

 

「性分なので治りませんよ、わたくしはあなたのこと、結構気に入ってるんですけどね」

 

 アクロマと関わってきてもう数えるのも億劫になってきただろう、「なんなのだこいつは」という感想をワタクシはまたしても抱いたのだった。

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

「着きました。アクロマ様は私に付いてきて下さい」

 

「ゲーチス様は私に」

 

「了解しました、それではゲーチス、また後で」

 

 笑顔でひらひらと手を振りながら運転手に付いていったアクロマ。無性に腹が立つ。

 

「申し遅れました、私、大統領秘書のシキミと申します」

 

「ええ、よろしくお願いします」

 

 秘書の女性に連れられ、大統領らが待つ部屋に招かれる。

 

「大統領、お連れしました」

 

「おお、ご苦労」

 

「お久しぶりです、アデク大統領」

 

「うむ、ゲーチス君も変わらずで何よりじゃ。急な召集ですまないのう」

 

 アメリカ当代の大統領、アデク。自由、太陽といった言葉がよく似合うまさにアメリカ然とした人だ。

 

「いえ、しかし会議という割には人数が少ないですねえ」

 

「ワシがこんなんじゃから何かと反対する連中も少なくなくてのう。こんな非常事態にワシが打ち立てたから、といった理由で反対されては敵わんからな。まずは信用出来る連中だけを集めた」

 

 この部屋にはワタクシ、大統領、秘書、それともう一人の男しかいなかった。

 

「はじめまして、ゲーチス殿。私はシャガという、一応副大統領という立場だ。宜しく頼む」

 

「これはこれは挨拶が遅れて申し訳ない。ゲーチスです、宜しくお願いします、シャガさん」

 

 シャガは白髪と顎髭を蓄えた頑強そうな男だ。どこか飄々とした印象を受けるアデクとは対象的に、徹頭徹尾真面目...といった雰囲気だろうか。

 

「よし、まず最初に質問なのだが、ゲーチス君はこの事態が起きてから他国...特に日本の人間等と言葉を交わしたりはしたかね?」

 

「ええ、日本の生物学研究者であるオーキド博士と少々」

 

「ほう、かのオーキド博士とか!ではある程度の事情は理解していると考えてもよいかな?」

 

「ええおそらく。解らないことは質問させていただきますがね」

 

「わかった、すまないが単刀直入に言わせてもらう」

 

 

「君に、我が国代表のポケモン博士、という役職に就いてほしい」

 

 

「なるほど、詳しい内容はその話をワタクシが承諾したら、ということですか」

 

「うむ、そういうことになるな」

 

「ワタクシが断ったらどうなるのですか?」

 

「そうさな、後釜は別の人間に任せることになり、君はここで帰ることになる」

 

「ではこの話は遠慮させていただきますかね」

 

「...そうか。ちなみに理由は何かあるかな?ワシらも金銭面等のバックアップは全力でさせてもらうつもりではあるが」

 

「ポケモン博士になるということは、つまりこの事態に自由を奪われるということですよね?それならば、ワタクシやりたいことが出来てしまったので」

 

「うーむ、それならば仕方ないのう。つまり自由があればいいということじゃな?聞いたかシャガ」

 

「ええ、確かに聞きました」

 

 話がおかしな方向に向いてきたということをゲーチスはひしひしと感じていた。

 

「ではゲーチス君、君をポケモン外務特別顧問に任命する!」

 

「...ふむ、ではお断りを」

 

「まあまあ、話を聞いてくれ。肩書きこそ凝り固まっているが、要はよその国のポケモンとかのデータをちょっと教えてくれるだけでいいのだ」

 

「...第一、何故ワタクシが他国に行くことが前提なのでしょうか?」

 

「だって君、生物学研究の為にしょっちゅう飛び回ってるらしいじゃないか。アクロマ君から聞いたぞ」

 

 またあいつのせいか、とワタクシは隠すそぶりも見せず苦い顔をした。

 

「私からも頼む。このような非常事態に君のような優秀な人材を放っておくのはあまりにも惜しい」

 

 そういって頭を下げてくるシャガ。どうやら最初からワタクシは詰んでいたらしい、と自覚したゲーチスは両手を挙げ降参のポーズを取る。

 

「わかりました、そこまで言うなら受けましょう。ただ金銭面等のバックアップはしっかりしてもらいますがね」

 

「おお、引き受けてくれるか!いやあ、ありがたい!バックアップはきっちりやらせてもらおう」

 

「それで、ワタクシは国に留まりお付きのポケモン博士なんてやりませんが、その枠には誰が?」

 

「うむ、そこにはアララギ君についてもらう事になっとる。面識はあるかね?」

 

「いえ、あまりないですねえ」

 

 アララギ博士。名前くらいは知っているが、分野が少し違うため接点は少ない。と、ゲーチスは心のなかで呟く。

 

 コンコンッ、と不意にドアがノックされた。

 

「失礼します、大統領。解析が終わりましたのでご報告をさせていただきたく」

 

「アクロマ君か、入っていいぞ」

 

 ドアが開き入ってくる男を見て、ゲーチスはやっぱり苦い顔になった。

 

「なんですかその顔は。先ほどまたあとでと言いましたよね?」

 

「一方的にその言葉を投げ掛けられただけで、承諾した覚えはありませんがね」

 

「ははっ、仲が良さそうで結構。それで、どうだったかね?」

 

「ええ、まあ。これはポケモン図鑑という代物らしいです。現代の生物図鑑なんかのポケモン版ですね、デジタルの」

 

 そう言ってアクロマが片手に持っているそれは、先程通話でオーキド博士から見せてもらったものと全く同じ見た目をしていた。

 

「中のデータを100%としたら、1%は最初から閲覧できて、99%はもう完全にシャットアウトされていました。どんな事をしても壊れない金庫と一緒ですね、パスワード以外じゃ何をしても無駄みたいな」

 

「ほう、アクロマ君でも駄目か...では99%の方は一旦置いておいて、閲覧出来る方にはなんと?」

 

「ええ、閲覧出来たのはこのポケモン図鑑の取り扱い説明書のような部分でした。内容なんですが、今ここで読み上げても?」

 

「うむ、構わん」

 

「では...

   ようこそ、ポケットモンスターの世界へ! その星には、ポケットモンスター、ちぢめてポケモンと呼ばれる不思議な生き物が空や海や町や...色んな所に存在しています。きっと皆様と、良い隣人、友人になれるはずです!

...とのことですが」

 

「ふむ...他には?」

 

「そうですね...ポケモンはモンスターボールという道具で捕まえる事が出来て、その道具は落ちていたり、この図鑑から購入出来るみたいですね...こんな風に」

 

 アクロマがポケモン図鑑を少し弄ると、下の出っぱっているところから赤と白のボールが出てきた。

 

「はあ...先程調べたときにまさかとは思いましたが本当に出てきてしまいましたね...質量保存の法則を完全に無視ですか...これは間違いなくオーパーツです。因みに先程も言いましたが解析は期待しないでくださいね、というかやりたくないですこんなブラックボックス...」

 

「まあ、解析の方はすっぱりと諦めよう。アクロマ君で無理なら今の人類には不可能ということだ。不可能な事を考えるより、これからの事を考えねば...しかし、よき隣人に友人か。アクロマ君、そのボール貰ってもいいかね?」

 

「構いませんが...しかし大統領、何をするおつもりで?」

 

 アクロマがアデクにボールを手渡すと、突然アデクが大声を出し始めた。

 

「おーい、出てこーいさっきの!お前が入りたいのは、コレだろう?」

 

 急に部屋の角にあったタンスが蠢き始め、中から白い...毛玉?が飛び出してきた。

 

「おお、そんなところに隠れておったのか。お前さん、コレに入れるか?」

 

「これもポケモンですか...あっと、そういえば」

 

 アクロマがポケモン図鑑をアデクが抱えるポケモンに向けると、図鑑のデータが更新され、ひとりでに音声が再生されだした。

 

 ―メラルバ たいまつポケモン

   たいようから うまれた ポケモンと しんじられてきた。

   しんかするとき ぜんしんが ほのおに つつまれる。

 

「なるほど、これがこの機械の使い方。名前通り、ポケモンを理解する為のものなのですね」

 

「ほう...お前、メラルバというのか」

 

 そのポケモン...メラルバはこくり、と頷く。

 

「じゃあメラルバよ、ワシのポケモンになってくれるか?」

 

 メラルバはまたもこくりと頷くと、ボールの真ん中についているボタンを自ら押し、モンスターボールが発する赤い光に吸い込まれ...ボールが一度、二度、三度揺れ...揺れが収まった。

 

「図鑑によると、ボールにポケモンが入り、三度揺れてボールからポケモンが出てこなかったらゲット出来たということらしいですよ。しかしその小さなボールにすんなり収まるとは、これは常識なんかは一回捨てちゃった方がいいかも知れませんね...ねえゲーチス」

 

「ええそうですねアクロマ。ところで、図鑑とボールはまだありますかね?」

 

「図鑑は全国民に渡せるくらい有り余ってますし、ボールは、図鑑にクレジットカードを登録すれば買えるみたいですが...どうしましたか?」

 

「実は、先程外が暗いころ、研究所内に一匹のポケモンが侵入していたんです。仲良くなれた...と思うので、名前も知りたいし捕まえたいのですが...」

 

 ゲーチスの目には、まるで子供かのようにゲットしたメラルバを抱き上げ、嬉しそうに回っているアデクの姿が映っているのだった。

 

 

 

 

―――

 

 

 

 

「二人とも、協力感謝する。図鑑は二日もすれば全国民に届く予定であるから、持っていってもらって構わない。それと、これからも招集したときは出来るだけ出席してくれると助かる」

 

「うむ、新しく法案等も出さなければならんでな。また近いうちに知恵を借りることになるだろう、詳しい公務の内容はその時に。では、ワシは弟子を連れて外回りに行ってくるぞ!」

 

 いつの間にやらメラルバを連れて大統領室を脱け出したアデク。もはや止めれないと判断したのか、それともいつもの事なのかはわからないが、頭を抱えるシキミやシャガは誰が見ても相当な苦労人である。

 

「でも、あれで大統領なんて職が成立してるのが恐ろしいですねえ、カリスマ性というかなんといいますか」

 

「まあ、自ら町に出て国民と喋る国のトップなんてそういないでしょうし。流石はアメリカの太陽ってところですね」

 

 ワタクシも少し疲れました。もう帰りましょう。

 

 

 

―――

 

 

 

 帰りの車に乗りながら、外にいるポケモン達にポケモン図鑑をかざす、という作業にワタクシとアクロマは勤しんでいた。ポケモン図鑑なんてものを知らない人間からしたら、いい大人二人がおもちゃを手にはしゃぎ回っている、という感じに見えるのだろうか。

 まあそもそも外出は控えている人間が多く、人の事など気にしている人間はごく少数であろうが。

 

「ヨーテリー、ミネズミ、モンメン、バスラオに...」

 

「チュリネ、シキジカ、チラーミィ、オタマロですか...」

 

 お互いの図鑑を見せ合い照らし合わせる二人。どこからどう見たって仲良しに見えるが、一方的である。

 

「ヨーテリーはNo.506、ミネズミはNo.504、モンメンはNo.546、バスラオはNo.550ですか」

 

「こちらも同じ位のナンバーですね、アメリカで見られるポケモンはナンバーが500番台という事でしょうかねえ」

 

「そう決めつけるのは早計ではありますが、まあおそらくそうでしょうね...しかも、上にも下にもスクロールが恐ろしいほどあるとは」

 

 そうして図鑑をいじくり回したり、アクロマと頭を突き合わせ唸っていると、いつの間にやら研究所についていた。

 

「今日はありがとうございました。またよろしくお願いします」

 

「ええ。では失礼」

 

「ゲーチス!ではまた」

 

「はあ...はい」

 

 

 

―――

 

 

 

 気がついたら、違うところにいた。

 

 確か、さっきまで森にいて、たいあたりで木から落としたきのみを食べていたはずだった。

 

 それが、なんというか...人間が住んでるところみたいなところにいた。

 

 人間は、あんまり好きじゃない。

 

 人間は、僕たちの家族を勝手に連れていく。なんでも、僕たちはめずらしい?そうだ。

 

 だから、人間はこわい。

 

 僕がいた場所には、人間がたくさんいた。

 

 こわくなさそうな人間もいたけど、こわそうな人間もいた。

 

 だから、いろんな所を走って、ついにひとつの部屋を見つけた。

 

「む。なんじゃ...?」

 

 その人は、なんだかあったかくて、まるで太陽みたいだった。

 

 

 

―――

 

 

 

 

 この人を見たとき、ぼくが頼れるのはこの人しかいないって思った。

 

 だから、ぼくの名前を呼んでくれて、ぼくを仲間にしてくれたとき、すごくうれしかった。

 

 そうだ。この人、ぼくにも似ているけれど、ぼくのおとうさんにもよく似ていた。

 

 

 

 ぼくを持って、振り回すのは勘弁してほしいかも。




 この話、多分ゲーチスが一番書きづらいです()
 お堅い話はめちゃくちゃ適当に書くのでご容赦ください。

 セリフを増やしたり、地の文をちょっと足したりゲーチスの視点寄りに修正しました。次は近い内に投稿したいです。
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