来栖夏芽は生きるだけ 作:キレンリモ
間に合いませんでした。
毎週火曜日6時に更新!
とか無理でした。
このことに対して私から言えるのは締め切り守ったことなんかなくね?
という最低な事実だけです。
いやほんとすみません。
なんなら、まだ半分しか書けてないんですけどあんまりにも時間が掛かりそうだったので投稿しています。
いやほんとマジですみませんでした。
どなたか私に文章力ください。
〆切守れるようになるためとちゃんとした文章を書くために。
ほな、よー見とってください。
※エセ関西弁注意(戌亥さんの関西弁強くなりすぎました)
世界というものは案外単純にできている。
太陽は東から登るし、月は西に沈む。そこに大した意味なんてないし、必要ない。
そこに意味を見出すのは人間だ。ヒトと呼んでも良いかもしれない。ヒト。動物としての人間。習性というのか、本能というのか。ヒトは意味を見出さずに生きることができない。あるいは物語を。
太陽が東から登るのは栄華を極めた東国のせいだし、月が西に沈むのはハティさんが頑張っているからである。面白い、そう思った。
ヒトは感情を有するから、本能と理性がせめぎ合っているから、エラーを吐き出す。ひどく重い故障だ。放っておけば感情が燃え尽きるくらい。だから、放っておくわけにもいかず、安寧のために理由を探す。未知は恐怖だ。暗がりに潜む魔物も、顔色の見えない笑みも、分からないから怖い。理解できないから恐れが生まれる。理由だ、理由が欲しい。何か納得ができるだけの物語をヒトは求めている。
だからあのとき。暗闇に放り出されて、落ちたとき、誰かが引いてくれた手に安心した。ああ、この人が話してくれると。目の前にいたのが誰かも知らないで。
***
目が覚めると、そこには知らない顔が二つあった。わー、美少年と美少女。
「おきた! 夏芽おきた! バンが気づいた!」
「ケンも見た! 夏芽おきた! モンに知らせる!」
無表情で明るい声を出す二人。バンとケンといえば──
「あはー、おはようさん」
──戌亥とこさんだ。
「とこさん。ここって?」
「喫茶店の休憩室やね。アタシのお手伝い先の。倒れとったから運んできたんよ」
「それは! ありがとうございます」
「ええよー。仕事やったし、対価は貰っとるから」
「対価?」
「それは追々話したる。結構寝てたし、まずはお腹に物入れような。バン、ケン。店長からご飯もらってきい」
「はーい! バンが持ってくるー」
「はーい! ケンも持ってくるー」
尻尾がすっごく揺れている。かわいいんだぁ。
「あの子達って、髪飾りの二人ですか?」
「せやね、ここでならあの子らも人型になれるんよ。顔は変わらんけど。魂が無いからなあ。いや無いっちゅうより、“完成してない”が正しいんやけど。まあ、そのうち向こうでも動くようになるよ。あと200年くらいやなあ」
「200年がそのうちなんですか……。それにしても、なんだか元気で良いですね、可愛らしいです。モンさんというのも」
「なんや、あの二人以外にそう呼ばれるの恥ずいな……」
「モン! 持ってきたよ! バンが運んできた!」
「モン! 持ってきたよ! ケンは手伝ってる!」
「ありがとさん。ほら、(夏芽)。どーぞ」
「わー、美味しそう! ありがとうございます。……ところで“僕”的には『黄泉竈食ひ』が適応されるか気になるんですが?」
僕? ぼく、ボク。なんだか、異物が混じった気がした。したけど、しただけ。大事なのはそこじゃない。黄泉竈食ひ、黄泉戸喫、ヨモツヘグイ。黄泉の食べ物を生者は口にしてはいけない。それは死人への弔いだから。黄泉の気に触れて、穢れを携えたものだから。生者は、生きているものはそれを受け入れられないから。
「なんや、しっかりと機能しとるようやなあ。バン、ケン。これ返してきて。……すまんなあ、試すような真似して」
申し訳なさそうに謝るとこさん。その目はこちらを外しても、その耳はこちらに向いている。謝意はあるけど、故意にやった。たぶん、必要なことだったから。
「……何を試していたんですか?」
「この先、生き残れるかどうかやね」
「随分と物騒ですね」
「なあ、夏芽。なんで眠っとったか、覚えとるか?」
「いえ」
「消えかけとったんよ。世界から」
「それは、ちひろさんやリオンさんが使う魔法みたいな感じですか?」
魔法、魔術。どっちも理解できないものだけど、理解できないものだからこそ、今回の件の説明にはもってこいだった。存在しないとは思わない。オカルトだとも思わない。あの人たちが存在するってことはそういうことだから。他の世界があることに今更疑いなんてない。だけど。優しい、優しい声が否定する。
「近いけど、ちゃうなあ。もっと大きいもんや。にじさんじ、いうもんが世界に、理に消されたんやな」
「どうして」
あんまりじゃないか。いきなり消えるだなんて。理不尽じゃないか、勝手に消されるだなんて。でも、まるで駄々をこねる子供をあやすように、大人が子供に説くように、穏やかに告げられた。
「あんなぁ、林檎が木から落ちるように時計が右に回るように、あとお芋が美味しいようにな? ヒトにはヒトの人外には人外の世界があるねん。せやから、にじさんじはえらい世界の法則から外れてるんよ。女神に悪魔、亜人に吸血鬼、果ては未来人までおった。本来ならあの場所は存在することすらありえへん。理を破ろ思うもんなんてヒトだけや。理を司る神が、契約を絶対とする悪魔があないな場所を作ろうとすることなんてない。かといってヒトにあの場所を作り出せるだけの力やってない。あそこはバーチャルって形であのヒトがおって初めてカタチを成したんやな」
「あの人って?」
「委員長のことや。ん? 認識できとらんか。まあとにかく、そんなありえへんものやからいつ壊れても不思議じゃなかったな。そんでこないな風になるのもな」
「じゃあ、もうにじさんじは終わったっていうことですか?」
「んー 終わってへんよ。にじさんじを認識できるアタシたちがおる限り、なくならへんやろなあ。足掻いてるのもちらほらおるみたいやし。みんな、存在が消されたわけやないしな。それぞれの出身世界におるんやろ。なんなら夏芽もそのために顎たちが選んだんやろな」
「剣持さんが?」
「対価を払ってまで神や番人を動かしたのは顎や。説得したのも顎。ヒトが動かさへんとアタシらは動けへん。顎がな、神に願ったんよ。にじさんじを取り戻せる者に助けを与えたいって。知っとったんやろな。足掻いてるもんがいるいうたけど、いっちゃん叶えられる可能性があるのは夏芽や。あと3人頑張っとるのがおるけど1人はもう失敗しとるし、1人はこれから失敗する。あとの1人は成功できるわけあらへんからな」
「それは「教えられへん」」
「対価が足りひん。あと聞いたら顎の払ったもんの意味がなくなる。気になるんは分かるけど時期が来るまで待ってな」
「はい」
「良い返事や。さて、説明も終わったし、聞かせてもらおか。夏芽、にじさんじを救う気はあるか? アタシたち人外からしたらにじさんじが理に壊された以上、どうこうする気はない。気に食わんと思っとるやつは多いやろうけど、いつかはこうなるって知っとったからな。ヒトや。ヒトだけが選ぶことができる。どないする? にじさんじを救うために行動するか? それともここでアタシと一緒に過ごすか、どっちか選びい」
ああ、そうだ。そうだった。戌亥さんは、とこさんは、ケルベロスだ。地獄の門番、ケルベロス。突き刺さる視線が怖い。同じ、にじさんじに所属するライバーの、仲間の視線だというのに、痛い、怖い、震える。覚悟を求められている。この先何があっても諦めないで前に進むだけの覚悟が求められている。そんな気がした。じゃあ、示すしかないじゃないか。突きつけるしかないじゃないか。リフレイン。心の中で繰り返す。私がやるしかない。私がやらなきゃいけない。私しか、できない。私が、来栖夏芽がやるんだ。
「何を、何をすれば良いですか? 私はにじさんじから、にじさんじの皆んなから色々なものを学びました。それは音楽だったり、機材の使い方だったり、大事なものから、ちょっとしたことまで、たくさんです。私はそれを手放したくないです。皆んなと一緒に作り上げたにじさんじというものを失いたくないです。にじさんじに入らなければ会えなかった人たちがいます。にじさんじがなかったら経験することのなかった感情があります。私はにじさんじを救いたい。だから、だから何をすれば良いのか教えてください」
「ええよ、任せとき」
そういって、優しく笑うとこさんは今まで出会った人の中で一番綺麗な表情を浮かべていた。
「なーんて言ってもな、これ以上アタシから説明できることはほとんどあらへんし、夏芽がここにいるんも良くない。ここ、冥界やからな。教えてくれる人んところへ連れて行ったるから、そこで聞いてきてな。ん、せや。夏芽にええもんあげるわ。ほれ」
手渡されたのは朱く染まった
「せっかくやから好きなとこに結ぶとええよ。髪留めにもなるし、帯締めにもなる。着物着ることになったらつけてもらうとええ。あ、せやけど持ってることに意味があるもんやから、手放したらアカンよ? 約束な?」
「「ゆーびきり、げんまん、嘘ついたら指切った」」
「よし、送ったるわ。小っ恥ずかしい詠唱せなあかんけど許してな?」
『北方より訪れし 古の厄災よ
東方より訪れし 十の試練に従う英傑よ
汝が矛を以て 西方への道を拓け
果ての先にある 未知なる異を知れ
喫茶店のすぐ外に現れた門は随分と大きかった。おそらく山峰と同じくらいの大きさである。え、すごい。
「これをくぐって進むと、とあるライバーのとこに着くよ、楽しみにしとき。ほな、元気でな」
バイバイと手を振って別れる。なんだか勇気と力を貰った。元気100倍というやつだ。
***
くじょうおおじでとどめさす。歩いた。随分と歩いた。元気100倍来栖夏芽でなければ、途中で倒れていたのでは? というほど歩いたのだ。とりあえず、自分を褒めよう。えらいなー。うん、えらい。
とはいえ、とどめさす。そう、さした。つまり着いたのだ。『かつて巨人たりし扉』の最深部。さあ、いよいよだ。ここから私の旅が始まる。そうして扉に手を掛けて叫んだ。
「開け、ごま!」
太古よりお決まりの文言である。勢い大事。
ただ、少しばかり扉はせっかちだった。
「あれ? まだ押してないのに開いた? ん、わぁぁぁ!」
勢いよく吸い込まれる。これは、懐かしの暗闇ダイブだね。2回目なので冷静を装ってみたものの、スリルは増すだけ。ガッデムゲート。どうやら異世界転移というものはどうにも優しくないようだった。
扉を抜けた先、暗闇の向こうに佇む人の陰
来栖夏芽さんの前に現れるのは一体誰だ!?
次回『貧乳をバカにするのは死亡フラグです』
デュエル・スタンバイ
※この次回予告は特に何も考えずに打ったものです。次回の内容と予告した内容に著しい相違が見受けられることがあります。ご注意ください。なんなら更新できるか分からないので応援ください。