東方蒼瞳覡 ー博麗の守護者ー   作:トライダー

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第一話 紅白と蒼黒

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 〜15年後〜

 

 

 

 

「……くぅ……すぅ……」

 

 雲の少ない晴天。

 暖かい太陽の下、とある神社の縁側で一人の少女が昼寝をしていた。

 

 大きな赤いリボンに腋の部分が空いた巫女服を着た、紅白色の少女の名は《博麗 霊夢》。

 妖怪を退治し、異変を解決し、幻想郷のバランスを護る《博麗の巫女》である。

 幻想郷でも指折りの実力者……ではあるのだが、怠け癖が目立ち、巫女としての仕事や修行も積極的には行わないのが偶に傷。

 現在も同居人から頼まれている庭の掃除を放ったらかし、縁側で体を投げ出しながら昼寝をしている。

 こう言った面もあってか《博麗神社》には参拝客が来ず、決して裕福ではない生活を行っている。

 

「……くぅ……すぅ……」

 

 霊夢が昼寝を続けていると神社の石段の下から、コツコツと足音が聞こえて来る。

 

 石段を登るのは三度笠を被り、青い着物と袴に青い羽織を着ており、着物の下から黒いインナーが見える、蒼黒色の少年。

 その手に持った杖のように長いお祓い棒を持っており、歩くたびにコツコツと音を鳴らしている。

 その少年の美貌は霊夢にも負けておらず、一目見ただけでは男だと気づくのは困難な程に艶のある黒い長髪を後ろで纏めており、その肌は玉のように美しい。

 そして何より宝石のような澄んだ蒼い瞳が見せる眩しさがよりその美貌を醸している。

 

 彼の名は《博麗 八雲》

 15年前紫に拾われ、5つの頃からこの博麗神社で住み込みで修行をしており、今では博麗の巫女を護る役目を紫から受けている。

 霊夢とは全く同じ日に修行を始めた為付き合いは長いが、性格は彼女とは真逆と言って良いほどの真面目っぷり、その為かよく彼女と衝突している。

 

「……ふぅ、ただいま戻りました」

 

 八雲は三度笠を取りお辞儀した後、鳥居をくぐって帰宅の挨拶をする。

 しかし当然返事は返って来ず、八雲は首を傾げる。

 

「霊夢ー! 居ないのですかー?」

 

 霊夢の名を呼びながら座敷の方へと向かうと途中、縁側で寝転ぶ霊夢の姿を発見する。

 

「……はぁ」

 

 頼んでおいた庭の掃除を放り出し、淑女とは思えない寝相で寝ている霊夢の姿を見た八雲は深く溜息をつきながら彼女へと近づく。

 

「霊夢、起きてくださーい」

 

「ぐぅ……すやすや……」

 

 肩を揺すり、耳元で名前を呼びながら起こそうとするが霊夢は寝たまま起きる気配が無い。

 

「むぅ……コラ霊夢っ! 起っきろー!」

 

 仕事をサボっておきながら全く起きない霊夢に対し、声を大きくしてペシペシと軽く頬を叩く。

 そのおかげもあってか気持ちよさそうに眠る霊夢の寝顔が少しずつ歪む。

 

「ん〜……ああ、帰ってたのね八雲」

 

 ようやく目を覚ました霊夢が少年の存在に気付くと、不機嫌そうに起き上がり、ゆっくりと体を伸ばしながら大きな欠伸をする。

 

「帰ってたのね……じゃ無いよ! 自分が人里に行っている間に掃除しておいてって言いましたよね! 何で寝てるんですか!」

 

「うっさいわね〜。掃除なんて昨日もしたでしょうが」

 

「落ち葉は毎日落ちるの! 風は毎日吹くの! だから掃除は毎日しなきゃいけないの! もう、自分も手伝いますから。ほら、箒持って」

 

「めんどくさいわね〜」

 

 八雲が蔵から持ってきたもう一つの箒を無理矢理待たされた霊夢は、眠たい目を細めながらも掃除を再開する。

 霊夢が掃き始めたのを見た八雲も、荷物を置き掃除を始める。

 

「ふぁ〜あ……」

 

「もう霊夢! 巫女ともあろう者が、そんなだらしない格好をするんじゃありません!」

 

 欠伸をしながら背中を掻き、片手で箒を掃く行儀の悪い霊夢の姿に注意をする八雲。

 

「別にどんな格好したって勝手でしょ? 減るもんじゃあるまいし」

 

「貴女は博麗の巫女なんですよ。つまりは幻想郷の人間達の代表という事です。だから貴女は皆のお手本となってですねぇ……」

 

「あーもう、うっさい! あんたしか見てないんだから良いでしょうが、誰か来たらシャキッとするわよ!」

 

「普段からシャキッと出来てない人がいきなりできるわけないでしょう! こう言うのは普段からの積み重ねが生むんです。はぁ、先代の巫女様はそれは立派な淑女だったのに、何で霊夢はこんなに怠けてばかりで」

 

「あんたは頭が硬いのよ! 気を抜いて良い時に抜いて何が悪いのよ!」

 

 八雲のお説教から霊夢の逆ギレ、そこからの口論。

 10年間何度となく繰り返されてきたいつもの光景を見せながら、二人は神社の掃除を進めていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

      

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「ふぅ、終わりましたね」

 

 数時間が経過し掃除は終了した。八雲は手に持っていた雑巾を絞ると、顔が汚れないように汗を拭く。

 

「あーめんどくさかった……掃き掃除だけって言わなかったかしら?」

 

「最初はそのつもりだったんだけど、やってる途中に他の汚れも気になっちゃって。それに普段から掃除しておけば年末の大掃除の時早く終われるよ?」

 

「それなら大掃除の時に纏めてやるわよ。てかあんたの性格上、どっちにしても長くなるでしょが!」

 

 ついでついでと掃除を終えるたびに追加の掃除を増やされイライラしている霊夢。

 

「ったく、汗もかいたし先にお風呂入らせてもらうわよ。晩御飯の準備頼んだわよ」

 

「ちょっと待ってよ霊夢。今日は霊夢の当番でしょ? 昨日も一昨日も自分が作ったんだから今日ぐらいは当番守ってよ」

 

 家事は基本的に毎日分担している。しかし『とある勝負』に負けた八雲は、ここ最近連続で霊夢の分の家事も代わりに行っていた。

 

「嫌よ。今日はもう疲れたから休みたいの」

 

「疲れたって、ただ掃除しただけじゃない」

 

「ってか、一昨日の当番はあんたが負けたのが悪いんでしょ?」

 

「むぅ……それはそうですが……」

 

「何だったらまた勝負する? 負けた方が今晩の食事当番よ」

 

 お祓い棒を手に取り、挑発するように笑いかける霊夢。

 その姿にムッとした八雲は同じようにエモノを手に取ると神社から少し離れ、二人は距離を取る。

 

「わかったよ。今日こそ一本取らせてもらうからね!」

 

「ふん、コテンパンにしてあげるわ」

 

 二人は数秒睨み合った後、いつものごとく霊夢の先手により勝負は始まる。

 右手を振るい、霊力を集中させた赤い弾幕を複数八雲へと放つ。

 

「はぁっ!」

 

 八雲はお祓い棒を回転させ弾幕を弾き落とし、そのまま地面を蹴り霊夢へと近づき振りはらう。

 

「おっと」

 

 霊夢は横薙ぎの払いを飛んで躱すと、お返しとばかりに左手に持ったお祓い棒を振り落とす。

 だが八雲もお祓い棒を頭上に持ち替えると霊夢のお祓い棒を受け止める。

 打撃を防がれた霊夢は自分の能力、『空を飛ぶ程度の能力』によりすぐさま高度を上げる。

 

「あんたの馬鹿力に付き合うつもりはないわ」

 

 力押しの近接戦を嫌った霊夢は八雲と距離を取り、赤い針状の弾幕《封魔針》を繰り出す。

 

「くっ! はぁっ!」

 

 体勢を低くし、針の雨の中をお祓い棒で弾きながら駆ける。

 

「《封魔針》!」

 

 弾幕を避けながらも霊夢と同じように青い針状の弾幕を放つ。

 だが空中での機動力を持つ霊夢は、軽く身を翻し躱すと赤い霊力の弾を放つ。

 

「はぁっ!」

 

 自分の回避地点を先読みした弾幕に回避が困難だと察した八雲は、霊夢と同じように青い霊力の弾を放ち相殺する。

 複数の弾幕がぶつかり合い、花火のような美しい閃光を放った後消失した。

 

「流石にやるわね。なら、そろそろ行かせてもらうわよ!」

 

 霊夢はお祓い棒を右手に持ち帰ると左手にお札を構える、それが霊夢にの少し本気を出した時の構えだと理解している八雲は、同じように右手にお札を取り出す。

 

「《霊符・夢想封印》!」

 

 彼女の背後に巨大な霊力の塊が出現する。

 霊夢の得意とする弾幕夢想封印。その色とりどりの弾は先程放ったものとは比べ物にならない程大きい。

 そしてその弾幕の特性を知っている八雲は速度を上げ、射程外に逃げようとする。

 

「逃がさないわよっ!」

 

 霊夢が手を翳すと同時に弾幕が一斉に八雲へと向かう、回避を試みるが夢想封印の相手を追尾する特性に追い詰められる。

 

「くっ! やっぱり無理か……仕方ない!」

 

 逃げ場の少ない地上では回避し切れないと考えた八雲は、霊夢と同じく空中へと飛び上がる。

 

「うわわっ!?おとととっ!」

 

 しかしその飛び方は霊夢よりもずっとたどたどしく、速度も遅くフラフラしている。

 

「相変わらず下手な飛び方ねぇ」

 

「ほ、ほっといてください!」

 

 ニヤニヤと面白そうに笑う霊夢に文句を言いながらも、彼女の繰り出した弾幕を回避する。

 

「よく避けたわね。でも次はどうかしら!」

 

 八雲が弾幕から脱出するのと同時に別の弾幕を繰り出す。

 それは巨大な陰陽玉、霊夢の使う弾幕にしては珍しく力押しの技であるが、後ろを夢想封印によって塞がれた現状では最も有効な一撃と言えよう。

 霊夢が巨大な弾幕を生成確認した八雲は、札を散りばめ念じ、二枚重ねの結界を作り出す。

 

「《宝具・陰陽鬼神玉》」

「《夢符・二重結界》」

 

 霊夢の作り出した巨大な陰陽玉と、八雲の作り出した結界が互いに衝突しあう。

 八雲の作った結界に比べ陰陽玉の大きさは数倍、一見すれば押し潰されるのが当然に見える程。

 

「ぐぬぬっ……」

 

 だが結界にはヒビ一つ入らない、寧ろ陰陽玉を放つ霊夢の方が疲労しているようにすら見える。

 二つの技は1分間ほど衝突した後、陰陽玉の方が消滅する。

 力押しで破れないと霊夢が諦めたのだ。

 

「……相変わらずかったい結界ねぇ!」

 

「これだけが取り柄だからね」

 

 八雲は霊夢ほど飛ぶのが上手くなければ霊力もずっと弱い、しかし結界術だけは霊夢以上のものを持っている。

 自慢の大技にも関わらず受け止められた事に腹を立てる霊夢、しかし守りだけでは勝てないのがこの『弾幕ごっこ』だ。

 霊夢が大技を出した後の隙をつき八雲は攻撃に転じる。霊夢よりも上空へと飛び上がり、そして背後に巨大な霊力の塊を作り出す。

 それは霊夢と同じ技、しかし霊夢のとは違い色は全て青色であった。

 八雲の動きで繰り出す攻撃が分かった霊夢も、自分が得意とする技で対抗する。

 

「《霊符・夢想封印》」

「《霊符・夢想封印》」

 

 色とりどりの弾幕と青一色の弾幕、同じ技でありながらその見た目は大きく違っていた。

 

 そしてその威力も

 

「なっ!?」

 

 八雲の繰り出した夢想封印は霊夢の夢想封印と一瞬拮抗したがそれだけ、瞬く間に青一色の弾幕は打ち砕かれ八雲の視界は霊夢の弾幕の色に染められる。

 

 ピチューン、と小さな爆発を起こし八雲が墜落する。

 

「い、痛たたたた……」

 

「はい、今日もわたしの勝ち。それじゃあご飯よろしくね〜」

 

「墜落したばっかなんですから、少しぐらい優しい声かけてくれたって……」

 

「頑丈さだけが取り柄なんだから大丈夫でしょ? それに敗者にかける言葉なんてないわよ」

 

 そう言うと霊夢は、腰をさする八雲を放って風呂場の方へと向かって行った。

 これもまたいつもの光景、霊夢が我が儘を言い勝負が始まり八雲が負け言うことを聞く。

 この二人はそんなやり取りを10年間続けているのだ。

 

 

 

 

 

 

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「はい、出来ましたよ」

 

「遅い! 空腹で殺すき?」

 

「大して経ってないでしょ?」

 

 お盆に載せた料理を運ぶと、寝巻きに着替えた霊夢が机に突っ伏しながらバンバンと机を叩く。

 

「それに霊夢のせいで体全体痛いんですよ」

 

「あんたが弱いのが悪いんでしょ?」

 

 そんな言い合いをしながらも料理を並べ食事を始める。

 相当空腹だったのか、霊夢は八雲の倍の速度で食べ進めて行く。

 

「霊夢、ちゃんと30回噛んでから飲まないと消化に悪いですよ?」

 

「そんなトロイ事してたらご飯が冷めるでしょ? ほら、おかわり」

 

「はいはい」

 

 白米を掻き込むように平らげた霊夢から茶碗を受け取り、おかわりを入れる。

 

「まぁまぁじゃない? 食べれないこともないわよ」

 

「そう言うなら自分で作ったらどうなんですか? 霊夢の方が美味しく作れるくせに」

 

「わたしはあんたのご飯が食べたいのよ」

 

 言い方は兎も角、八雲のご飯を食べる霊夢はとても機嫌が良く見える。

 文句なのか褒めてるのかよく分からない感想を聞きながら食事を進めていると、突然テーブルを挟んだ二人の間に紫色のスキマが出現する。

 

「ハロ〜二人ともご機嫌よう〜」

 

「……何しに来たのよ紫?」

 

「紫様、こんばんは」

 

 姿を表したのは八雲紫だった。

 その紫のスキマを見た瞬間霊夢は先程までの機嫌の良さそうな顔から、真逆の面倒くさそうな顔へと変わる。

 対して八雲は紫の姿を確認すると行儀良くお辞儀をする。

 

「きゃー! 会いたかったわ八雲ちゃん!」

 

「むぐっ!?」

 

 そんな八雲の姿を見た瞬間、八雲を抱き寄せ力一杯に抱きしめる。

 それだけで無く、頭を撫で、頬を撫で、頬っぺたをスリスリしたりなどしてくる。

 

「紫、八雲が窒息するから離しなさい」

 

「なによぉ、折角の愛息子との再会なんだから邪魔しないでよ〜」

 

「あんたが邪魔でご飯が食べられないのよ。てか、殆ど毎日会ってるでしょうが!その度に鬱陶しい茶番見せられるこっちの身にもなりなさいよ!」

 

 紫の腕を掴み引き剥がす。

 無理矢理にでも引き剥がさないと一時間ぐらい続けるので霊夢も必死だ。

 

「ああん!もう、意地悪〜」

 

「紫様、もう子供じゃ無いんですからこう言ったことは控えて下さい」

 

「えーん、昔は八雲ちゃんからギュッてしてくれたのに〜反抗期だなんてお母さん悲しいわ〜」

 

「いっいえ、そう言うわけでは……」

 

 紫は芝居がかった動きで顔を押さえる。

 どう見ても嘘泣き、だけど真面目な八雲はその姿に本気で狼狽えてしまう。

 その光景が余計に霊夢をイラつかせる。

 

「八雲、こいつを甘やかす必要無いわよ。思った事ハッキリ言ってやりなさい、いい加減息子離れしろババアって」

 

「言わないよ!? ってか思ってないよ!」

 

「霊夢〜少ーし()()をする必要があるみたいね〜」

 

 声だけは笑っているが青筋が立っており目元がピクピクしている、見るからに怒っている。

 

「ふん! こっちだってあんたのせいで1日3回のの楽しみが邪魔されてるんだから! 人の食事の邪魔をする妖怪は退治してやるわよ!」

 

 低級の妖怪ならば近くにいるだけで気絶しそうな怒気、しかし霊夢は全く気にしたそぶりも無く紫へとお祓い棒を突き付ける。

 一種即発の状況に二人の霊力と妖力で空間が歪んでいるようにすら見える。

 

「二人とも止めてください」

 

 しかしそんな光景を見慣れているかのように落ち着いた八雲が二人を止めに入る。

 

「霊夢、食事中に行儀が悪いですよ。それに失礼な事を言ったのは霊夢です。謝らないならご飯は取り上げますよ?」

 

「……ふん、悪かったわよ」

 

 それだけは嫌なのか霊夢は渋々ながらも座り直す。

 

「紫様もいいお年なんですから、霊夢のそんな言葉で怒らないでください」

 

「なによ〜八雲ちゃんまでオバサン扱いするつもり〜?」

 

「そもそも気にしなくて良いんですよ。自分は何千年と生きている紫様を誇りに思っています、紫様の沢山の知識や経験は人間の自分にとって何よりも有難いものです。自分の知らない事や、見たことの無い事を、優しく教えてくれる紫様が自分は大好きなんです」

 

「っ!! 八雲ちゃ〜ん! いい子ねぇ〜私もあなたが大好きよ〜」

 

「はいはい、茶番を見せてんじゃ無いわよ」

 

「全く、霊夢も八雲ちゃんぐらい素直になってくれたら可愛いのに〜」

 

「余計なお世話。十分素直よ、さっさとそこから退きなさい」

 

「は〜い。あ、八雲ちゃん?私も食べたいから持って来てくれる?」

 

「そう言うと思って多めに作ってありますよ、今持って来ますので少々お待ち下さい」

 

 紫はテーブルの上に作り出したスキマをしまい正しく座り直す、それを見た八雲は軽くお辞儀をすると台所の方へと向かっていく。

 

「はぁいい子ね八雲ちゃんは、お母さん嬉しいわ」

 

「全く、妖怪の賢者て言われる大妖怪が人間にデレデレしちゃって、自分の苗字まであげちゃってさ」

 

「あら、可愛い子には最高のプレゼントをするものよ〜。まぁ私も人間の子にここまでメロメロになるとは思っても見なかったけど」

 

 最初は紫によるただの気まぐれだった、お人形遊びでもするかのように人間の子供に興味を持っただけ。

 だが赤ん坊と過ごしていくうちに彼女の心境は大きく変化し、彼の名前を考える時に自分の姓をあげるほどにまで八雲を溺愛している。

 彼女の変化に誰よりも驚いたのは藍だろう、なんせ本来家事は人任せな紫が進んで子育てをしたのだから。

 

「あんな可愛い子も、いつか誰かに嫁いじゃうのね〜。言っとくけどいくら霊夢でも私は認めないわよ!」

 

「要らないわよあんたの許可なんか。てかあいつ男でしょうが」

 

「紫様、持って来ましたよ。少しお味噌を足して紫様好みの濃い味付けにしてみました!」

 

「やーん美味しそう〜。愛してるわ八雲ちゃん」

 

「八雲、わたしもお味噌汁おかわり」

 

「はい! 二人ともいっぱい食べて下さいね!」

 

 霊夢と二人、時々紫と一緒に晩ご飯を食べる、霊夢と紫が煽り合えば八雲が止める。

 これもまた何度も繰り返されて来た、いつもの光景。

 

 今日も幻想郷は平和である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

⭐︎         

 

 

 




 《博麗 八雲》
 今作の主人公、超が付くほどの真面目で面倒くさがりの霊夢とはよく衝突する。
 5つの頃に博麗神社に弟子入りし、博麗の苗字はその時貰った。
 自分を育ててくれた紫と修行をつけてくれた先代の巫女を心から尊敬しており、彼女達の志と同じく幻想郷を守る為に日夜努力している。
 霊力が弱く飛ぶのも苦手、同門だけあって使う技の殆どが霊夢と同じだが、結界術以外は霊夢の下位互換。
 護るべき立場の霊夢の方が強いのが今の悩み。


 《博麗 霊夢》
 博麗大結界の管理や異変の解決などを行う、幻想郷でも重要な立場を担う少女で、年齢こそは八雲と同じだが巫女としてとてつもない才能を秘めている。
 が、本人にはあまりやる気が無く、修行も仕事も全てほどほどにしき行わないのが傷。
 八雲とは同じ時期に修行を始め、10年に及ぶ付き合いになる。
 基本的に悩みのない性格だが、最近八雲が口うるさくなって来たのが悩み。


 《八雲 紫》
 幻想郷を管理する妖怪の賢者と言われるほどの大妖怪。
 15年前に八雲を拾い、それからは式の藍にも任せず彼女自身によって育てて来た。
 その為か八雲の事は本当の息子のように溺愛しており、八雲という名前も自分の苗字をそのまま彼に与えた。
 最近八雲にスキンシップを断られるのが悩み。
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