仕事中に飛んできた毒電波   作:トマボ

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◯ィアルガ 対 ◯ルキア 対 ◯ークライ

沖野T 対 サイレンススズカ 対 にんじんあげません

お兄(姉)様 対 カレンチャン 対 ◯岡修造


ファイ!!!


ウソです★



仕事中に飛んできた毒電波

 

 

 ある日のことである。

 

 我らがチーム''''シリアル''''(誤字にあらず)の一幕。

 

 本日も特に問題なくトレーニングを終え、クールダウンを済ませた後、チームで借り受けている部室にて意見交換を交わして解散となる…筈だった。

 

 いつもであればトレーニング中着ているジャージから制服に着替えて室内に入ってくるところだが、何故か前回のレースで着ていた勝負服(短剣装備)を着用したライスシャワーが俯きながら室内へ入ってきた。

 

 …何故か後ろ手に扉の鍵を締めながら。

 

 戸惑っているのか、或いは覚悟を決めているような、謎の気迫を発しながらも無言で扉の前に佇んでいるライスシャワー。

 

 心なしかメジロマックイーンに食らい付いて行ったあの時の漆黒のオーラが見え隠れして見えるような…いや、流石に気のせいか?

 

 普段の様子と明らかに異なる彼女を見て、(もしや怪我か?トレーニング後にも確認したが…まさか、着替えてここへ来るまでに足を捻ったり…?もしくは、悩み事か…?)と、心当たりを探りつつ声をかけようとしたトレーナー。

 

 

『どうしたライス?だいj「あのね?トレーナーさん。」』

 

 

 ーーー大丈夫か?という声に被せるように声を発したライスシャワーが続ける。

 

 

『その…ライスね?思いついちゃったことがあるの』

 

 

「お、おう。なんだ…?」

 

 

『えっと…ウマ娘の私とトレーナーさんだとだいぶ筋力に差がある…よね?』

 

 

 ーーー俯いたままゆっくりとこちらににじり寄りながら。

 

 

「うん?まぁ、そうだな。」

 

 

『そうだよ…ね?私が本気で押さえ込んだら…トレーナーさんは抵抗できない…よね?』

 

 

  ーーー大人しい彼女から発せられた言葉とは到底思えない。

 

 

「ちょっ…待ってくれ、ライス?何を言っている?」

 

 

『ここは…敷地の端っこだから警備員さんまで声は届かないし…門限までに済ませれば…。』

 

 

  ーーー嫌な予感どころではない。彼女の豹変に対しての思考よりもまず先に湧き上がってくるこの感じ。

 

 

「…ッ!ま、先ずは落ち着くんだ。冷静に話をしよう?な?」

 

 

『?ライスは冷静だよ?トレーナーさんこそ落ち着いて?』

 

 

  ーーー言い聞かせたのは彼女にか、もしくは自分自身にか。

     

  しかし、こちらに小首をかしげながら顔を向けた彼女の表情は驚くほどにいつも通りで……。

 

  トレーニングの成果か、完璧な体重移動によりほぼ足音を立てない彼女と対照的に自身の足元からズリズリと音が鳴る。

 

  が、さほど広くもない部屋。静かな室内に、コツンっと音が響く。

 

  ーーー無意識に後ずさっていた身体。踵に伝わる感触で追い詰められたことを悟る。

 

 

『だから…ね?今から…トレーナーさんのことを…。』

 

 

「待て、話せば分かる!」

 

 

  ーーー歴史の教科書まんまの台詞が口から飛び出す。小柄な彼女はどこへやら。巨躯のオーラを纏いこちらに向けられた短い細腕。それから逃げられるビジョンが浮かばない。

 

 

『私だけの…お兄様に…できちゃう…よね?』

 

 

  ーーーそれを聞いた時、トレーナーの危機察知能力が全てを理解した。

 

  否、瞳に映った覚悟完了の蒼い炎を見て、理解せざるを得なかった。

 

  これは冗談などではない。

 

  ''''全力で誤魔化さなければうまぴょいされる…!''''

 

 

 

『ごめんなさい、トレーナーさん(お兄さま)。ライスね?今日だけ…。今日だけ…悪役(ヒール)になる!』

 

  

 ーーー膨れ上がる危険信号。数瞬後、獲物を捕らえるために息を吐き出す。

刹那の一瞬、深く目を閉じ、全集中ウマの呼吸。

 

 

 

 

 だが、震える身体に鞭打って素晴らしいスタートを切って動き出したのはトレーナー。見えた!隙の糸!

 

「隙だっちぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?」

 

 

 《パリィィン》

 

 窓を割って飛び出す身体。

 

 

 判断が遅い。

 

 考えが甘かった。

 

 話は既に通じない!

 

 

 

『お兄様!?逃がさないよ!?』

 

 

 

 作戦は逃げ一択。

 

 

 (スズカ、ターボ、マヤノ、パーマー、皆んな!俺に力を貸してくれ!)

 

 

 『……お兄様の馬鹿!ライスが刺…差し切っちゃうんだから!』

 

 

 

 鋭くなったプレッシャーを背中に浴びつつ、パルクールの要領で障害物を乗り越えながら、直線を作らないようにジグザグに走る。

 

 人とウマ娘の走りの差を利用しろ!

 

 加速されたら終わりだ。

 

 踏み込みで飛びつける道を作らせるな。

 

 少しでも掴まれたら振り解けない。

 

 障害物を味方につけろ。

 

 常に回り込みながら年季による地の利を生かせ!

 

 走れ!

 

 跳ぶように走れ!

 

 ウマ娘に指示しているトレーナーである自分が出来ない道理は無い!

 

 

 心臓《ドキドキドキドキドキドキドキドキ♪》

 

 

 『お兄様ァァァァァァ!!!?』

 

 「オレの末脚がァァァァァァァァ!!?」

 

 

 ーーー無敵のたづなさんと理事長のいる本校舎まであと少し!

 

 

 

 極限まで削ぎ落とした身体に宿した鬼

 

 VS

 

 極限まで削ぎ落とされたメンタルに宿った鬼

 

 

 

 ーーーその身はヒールか。ヒーローか。

 

 

 捕まればうまぴょい。

 

 捕まえればライバルを出し抜いてURAファイナルズ優勝。

 

 

 

 ーーーこんな筈じゃなかったレースが、今始まる!

 

 

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