21/05/20 かがみとつかさの幕間部分修正
〈歯医者とドリル〉
放課後。ちょっとした用で職員室に行ってて戻ってみたら、こなた、つかささん、みゆきさんの三人がなにやら盛り上がっていた。
なんかドリルだのなんだの聞こえてきたが……なんで男のロマンについて話してるんだろうか? というかどういう流れでその話題になってんの。
「ちょうど良いところに! ゆうや、ゆうやって歯医者好き!?」
「えっ、歯医者? 別に好きでも嫌いでもないけど」
いやでも、歯科助手さんとか美人が多いし、場合によっては後頭部が幸せになるから歯科病院は好きなんだけど。……まあこんな理由は言えないケドネー。
「そっかー、ドリルは男のロマンだから好きだと思ってたヨ」
「待て待て待て歯医者とドリルってどんな話題だったんだよ!?」
歯医者とドリルになんの関係性があるんディスカ?
天元突破した歯医者でもいたの?
「ゆきちゃんがねー、歯医者さんが怖いんだって。私も怖いんだけどね」
「それからどうして怖いのかというお話になりまして」
確かに歯医者は嫌いな人が多いということは良く耳にする。
理由は様々だけど、俺もあの独特の匂いはあんまり好きになれないし、歯垢を削られるのは痛いし苦手です。
「私は特有の薬品の匂いや待っているときの緊張感が苦手で」
「それ以上にドリルの回転音がねぇ~」
やっぱりそこらが嫌いな要因になるわな。しかしドリルの回転音か。なるほど、男のロマンがどうのこうのはそこから来ているのか。
「で、ゆうや。
「天元突破するような男のロマンのドリルは好き。でも歯医者のドリルはあんま好きじゃないかな」
「男の子だからドリルは全部好きだと思ってたヨ」
いやー、ドリルにも種類があってだネ? ドリルはドリルでも好きなのと嫌いなのとで分かれています。実はメカ〇ジラのドリルアームとかは琴線に響いてこなかったり。
なのはStsのギンガさんの腕がドリルになるのは二重の意味でもえたけど。
「やっぱり、見るのは好きでも削られるのは苦手なんですか?」
「そうだなぁ、削られるのはやっぱりなぁ。……痛いし」
「ゆうくんも痛いの嫌なんだね……」
「痛いのが好きな人なんてあまりいないんじゃない?」
そりゃあドMの人とかだったら鞭打ちろうそく責めとかでも快感に変わるんだろうけど。
「むぅ、行ったことないから分かんないなぁ」
「こなたって虫歯とかそういうのは無縁だよな」
「定期健診とかには良く行くんだけどネ。徹夜とかはよくやるけどそれ以外の不摂生はしないようにしてるし」
むしろ定期健診とかを除いて病院に行く機会がないよなぁこなた。病気にかからないだけじゃなくて怪我とかもほとんどしないからね。
「お母さんに色々と言われてるからネ」
「その話題はちょっと重いですよこなたサン……」
「「?」」
まあかなたさんは色々とあったのだ。こなたのことだし話す機会があったら話すんだろうけどさ。
〈こなたのバイト*柊姉妹の感想*〉
というわけでこなたのバイト初日。俺も出勤だけど、店長が気を使ったのか、今日のシフトはちょっと厚めだ。まあつまり、これはこなたの様子を見に行って来いってことだろうな。
「若瀬君、そわそわして落ち着きがないよ?」
「彼女さんの初バイトの初日なんでしたっけ。そりゃ気になるんじゃないですか?」
「だから彼女じゃないですって」
でもそわそわしているのは本当だ。こなたは割といろんなことをそつなくこなせるハイスペックの持ち主だけど、それでも初めてのことだしね。
「今日もお客さん少ないし、若瀬君、下で様子見てきてもいいよ?」
「良いんですか!?」
それはありがたい。早速見にいこう。こなたのコスプレも気になるしな。
「こなちゃん、本当にアルバイト始めるなんて思わなかったよ~。冗談だと思ったのに」
「驚きよね……まあそれ以上にあいつを採用するところがあった方が驚きだけど」
「お姉ちゃん、それはちょっとひどい様な……」
*
「おお、思った以上に普通に働いている……」
というか初日のクセに妙にこなれてますね。即売会の売り子とかも経験あるから接客慣れはしてるのだろうか。……にしたって凄いな。
てかこなたのハルヒコス完成度高いな。ウィッグとか被ってないからあれだけど。
声も完璧にハルヒだ。こなたのCVが平〇綾さんと言われても今なら信じるわ。
「コーヒーを頼む」
「それだけでいいの? 団長命令よ、待ってなさい」
「やれやれ……」
ハルヒの言動のトレースまでも完璧だ。アニメを隅々まで見て熟知してないとこの違和感のないトレースはできんぞ。
というかお客さんあれキョンじゃね。口癖まで一緒だし。
「待たせたわね、コーヒーよ」
うん、提供もきちんとできている。本当にバイト初日なのか? 熟練バイトの手際とも遜色ないぞ。……こなたの妙なところでのハイスペックぶりが遺憾なく発揮されてますネ。
さて、もうちょい見守りますか。
「しかしこなたが労働に勤しむところなんて想像できないわね」
「た、確かに……どこで働いているのかな?」
「漫画とかアニメ好きだし、本屋とかかもね。特殊な方の」
「特殊?」
*
「あっ、ゆうやー」
「おうこなた」
接客もひと段落したのか裏に戻ってきたこなた。一仕事やってやったぜと言わんばかりに額を腕で拭いた……てかこいつこういう仕草も似合うのな。
「なに? ゆうやってば私のこと心配して見に来たカンジ!?」
「おう。初バイトの初日だしな」
「ま、真面目に返されると照れますネ……」
照れてるこなた可愛いですな。それは置いておいて。
「凄いきちんとできてるじゃん。これなら心配いらないわ」
「そう?」
「おう、救世主ってのは伊達じゃないな」
さっきこの店の店長さんとも話してたんだが、初日だけで研修の札を外してもいいかもとのことだった。即戦力連れてきてくれてありがとうねと俺までお礼を言われてしまったよ。
「ハルヒのコスもトレースも良いしな。マジで天職じゃないか?」
「初日だけでそうじゃないかと思えたヨ……」
とりあえずこれでもう大学4年間も含めて学生時代のバイト固定じゃないかな。
辞めようとしても絶対引き止められるだろうし。
「そろそろ戻らんと怒られそうだな。じゃ、頑張れよ」
「うん、ゆうやも頑張ってね?」
「おう」
いいもん(こなたのコスプレ)も見れたし、後の時間も頑張れそうだ。
~☆~
翌日。別方向のみゆきさんと別れ、いつもの埼玉組で帰宅中。
高校生らしく何でもないような話題で駄弁りながら帰るのも青春って感じで楽しいネ。
「そういえばこなた、あんたどこでバイトしてるのよ。バイトの日もゆうや君と一緒に帰ってるし、同じ場所だったりするの?」
「んーん、違うよ」
「お姉ちゃんと色々話したんだけど、思いつかなくて……」
まあそりゃあ認知度は低いだろうなぁコスプレ喫茶って。まあこなたが喜んで働く場所も限られてるから、絞り込めなくはないだろうけど。
「じゃあどこよ」
「あー、ただのコスプレ喫茶だよ」
「「うわぁ、すっごいぴったり……」」
「というか高校生がそんなところで働いていいのか」
一応健全な店だし大丈夫じゃないかな。
〈誕生日〉
「というわけで誕生日ですよゆうやさん」
「そうですねこなたさん」
本日は5月28日。こなたと俺の誕生日です。実は俺とこなたの誕生日は一緒なのだ。そして今いるのは泉家の縁側。
かなたさん作の家庭菜園を眺めながらこなたと今期のアニメについて語っていたところ、いきなり先のセリフがこなたの口から飛び出てきた。
「で、なんだよこなたいきなり」
「いやぁ、若瀬家と一緒にお祝いするのも恒例になったなぁって」
「そうだなぁ」
両親同士が元々仲が良くて、子供同士も仲が良い……で同じ誕生日。まあ一緒に祝うようにもなるよね。
そして今は親同士+いずみで誕生日パーティーの準備をしているからと俺ら主役の二人は縁側に追いやられています。こなたの部屋でも良かったんだけど、なんか入れてくれないんよね。
「ここでぼーっとしてるのもいいけどさ、部屋で格ゲーか何かしない?」
「んー、せっかくだしたまにはゲームから離れてゆっくりしない?」
「まあいいけどさ」
こなたにしては珍しいなぁ。ゆっくりするのも別に嫌いではないから今日はひなたぼっこにでも興じようか。
「ゆうやは誕生日プレゼント何もらったの?」
「新作の麻雀牌一式」
「……また?」
いいじゃん麻雀牌。毎年毎年かっこよくてイカスやつとか可愛いやつとか出てて欲しいのが多いし。全自動卓が普及した今、手積み牌は安くなったからなぁ。
良いのがお安く買えちゃうのよ。
「でも前回買ってもらったオールブラック牌は打ちづらいとか言ってなかった?」
「かっこいいやつでいいかなと思ったんだけどネ。だから新しいやつ買ってもらったのよ。今回は背黒のやつ」
「失敗しそうじゃない?」
「ちゃんと店頭で試し打ちしてみてから買ったから……」
前回はそこらへんの確認不足だったからネ。今回は満足できる買い物をしてもらったと思ってる。
「そういうこなたは何買ってもらったんだ?」
「連休明けのテストの点も良かったからDS買ってもらった!」
「おお、良かったじゃん」
前から欲しいって言ってたしね。
「で、ゆうや。私へのプレゼントもちゃんと用意してあるんでしょ?」
「これも毎年恒例だしな……ほらこれ」
丁寧にラッピングされた青色の箱を渡す。それなりにお値段かかったけど、まあいい買い物ができたと思っている。こういう時はバイトしてて良かったと感じるのよね。
「こなた、お前も用意してるんだろ?」
「もち! はいどうぞ」
そうして渡されたのは赤色のラッピングされた箱。……こういう真逆の色になるのも面白いな。互いに好きな色をチョイスしてるからなんだけども。
「じゃあ開けるか」
「そだネ」
というわけで御開帳ー。……こなたからのプレゼントはっと。あれ、思った以上に小さい箱が二つだ。と、これは……こなたにしては意外なチョイスだな。
「ネックレスだ」
「指輪にノンホールピアス、ねぇ」
お互いに趣味からのチョイスじゃなくて、まさかのオシャレ方向になるなんてね。
まあこういう時じゃないと二人ともオシャレ方面のあれそれなんて買わないしな。
俺が贈ったネックレスは先端に小さい星が二つ付いている奴だ。色は青と白。なんか見たときにこれしかないって思ったんよね。
「ゆうや、良いチョイスしてるネ」
「こなたこそ……というか高かったろこれ。しかも二つ」
「ピアスのほうは安かったよ?」
「良いデザインなのにか」
こなたから贈られたプレゼントは指輪とノンホールピアス。指輪のほうはシンプルなデザインのもので、黒を中心としてアクセントとして赤色が入っている。中にはK to Yなんて文字まで入ってやがら。
ピアスの方は校則を気にしてかノンホール。ピアス穴そのものが禁止されてるしね。
デザインは良い感じにシンプルで、色は漆黒だ。どっちも若干厨二くさいが、普通にかっこ良いからとてもうれしい。
「こなたからこんなオシャレなものもらえる日が来るとはね」
「私も日々成長しているんだヨ」
だなぁ、なんか実感したわ。一つ歳を重ねた日にそれを知れたなんてある意味ラッキーなのかもね。
「お兄ちゃーん、お姉ちゃーん。準備できたよー」
「ほーい。じゃあいこっかこなた」
「そだね」
指輪はチェーン使ってネックレスにするかな。
そしてその日から、互いに常に身に着けているものが増えることとなった。
あっれー、縁側でこなたとゆうやが駄弁ってるだけの話だったはずなのになんかいい感じのプレゼント交換しちゃってるよ……
指輪とか出てきたのは多分黒バスの陽泉戦を見ながら書いてたからかなー?