ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~ 作:satokun
これからも更新は遅いと思いますが、頑張っていきます!
炎の中から現れたのは二十代前半ぐらいの、赤いスーツを着崩した男。
一目で自分の力に自信を持ち、増長するタイプだなと分かる。
実際リアスよりは実力は上のようだが、
そこにいるグレイフィアに比べればどっちもどっちだな・・・、と内心で考えている。
そんな感想を抱いているうちに男はリアスに近づき腕を取るろうとするが、
すかさずその手を払うリアス。
見ての通り険悪だ。いや、リアスが毛嫌いしているだけなのだが・・・。
「で、誰なんだ?」
「おいおい、リアス・・・。下僕の教育なってないんじゃないか? 俺を知らないとは・・・」
「教える必要がないもの」
翔が登場した男について訊くと、男のほうがリアスに僅かに呆れたように言うが、
そんな男にきっぱりと断言するリアス。
「この方はライザー・フェニックス様。純潔の上級悪魔であり、古い家柄を持つフェニックス家の
ご三男であらせられます」
埒が明かないと判断したのか後ろに控えていたグレイフィアが、前に出てきて話す。
「そしてグレモリー家次期当主の婿殿、つまりリアスお嬢様とご婚約されておられるのです」
ある程度予想がついていた翔は驚きはしなかったが、アーシアと小猫、祐斗の三人は驚愕の表情を浮かべた。
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「いや~、リアスの《女王》が淹れてくれたお茶は美味いな」
「・・・痛み入りますわ」
ライザーの世辞に朱乃はニコニコとした表情で答えるが、何時ものとは違う。
演技くさいといった表現が当て嵌まるだろう。
もっとも、朱乃の何時もの態度は仮面みたいなもんだがな・・・
内心でそう思う翔。
普段、リアスと同じく二大お姉様と呼ばれている朱乃。
その呼び名の通り、大和撫子という言葉が合う、雰囲気を纏っており、物腰の柔らかいお姉さんといった印象を受ける。だが、翔にはそれが仮面・・・演技に似たなにかを感じるのが、まだそれについて訊くには時期が早すぎると思い、触れていない。
そんな横道に外れた思考に陥っていると―――
「いい加減にして頂戴ッ!」
リアスの怒号が響く。いいかげん我慢の限界だったようだ。
それもそうだろう。不機嫌に腕を組んで座るリアスの隣に座っているライザーはいやらしい視線を度々送り、
時にはリアスの紅髪や太ももを勝手に撫でようとする。その度にリアスは拒否反応を示しているが、構わずちょっかいをかけている。
まぁ今の状態を見る限り、リアスが毛嫌いするのもわかるな・・・
流石にあんな奴が婚約者なのは、誰でも嫌だろう・・・
「ライザー・・・。私は前にも貴方に言ったはずよ。私は貴方とは結婚しない・・・。私は私の夫となる存在を自分の意思で決める」
リアスはちょっかいをかけるライザーの手を振り払い、勢いよく立ち上がり言い放った。
「しかし、リアス・・・。先の戦争で純粋な悪魔の72柱の大半は消えた。この縁談はそんな純粋な悪魔を減らさぬよう、俺の父や君の父、そしてサーゼクス様の考えの総意なのだよ。それに君のお家事情はそんなこと言うほど、切羽詰まっていないものでもないだろう?」
リアスの言葉を受け、ライザーはまだ笑みを浮かべながら、リアスを説くように言う。
「家は潰さないし、婿養子は迎い入れるわ・・・。でも、それは私が本気で好きになった人よ・・・。
だからもう一度言うわ。―――ライザー、私は貴方とは絶対に結婚はしない!」
そう言い放ったリアスに、ライザーはリアスの目の前に立ち上がり、
リアスの頬を掴んでかで顔を近づけさせ睨むように言った。
「リアス・・・。俺もフェニックスの看板を背負ってんだよ。名前に泥を塗るわけにはいかないんだ。
それに、この世界の炎と風は汚い。炎と風を司る悪魔には耐え難いんだよ!」
じゃあ帰れよ、と翔が内心で思っていると、ライザーは周囲に炎を巡らせた。
襲い掛かってくる熱気から僅かに顔を顰めるリアス達。アーシアに至っては怯え、涙目になっている。
そんな彼女を翔は背に隠し庇う。
この状況で特に動じていないのは、翔とグレイフィアの二人である。
「俺は君の眷属全員を燃やし尽くしてでも君を冥界に連れて帰るぞ!」
殺意と敵意が室内を満たした。
震えながら抱きつく力を強くするアーシアを励ましながら翔は周囲を見る。
祐斗に小猫、朱乃は既に臨戦態勢、リアスも紅い魔力のオーラを全身から放っている。
「・・・少し落ち着け」
僅かに威圧するように全身から魔力を迸らせて、部屋に充満していた殺意と敵意を霧散する。
「お、お前は、誰だ?」
突然、部屋の隅にいた翔が仲裁するようにリアスとライザーの間に割って入った翔にライザーは僅かに狼狽える。
「リアスの眷属、《兵士》の御剣翔だ」
その答えを聞くと、ライザーは途端に心底見下したような表情を作る。
「ああ、人間の分際で上級悪魔であるリアスの眷属になった身の程知らずか」
自分の眷属を馬鹿にされ、ライザーに殺気を送るリアスに黙ってるよう視線で頼み、
改めてライザーに目を向ける。
「お前が俺のことをどう思おうがどうでも良いが、お前は此処に何しに来たんだ?話し合いだろ?
その話し合いの場を殺し合いの場に変えるなんてどういう了見だ、ライザー・フェニックス?」
僅かに威圧するように言う翔にライザーは言葉を詰まらせる。
そのタイミングを見計らったように今まで黙って傍観していたグレイフィアが介入してきた。
「御剣様の言うとおりです、ライザー様。もし、これ以上続けるようなら私もサーゼクス様の名誉のためにも黙っている心算はありません」
静かだが、迫力のあるグレイフィアにライザーは怯む。やがて、鼻を鳴らしながら髪を掻き上げる。
「・・・最強の《女王》と称される貴方にそんなことを言われたら俺も流石に怖いよ。
化け物揃いと噂のサーゼクス様の眷属を敵に回すなんて絶対にしたくないからね」
暗に翔の言葉に納得して矛を収めた訳ではないと言いたいようだ。
随分と器の小さい奴である。
そんなライザーに対して翔は―――
「翔様、お下がりください。これ以上は私がお相手になります」
「構わんぞ?」
目を細めて殺気を滲ませるグレイフィア。
自分達が受けているわけではないのに、グレイフィアの殺気に僅かに震えるリアス達とライザー。
「一応、主のリアスが嫌がってるのにそれでも迫る輩がいる。
なら下僕の俺としては主を守るのが当然だろ? 例えその相手がどんな奴でもな。
これで納得出来ないなら実力行使をしたらいいだろ。
グレイフィアのみ僅かに殺気を向けて言う翔。
途中、一応って何よ! とリアスの声が聞こえたが無視する翔。
「・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・」
睨み合う翔とグレイフィア。
リアスや朱乃達は固唾を飲んで見守っている。
それもそうだ。グレイフィアに喧嘩売ってるようなものだ。
あの『
「・・・貴方のその自信・・・神器を宿しているからですか?」
「自信じゃない事実だ。確かにそれもあるが、な・・・」
再び睨み合うが、少しの沈黙の後・・・。
「・・・・・・今回は俺にも少なからず非はあったからここは退く」
翔は発してい威圧をやめると、それに合わせグレイフィアも殺気を収める。
「だが、次にこいつがふざけたことをしたら、その時は―――」
「・・・分かりました」
「ま、待て。ここまで言われて「ライザー様」くッ!・・・・・・チッ!!」
ライザーが何か言おうとしたがグレイフィアが睨んだことで引き下がった。
「こうなることは旦那様もサーゼクス様もフェニックス家の方々も分かっていました。
なので、最終手段を取ります」
「最終手段?どういうことグレイフィア」
グレイフィアの言葉に疑問の声を上げるリアス。
「お嬢様がご自分の意志を通すというならレーティングゲームで決着をつけるというのはいかがでしょうか?」
「なっ!?」
「へぇー。俺は成熟してるし、もちろん公式のゲームにも参加してる。
今のところ勝ち星の方が多い。それでもやるか?」
「ええ、やり「待て」・・・翔、いきなりどうしたの?」
途中で言葉を止めた翔に怪訝な視線を向けるリアス。
「グレイフィアさん。お互いの賭ける物を確認したいんだが?」
「構いません。ライザー様が勝った場合は予定通り式を挙げます。
リアスお嬢様が勝った場合はライザー様との婚約の破棄となります」
「駄目だ。賭けが対等じゃない。そっちが先に約束であった大学卒業まで自由にさせるという約束を破ろうとしたんだから、この条件では不公平だ」
「ではどのような報酬を?」
グレイフィアの問いに翔は少しだけ考える仕草をしてから答える。
「・・・こっちが勝った場合は婚約についてグレモリー家は一切の口出しをしないと約束してもらう」
「それはそれで不公平ではありませんか?」
グレイフィアは翔の言葉に目を細めて言う。
「そっちはこうなる事を予想し、ライザーを婿養子にしたんだろ?」
翔も視線を鋭くし、グレイフィアを見る。
「・・・・・・・・・・・」
「沈黙は肯定だぞ? そっちが決めた土俵で戦うんだ。
これくらいの条件じゃないと釣り合わない。ま、まだこっちが損してるがな・・・」
肩を竦めながら言う翔。
グレイフィアは少し瞑目してから言う。
「・・・・・・分かりました。先ほど提示されたものを報酬ということにします。ライザー様はよろしいですか?」
「どうせ勝つのだから全く構わない」
こうしてリアスとライザーの非公式のレーティングゲームが決まった。
此処で終わればいいものをライザーは―――
「なぁリアス。まさか、ここにいる面子が君の下僕なのか?」
嘲笑を向けてくる。
話は終わったんだから、帰れよ・・・ と思う翔。
「だとしたら、どうなの?」
「それじゃ話にならないんじゃないか?君の《女王》の『雷の巫女』ぐらいしか
俺のかわいい下僕に対抗できそうにないな」
随分な呼び名だな、朱乃は。ま、リアスも物騒な呼び名があったな・・・。
変なところに感心しているとライザーがパチンと指を鳴らす。
すると再び部室内に魔法陣が浮かび上がりライザーの下僕らしき者達が現れる。
現れた人数も多いが、驚いたのは―――
「(全員女じゃねぇか)・・・くだらないな」
そう、全員女である。下僕を集めた結果、たまたま全員女だったわけではないだろう。
狙ってやっている。
ちなみに翔の呟きは近くに居た、祐斗とアーシアにしか聞こえなかった。
祐斗は翔の態度に苦笑しながらも頷き同意する。アーシアはオロオロと反応に困っていた。
「数では圧倒的に有利だと言いたいの?」
「数だけじゃない、実力も圧倒的さ。レーティングゲームの経験も無い上に一人は人間!
俺も今まで結構な回数のレーティングゲームをやってきたが、ここまでの出来レースは初めてさ!」
大きく笑ってみせるライザーにリアスは悔しそうに唇を噛み締める。
ライザーの言うとおりだ。確かにこの場にいるリアスの眷属達は実戦経験こそあるが、
レーティングゲームの経験は無い。その上、アーシアは実戦経験も皆無に等しく、
翔に至っては悪魔ですらない。
だが―――
「で、それがどうした?」
そんな些細な事が何になろうか?と言いたげな表情で言う。
部室にいる全員の視線を浴びながら翔は一歩前に出て、ライザーに向きながら言う。
「確かにこっちはゲームの経験がないし、数も少ない。でもな、それが俺達の負ける理由にはならない」
翔の言葉に部屋は沈黙する。
やがて、笑い声が室内に響いた。笑いの発生源であるライザーに全員の視線が集まる。
「ハハハ! 勇ましいな。しかしだな人間君。そういう台詞は相応の実力を持ってる奴が
言うからこそ格好がつくんだぜ?お前みたいな奴がそんな事を言っても、
赤っ恥をかくことにしかな―――」
「黙れよ。餌を求める雛じゃあるまいし口を閉じる事は出来ないのか?」
翔はライザーの言葉を遮り、挑発する。
「俺が雛だとッ!? この人間風情が調子こきやがってぇっ!!」
「ライザー様・・・」
翔の言葉にライザーが激昂するが、ライザーの眷属である大きな杖を持った女性がライザーに近づく。
そして、落ち着くように促す。普通はそこで終わりだ。いや、終りでいいはずなのだが・・・。
ライザーは近づいた女性と貪るように口づけを交わし始めた。
リアスはあからさまに強く嫌悪な表情を浮かべる。
それもそうだろう。一応、婚約者である男が婚約相手である自分の前で堂々と眷属悪魔とはいえ、
他の女性とキスをしているところなど見たら不愉快に決まっている。
そんなことをするような奴と結婚したいとは思わないだろう。
朱乃もリアスと似たような表情を浮かべており、小猫とアーシア、祐斗は顔を赤面させている。
特に初心なアーシアは頭から湯気を出すかと思うほど赤面し、あうあう・・・、と唸っていた。
グレイフィアはただなんも反応もしてないが、僅かに冷たい目をしている。
「・・・お前はリアスと結婚する気なんだろ?」
「ああ、愛するぞ。―――俺の女の一人としてな」
その言葉にリアスはライザーを強く睨み、軽蔑の視線を向ける。
「人間界の諺にもあるだろ? 英雄色を好む」
ライザーがニヤついた表情を浮かべて言う。
だが、その言葉がいけなかった。
翔の前で英雄を侮辱したこと・・・。
・
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部屋に殺気にも似た威圧が充満する。
「・・・・・・貴様が英雄だと? 自分が英雄のような存在と言いたいのか・・・?」
―――民のため、国のために自分を殺し、完璧な王であり続けようとした、一人の少女がいた
―――姉達を守るために戦い続け、魔へと堕ちてしまった、一人の女性がいた
―――愛し、愛される歓び。誰よりも人を愛していながら、それを知ることのなかった孤独な、一人の少女がいた
―――愛と忠義の狭間で悩みながらも生き、騎士道を全うしようとした、一人の騎士がいた
―――多くの戦友達と共に見果てぬ夢へと走り続けた、一人の王がいた
そんな彼らの・・・彼女らの『誇り』をこいつ如きが穢すというのか・・・ッ!?
鷹のように鋭い視線でライザーを射抜く。
翔から僅かに漏れ出す魔力、殺気に耐え切れずに部屋の床や壁が悲鳴を上げる。
「ふ、ふん! 所詮、人間程度の英雄など高が知れている! やれ、ミラ! 人と悪魔の差を見せてやれ!」
僅かに後ずさりながらも虚勢をはるライザー。
そして、自分の眷属の一人に指示を出す。
どうやら相手は翔から放たれる威圧に気づいていないようだ。
何故なら、翔がそれを悟られまいと押さえているからだ。
この場でそれを感じ取れているのはグレイフィアくらいだろう。
表面上は先ほど通りだが、内面では冷や汗を掻いており、
何時何が起きても動けるようにしている。
「はい、ライザー様」
ライザーの指示を受けて小猫くらいの体躯の女の子が長い棍をクルクルと器用に回し翔へと構えた。
そして、一直線に突いてきた。
だが、その速度は《騎士》の祐斗には遠く及ばず、見切ることなど翔にとっては造作もなかった。
翔はそれを左手で受け流し、そのまま左手を相手の腹部に掌底を放つ寸前で止める。
『なっ!?』
周りは何が起こったのか理解できてないようだ。グレイフィア以外・・・。
恐らく周りには勝手に棍が翔を避け、何時の間にか相手の腹に翔の左手が添えられてるとしか思われてないだろう。
「主の指示だから手は出さないが次はないぞ」
鋭く射抜くように見られた少女はその場でぺたんと座ってしまう。
「きっ、貴様ッ! 俺の可愛い下僕を!!」
「俺は手は出してないぞ。寸止めしたじゃないか? だが、これ以上続けるつもりなら容赦はしない」
射抜くようにライザーに視線を向ける翔。
ライザーも負けじと翔を睨む。
二人の間に僅かに緊張感が奔り、沈黙の硬直が続いた。
「・・・そこまでにしてください。続きはレーティングゲームでお願いします」
すると、いつの間にか二人の間に立ち、溜め息を吐くように言うグレイフィア。
「だが、グレイフィア殿! こいつは俺の下僕を傷つけた! 相応の罰を与えるべきだ!」
「いえ、御剣様は指の一本たりとも貴方の眷属には触れていません。
むしろ、貴方が先に手を出したのではありませんか。
これ以上するのなら、サーゼクス様の《女王》として、貴方方を粛清させていただきます」
グレイフィアから威圧するように殺気が放たれる。
それに向けられていないリアス達ですら冷や汗を掻く。
アーシアに至っては涙目で震えている。
「・・・・・・わかりました。ならば、レーティングゲームで決着をつけましょう!」
「ゲームはこれから10日後とします。詳細は後程、連絡をいたしますので、今日の会談はこれで終わりにさせていただきます」
そうグレイフィアが締めくくると、ライザーは登場した時の同じ魔法陣を自分と眷属の足元に展開させる。
「リアス。ゲームは十日後だ。せいぜい楽しませてくれよ?
そして、そこの貴様・・・。10日後だ。その時は我がフェニックスの地獄の業火で燃やし尽くしてやるからな」
捨て台詞を言ってライザーとその眷属達は魔法陣を発動させて去って行った。
その後も、準備があるためグレイフィアは一旦冥界へと帰った。
「リアス。半ば勝手に進めたが、このゲーム絶対に勝つぞ」
静かに、だが力強く言う翔にリアスも頷く。
朱乃や祐斗、小猫、アーシアも瞳には決意が見れる。
「ええ、勿論よ。明日から修行よ! 今日は家に帰って準備しなさい!」
感想、意見受付中!
活動報告にも次の作品のアンケートがあるのでよかったら見てください!
色々書いていくうちに全然まとまらなくなってしまい
ちょっと無理やりな気もしますがすみません。
未熟な私にはこれが限界です!