ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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第三章 月光校庭のエクスカリバー
第16話 生徒会との会合


リアスの婚約騒動が終わり、翔には平穏な日常が戻ってきていた・・・・・・あることを除けば。

 

「うぅん・・・・・・」

 

艶めかしい声がすぐ隣から聞こえる。

そして、右腕にかかる重荷を感じられ、視線の端には鮮やかな紅髪が見える。

 

「こいつをどうするかだな・・・」

 

全裸のリアスが翔の右腕を抱き枕にして寝ているのだ。

 

「んっ・・・・・・あら、もう起きていたのね。おはよう、翔」

 

「ああ、おはよう、リアス。ところでだ・・・・・・お前は何度言えば気が済むんだ? 布団に入るなと言ったはずだが・・・」

 

「私、裸じゃないと寝れないのよ」

 

リアスの返答に翔は、誰もそんなことは訊いてない・・・、と溜め息を吐きながら零す。

翔がリアスの婚約パーティーに乗り込んだ翌日の朝、リアスが翔の家に引っ越してきた。

元々、リアスに用意してもらった家なので、翔は特に何も言うことはなかったのだが、その際にリアスとアーシアは視線を交わし、火花を散らしていることに、翔は首を傾げたが、喧嘩ではないと察したので特に何も言わなかった。

そして話は戻るが、リアスは引っ越してきてから今日に至るまで、夜の内に翔の部屋に勝手に侵入し、朝になると全裸で同じ布団で寝ているのだ。その度に翔が注意をするのだが、どうやら聞き入れる気はないようだ。

 

「お前には自分の部屋があるだろ。そこで寝ろよ」

 

「私は貴方と一緒に寝たいのよ」

 

「グレイフィアさんが言っていただろ、無闇に男に肌を晒すなって・・・。俺は男でお前は女だ」

 

「あら、私の身体にでも欲情したのかしら?」

 

「はぁ・・・」

 

からかうような表情を浮かべるリアスに翔は面倒だなと言った感じに溜め息は吐く。

その態度が癇に障ったのか、リアスは声を荒らげて翔に文句を言い始める。

 

殺気か敵意が僅かでもあれば反応は出来るんだが・・・それがないからどうしても反応が出来ない・・・前なら反応が出来たんだが、こっちにきてからだいぶ勘が鈍ったな。そのうち戻さないと駄目だな

 

「ちょっと聞いているの? 話はまだ終わってないわよ!?」

 

「もう少しだけ眠っていろ」

 

まだ騒いでいるリアスに当て身を行い、意識を絶つ。

 

「これで漸く静かになったな・・・。さてと、鍛練を始めるか」

 

気絶させたリアスを布団に寝かせてから、鍛練を行うために寝間着から動きやすい服装へと着替え始める。

 

「だから、俺はお前に女としての慎みを持てと言っているだけだ。いい加減、自分部屋で寝ろ。

それとこの家はお前だけが住んでいるわけじゃないんだ、せめて裸で過ごすのは自分の部屋だけにしろ」

 

朝の鍛錬を終えた翔は、後から起きてきたアーシアと共に日課となっている2人でのランニングを行い、家に帰ると朝食の準備をしているリアスがいた。

先にアーシア、次に翔とシャワーを浴び、汗を洗い流した後、リアスが作った朝食を3人揃って食べ始めた。そして、朝食の席で翔は今朝の出来事に対して、リアスに説教をしていた。

 

「いいじゃない、ここには貴方とアーシアしかいないのよ。別に知らない人の前ではしないわよ」

 

「はぁ・・・・・・仕方ないか」

 

翔が深い溜め息を吐いてから言った言葉を聞いて、リアスは翔が諦めたと思ったのだが、次の言葉を聞いて体を固まらせた。

 

「グレイフィアさんに教育してもらうしかないな」

 

「え・・・?」

 

「だから、俺が言っても聞かないんなら、グレモリー家の使用人であるグレイフィアさんかお前の親に言ってもらうしかないだろ? 幸い、グレイフィアさんの連絡先は前に教えてもらったんでな、いつでも連絡が出来る・・・・・・さて、どうする?」

 

最期に意味深な表情で問いかける。

リアスは翔の言葉を聞いて、全身から冷や汗を流しながら視線を忙しなく動かした後、観念したように言う。

 

「・・・・・・善処します」

 

「・・・今はそれでいいか。ほら、さっさと学校に行くぞ」

 

「ふぅ・・・終わったな。少し時間がかかったが、まぁ大丈夫だろ」

 

そう言いながら、翔はオカルト研究部の部室がある旧校舎へと足を運んでいた。

現在は放課後。朝の一件のような面倒事は起きずに、何事もなく授業を終えた翔であったが、同じクラスのアーシアと祐斗と共に部室へと行こうとしていたところで、同じクラスのある男子生徒2人が女子達と問題を起こしているところを目撃したのだ。それをお人好しの翔が無視することもなく、態々、仲介に言ったのだ。その際に長くなりそうだから、アーシアと祐斗の2人には先に行ってるように言ったため、こうして現在、1人で部室へと向かっているのだ。

 

「それにしてもあの2人は本当に懲りないな・・・。これで何回目だ? ああ、途中で数えるのやめたんだ」

 

よく問題を起こす男子2人のことを思い出すと、溜め息しか出てこない。

そんなことを考えていると、どうやら旧校舎前まで来ていたようだ。

だが―――

 

・・・・・・部室のところにリアス達以外の複数の気配を感じるな

ああ、あの連中が来ているのか・・・。面倒事にはならないと思うが・・・

 

考え事をしていて、旧校舎に着くまで気がつかなかったが、部室には何時ものメンバー以外の複数の気配を感じとる。もっとも、翔はその気配達には心当たりがあるため、それほど驚くわけでもない。

ただ、ライザーの時のような面倒事は勘弁してほしい、と考えながら旧校舎へと足を踏み入れる。

 

「・・・失礼する」

 

部室前に着いた翔は、ドアを軽くノックした後、部屋に入ると、思い浮かべていた人物達がいた。

 

「初めまして、支取(しとり) 蒼那(そうな)生徒会長。いや、上級悪魔ソーナ・シトリーと呼ぶべきか?」

 

翔はリアスと対面に位置するようにソファーに座って優雅に紅茶を飲む女性に話しかける。

冷たく厳しい雰囲気を纏う知的でスレンダーな美人。名は、支取蒼那。リアスと朱乃と同じく三年の上級生、翔の先輩にあたる人物。そして―――

 

「流石ですね、御剣くん。こうして直接顔を合わせるのはリアスの婚約式以来ですね? もっともあの式は貴方が滅茶苦茶にしましたが・・・」

 

大昔の三大勢力の戦争で生き残った72柱の1つ・・・シトリー家の次期当主であり、リアスの幼馴染である上級悪魔のソーナ・シトリー。

 

「ああ、あの時は挨拶が出来なくて申し訳ない。では、改めて挨拶をさせてもらう。

一応リアスの《兵士》を務めている御剣翔だ。これからよろしく頼む」

 

姿勢を正し、右手を胸に当てて、軽く一礼する。

その動きは洗礼されており、どこかで作法を学んだことが理解できる。

そこから、新米である翔とアーシアに対して生徒会の役割について説明がされた。

 

「要約するとリアスは夜を担当で、昼間はソーナ会長が担当しているわけか」

 

「ええ、その解釈でいいです」

 

翔の言葉にソーナが頷く。

なるほどな、と納得していると、ソーナの後ろに控えていた唯一の男子が偉そうな態度で翔に話しかけた。

 

「会長と俺達シトリー眷属が日中動き回ってるからこそ、平和な学園生活を送れてるんだ。

それだけは覚えておいてくれてもバチは当たらないぜ? ちなみに俺の名前は匙元士郎。

二年生で会長の《兵士》だ」

 

「あら、翔と同じ《兵士》よ。仲良くすれば?」

 

匙の言葉を聞き、翔と同じ《兵士》とわかるとリアスが視線を翔に贈り微笑みを浮かべながら言う。

すると匙は翔に視線を向けながら言う。

 

「どうしても、仲良くしてほしかったら、ちゃんとお願いするんだな?」

 

随分と上から目線でものを言う。完全に翔の事を見下して見ていることが分かる。

その態度を見て、僅かにリアス達が眉を吊り上げる。

自分達を支えてくれた翔に対して、あまりの不遜な態度に僅かに怒りを感じているのだろう。

滅多に微笑みを崩さない祐斗と無表情な小猫でさえ、冷たい視線を匙に送っている。

だが、当の本人は特に気にした態度を見せずに匙の相手をする。その際に視線で気にしてない、とリアス達に告げる。

 

「ああ、別に構わない」

 

「何だよ、見た目に反して随分と腰抜けなんだな。まぁ、それが賢明な判断だな。

こう見えても俺は駒を4つも消費した《兵士》だぜ? 転生で失敗して人間のままの御剣なんぞに負けないぜ」

 

翔の反応を見て調子に乗った匙は、さらに翔を馬鹿にするように言葉を続ける。

ますます自分で首を絞めていく。すでに、祐斗と小猫は翔が止めてなかったらすぐにでも飛び出しそうな勢いだ。アーシアはぷくっと頬を膨らませ怒りを表しており、リアスと朱乃は顔こそは笑っているのだが、目が全くと言っていいほど笑ってはおらず。相当頭に来ているようで、僅かにだが、全身から魔力が迸っている。ソーナも近年稀に見るほどの親友の怒りに冷や汗を掻き始める。

流石にそれを見逃すことも出来ずに、翔はリアス達のみを威圧させ、強制的に制止させる。

威圧を受けたリアス達は一瞬で顔を真っ青にさせたが、ソーナ達が気づく前に表情を元に戻す。

だが、怒りが無くなったわけではないので、まだ不機嫌なのは仕方がない。

 

「匙、いい加減にお止めなさい。・・・すみません、御剣くん」

 

冷たく鋭い視線を匙に向け、匙を黙らせた後、ソーナは翔に頭を下げ、謝罪をする。

だが、匙はそれを見て黙っているはずがなく。またもや声を上げる。

 

「か、会長! 何故、御剣なんぞに頭を下げるんですか!?」

 

「黙りなさい、貴方は失礼なことを言ったのですよ。それを自覚しなさい」

 

再度、匙を仕掛けるソーナに翔が声をかける。

 

「ソーナ会長、俺は別に気にしていないので構いません」

 

「ありがとうございます。それで言うが遅くなりましたが、今日ここに来たのは、この学園を根城にする上級悪魔同士、折角ですので最近下僕にした悪魔を紹介し合う為です。もっとも御剣くんは悪魔ではないのですけど・・・」

 

「それは仕方ないわ・・・。私も不思議に思うのだけど、いくら調べても分からないの。今のところ問題もないから、そのままにしているわ。そのうち、ちゃんと調べる必要がありそうだけどね・・・」

 

リアスの言葉通り、翔が《兵士》の駒が体内に入った後に、色々と調べはしたのだが、翔が人間のまま転生した理由は未だに分かっていない。何かしらの不具合が起きたと考え、冥界に一度帰って検査しようとしたのだが、翔自身が面倒と言う理由で却下したのだ。流石にそんな理由でリアスが納得することもなく無理やりにでも連れて行こうとするが、翔がそれを躱し続けた結果、体調が悪くなったら問答無用で連れて行くということになって、その件は終わりにとなった。

だが、1つだけ分かったことがあった。プロモーションが出来ないことが分かった。

《兵士》の最大の特性であるプロモーションが使えないのだが、翔は別になくてもいいと思っているので、リアス達には気づいたら伝えよう程度しか思っていない。

 

「まぁそういうわけだ。よろしくな、匙元士朗」

 

「へっ! よろしくやってやるよ」

 

あくまでも上から目線を改めない匙に、翔は内心で苦笑してしまう。

 

「匙、貴方はどうして御剣くんにそのような態度をするのですか?」

 

「会長、俺は自分より弱い奴を相手するほど、お人好しではないです」

 

あまりの見当違いな答えを述べる匙に、リアス達はもはや怒りより憐みの視線を送ってしまう。

何故なら、匙の中では翔が弱いことになっているのだ。翔の実力を知っているリアス達からしたら匙はあまりにも滑稽だ。

流石のソーナも自分の下僕の言葉に呆れてしまう。

そして、真実を述べる。

 

「まったく貴方は・・・いいですか、匙? 今の貴方では御剣くんに絶対勝てません。

彼は《兵士》の駒を8つ消費しており、1人でライザー・フェニックスの眷属の半分を余裕で相手をし、無傷で勝利した上、《王》であるライザー・フェニックス本人も1人で倒しています」

 

「ッ!? だ、だったら今すぐ力を見せてみろよ! フェニックスを戦慄させたっていう力を!」

 

ソーナの言葉を聞き、匙は驚きの表情で固めたが、すぐに声を荒らげて翔に言い放つ。

 

「ライザーと同じか・・・・・・やってもいいが、お前―――死ぬぞ?」

 

最期に言い放つ言葉と共に、ほんの一瞬、誰もが気づけないほどの刹那の時間、匙のみに殺気を放ち威圧する。それだけで、匙はその場に膝を付き、過呼吸になったような呼吸を繰り返す。

それを鋭く冷たい眼で見ながら、匙に向けて翔は静かに言う。

 

「調子に乗るのは構わないが、些か乗りすぎだ。これでもまだ納得いかないというのなら、何時でも相手をしてやる」

 

「ッ!? はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・クッ!? いいぜ、お前なんぞ一瞬で終わらせてやる!!」

 

どうやら翔が殺気を放ったことにすら気づいていないようで、匙はまだ威張り続けた態度でいる。

そして今夜、翔と匙が勝負することとなった。

 

時刻は午前1時頃、空は当然の如く闇に染まっており、月と星のみが輝いている。

場所は駒王学園、運動場・・・そこに翔と匙は対峙していた。

そして、対峙する2人から離れた場所にリアス達とソーナ達がいる。

被害が外に漏れないように運動場には結界が張られているが、それはあくまでも防音や攻撃を防ぐためのものであり、運動場は普通に破壊できるため、あらかじめ派手な攻撃はしないように言いつけられている。

 

「よく来たなぁ! 今から逃げてもいいんだぜ?」

 

対峙する匙は放課後の出来事をすっかり忘れており、自信満々の態度でいる。

 

「はぁ・・・。祐斗、合図と審判を頼む」

 

「うん。わかったよ」

 

翔の言葉を受け、祐斗は対峙する2人の間に立ち、片手を挙げ―――

 

「それでは―――始め!」

 

勢いよく振り下ろす。

それと同時に匙が猪の如く、猪突猛進で翔に突っ込んでいった。

 

「お前なんぞ一発で終りだ!」

 

右手を大きく振りかぶり、翔の顔面に放とうとするが―――

 

「え・・・?」

 

突然、匙に襲い掛かる浮遊感。

先ほどまで翔を捉えていた瞳は、何時の間にか夜空になっており、それを認識した瞬間に背中から襲い掛かる衝撃・・・。

 

「かはっ!?」

 

肺から空気が強制的に吐き出される。

頭にも衝撃が来ており、意識がはっきりとしない匙であったが、時間が経過すると共に意識がはっきりとして行き、頭上から翔の顔が現れた。そこで漸く、匙は自分が投げられたことを認識する。

 

「まだやるか?」

 

静かに問いかける翔に、呆然としていた匙は、はっ! とした表情を浮かべ、勢いよく立ち上がり、翔から離れる。そんな彼に翔はどうすることもなくただ立ったまま、匙を見据える。

 

「失敗したな、御剣・・・。お前は最大のチャンスを逃したぜ? 今ので俺は完全に目を覚ました、もう油断も慢心もしねぇ・・・。これが俺のとっておき―――黒い龍脈(アブソーブション・ライン)だ!!」

 

匙の突きだした左手の甲にデフォルトされた黒いトカゲの頭のようなものが顕現される。

 

「それがお前の神器か・・・」

 

僅かにだが、ドライグと似た気配を感じる・・・これはドラゴンだな

だが、だいぶ小さい・・・いや、分けられている、と言った方が正確か?

 

『よくわかったな、相棒。あの神器からはあるドラゴンの力を極僅かだが感じる。

五大龍王の一角『黒邪の龍王(プリズン・ドラゴン)』ヴリトラだな・・・。

だが、幾重にも魂が分割されているため、意識はないだろうがな』

 

やはりな・・・

それにしても五大龍王の一角とは、思いもしなかったな

 

龍王

グレートレッドとオーフィス、二天龍を除いたドラゴンの中でも強いとされる存在の称号。

その実力は魔王クラスと言われている。昔は『六大龍王』であったが、色々とあって現在では『五大龍王』となっている。

 

内心でドライグと会話していると、匙が声を上げる。

 

「伸びろ、ライン!」

 

匙の掛け声に反応し、トカゲの口から光る舌のような紐が伸びていきた。

だが、翔はそれに対して、避ける素振りも見せずに逆に自身から右腕を差し出し、絡ませる。

そして、僅かだが体から力が抜けるのが感じられる。

 

「なるほど、伸ばした紐で動きを封じ、対象の力を吸い取る能力」

 

「へっ! 油断しているからそうなるんだ!」

 

すでに勝ち気分で自慢げに言う匙だが、翔は実力の半分も見せてはいない。

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)はおろか、魔力だって使ってはいないのだ。

そのことに気づいていないのは匙のみ。

 

『いくら相棒でも相手の神器を能力も知らずに迂闊に触れるのは、これから止めるべきだ。

神器には多種多様の能力がある。それこそ触れた瞬間に意識を奪うものもあるかもしれない』

 

「ああ、分かっているさ。だが、今回は確信があった。もしそのような力があればあれほど堂々と真正面からやるわけないだろ。例えあいつが―――」

 

馬鹿だとしてもな・・・、口には出さず内心で言う。

 

「いくぜ!」

 

片腕を封じただけで勝った気でいる匙は真正面から翔に向かって走り出す。

どれだけ馬鹿なのだろう。

その行動に溜め息を吐いた翔は、右腕に絡んである紐を掴み、強く引っ張る。

 

「うわっ!?」

 

突然引っ張られたことにより、走っていた匙はバランスを崩し、無様にも顔面から転倒する。

だが、翔はそこで止めず、まだ絡まっている紐を今度は先ほどよりも強く引っ張り、転がっている匙を片腕だけで軽々しく宙に浮かせ、自身に引き寄せる。

引き寄せられる匙を見ながら、翔は左腕に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を顕現させる。

だが、能力は使わない。

 

「お前が見たがっていたライザーを戦慄させた一撃だ。もっともあの時の10分の1にも満たないがな・・・それでも今のお前には十分な一撃だ」

 

倍加せずに自前の魔力を収束させる。

宙にいる匙は、翔がこれからやろうとしているのを見て、恐怖で今にも泣きだしそうな表情を浮かべる。それが見えている翔だが、容赦なく赤黒い閃光を解き放つ。

 

「うわぁあああああ!!」

 

閃光に呆気なく呑み込まれる匙。

それと同時に翔の右腕に絡んでいた紐が消え失せる。

閃光が結界にぶつかる直前に霧散させると、宙からボロボロの匙が落ちてきた。

それを見たソーナ達、生徒会メンバーが慌てて回収する。

 

「勝者、御剣翔!」

 

匙の意識がない事を確認した祐斗は翔の勝利を宣言する。

 

「アーシア、すまないがあいつを回復させてやれ」

 

「はい!」

 

翔がアーシアに回復させるように促すと、彼女は元気よく返事をして、生徒会メンバーに心配されている匙の元へと向かった。すると、アーシアと入れ違うようにソーナが翔の前にきた。

 

「どうでしたか、匙の実力は?」

 

「思っていた以上に低いな・・・。油断や慢心をしないと言っておきながら、それらを捨てきれずに挑んできた。神器を使いこなせていない以前に、あいつ自身の成長が必要だろう」

 

「そうですか・・・ありがとうございます。御剣くん」

 

「別に何もしていないさ。俺のことは翔でいい、俺も普段はソーナと呼ばせてもらう」

 

「ええ、構いません。今日はありがとうございました、では失礼します」

 

「・・・・・・匙に伝えておいてくれ」

 

一礼して離れようとするソーナを翔は引き留める。

 

「何ですか?」

 

「自分の神器の事を知ろうとするんだな、とな・・・」

 

「それは、どうい―――」

 

僅かに眼を見開いて驚きを示したソーナは、詳しく聞こうとしたところを、翔はソーナの唇に人差し指を置く。

 

「それ以上は自分達で考えな、じゃあな」

 

そう言って、翔はリアス達がいる場所に向かう。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ソーナはしばらく呆然とするが、翔が触れた唇を自然と触る。

すると、自然と頬が熱くなるのを感じた。だが、すぐに慌てて顔を横に振り、頭の中を冷静にしようとする。そして落ち着いてから、生徒会のメンバーがいる場所に向かった。

 

 

 




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