ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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第20話 決戦場所は駒王学園

リアス達が学園の運動場に着くと、そこには大掛かりな魔方陣が展開されていた。

魔方陣中央には奪われた4本のエクスカリバーが宙に浮いている。

その近くにはフリードとバルパーの姿もある。

 

「ほう・・・傷一つ負うことなく来るとは思っていたよりもやるようだな・・・と言いたいところだが、赤龍帝の姿が見えないところを見ると、貴様らだけを先行かせたようだな」

 

宙に椅子を浮かせて、そこには座るコカビエルがリアス達を見下ろしながら言う。

 

「何をするつもりなの!」

 

「あれは分かれたエクスカリバーを一つにする魔方陣だ。バルパー1人では、力が足りないらしいのでな、少し俺が手伝ってやってるだけだ」

 

「ッ!? エクスカリバーの結合ですって!?」

 

「ああ・・・、まぁ結合の際に発生する力でこの町は吹き飛ばす予定だがな」

 

『なっ!?』

 

その言葉に驚愕の表情を浮かべるリアス達だが、それを無視してコカビエルは言葉を続ける。

 

「そんなことはどうでもいい。魔王が来るまで赤龍帝で愉しもうと思ったんだが、まだ来なさそうだな。赤龍帝が来るまで余興として、貴様らには俺のペットの相手でもしてもらおうか」

 

パチン!と指を鳴らすと、地に魔方陣が展開される。

 

「部長! あれは召喚用の魔方陣です!」

 

朱乃がリアスにそう言い、魔方陣の破壊を試みようとするが、遅かった。

魔方陣から巨大な炎の柱が立ち昇り、そこから数十メートルほどの巨体が姿を現す。

鋭い爪と牙を持つ、3つの首を持つ地獄の番犬―――ケルベロスだ。

 

「ケルベロス・・・地獄の番犬を地上に放つなんて!?」

 

目を見開いて驚きを示すリアス。

だが、すぐさま意識を切り替えて、自身の眷属達に指示を飛ばす。

 

「朱乃に小猫、戦闘準備よ! アーシアは後方で防御壁を展開させなさい!」

 

『はい!』

 

リアスの指示に従い、朱乃と小猫が前に出て、アーシアは後ろに下がり、自身の前に防御壁を展開させる。

 

咆哮を上げ、リアス達に襲い掛かるケルベロス。

召喚された数は二匹。

 

リアスは滅びの魔力、朱乃は得意の雷を放ち、小猫は徒手格闘で応戦する。

だが、地獄の番犬の名は伊達ではなく、彼女らの攻撃は当たるが、ダメージはあまり通っていない。

そのことに内心で、舌打ちをしてしまうリアス。

すると―――

 

「きゃあ!!」

 

突如響くアーシアの叫び声。

それに反応して、視線を向けると、そこには新たなケルベロスの姿があった。

そのケルベロスはアーシアが展開させていた防御壁を破壊する寸前だった。

 

「くっ! どきなさい!!」

 

目の前に立ちはだかるケルベロスに滅びの魔力を放つリアスだが、決定打にはならずケルベロスを殺すことが出来ずに、邪魔をされる。

 

これだとアーシアの元には間に合わないッ!!

 

とそう思った時―――

 

アーシアを襲おうとしていたケルベロスの地面から無数の剣が生えだし、ケルベロスの体を貫いた。

貫かれたケルベロスは痛みによる苦悶の呻き声を上げながら、その体を光の粒子に変えて幻だったかのように消えていった。

 

「・・・祐斗、遅いわよ」

 

「すみません、部長」

 

リアスをアーシアの方へ向けて言うと、アーシアの近くにいる祐斗は苦笑しながら謝罪する。

すると―――

 

「加勢に来たぞ、グレモリー眷属!」

 

破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)を片手に持ったゼノヴィアが姿を現した。

そして、リアスの近くにいるケルベロスをエクスカリバーで一刀両断する。

絶叫を上げながらケルベロスは先ほどのケルベロス同様、幻だったかのように消え去った。

 

「魔物に無類の力を発揮するのが聖剣だ」

 

不敵な笑みを浮かべて言うゼノヴィア。

それからリアスと朱乃が渾身の力を籠めた一撃で残ったケルベロスを屠る。

だが―――

 

「―――完成だ」

 

僅かに遅かった。

 

運動場に広がっていた魔方陣は強い輝きを放つ。

それに呼応するように宙に浮いていた4本のエクスカリバーも眩しい輝きを放っている。

 

「ッ!? 拙いわ! あれが完成してしまったらそのときに発生した力でこの街が!!」

 

リアスの言葉を聞いて、祐斗が一目散にバルパーへと迫ろうとする。

 

「バルパー・ガリレイ! 貴様にこれ以上好きにさせるわけにはいかない!」

 

僕や同士達だけじゃなく、関係のないこの街の人達の命を散らすわけにはいかない!

翔くんなら何としても止める! なら僕も―――

 

祐斗は自身が出せる最高速度で大地を駆けるが、それを易々と見逃すコカビエルではない。

 

「今いいところなんだ、邪魔はさせんぞ」

 

巨大な光の槍を創りだし、それを祐斗に放つ。

 

「くっ!?」

 

間一髪のところで体を無理やり捻って、直撃を回避した祐斗であったが、光の槍が地面と衝突し、その余波で吹き飛ばされる。

 

「祐斗!?」

 

リアスの叫び声が響く。

吹き飛ばされた祐斗は、手に持つ魔剣を杖代わりにして何とか立ち上がるが、ダメージは決して低くはない。余波だけでも、祐斗に大きなダメージを与えたのだ。直撃していたら助かりはしなかっただろう。

僅かにぼやける視界でバルパーの方を見る祐斗。

そこには、4本のエクスカリバーの代わりに、1本の聖剣が宙に浮いていた。

放つオーラは明らかに7つに分かれたエクスカリバーより上。

エクスカリバーの結合が成功した影響で、そのときに発生した力の全てが魔方陣に吸い込まれ、術式が浮かび上がり、その術式は地面へと吸い込まれた。

 

「あれが大地崩壊の術式!!」

 

「あと30分もしないうちにこの街の崩壊が始まるぞ」

 

リアスの叫び声を聞いて、コカビエルは笑いながら言う。

そんな中、祐斗はバルパーに近づき、憎悪が籠った視線を向けながら言う。

 

「バルパー・ガリレイ。僕は聖剣計画の生き残り・・・・・・いや、正確には貴方に殺された身だ。悪魔に転生したことで、こうして生きながらえている。僕は死ぬわけにはいかなかったからね。死んでいった、同士達の仇を討つために!!」

 

怒りに吼える祐斗を見て、バルパーは驚いたように僅かに目を見開く。

 

「これは奇怪な運命だな・・・、まさかあの計画の被験者にこのような場所で会うとは・・・。

そうかそうか・・・ならば、君には感謝の言葉を言わなければいけないな」

 

「感謝の言葉、だと・・・?」

 

バルパーの言葉に抑えきれない憎悪を放ちながら聞き返す祐斗。

 

「私はね、聖剣が好きなのだよ。幼少の頃、エクスカリバーの伝記に心を躍らせ、それを振るう自分を夢にまで見た。だからこそ、自分に聖剣使いの適性がないと知ったときの絶望といったら・・・・・・。そして、使う者に憧れを抱き、人工的にそれを創りだす研究に没頭するようになった。君たち被験者には、聖剣を扱う因子こそあったものの、聖剣を扱えるほどの数値は示さなかった。そこで、一つの結論に至ったのだよ。被験者から因子を抜き出せばいい、とね!!」

 

その言葉を聞いて祐斗の頭は真っ白になる。

彼はいったい何を言っているのだ、と―――。

 

必要なものがないと言うのなら、在るところから持ってくればいい。その発想自体はごく普通だ。

だが、元から在ったものを横から無理やり奪われた側からすれば、堪ったものではない。

 

バルパーは懐から青い宝石のようなものを取り出し、更に話を進める。

 

「抜き出した因子を集め、その因子を他者へと移せば、適性がない者でも聖剣を使うことが出来る!

これが私の研究成果だった!だが、実際に行ってみれば、教会は私を異端者と追放した挙句、研究資料まで奪い去っていったのだ! 今も教会では続けられているようだが、被験者は殺されていないようだな。あいつらは偽善者だからな」

 

「なら、僕達を殺す必要はなかったはずだ!」

 

「はははははっ!! 君は何を言っているんだ? 必要のない実験動物など殺して処分するのが当たり前だろ!?」

 

嗤うバルパー。

彼は心からそう思っているのだろう。

所詮、祐斗達、被験者は実験動物と変わりがない・・・・・・モルモット。

始めから祐斗達を同じ人とは見ていない。

 

「ッ!?」

 

あまりの怒りで声が出せなくなる祐斗。

だが、それ以上に悔しみ、悲しみが頭を占め、彼の目から涙が流れそうになる。

 

「ほら、これが君達から抜き出した因子の残りだよ。そうだ! 研究に協力してくれた君には感謝の印にこれをあげよう。このような残り屑などは私には不要さ。設備が整えば、いくらでも量産が出来るようになる!」

 

そう言って手に持っていた因子の結晶を祐斗の足元へと放り投げる。

足元に転がるそれを、祐斗は震える手で掴み、壊れ物を扱うように優しくそれを抱きしめる。

先ほどまで我慢していた涙が溢れだす。止めようと思っても止まらない。バルパーの言葉の一つ一つが彼の心に突き刺さる。

 

周りにいたリアス達はバルパーに怒りと侮蔑が混じった視線を向ける。

特にリアスは大切な眷属である祐斗の人生を滅茶苦茶にした張本人であるバルパーを今にも殺しそうな雰囲気だ。

 

「・・・僕は・・・・・・ずっと、ずっと思ってたんだ。僕が・・・僕だけが生きていていいのかって・・・。

僕よりも夢を持った子がいた。僕よりも生きたかった子がいた」

 

静かに語りだす祐斗。

 

「僕だけが、学校に行き、友達を作って、ごく普通の当たり前の人生を歩んでもいいのかと・・・。

僕、1人だけが幸せになっていのかと、ずっと考えていた・・・」

 

部長と出会ってから、毎日が輝くような日々・・・

 

「僕だけが生き残って・・・、僕だけがそれを謳歌する・・・ほんとは死んだ身なのに・・・

僕がいていい場所じゃない・・・・・・」

 

 

―――大丈夫

 

 

「ッ!?」

 

不意に耳に届く声。

祐斗が握り締める結晶から淡い光が発せられ、祐斗を囲うように広がっていく。やがてハッキリとした形を持って、青白い輝きを放つ無数の少年少女の姿が現れた。それは祐斗と共に聖剣計画の被害者達の霊魂。結晶になった因子と共に眠っていた彼らの魂が祐斗の心の震えに答えたのだ。

 

「僕は・・・何も、何も出来なかったッ! 君達を見捨てて、自分1人だけが生き残って・・・ッ!!」

 

懺悔にも似た叫び声を漏らす祐斗。

だが、そんな彼に現れた少年少女は優しい表情を浮かべている。

 

 

―――そんなことはない

 

―――君は何時だって・・・

 

―――私達のことを想っていてくれた

 

 

ああ、僕にとって君達も大切な人達だ! 決して忘れることなどない!!

 

 

―――その想いは皆同じ・・・

 

―――貴方は1人じゃない

 

―――1人じゃ駄目だった・・・

 

―――でも、皆と一緒なら大丈夫

 

 

祐斗の周りにいる光から聖歌が響く。

それはどこまでも暖かく、優しく、祐斗の心の奥にまで染み渡っていく。

リアスや朱乃は驚いた表情を浮かべ、小猫は感動したような表情をしている。

そんな中でアーシアはその瞳から溢れんばかりの涙を流しながらも、両手を組んで祈る。

 

 

―――聖剣を受け入れよう

 

―――例え君のことを神が見放しても、見ていなくても

 

―――君には僕達がいる

 

―――私達は・・・・・・

 

 

「一つだ・・・!!」

 

 

祐斗の周りにあった霊魂が光となって祐斗を包み、空にまで伸びる。

まるで結晶に眠っていた彼らの魂が天に昇っていくようだ。

その光は夜空を優しく照らす。

 

「・・・・・・バルパー・ガリレイ。僕の同士達は復讐など望んではいなかった。優しい彼らがそんなことを望むはずがない! だが、貴方はこれからも誰かを傷つけ、殺していくだろう。・・・僕は第二、第三の僕達を創らないために、貴方を―――滅ぼす」

 

祐斗は1本の剣を創りだす。

そして鋭い瞳でバルパーを射抜く。

その瞳は今までみたいに憎悪で濁ってはいなかった。

 

「だ、黙れ! 実験動物如きが! フリード! 完成したエクスカリバーでこいつを始末しろ!」

 

「・・・・・・ん? バルパーのおっさん、何か言いやした?」

 

祐斗の眼光に臆したバルパーは近くにいたフリードに命令する。

だが、命令された本人であるフリードはバルパーの声が聞こえていないような態度をした。

明らかに可笑しい以前の彼ならば、嬉々としてエクスカリバーを手に取って、悪魔である祐斗達を斬り裂きに行っただろう。だが、今のフリードからはそういった気配が一切しない。

 

「僕ちん、悪魔は大っ嫌いですけどねぇ、それと同じくらい教会が大っ嫌いなんですよ~」

 

軽い口調で言うフリードだが、その表情は何時ものふざけたものではない。

フリードはバルパーに軽蔑、侮蔑と言った視線を向けている。

 

「僕ちんが言うのも見当違いなんだろうけどさぁ~、あんた屑だわ。

まぁ僕ちんも悪魔に関わった、ってだけで人達を殺してきた屑野郎ですけねぇ~」

 

フリードは懐から銃を取り出して、バルパーの片足に撃つ。

 

「がぁあああああ!!」

 

襲い掛かる痛みに絶叫を上げるバルパーだが、フリードはそれを興味なさそうに眺めている。

 

「まぁこのおっさんことはどうでもいいや。僕ちんが欲しかったのはこれこれ!」

 

宙に浮く結合されたエクスカリバーを手に取るフリード。

 

「フリード・セルゼン。君に一体何が・・・?」

 

あまりの変わりように、祐斗が思わず呟いてしまう。

その呟きはフリードに聞こえたらしく彼は律儀に答える。

 

「いやさ~、君も知ってるでしょ? 翔くんの力、レイナーレの姐さんをぶっ殺した時の翔くんの赤黒い閃光を。僕ちん実は陰から見ていたんですわぁ。それ見たら何か、今までの人生が馬鹿らしくなってさ~。それに―――いや、これは語る必要はないですわ」

 

途中で言葉を止めたフリードに祐斗は怪訝な表情を浮かべる。

そんな祐斗を余所にフリードは手に持ったエクスカリバーの切っ先を祐斗に向けて言う。

 

「そんじゃ、イケメン君。さっさと始めようや。この前と違って今なら十分に戦えるでしょ?」

 

笑みを浮かべて言うフリードに祐斗は怪訝な表情を浮かべていたが、やがて諦めたかのような溜め息を漏らす。

 

「ふぅ・・・、君の変革に翔くんが関わっているとは思わなかったけど、僕はエクスカリバーを破壊する!」

 

過去との決着をつけるために!

未来へと進むために!

僕はエクスカリバーを壊す! 僕と、同士達の力で!!

 

「僕は証明してみせる! 僕達の想いは決して無駄ではなかったと!」

 

祐斗は一本の剣を創りだす。

 

「やりなさい、裕斗! 私の《騎士》は、エクスカリバー如きに負けはしないわ!」

 

「木場さん!」

 

「裕斗君! 信じてますわよ!」

 

「・・・・・・ファイトです!」

 

リアス達が祐斗に声援を送る。

祐斗はそれに答えるように力強く宣言する。

その瞳には、復讐の炎は燃え上がっていなかった。

ただ、純粋にエクスカリバーを越える、と言う想いが強く光り輝いている。

 

「僕は剣となる。同士達の想いを、眷属の皆を護る剣となる! 魔剣創造(ソード・バース)!!」

 

天に掲げた剣に光と闇が纏わり、相反する力同士が互いに尊重しあり、新たな物へと進化していく。

 

 

所有者の想いが、願いが、世界の流れに逆らうほど劇的な転じ方を見せたときに達する領域・・・

神から授かりし神器。人が持つ可能性によって辿り着く新たな境地。それが―――

 

 

「―――双覇の聖魔剣(ソード・オブ・ビトレイヤー)。聖と魔を有する力、身をもって知るがいい!」

 

 

―――禁手《バランス・ブレイカー》

 

 

神々しく禍々しい剣が姿を現した。

 

「最ッ高ーですよ!! 何々、その素敵な剣は!? 翔くんとの前哨戦にしてはちょっとばかり豪華すぎるんですけどぉおお!!!」

 

フリードが駆け出す。

その速度は以前、天閃の聖剣(エクスカリバー・ラビッドリィ)を持っていた時を超えている。

複数のエクスカリバーが結合したことにより、その力が高められているのだ。

だが―――

 

「以前の僕ではない! 僕は限界を超えるッ!!」

 

祐斗も負けていない。

目にも止まらぬ速さで迫ってくるフリードを捉える祐斗。

今の彼には迷いがない。故に自身の力の限界以上を引き出している。

 

祐斗とフリードは互いに超高速で動き回り、激しい剣戟を繰り広げる。

 

「速度は互角、いやイケメン君の方が若干速いわ! なら、次は剣の性能比べと行きましょうやぁああ!!」

 

剣戟を繰り広げていたフリードは手に持つエクスカリバーの刀身が薄く伸び、まるで鞭のような形状に変化した。

擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)の力による形状変化。

変幻自在な軌道から襲い掛かる切っ先に祐斗は紙一重で避け、フリードの間合いに踏み込もうとするが―――

 

「それは悪手でござんすよぉお!!」

 

フリードは手首を僅かに返すことにより、避けたはずの切っ先が背後から襲い掛かった。

 

「ッ!? はぁあああ!!」

 

祐斗は雄叫びを上げながら無理やり体を捻らせて、切っ先を躱して聖魔剣で弾く。

 

「おおっ! よく避けたッスねぇ!!」

 

避けられたことに対して、怒りを見せることはせずに、ただ感嘆の声を漏らすフリード。

フリードはただ単に刀身を薄く伸ばしただけではなく、剣先を僅かに重くすることによって、手首の微妙な返しを、そのまま刀身の軌道に伝えることが出来るようにしたのだ。

 

「・・・フリード・セルゼン。君は歴代でも聖剣の使い手としてかなり高い実力者に入るかもしれない。でも―――」

 

再びフリードに肉迫する祐斗。

フリードは先ほどと同じように、鞭を振るうが如くエクスカリバーを振るい、変幻自在の攻撃を繰り出すが、祐斗は避けずに聖魔剣で弾き飛ばす。

 

「それだけじゃ、これは止まりませんよ!」

 

フリードは絶妙な力加減で、聖剣を操り、弾かれた刀身は再び祐斗に襲い掛かるが、祐斗は―――

 

「僕は負けない! 一本で対応できないなら、二本で対応すればいい!」

 

もう一本の聖魔剣を創りだし、二刀流で迫りかかってくる斬撃の数々を弾いていく。

 

「なら今度は見えなくなったらどうしますか?」

 

「ッ!?」

 

突然、祐斗の視界からエクスカリバーの姿が消える。

透明の聖剣(エクスカリバー・トランスペアレンシー)による力で剣を透明化させたのだ。

刀身が見えなくなったことで、どこから襲い掛かるか見えないのだが―――

 

「刀身から聖なるオーラが駄々漏れだよ!」

 

エクスカリバーが放つ聖なるオーラを感じ取り、襲い掛かる斬撃を容易に対処してしまう。

 

「マジですか!?」

 

驚愕の声を漏らすフリード。

 

祐斗が言った通り、フリードは歴代の聖剣使いでもトップクラスに近い実力者に入るのは間違いないだろう。実際に、擬態の力を持っていたイリナよりも使いこなしている時点で、その才能は高いことが窺える。だが、あくまでもその才能は原石であって、磨かれたものではない。能力を使うことが出来ても完全に使いこなすことまでは出来ないのだ。

 

変幻自在の斬撃を全て捌き、フリードの懐へと迫った祐斗。

フリードは、すぐに刀身を元に戻して、祐斗の一撃を受け止める。

鍔迫り合いを行う2人は不敵な笑みを浮かべながら互いを讃える。

 

「前とは全然違うねぇ! それに不完全とはいえ、エクスカリバーたんの性能に追いつく・・・いや、上回っているとは随分とふざけた仕様ですねぇ~」

 

「君こそ、よくそこまでエクスカリバーを扱っているね」

 

すると―――

 

「ペトロ、バシレイオス、ディオニュシウス、そして聖母マリアよ。我が声に耳を傾けてくれ」

 

ゼノヴィアは呪文のようなものを唱えると、横に伸ばした右手の手元の空間に小さな亀裂が奔った。

罅割れた空間から鎖で包まれている大剣が姿を現した。

 

「この刃に宿りしセイントの御名において、我は解放する―――デュランダル!!」

 

「デュランダルだと!? 貴様、エクスカリバーの使い手ではなかったのか!?それに私の研究ではデュランダルを扱うまでの所までは到達していない!」

 

先ほどまで痛みで悶えていたバルパーが驚愕の声を漏らす。

 

「当然だ。私はイリナやそいつとは違い、数少ない天然物だ」

 

「なっ!?・・・完全な適性者。真の聖剣使いだというのか!?」

 

「デュランダルは触れたものは何でも斬り裂く暴君でね。私の言うことも碌に聞かない。普段は異空間に閉じ込めておかないと、危険極まりないんだ」

 

「ここにきて、そんな切り札はちょっと厳しいですわ~。でも・・・・・・それはそれでありです!!」

 

祐斗と鍔迫り合いをしていたフリードはエクスカリバーに力を籠めて、祐斗を軽く吹き飛ばす。

その隙に再び鞭のように刀身を変えて、ゼノヴィアへと攻撃をする。

蛇のような軌道で動く刃は、途中でその切っ先を枝分かれし、さらにその姿を消す。

 

「なるほど、私やイリナよりも扱いが上手いようだな。だが―――」

 

右手にデュランダルを持ち、左手に破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)を持つゼノヴィアは、二つの聖剣で襲い掛かる聖剣を一閃する。

 

「性質的には私の方が適しているようだ!」

 

枝分かれた切っ先の全てを砕くゼノヴィア。

 

「流石は伝説の聖剣、中途半端なエクスカリバーじゃ話になりませんな!」

 

フリードはこのまま攻めるのは無理だと悟り、伸ばした聖剣を元に戻し、ゼノヴィアに肉迫しようとするが―――

 

「僕のことを忘れてもらっては困る!」

 

フリードの前に祐斗が姿を現す。

 

「そうでした! ったく、2人同時は厳しいですよぉ!」

 

祐斗の二刀の聖魔剣から放たれる斬撃をフリードはエクスカリバーで対応する。

さらに激しくなる剣戟。おそらく、2人の姿はコカビエルとゼノヴィアを除いた者達には見えていないだろう。

 

祐斗は剣戟を繰り広げている途中で、いきなり片方の聖魔剣を地面に突き刺す。

それを見て怪訝な表情を浮かべるフリードだが、突如襲い掛かる悪寒に従い、その場から離れる。

すると、フリードがいた場所から無数の聖魔剣が生えだしてきた。

間一髪のところで避けたフリードだが、祐斗はすでにフリードの前に移動していた。

 

「これで終りだ! 僕の、僕達の勝ちだ!」

 

両手に持つ聖魔剣を一閃する。

 

パキンッ!

 

響き渡る金属音。

折れたのは―――エクスカリバーだ。

 

「あ~折角、翔くんと戦う力を得たのになぁ~。・・・まぁ楽しかったからいいや。

次は必ず勝つぜ、イケメン君・・・いや、木場祐斗」

 

「次も勝つのは僕だよ」

 

「けっ、言っ、て・・・ろ・・・・・・」

 

そう言ってフリードは地面に倒れる。

彼の胴体には聖魔剣によってつけられた斬撃の跡があった。

だが、そこまで傷は深くはなく、ただ気絶しただけだろう。

 

「・・・・・・見ていてくれたかい。僕らの力は、エクスカリバーを超えたよ」

 

伝えるようにその想いを口にする祐斗。

 

「ばっ馬鹿な! 聖と魔の融合などありえん! 相反する力同士が混ざり合うなど不可能だ!!

そんなことが可能ならば、聖と魔のバランスが崩れているはず―――ッ!? そうか、そうなのか!? 聖と魔を司るバランスが崩れているという事は、魔王だけでなく、神も―――」

 

エクスカリバーが折れたことに酷く狼狽するバルパーであったが、やがてある思考に至ったようで、エクスカリバーが結合した時以上の、狂気な笑みを浮かべて自身の思考を吐き出した途中で、その言葉は止められてしまう。

・・・・・・何故なら、バルパーの体に光の槍が深々と突き刺さっているからだ。

バルパーは言葉の途中で絶命させられ、光の槍と共にその体を霧散させた。

 

「バルパー。お前は優秀だったよ。そこに思考が至ったのも、優れていたが故だろうな」

 

「・・・一体全体何の真似、コカビエル」

 

リアスがそう問いかけると、コカビエルはゆっくりと高度を下げながら答えた。

 

「俺は別に最初から一人でよかったんだよ。そこそこ愉しめたが、もう余興にも飽きた。

デュランダルにイレギュラーな聖魔剣、それに魔王の妹・・・だが、足りんな。赤龍帝はまだ来ない。ならば、さっさと貴様らを殺すとするか。そうすれば―――」

 

「ほう・・・是非とも教えてもらいたいものだな。―――誰が誰を殺す、だと?」

 

巨大な光の槍を創りだしたコカビエルはそれをリアス達には放とうとした時、声が響いた。

圧倒的な威圧を放つそれだが、リアス達からすれば、それは希望の光が感じられる。

 

「貴様は・・・」

 

「―――翔!」

 

リアスが翔の名を呼ぶ。

その声は感極まったものだ。

リアスだけでなく、朱乃、アーシア、小猫、祐斗も翔の姿を見て歓喜の表情を浮かべる。

 

「さぁ、こんな下らない事、さっさと終わりにしよう」

 

ライザーとの戦闘の際に着ていた黒いロングコートのような着物を身に纏った翔はコカビエルを見据えながら、静かに・・・だが力強く言い放つ。

 

翔は左腕に紅蓮の籠手・・・赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)を顕現させている状態でリアス達の前に姿を現した。

その体に傷をついた様子はなく、疲労している様子見見えない。

 

「貴様・・・あれだけの堕天使を無傷で倒してきたと言うのか? 数人だが上級悪魔も超えるほどの奴らもいたはずだが・・・?」

 

「だろうな・・・少しばかり手間取ったからな。だがな、コカビエル。あの程度で俺を抑えられると思っていたのなら、それは間違いだぞ?」

 

「ふ、ふははははっ! そうだな、確かにそうだ! 貴様の実力は最上級にも匹敵しうるものだ。

ならば、あいつら捨て駒如きが相手になるはずもないか!!」

 

「分かっていたが、自分の部下達を捨て駒扱いとはな・・・・・・」

 

「それはそうだろう? 俺はこれから戦争を起こすのだ! あんな雑魚共など必要ない。真に必要な部下などはまだたくさんいる!」

 

「・・・・・・そうか」

 

それだけ呟いて、翔は瞼を閉じる。

それを怪訝な表情で見るコカビエルだが、次の瞬間、その表情は一変させる。

 

「―――貴様を殺す」

 

ゆっくりと開かれる(まなこ)

龍のような鋭い眼でコカビエルを射抜き、それと同時に放たれる刀身のような鋭い殺気。

 

「いいぞ! それだ! 俺が求めていたのはッ!!」

 

翔の雰囲気が変わったことに、コカビエルは顔を酷く歪めて、狂気的な笑みを浮かべながら嗤う。

翔はコカビエルに向けて殺気を放っているが、その溢れんばかりの殺気は完全に抑えることが出来ずに背後にいるリアス達も感じ取れてしまうほどだ。

 

「・・・・・・しょ、う・・・?」

 

翔の放つ雰囲気が今まで見たことがないものになっていることに呆然とするリアス。

怯えと戸惑いなど複雑な感情が混じった声で翔の名を呼ぶ。

 

「―――大丈夫だ。全部終わらせる」

 

僅かに背後に振り返って、リアス達に安心させるように笑みを見せる。

そして、すぐに視線をリアス達から外し、前にいるコカビエルに戻す。

 

「―――往くぞ」

 

「ま、待っ―――」

 

呟くと同時に一気に最高速度で駆け出す翔。

それを見たリアスは無意識のうちに翔に手を伸ばすが、それは届くことはなく、虚しく空を切った。

 

 




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