ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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第21話 決着の時! 奇跡をその手に・・・

駆け出した翔は一直線にコカビエルに向かう。

コカビエルは鼻を鳴らして、先ほどリアス達に放とうとした巨大な光の槍を手に持って迫りくる翔を突き刺そうとするが―――

 

「ッ!? 後ろか!!」

 

槍が突き刺さる寸前で翔の姿がコカビエルの視界から消えた。

だが、すぐさま翔の動きを察知し、コカビエルは背に十枚の翼を生やし、それらを刃と変えて背後にいる翔を貫こうとする。

 

だが、翔は何時の間にか、両手にそれぞれ持っていた黒鍵でそれらを受け止める。

 

「はぁああああ!!」

 

気合いの声と共に受け止めたコカビエルの翼を弾くと、両手に持った黒鍵をコカビエルの眉間と胴体に目掛けて投擲するが―――

 

「嘗めるな!」

 

それだけでやられるほどコカビエルも甘くはなく、手に持つ光の槍で投擲された2本の黒鍵が防がれてしまう。だが、翔の狙いはこれだ。

 

「きっ貴様ッ!! 何時の間に!?」

 

僅かに意識を自身から黒鍵に逸らしたことにより、翔はその隙を使ってコカビエルの懐へと肉迫していたのだ。

 

『Blast!』

 

籠手から流れる音声と共に、翔の右手に収束される力。

その力にコカビエルは目を見開き、慌てて翔から離れようとするが―――遅かった。

 

「―――ねじり貫手」

 

強い回転を加えた右貫手はコカビエルの胸・・・つまりは心臓の位置を正確に捉え、吸い込まれるように放たれた。

 

「ぬぉおおおおお!!!」

 

避けることが叶わないことを悟ったコカビエルは、雄叫びを上げながら全身の力を総動員して、体を無理やり捻らせる。

そのことにより、胸の表面は僅かに抉れ、鮮血を撒き散らすが、貫手をまともに喰らうことはなかった。無理やり躱すのと同時に、コカビエルは翼を展開させ、上空ではなく、一気に後ろに下がり間合いを開ける。

一撃に全てを籠めた貫手だったため、翔はコカビエルを追うことなくその場に留まり、残心を取って次に備える。

 

「ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

 

コカビエルは油断することなく、翔を見据えながら乱れた呼吸を整える。

呼吸が整経始めたコカビエル。

誰もが憤怒の表情を浮かべると思ったのだが、それは間違いだった。

 

「ふふふ・・・・・・ははははははははっ!! 素晴らしい! 素晴らしいぞ、赤龍帝!!

あの瞬間はこの俺でさえ、死を覚悟するほどのものだった!! まさか、これほどの実力だったとは思いもしなかった!! ならば、俺も本気でやろうッ!!」

 

瞬間、コカビエルから放たれる威圧が増大する。

後方で控えていたリアス達はその威圧を受け、全身から冷や汗が吹き出し、体が震え出す。襲い掛かる重圧に膝を屈しそうになるのを必死に耐えている。

 

『これほどとは・・・!?』

 

誰もが思った。

コカビエルを魔王が到着するまで抑えると言ったリアスであったが、如何に自分が愚かだったかを悟った。

あれは自分達で如何にかできるレベルではない。もっと早く魔王に報告すべきだった。自分の下らないプライドで大切な下僕達を危険な目に合わせてしまった。

リアスの心の中に恐怖と後悔の念が強く浮かび上がる。

だが―――

 

「え・・・?」

 

呆然と声を漏らす。

突然、襲い掛かってきた重圧と威圧が消えたのだ。

何が起きたか理解できないリアスであったが、それはすぐに分かった。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

背中が見えた。

とても大きな背中だ。

以前と似た光景を目にしたリアス。

何も語ることはないが、その背中からは『絶対に護る』という強い意志が感じられた。

すると、どうだろう。先ほどまでの震えはなりを潜め、冷や汗も引いていた。

そして、心の底から湧き上がる暖かな気持ち・・・。

 

―――安心感だ。

 

体が、頭が、心が理解したのだ。

 

―――護られている

 

という事に・・・。

そのことを認識した瞬間、リアスは自身の顔に熱が宿るのを感じる。

鏡で確認することなくとも、自身の顔が紅く染まっていることが理解できる。

視線を動かすと、先ほどまで自分と同じように怯え、震えていた朱乃達も目の前にある背中を見つめていた。朱乃達、女性陣はリアスと同じように顔を紅く染め、目の前にある背中に見惚れていた。

祐斗は、その背中に憧れや尊敬と言った感情を顔に浮かべて見ていた。

 

『Boost!』

 

始まる倍加。

先ほどの一撃でリセットされた力を再び溜める。

 

それを合図に再び始まる戦闘。

 

翔は懐から新たな黒鍵を取り出し、両手に持ってコカビエルに肉迫する。

コカビエルもそれを真似るように、両手に光の剣を創りだし、それで翔を迎え撃つ。

 

繰り広げられる激しい剣戟。

コカビエルは両手に持つ光の剣と背に展開させた翼を刃と変えて、縦横無尽に翔を襲うが、

翔も負けておらず、手に持つ黒鍵を巧みに操り、襲い掛かる刃を捌いていく。

 

「はははっ! これほど心躍る戦いは何時振りだろうか! 感謝するぞ赤龍帝!!」

 

狂気な笑みを顔に張り付けながら戦うコカビエルに対して、翔は表情こそ変えないが内心では悪態をついていた。

 

流石は堕天使幹部か・・・先の一撃で完全に油断が無くなったな

 

『それはそうだろうな。いくら油断していたとはいえ、人間の相棒に殺されかけたのだから、油断するなと言うほうが無理な話だ』

 

先の一撃で決められなかったことに内心で舌打ちをする。

あの一撃は例え掴まれたとしても、確実にコカビエルの命を奪えるものであった。

だが、コカビエルは掴むことはせずに避けることを選んだ。

その選択は正しかったと言えるだろう。

 

翔は例え掴まれたとしても、それに対する対処も出来ていたのだが、コカビエルは避けることを選んでしまったために、それは無駄となってしまったのだ。

だが、それを引き摺ることなく、翔は内に気を深く秘めて、“静”の気を練り、制空圏を築く。

相手が歴戦の戦士だろうと、翔は臆することも呑まれることもなく、ただ冷静に戦い続ける。

 

「ふっ!」

 

コカビエルと剣戟を繰り広げていた翔は小さく息を吐いてから、その姿を消す。

驚きの表情を浮かべたコカビエル。

 

「ッ!?」

 

不意に悪寒を感じたコカビエルは咄嗟に左横に左に持つ光の剣を薙ぎ払うように振るうと、響き渡る衝突音。・・・・・・音の正体はぶつかり合った光の剣と黒鍵によるものだ。

 

コカビエルの左横には何時の間にか翔の姿があり、遠くから眺めていたリアス達には何が起きたか理解できなかった。

それから時折、翔の姿が消えは現れるという現象が起きていた。

 

それから数度打ち合った翔とコカビエルが間合いを開ける。

互いに睨みあっていた2人であったが、不意にコカビエルが笑い声をあげる。

 

「ふははははっ!! 本当にいいぞ、赤龍帝! 俺でも見切ることが出来ない、その特殊な移動術と言い。貴様の実力はとうに上級悪魔を凌駕しているな!」

 

「貴様に褒められても嬉しくはないな・・・」

 

褒められたというのに、翔は油断することなくコカビエルを見据える。

 

「随分と反応が冷たいのだな。まぁいい。だが、その移動術の正体はすでに分かったぞ?」

 

『ッ!?』

 

リアス達が驚愕の表情を浮かべる。

それはそうだろう。彼女達は何が起きていたかすら理解できていないのだ。

 

「おそらく人間が使う『縮地』と呼ばれる技法に似た何かだろう・・・。それに加え、駆け出す一瞬で足に魔力を収束させ脚力を驚異的に底上げしているな。いやはや、それほどの魔力操作を出来る者など、そうはいないぞ。余程、魔力操作に特化しているのだな。貴様には才能の欠片も感じられないからな」

 

『え・・・!?』

 

その言葉に反応したのは翔ではなく、後方にいたリアスと朱乃、アーシアの3人であった。

対照的に祐斗と小猫、ゼノヴィアの3人はどこか納得したような表情を浮かべていた。

 

実際に翔と手合わせをしてみて、3人は何か違和感を感じていた。

だが、それが何なのかを気づけるほど、彼らは経験を積んではいなかったため、結局気づくことは出来なかったのだが、コカビエルの言葉でその違和感の正体が理解できたのだ。

 

『御剣翔には才能がない』

 

翔は確かに強い。

それこそ、歴戦の戦士であるコカビエルに単独で対抗できるほどだ。

だが、それは翔に才能があるからではなく、普通ではありえないほどの努力と戦場を乗り越えたためだ。

才能・・・所謂センスと呼ばれる部分では、翔は祐斗達には敵わないだろう。

祐斗とゼノヴィアには剣術で、小猫には武術で劣っている。

 

だからと言って、祐斗達は翔を嘲ることなどしない。

むしろ、憧れにも似た感情が湧き上がる。

自分達より才は劣っていると言うのに、翔の居る領域はすでに『達人級』と呼ばれるものだろう。

才能ある者が己の限界まで挑んでも辿り着くことが出来るかどうかの頂にまで、翔は死の一歩・・・いや数センチ手前まで己を追い込み続け、努力で登ったのだ。

これに憧れるなと言うほうが無理だ。

 

「そうだな・・・俺には剣術、武術、魔術といったものには才能がなかった。俺が出来たことと言えば、魔力操作と放出くらいだ。だが、それがどうした? ないならそれを補うほど鍛練をすればいい。物覚えが悪いと言うのなら、覚えるまでひたすら繰り返せばいい。それでも足りないのなら、死の淵まで追い込んで体に無理やり覚えさせればいい」

 

絶句の一言。

翔の言葉が本当ならば、彼はいったい今の力を得るためにどれほどの無茶を重ねてきたのだろう。

才能ある者でも果てしない努力と揺るがぬ精神を宿す者のみが辿り着ける達人という一つの境地・・・・・・それに才能がない者が挑むには、どれほどのことなのかは祐斗達は理解できなかった。

 

「なるほど・・・果てない鍛練と戦場で鍛え抜かれた力か・・・・・・ふ、ふふふ、はははははっ!!

いいぞ! 実にいいぞ!! 俺はお前に惜しみない賞賛を改めに贈ろう!! 一体それほどの力を得るためにどれだけ多くの者を殺してきたのだ!! やはり、貴様はリアス・グレモリー如きには釣り合わない存在だ!! 俺と共に来い!! そうすれば、存分にその力を使うことが出来るぞ?」

 

「ッ!? コカビエル! 貴方はどれだけ私を―――」

 

「リアス」

 

翔を勧誘するコカビエルに、リアスが拒絶の言葉を口にしようとするが、それは翔に制止させられる。

 

「・・・・・・俺は、誓いのために、理想のために、救うために、護るために、強さを欲した。

誰かの笑顔を護れるように・・・救いを求める誰かを救うために・・・・・・。

理不尽な理由で、ただ普通に生きていた何の関係もない者達をその理不尽から救うために護るために強くなった。・・・・・・だからな、コカビエル―――俺は貴様を殺すことはあっても、貴様と手を組むことなどないと思え・・・ッ!!」

 

『Explosion!!』

 

翔から圧倒的な覇気が溢れだす。

今の今まで溜めてきた力を開放したのだ。

その力はコカビエルを超すほど・・・・・・だが、それを見てもコカビエルは表情を変えることはしない。むしろますますその狂喜的な笑みを深くして嗤う。

何故ならば、彼もまだ本気を出していなかったからだ。

 

「ならば、貴様の理想とやらのためにこの俺を殺してみろ!」

 

コカビエルからも圧倒的な覇気が放たれる。

 

「さぁ、存分に心躍る血と血で洗う争いを始めようではないかぁああ!!」

 

 

最終戦、第二幕が始まった。

 

 

「疾ッ!」

 

まず始めに翔は牽制として手に持つ黒鍵をそれぞれタイミングを僅かにずらしてコカビエルに投擲する。

勿論その程度を防げないわけはなく、コカビエルは手に持つ光の剣で受け止めるが―――

 

「ぬっ!?」

 

黒鍵を受け止めた瞬間、突如襲いかかる予期せぬ衝撃にコカビエルは耐えることが出来ずに体ごと吹き飛ばされる。

 

『・・・今のは魔力で強化したのか?』

 

いや、あれは純粋な体術だ。特殊な投擲法によって、衝撃をより強固にさせる鉄甲作用と呼ばれる技法だ

 

ドライグの疑問に答えながらも、翔は先ほどコカビエルに言われた移動術で一気に肉迫する。

鍛え抜かれた脚力を魔力強化でさらに底上げし、『縮地』と呼ばれる技法を織り交ぜた翔独自の移動術―――瞬歩。

戦闘の際には相手の視線や意識の隙間なども利用しているため、相手からは瞬間移動したかのように錯覚するほどの速さだ。

 

コカビエルであってもその速度を見切ることは出来ないが、伊達に聖書に記されるほどの堕天使ではない。

元々、コカビエルは星と星座を司る天使である。故に、星占いなどの分野に秀でているとも捉えることが出来るだろう。

占いとは、無意識のうちに得られた様々な情報により導き出された一つの解に過ぎない。

本来、未来とは複数あるもので何時どのようになるかなど判る者などはいないのだ。

もっとも例外も存在するが・・・。

 

つまり何が言いたいかと言うと、所詮占いとは『勘』によるものだと言えるだろう。

だが、それの力は時によって意外な時に役立つときがある。

勘とは所謂第六感と呼ばれるものだ。

 

無意識のうちに得られた情報によるもの・・・つまり、コカビエルは翔の動きを見切っているのではなく感覚的に察知できているのだ。その勘は戦場でさらに鍛えられている。

故に、コカビエルは翔の瞬歩にも危うげにだが、対応できているのだ。

 

「それだけで俺に勝てると思い上がるなよ!」

 

体勢を整えて一対の翼で宙に浮きながら、残りの翼を刃と化して、それらを巧み操り、肉迫してきた翔に斬りかかる。

翔もあの程度で如何にかできるとは思ってはおらず、すでに新たな黒鍵を両手に持ちながら襲い掛かる刃の群れを受け流す。

 

普通に剣として使えるが黒鍵はあくまでも投擲剣である。

そのため、いくら刀身を魔力で創りだし強化しているからと言っても、その強度は普通の剣を強化したものに比べられたら劣ってしまう。

そのため、翔は最初は弾いていたコカビエルの翼を受け流しているのだ。

 

「破ッ!」

 

襲い掛かってきた刃の翼を全て受け流してコカビエルに迫った翔は両手に持つ黒鍵を振り上げる。

 

「それしきで!!」

 

だが、その程度ではコカビエルにダメージを与えることは出来ずに、両手に持つ光の剣で受け止められてしまうが―――

 

「ハァアア!!」

 

気合いの声と共に渾身の力を籠め、コカビエルの光の剣を強引に上げるが、その代償に黒鍵の刀身は砕け散った。翔は迷うことなく、手に持つ柄だけに化した黒鍵を捨て去り、空気中の魔力を足場として強く駆け出す。

そして、勢いを乗せだ翔は、左手で突きをコカビエルの顔面へと放つ。

だが、僅かに頭を横に逸らし、それを回避するコカビエルだが―――

 

「ふん、その程―――うごがぁああ!!」

 

嘲りの笑みを翔に向けようとした瞬間、突如襲い掛かる痛みで中断されてしまう。

 

コカビエルの腹部には深々と翔の右手による突きが沈んでいた。

上段と中段に同時に突きを放つ空手の型の一つ抜塞大(ばっさいだい)の中の山突きと呼ばれるもの。

顔面への一撃で相手の注意を逸らして、本命は中段による一撃。

 

さらにそこから続く連撃。

腹部の痛みで僅かに蹲りそうになるコカビエルの頭を掴んで放つムエタイのカウ・ロイに、倒れ込むように回転し、自重に遠心力を加えた踵落としと後ろ回し気味の横蹴り、胴回十字蹴り(どうまわしじゅうじげり)を放つ。

 

「がはっ!?」

 

だが、その程度で翔の攻撃は終わることなく、宙に着地した翔は一歩さらに踏み込むと同時に体を横にさせ、体をコカビエルに密着させる。

左肘をコカビエルの胴体に当てて、強く片足を踏み込み、震脚を行う。

それにより発勁した力と重心移動による力を利用した密着状態から一撃を喰らわせる。

僅かな動作で絶大な威力を発揮させる技法、寸勁と表面ではなく内部に“徹す”、浸透勁と呼ばれる技法を利用したのだ。

 

「ごふっ!?」

 

体内に響くダメージにコカビエルは口から血を吐き出す。

そして、最後の一撃に翔は左側に腰を捻り、遠心力を加えた右正拳突きを喰らわせた。

正拳突きを受けたコカビエルは後ろに吹き飛んでいくが、翔はそれを見て内心で舌打ちをする。

吹き飛んだコカビエルは途中で体勢を整えて、さらに上空へと飛び上がる。

 

実力者同士の戦いとなると、実際は無暗に吹き飛ばしたりはしない。

実際に戦闘中で相手を吹き飛ばすのは、最後の一撃の時だけでいい、吹き飛ばすという事は自身の間合いを開けてしまうことになる。故に、折角優勢に攻めていたというのに吹き飛ばしたことにより、一回仕切り直しさせてしまうのだ。

また相手がわざと一撃を受けた際に後ろに吹き飛ぶ場合もある。

後ろに飛ぶことにより、自身が受ける打撃の威力を殺すことになるのだ。

 

故に、翔が最後に放った正拳突きによるダメージはコカビエルに深くは入ってはいない。

 

「ふぅ・・・ふぅ・・・俺がここまでやられるとは予想もしていなかった。だが!!」

 

上空からコカビエルは巨大な光の槍を創りだし、それを力の限り投擲する。

避けるのは容易いが、それでは下にいるリアス達が無事では済まない。

翔は一瞬で判断を行い、迫りくる光の槍に右手を突きだす。

 

「すぅ・・・・・・ハァアアア!!」

 

深く息を吸って力を右手に収束させ、一気に解き放つ。

赤黒い閃光は光の槍と均衡するが、あっさりそれを呑み込みコカビエルにまで迫る。

 

「おぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!」

 

突きだした光力を集中させ、コカビエルは迫り来た赤黒い閃光を真正面から受け止める。

一気に押し切ろうとするために、翔は解き放つ閃光にさらに力を入れるが、コカビエルもまた受け止めるために力を上げる。

 

「ハァアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

「おぉおおおおおおおおおおおおっ!!」

 

互いに吼えながら全身から力を振り絞り続ける2人だが、それは唐突に終わりを迎えた。

 

『Reset』

 

「ッ!?」

 

翔の全身の力が抜け落ち、全身に襲い掛かる負担。

力の開放が終えたことを意味する、

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

荒い呼吸を繰り返しながら翔は上空にいるコカビエルを見据える。

閃光を受け止めきっていた。だが、その代償にその両手はボロボロである。

コカビエルも翔同様に荒い呼吸を繰り返している。

互いに今のでかなり消耗しているが、決着はまだついていない。

 

『Bosst!』

 

再び始まる倍加の音声を合図に、コカビエルは自身の周囲に無数の光の槍を展開させ、

それらを翔に放つ。

 

翔は両腕に魔力を集中させて、迫りくる光の槍の数々を化勁でもって受け流す。

さらにリアス達に被害が行かないように配慮しながらだ。

普通では考えられないほどの集中力を持続させながら襲い掛かる光の槍の群れを受け流し続ける翔だが、着実に体には疲労が蓄積されていく。

この状況を打破するために、翔は勝負に出た。

 

『Blast!』

 

右手に倍加させた一撃を収束させる。

コカビエル相手に最初に使ったものよりは少ない回数だが、基礎能力が高い故に数少ない倍加でもその力はかなり高い。

僅かな隙を見て、翔は右手刀を振り上げる。

放たれるは赤黒い斬撃―――覇龍天翔だ。

それは光の槍の群れを呑み込み、コカビエルに到達するが、コカビエルは自身の手に光の槍を創りだすと、それを投擲し赤黒い斬撃を相殺してしまう。

だが、そのおかげで光の槍の雨は中断され、その隙に翔は瞬歩を使ってコカビエルに迫る。

その手には新たな黒鍵が逆手で握られていた。

 

「回転剣舞・六連ッ!」

 

右手から放たれる斬撃を初撃とし、そこから左右連続で放たれる5つの斬撃。

だが、その計6つの斬撃は、コカビエルが全身に光力を鎧の如く纏うことにより、傷を与えることは出来たが、致命傷にはならなかった。

攻撃を終えたときに起こる硬直をコカビエルが見逃すこともなく、瞬時に創り出した光の剣で翔を斬り裂こうとする。

翔は体を無理やり捻ることで、斬撃を避けることに成功するが、完全には避けきることが出来ずに胸に浅い一筋の切り傷が出来てしまう。

 

2人は受けたダメージは決して軽いものではないが、戦闘は中断されずに再び始まる剣戟。

翔は両手の持つ黒鍵と時折鍛え抜かれた武で、コカビエルは両手に持つ光の剣と刃と化した翼で、相手の攻撃を逸らし受け止めながらも攻撃を繰り広げる。

 

その光景を見て、祐斗は今すぐにでも翔と共に戦いたい、彼の隣でその実力を目に焼けつけたいという欲求が湧き上がるが、それを必死で抑えようとする。

今自分が言ったところで、翔の邪魔をするだけという事が理解しているからだ。

 

「・・・・・・彼は何者なのだ?」

 

祐斗が必死で飛び出しそうになる自身の体を押さえていると、隣から呆然としたように呟くゼノヴィアの声が耳に届いた。

視線を向けると、祐斗と同じように飛び出しそうになる自身の体を抑えるように両腕で己の体を抱いていた。

その視線は真っ直ぐと翔に注がれており、瞳には恋慕と憧れに似た熱が浮かんでいる。

 

「彼は御剣翔・・・人の身でありながら、最強の《兵士》と言ってもいいほど、その実力は一線を画す。―――グレモリー眷属最強の存在だ」

 

「・・・・・・あの時、君が言っていた戦力分けの理由がようやく理解できたよ・・・・・・確かに御剣翔なら1人でも私達よりも遥かに強い!」

 

ますます興奮していくゼノヴィア。

最初の出会いこそ最悪と言っていいものだったが、彼女は翔の実力を実際に感じ見て、翔を見下したような態度はすでになかった。

 

「・・・歯がゆいですわ。目の前に堕天使がいると言うのに、何もできないなんて・・・ッ!!」

 

酷く鋭い眼をコカビエルに向ける朱乃。

その瞳には以前の祐斗に似た何かが宿っているが、それはリアスを除いて誰も理解できない。

 

だが、歯がゆい、と言う言葉はここにいる誰もが思っている。

翔1人に全てを背負わせてしまっている。

自身が不利になるかもしれないと言うのに、翔はリアス達に攻撃が行かないようにコカビエルの攻撃を逸らしている。

そのことにある者は唇を強く噛み締め、ある者は拳を強く握る。

先ほどまで翔の戦いに興奮をしてた気持ちが冷めていき、心の奥底から悔しさが滲みでる。

故に、リアス達はこの戦いを見逃すことがないようにずっと見続ける。

今は無理でも、何時の日か彼の隣に立てるように、支えられるように、その想いを胸に抱きながら・・・。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

すでに今日一日で『Explosion!!』を二回も使用し、『Blast!』の度重なる使用により翔の体は限界を迎えようとしていた。

 

だが、それがどうした。限界ならばそれを超えればいい

ここでコカビエルを逃せば、後ろにいるリアス達も外にいるソーナ達も、そしてこの町に住む

多くの人々が死んでしまう・・・・・・それだけは絶対にあってはならないッ!!

護ると、救うと誓ったではないかッ!

例え、前の世界より力が落ちても、俺がやるべきことは何一つ変わらないッ!!

 

全身が悲鳴を上げようとも、蓄積された疲労と流し過ぎた血の影響で視界が定まらないが、その瞳から意志は、想いは消えることはない。

 

「随分と疲れているようだが、まだまだその闘志は燃え尽きないようだな」

 

「・・・当たり前だ。貴様をここで逃せば、多くの人々が死ぬことになる」

 

翔の言葉を聞いたコカビエルは顔を思いっきり歪める。

まさに醜悪の一言。

 

「ならば、護って見せろ」

 

「ッ!? 貴様ッ!!」

 

コカビエルが新たに創り出した光の槍は翔ではなく、結界の外にある街に向かって放たれた。

ソーナ達、生徒会による結界が展開されているが、それだけでは今コカビエルが放った光の槍を防ぎきることは叶わない。故に―――

 

『Blast!』

 

光の槍の進行方向に瞬歩で先回りを行い、手に持つ黒鍵では受け止めることは無理だと判断した翔は黒鍵を手放し、籠手がある左手に力を収束させて、受け止めて、光の槍を砕く。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

今のでさらに力を使ってしまった翔の呼吸は荒い。

だが、コカビエルはさらに翔を追い詰める。

 

「ほら、次はこっちだぞ」

 

新たに創りだした光の槍は複数あり、それらはリアス達に向かって放たれた。

 

「ッ!?」

 

再び瞬歩でリアス達の前に移動した翔は黒鍵を懐から取り出し、両手に持って迫りくる光の槍の雨を受け流すが、全ては受け流せずに肩や腕、太腿、腹部と至る所に突き刺さる。

 

翔の耳にリアスやアーシア達の声が聞こえるが、それを無視して光の槍の嵐が終わるまで受け流し続ける。

 

やがて全て受け流し終えたところで、翔の両手から黒鍵が滑り落ちる。

翔の全身は酷いものだ。至る所に光の槍が刺さっており、生きているのが不思議なくらいだ。

刺さっていた光の槍が消失し、穿がれた穴からは血が溢れだす。

そこで思わず片膝をついてしまう。

 

「血を・・・流し過ぎたか・・・」

 

「翔! アーシア!すぐに治療を!!」

 

「はい!」

 

リアスがアーシアに翔を治療するように言い、アーシアが慌てて翔に近づこうとするが、それを翔が強く制止させる。

 

「来るな! まだ・・・戦いは、終わって・・・いないッ!」

 

「で、でも翔さんが死んでしまいます!」

 

翔の気圧されながらも、アーシアは目元に涙を溜めながら強く言い返す。

彼女の成長に、翔は喜びながらも弱々しく首を横に振る。

 

「俺は、まだ・・・死なない、さ・・・。まだ、戦え、る」

 

途切れ途切れに声を紡ぎながらも戦うことを止めない。

それに―――

 

「リアス・グレモリー! すぐに彼の治療を!! 私と彼で少しでも時間を稼ぐ!」

 

「部長! 早く翔くんの治療を!」

 

今まで我慢していたゼノヴィアと祐斗の2人がコカビエルに向かって駆け出す。

 

「やめ―――」

 

翔はボロボロの体を動かして2人を連れ戻そうとするが、血を流し過ぎた影響で意識が遠のく。

必死にアーシアが翔の傷を癒そうとするが、彼女の力をもってしてもすぐに癒すことは叶わない。それほどまでに翔が受けた傷は深く多いのだ。

だが、決して諦めることなく、アーシアは目元に涙を溜めながらも治療を続ける。

 

「ハァアアアア!!」

 

気合い声と共にゼノヴィアはデュランダルでコカビエルに斬りかかるが、コカビエルは手に持っていた光の剣を霧散させると、素手でデュランダルを防いで見せたのだ。

 

「なるほど、流石は伝説の聖剣だ。折れたエクスカリバーとは輝きが違う。だが!」

 

受け止めた手から光の波動をゼノヴィアに放ち、彼女を吹き飛ばす。

 

「使い手が未熟すぎて話にならん! 赤龍帝がそれを使えば、俺など容易に斬り裂くぞ!」

 

「がはっ!?」

 

苦悶の声を吐き出すゼノヴィアだが、宙で上手く体勢を整えて、上手く着地すると、再びコカビエルに肉迫する。

彼女の動きに合わせるように祐斗も同時に駆け出し、コカビエルに迫る。

ゼノヴィアと祐斗は左右からコカビエルに斬りかかるが、再び創りだした光の剣を持ったコカビエルはそれで祐斗とゼノヴィアの斬撃を容易に防いでいく。

 

コカビエルが2人の相手をしてい隙にコカビエルの背後に回った小猫が突きを放とうとするが―――

 

「その程度察知できないと思ったか!!」

 

刃と化した翼が小猫に襲い掛かる。

咄嗟に体を無理やり捻って、回避する小猫だが、全てを避けることは叶わず、体の至る所から鮮血を撒き散らす。

 

「小猫ちゃん! 一旦部長達のところまで下がるんだ!」

 

「余所見をしていていいのか!」

 

「ッ!? 聖魔剣に罅が!?」

 

小猫に下がるように指示をした祐斗だが、一瞬コカビエルから意識が逸らしてしまったため、光の剣が回避できないところまで迫っていた。咄嗟に聖魔剣で防ぐが、光の剣を聖魔剣の刀身に罅が刻まれる。

 

「鬱陶しい!」

 

コカビエルの全身から放たれる光力による衝撃だけで祐斗とゼノヴィアの2人は翔の治療がされている後方まで強制的に下げられてしまう。

 

「それにしても、仕えるべき主を亡くしてまで、お前達信者と悪魔はよく戦うものだな」

 

「どう言う事・・・?」

 

コカビエルの言葉に声に怪訝な表情を浮かべるリアス。

すると、コカビエルは思い出したように笑い出した。

 

「ふはははははっ! そうだったな! お前達下々まであれの真相は語られていなかったな!

なら、ついでだ。教えてやるよ。先の三つ巴の戦争で四大魔王だけじゃなく、神も死んだのさ!」

 

本当に愉快そうに嗤うコカビエルが衝撃的なことを告げた。

その言葉を聞いて、誰もが動きを止めた。

 

「う、嘘だッ! そんなはずがない!? 主が死んでいるんだど!」

 

拒絶するように声を張り上げるゼノヴィアだが、その顔は酷いものだ。

それもそうだろう。今まで信じて来たものを否定されたのだ。

 

「知らなくて当然だ。神が死んだなどと、誰に言える? 人間は神がいなくては心の均衡と定めた法も機能しない不完全な者の集まりだぞ? 我ら堕天使、悪魔さえも下々にそれらを教えるわけにはいかなかった。

どこから神が死んだと漏れるかわかたものじゃないからな。三大勢力でもこの真相を知っているのはトップと一部の者達だけだ。バルパーの奴は死ぬ前に気づいたようだがな・・・」

 

「嘘だ・・・嘘だ・・・嘘だ・・・」

 

全身から力は抜け落ち、地面に座り込んで瞳から光をなくし、虚ろな表情で壊れたように呟くゼノヴィア。

 

「正直に言えば、もう大きな戦争など故意にでも起こさない限り、再び起きない。それだけ、どこの勢力も先の戦争で泣きを見た。

お互い争い合う大元である神と魔王が死んだ以上、戦争継続は無意味だと判断しやがった。

アザゼルの野郎も戦争で部下を大半亡くしちまったせいか、『二度目の戦争はない』と宣言するしまつだ!耐え難い、耐え難いんだよ! 一度振り上げた拳を収めるだと?ふざけるな・・・ふざけるなッ! あのまま継続すれば、俺達が勝てたかもしれないのだ! それを奴はッ! 人間の神器所有者を招き入れねば生きていけぬ堕天使どもなぞ何の価値がある!!」

 

憤怒の表情で叫ぶように語るコカビエル。

 

「俺は戦争を始める。お前達の首を土産に! 俺だけでもあのときの続きをしてやる! 我ら堕天使が最強だと見せつけてやる!」

 

宣言するように言い放つコカビエルだが、その言葉がまともに届いている者などいなかった。

 

「・・・主がいないのですか? 主は・・・死んでいる? では、私達に与えられる愛は・・・・・・」

 

コカビエルの言葉にショックを受けたアーシアは茫然自失となっている。

余りの衝撃にその目元には大粒の涙が溜まり、それが落ちようとした時―――

 

「―――泣いているのか?」

 

声が響いた。

 

俺は・・・どうしたんだ?

生きているのか? 死んでいるのか?

体の感覚が感じられない・・・

 

『貴方は諦めないのですか?』

 

諦める? そんなわけないだろ・・・

 

『何故、そうまでして戦うのですか?』

 

誓いのために・・・、救うために・・・、護るために・・・

 

『貴方は十分頑張りました。今ここで倒れても誰も咎めることはありません』

 

・・・ここで倒れたら、俺が俺を許せない

 

『どうしてですか? 貴方は死ぬかもしれないほど戦ったのですよ?』

 

死ぬかもしれないだろ? ・・・まだ死んでいないさ

なら、俺は前を向いて歩き続ける・・・。それだけだ・・・

 

『・・・・・・貴方は変わりませんね』

 

これも性分だ。そう簡単には変われないさ・・・

 

『・・・こうして貴方に干渉できるのもおそらく今回限りです。きっと貴方はこれからも自身の夢のために戦い続けるでしょう』

 

ああ・・・

 

『ですが、これだけは忘れないでください。―――貴方は1人じゃない。

貴方の周りには、貴方を支えてくれる人達がいます。私もその1人です。

何時の日か、また会えることを願っています』

 

意識が遠のいていく

きっとこのひと時の夢が終わろうとしているのだろう・・・

例え、夢だとしてもこれだけは伝えたい・・・

―――ありがとう、アルトリア

 

例え幻だったとしても、翔には透き通るような綺麗な翡翠の瞳を持つ金髪の少女が優しく微笑んだように感じられた。

 

「―――泣いているのか?」

 

「え・・・? しょ、う・・・さん」

 

呆然と呟くアーシア。

彼女の目からは大粒の涙が流れていた。

翔はゆっくりとした動作で起き上がると、アーシアが流す涙をそっと優しく拭う。

 

「翔、さん・・・主は、いなかったのです・・・主の愛は・・・なかったんです・・・ッ!」

 

悲痛な表情で泣きながら告げるアーシア。

 

「そうか・・・でもな、例え神がいなくなっても、俺達は生きている。生きてこれた。

それは人は神などいなくても自分の足で歩けるからだ」

 

「自分の足で、歩く・・・」

 

翔の言葉を聞いて先ほどまで虚ろだったゼノヴィアが繰り返すように呟く。

 

「前を見ろ。自分の足で立って歩け。お前達には立派な足がついてるじゃないか」

 

傷は癒えてなく顔色も悪いが、翔の浮かべる優しい微笑みは空っぽになってしまった心に温かい何かを与えていく。

 

翔はゆっくりと立ち上がり、リアス達の前へと歩き、コカビエルと対峙する。

 

「ふん、回復したと思ったんだが・・・まだ完全ではないようだな。まぁいい・・・さぁ、決着をつけようじゃないか! 赤龍帝ッ!!」

 

コカビエルは今まで以上の威圧を放つ。

放たれる威圧は物理的な風となって襲い掛かる。

それに吹き飛ばされないように必死に耐えるリアス達だが・・・・・・翔は違った。

悠々と佇み、まるでそよ風を受けるかの如く、コカビエルを見据えている。

 

体はすでに限界を超え、体の至る所からは血が流れており、立っていること自体が奇跡に等しいと言う状態にも関わらず、翔は決して臆することはない。

 

「・・・彼女が微笑んでくれたんだ・・・・・・負けるわけにはいかないな」

 

誰にも聞こえない声量で小さく呟く。

そして、ゆっくりと右手を突きだし、何かを掴むような仕草をする。

誰もが翔の行動に怪訝な表情を浮かべるが、翔は静かに言葉を紡ぐ。

 

「―――輝けるかの剣こそは」

 

世界が止まった。

コカビエルが放つ威圧により吹き上がっていた風が唐突に止む。

静かに紡がれただけの言葉が世界を支配する。

 

「―――過去現在未来を通じ、戦場に散っていく全ての(つわもの)たちが」

 

折れたエクスカリバーが再び輝きを取り戻す。

その輝きはフリードが手に持っていた輝きとは違い、まるで奇跡の光を表すかのような輝きだ。

 

「エクスカリバーが赤龍帝に反応しているとでもいうのか!? ありえん! そんなことがあるはずがないッ!!」

 

酷く狼狽えながら、今起きている光景を否定するコカビエル。

 

だが、それだけでは終わらない。

輝きを取り戻したエクスカリバーはその身を光の粒子へと変え、翔の元に集まりだす。

折れたエクスカリバーだけでなく、ゼノヴィアが先ほど地面に突き刺した破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)も同様に輝きだし、勝手に浮遊して翔の元へと飛んで行き、目の前に突き刺さる。その姿は、まるで騎士が主君に頭を垂れるかの如く。

 

「今際の際に(いだ)く哀しくも尊きユメ―――『栄光』という名の祈りの結晶」

 

目の前に突き刺さった聖剣の柄を掴む。

すると、先ほどまで翔の全身が光の粒子に包まれ、傷ついた翔の体を癒していく。

幻想的な光景にリアス達は息をするのも忘れてしまうほどだ。

 

「その意思を誇りと掲げ、その信義を貫けと(ただ)し」

 

ゆっくりとした動作で掲げられた剣は、すでにその姿を変えていた。

―――無駄のなく、美しい装飾が施された黄金に輝く剣

コカビエルでさえ、伝承でしか知らない存在。

人々の願いが、想いが、形となった奇跡の剣。

 

「いま常勝の王は高らかに、手に()る奇跡の真名を(うた)う」

 

周囲から、世界から光が舞い上がり、それらは掲げられた黄金の剣に吸い込まれ、黄金の剣はより一層輝きを増していく。

 

「其は―――」

 

輝きが最大限に高まり、世界を照らす奇跡の光となる。

 

さぁ、終わりにしよう・・・

 

真名を開放する。

 

「―――約束された勝利の剣(エクスカリバー)ッ!!!」

 

掲げられた黄金の剣を振り下ろす。

黄金の剣から放たれるは究極の光の斬撃はコカビエルを呑み込んだ。

そして、それだけでは止まらず、光の斬撃は後方にある結界にまで達し、それを容易に消し去り、上空を光に満たせた。

放たれた衝撃で辺り一面が強く振動するが、次第に揺れも治まり、光に満ちていた上空も元の暗闇へと戻って行った。

翔は放つ方向を調節した為に、町への被害はない。

 

「・・・・・・ありがとな」

 

そう言って翔は手に持つ約束された勝利の剣(エクスカリバー)を地面に突き刺す。

すると、突き刺された剣は一度光り輝くと元の破壊の聖剣(エクスカリバー・ディストラクション)の姿に戻っていた。

 

誰もが終わった。

そう思って、リアス達は翔に駆け寄ろうとしたが―――

 

「―――それで君は何の用だ?」

 

上空へと視線を上げて、翔は誰かに問いかけるように言葉を発する。

 

「一体何を―――」

 

『ふふふ、面白いな』

 

翔の言葉に怪訝な表情を浮かべたリアスが話を聞こうとしたところで、透き通る綺麗な声が響いた。

瞬間、翔の視線の先には、何時の間にか白い閃光が輝いた。

一直線に落ちてくる白い閃光は、暗闇に染まった空を切り裂くように静かに舞い降りた。

一切の曇りも影もないそれは、地面すれすれの高度で、その場に浮かんでいた。

龍を模したような白い全身鎧。身体の各所に青い宝玉らしきものが埋め込まれ、顔まで鎧に包まれていて、その者の表情は窺えない。背中から生える8枚の光の翼は、闇夜を切り裂き、神々しいまでの輝きを放っている。

 

「アザゼルに言われて、コカビエルの回収に来てみれば、随分と面白いことになっているな。

君が私の宿敵くんだね・・・。ここは初めまして、とでも言っとくべきかな?」

 

声質からして女性・・・いや、少女であることが窺える。

 

「そうだな・・・『白い龍(バニシング・ドラゴン)』にとり憑かれし者」

 

「ッ!? 『白い龍(バニシング・ドラゴン)』ですって! じゃあ、貴方が今代の白龍皇!!」

 

翔の言葉にリアスが驚きの声を上げ、鋭い視線を白龍皇に向ける。

 

「そうよ。そこにいる彼、赤龍帝と争う運命にある存在・・・。それにしても、驚いたな。

いくら神滅具(ロンギヌス)赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)だとしても、禁手(バランス・ブレイカー)に至っていないのに、コカビエルを撃退してしまうなんて・・・。それに最後の一撃・・・まさか、失われたはずの最強の聖剣の輝きをこの目で見ることが出来るなんて、来た甲斐はあったな・・・」

 

「君はコカビエルの回収に来たのだろ? 死んではいないからさっさと連れて行くがいい」

 

「私の存在に気づいていたからコカビエルを殺さなかったのだろ?」

 

さてな・・・、と答える翔。

 

「私としては任務を遂行するのもいいが・・・・・・ここで君と一戦するのも悪くはないな」

 

僅かに戦闘の意志を見せる白龍皇にリアス達は体が強張る。

明らかに先ほどまで戦闘をしていたコカビエル以上の強者・・・・・・少なくとも翔以外の者達がいくら束になったところで、勝てる相手ではない。

 

「・・・・・・戦争狂の後は、戦闘狂か。随分と厄介な奴に目をつけられたものだな」

 

やれやれ、と肩を竦める仕草をする翔だが、次に瞬間、その姿を消し―――

 

「ッ!?」

 

白龍皇の目の前に姿を現した。

 

「今日のところは退いてくれないか? 流石に色々とあり過ぎたからな」

 

「ふぅ・・・仕方がないな、今日のところはこれで退くとするよ。コカビエルの回収が目的だからね。それにしてもはぐれ神父の姿が見えないな」

 

小さい子供を諭すように優しく微笑みながら言う翔に、白龍皇は毒気が抜けたように息を吐き、地面に倒れているコカビエルを担ぎ上げる。その際に、フリードも回収しようとするが、先ほどまで倒れていたフリードの姿が消えていた。どうやら白龍皇が来たのに乗じて逃げ出したようだ。

居ないものはしょうがない、と言いながら、コカビエルを担ぎ上げた彼女は少し宙に浮き、視線を翔に向ける。

 

「それにしても凄いね。いくら油断していたとはいえ、私に悟らずに目の前まで近づくなんて、本当に君と戦うのが楽しみになったよ」

 

「俺としては御免(こうむ)りたいがな・・・」

 

「つれないな・・・」

 

そう言って、この場から立ち去ろうとする白龍皇だが、それに待ったをかける者がいた。

 

『無視することはないだろ、白いの? いや、アルビオン』

 

威厳に満ちた声が響く。

発生源は翔の左腕にある赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の宝玉からだ。

 

『目覚めていたのか、ドライグ?』

 

すると、白龍皇の背中にある光の翼にある青い宝玉が点滅しながらドライグとは別の声を響かせる。

赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』であるドライグと対の存在―――『白い龍(バニシング・ドラゴン)』のアルビオン。

 

『それにしても、随分と大人しくなっているじゃないか? どういう心境だ』

 

『ああ、今回の宿主は色々と凄いのでな。楽しくやらせてもらっている。そういうお前こそ、敵意を感じないが?』

 

『お互い、闘争とは別の楽しみを見つけたようだな。お前と戦うまでこちらはこちらで楽しませてもらうさ。ではな、ドライグ』

 

『そういうことだな。また会おう、アルビオン』

 

「それじゃ、今度こそ帰るとするよ。また会おう、私の宿敵くん」

 

最期の言葉は嬉しそうに声を弾ませながら言い、白龍皇である彼女は白い閃光となって夜空へと昇って、この場から去って行った。

 

「・・・無事とは言えんが、一応は終わったようだな」

 

白龍皇が去ってから最初に口を開いたのは翔であった。

深く息を吐いて、体を脱力させる。

 

「・・・・・・翔くん」

 

すると、そんな翔に祐斗が近づく。

 

「僕は・・・君に酷い事を言ってしまった・・・ッ!」

 

悔いるように謝る祐斗に翔は、気にするな、と告げる。

 

「祐斗・・・人はさ、誰もが感情的に動く生き物なんだよ。人が感情で動かなかったら、それは人じゃない。人の形をした何かだ。だから、お前の行動は間違いじゃない。でもな、今のお前には、支えてくれる者達が傍にいるだろ? リアス達と言う、大切な仲間がな・・・」

 

「ッ!?・・・・・・そうだね。君の言うとおりだよ。本当に僕は馬鹿だな」

 

翔の言葉に祐斗は目を見開いて驚きを示すが、すぐに表情を戻し、片手で顔を隠しながら苦笑したように呟く。手の隙間から流れ落ちる一筋の雫・・・。体は僅かに震えている。

 

少しの時間が過ぎると、祐斗は顔を隠していた手を退かす。

目元は僅かに赤く腫れていたが、その顔は霧が晴れたかのようにすっきりとしていた。

そして、祐斗はリアスの元へと歩き、目の前に跪き頭を垂れる。

 

「・・・度々の御無礼、申し訳ありません。御許していただけるとは思いません・・・。ですが、もし許していただけるのなら、僕はリアス部長の《騎士》として終始、命をかけて貴方と眷族を護ることをここに誓います」

 

騎士の誓いをする祐斗。

それを見て、リアスはただ慈愛に満ちた優しい表情を祐斗に向ける。

 

「祐斗・・・顔を上げて。貴方は私の大切な《騎士》。禁手(バランス・ブレイカー)に至るなんて主として誇りに思うわ。・・・皆と共に、翔と共に最強の《騎士》になりなさい」

 

「―――はい」

 

静かに、だが力強く頷く祐斗。

リアスの後ろにいた朱乃と小猫、アーシアの3人が祐斗に駆け寄り、それぞれ声をかけていた。

ただ、翔だけはその光景を眩しいものを見るかのような表情で少し離れた場所から眺めていた。

まるで、自身は近づいていい場所ではないかと言うように・・・。

 

すると、そんな翔に近づく者がいた―――ゼノヴィアだ。

 

「君は凄いな・・・。まさか、本来のエクスカリバーを見ることが出来るとは思わなかったよ」

 

賞賛の言葉を翔に贈るゼノヴィア。

そんな彼女に翔は―――

 

「無理する必要はないぞ」

 

一言そう言う。

その一言に目を見開いて吃驚した表情を浮かべたゼノヴィアだが、すぐにその瞳から涙が零れ落ちる。

 

「・・・未だに、主が死んだことに実感が持てないんだ」

 

「だろうな。今まで信じていた存在がいないと言われたんだ・・・・・・無理もない」

 

「今までそれに縋って生きて来たんだ。・・・・・・私はそれ以外の生き方を知らない」

 

信者にとって、神は全てだ。

自身を形成する上で最も重要な存在と言えるだろう。

それが突然、消えてしまったのだ。

心の均衡が崩れ、精神が崩壊してしまっても可笑しくないだろう。

 

「君は言っていたな、自分の足で歩くって・・・・・・どうして君は歩いていられるんだ?

教えてくれ・・・」

 

失った道標を得ようとするように、懇願するゼノヴィアに翔は静かに答える。

 

「誓ったからな、最後まで歩き続けるって・・・」

 

懺悔するかのように、自嘲するかのように、後悔するかのように紡がれた言葉・・・。

だが、それ以上にその瞳には決して揺らぐことのない決意、覚悟が静かに秘められていた。

 

「ッ!?////////」

 

間近から翔の顔を見たゼノヴィアは顔を一瞬で紅く染め上げる。

それを見て不思議に思う翔だが、特に何も言わずにゼノヴィアを見守る。

少しの経ってから落ち着いたゼノヴィアは翔と視線を交わす。

その瞳には何か決意が秘められていた。

 

「・・・・・・私も歩き出すとするよ。主を捨てたわけじゃない・・・でも、主に縋るだけじゃなくて、

自身の足で歩いて行くよ」

 

「・・・そうか」

 

素っ気なく一言で返す翔だが、その表情は優しい微笑みを浮かべていた。

翔はゼノヴィアから離れ、夜空を見上げ、瞼を閉じる。

閉じられた瞼の裏側に浮かぶのは1人の女性・・・。

 

護ることも、救うことも出来なかった・・・

そして、最期は―――

 

手に残る、ある感触を誤魔化すかのように自然と拳を強く握り締める。

 

我ながら未練がましいな・・・

まだあの時のことを引き摺っているのか

・・・・・・俺には後悔する資格などないのにな

 

己を嘲るように笑うが、すぐに表情を普段のものに戻して、リアス達の元へと歩き始めた。

だが、握り締められた拳は決して緩まれることはなかった。

 

コカビエル襲撃事件から二日後。

何故、二日後かと言うと、翔達は休養のために一日学校を休んだからだ。

ごく普通にあった授業を終え、翔とアーシア、祐斗の3人で旧校舎にあるオカルト研究部の部室に行くと、そこにいた人物にアーシアと祐斗は驚きの表情を浮かべる。翔は、特に驚いた様子も見せずにその人物に視線を向けていた。

 

「やぁ、御剣翔」

 

青髪に緑のメッシュが入った少女―――ゼノヴィアが駒王学園の制服を身に着けて部室にいた。

 

「それがお前の答えか?」

 

翔の言葉に頷くとゼノヴィアの背中から蝙蝠のような羽を生やした。

 

「あの後、教会本部から来た司教に神不在のことを問いただしたら、異端の使徒とされたのさ。問答無用で教会から追い出された私は、悪魔になることを選んだ。あぁ、でも主を否定したわけではないさ・・・・・・今でも信じている。ただ―――」

 

一旦言葉を切り、ゼノヴィアは視線を翔に向ける。

 

「私は君に惹かれたんだ。コカビエルと対等・・・いや、それ以上に戦って見せた君に・・・。

誰かを護るために戦うその背中に・・・どうしようもなく惹かれたんだ」

 

真っ直ぐと翔を見つめるゼノヴィア。

その瞳に浮かんでいるのは熱。翔に対して抱いたそれは彼女に今まで抱いたことのないもの。

不快ではなく、むしろ心地良く感じられる・・・。

 

「そうか・・・・・・お前が決めたことだ。俺がとやかくいうことじゃない。

だがな、俺が戦う理由はそんな大層なものじゃない・・・ただの自己満足と言う名の偽善だ」

 

吐き捨てるように放たれた言葉には自嘲の念が込められていた。

そのことに首を傾げるゼノヴィア。

だが、すぐに何でもない、と翔が告げることで、この話は終わった。

すると―――

 

「全員揃ったわね」

 

丁度リアスが全員に聞こえるように声を張り上げて言う。

 

「まず伝えることは彼女についてよ。デュランダルの担い手であるゼノヴィアが私の《騎士》となったわ。みんな仲良くしてね。学年は翔達と同じで、クラスも同じように手配しといたわ」

 

「今日よりリアス・グレモリーの《騎士》となったゼノヴィアだ。よろしくしてほしい。

幸いなことに、消費の駒は一つで済んだ。デュランダルが強力でも私自身はそうじゃないからな」

 

「それにしても教会側が最高峰の聖剣であるデュランダルとその担い手を簡単に手放すとはな。・・・それほどまで、神の不在が漏れないように徹底しているわけか・・・」

 

リアスとゼノヴィアの話を聞きながら、翔は誰に聞かせるわけもなく静かに呟く。

 

翔の言うとおり、教会側にとって神の不在が信者に広まるのは拙い。

信者には数多くの者達が存在する。政府関係者は勿論、一流企業の社長など。

その者達が神の不在を知ることとなれば、教会に寄付されている多額の金銭が途絶えることを

意味する上に、現在の人間界のバランスを崩しかねない。

下手をしたら戦争が起きてしまう可能性も低くはない。

故に、教会は隠すのだ。神の不在を・・・。

ゼノヴィアには悪いかもしれないが、仕方がないことなのかもしれない。

 

「次に伝えるべきことは、先日のコカビエルの件について・・・。教会は今回の事で悪魔側、つまり魔王に打診してきたそうよ。『堕天使の動きが不透明で不誠実なので、遺憾であるが連絡を取り合いたい』と。それとバルパーの件についても過去取り逃がした事に関しては自分達に非があると謝罪してきたわ。

堕天使側は堕天使の総督であるアザゼルから、悪魔側と神側に真実が伝わったわ。エクスカリバー強奪はコカビエルの単独行動。他の幹部は知らない事だった。三竦みの均衡を崩そうと画策し、再び戦争を起こそうとした罪により、『地獄の最下層(コキュートス)』で永久冷凍の刑が執行されたそうよ」

 

コキュートス

地獄の最下層に流れる川であり、『嘆きの川』を意味する。

また13世紀から14世紀にかけてのイタリアの詩人・政治家、ダンテ・アリギエーリの代表作である『神曲』の地獄において最も重い罪とされる悪行は『裏切り』で、コーキュートスには裏切者が永遠に氷漬けとなっているといわれている。

 

つまりコカビエルはもう姿を見せることは永遠にないだろう。

 

「近いうちに天使側の代表、悪魔側の代表、アザゼルが会談を開くらしいわ。

なんでもアザゼルから話したいことがあるみたいだから。そのときにコカビエルの事を謝罪するかもしれないと言われているわ。でも、あのアザゼルが謝るかしら?」

 

リアスの話を聞きながら、翔は今度行われる会談について思考をしていた。

 

今まで均衡を保っていた三つの勢力が会談を開くとなると、世界中の存在が注目するはずだ

他の神話勢力もこの会談を機に動き出すな・・・・・・それとは別の存在達もな

 

「私達もその場に招待されているわ。事件に関ってしまったから、そこで今回の報告をしないといけないの。特に翔! 貴方には何が何でも会談に参加しなくてはいかないわ」

 

「ん? 何で俺だけそこまで強く言われないといけないんだ?」

 

思考を止めて、リアスの言葉に対して聞き返す。

それにリアスは呆れたように声を漏らす。

 

「貴方は自分がしたことをもう忘れたの・・・? 失われたはずのエクスカリバ―を少しの間とは言え、復元して見せたのよ。きっと白龍皇もそのことをアザゼルに伝えているわ。なら、会談で貴方に問われるのは当たり前じゃない」

 

「そうだな。・・・面倒なことになりそうだ」

 

リアスの言葉を聞いて、翔は愚痴を吐き出すかのように深い溜め息をする。

 

「それに貴方自身のことは絶対に聞かれる筈よ。今まで姿を見せなかった赤龍帝が急に姿を現したのだから、きっと今の間も貴方の出世や経歴を各勢力が秘密裏に調べているはずよ。・・・・・・どうするつもり?」

 

不安そうな表情を浮かべながら問いかけるリアス。

 

現在、翔がこの世界の住人じゃない事を知っているのは、ゼノヴィアを除いたこの場にいる者達だけ・・・。アーシアはリアスの眷属となった日の内に翔から告げている。

その時の彼女は翔に―――

 

『例え、違う世界の人だろうとも翔さんは翔さんです!』

 

と、強く豪語したのだ。

そう言われて、翔は一瞬目を見開いて驚いたが、すぐに優しい微笑みを浮かべてアーシアに礼を言った。その時にこのことは秘密にするように口止めもしている。

故に、いくら翔のことを調べても、翔に関する情報が出ることはないのだ。

つまり、会談時に翔について問われるのは必然と言える。

仮にその時に翔自身が、自身のことを告げた場合、どうなるかは予測できない。

最悪の場合、リアスの眷属から外れる可能性もある。リアスはそのことを危惧しているのだ。

リアスにとって、翔はすでになくてはならない存在。心の底から愛おしく思っている存在。

翔が自身の前からいなくなってしまうことを考えるだけで、胸が強く締め付けられるほど・・・。

そんなリアスに対して―――

 

「大丈夫さ」

 

翔は一言返す。

 

「大丈夫って、貴方ね・・・」

 

「お前が不安になることはないさ。会談の時には、俺自身のことは自分で如何にかするさ。

それに今から、不安がっていても仕方がないだろ?」

 

「・・・・・・それもそうね。じゃあ、伝えるべきことは伝えたので、今日からオカルト研究部を再開するわよ!」

 

リアスの言葉と共にオカルト研究部の活動が再開された。

 

 

俺の想いは偽善だ・・・

それでも護れるものが、救えるものがある

なら、最後まで俺は戦い続ける

その果てが、どのような結末だろうが構わない

それで誰かが救えるのなら・・・

 

 




投稿が遅くなってしまい申し訳ありません!

最後の最後までヴァーリのTSは悩みました。
最初はヴァーリをTSさせるつもり満々でしたのですが、別にさせる必要ないんじゃないか?と考えるようになり、男同士の戦いも良いな・・・、と思ったのですが、やっぱりヴァーリを女性にしてヒロインにしたい!と言う想いも強く、もの凄く悩みました。なかなか決まらず、執筆がヴァーリ登場のところでずっと止まっていました。
随分と考え抜いたのですが、完全には決めれずに、とりあえず当初の目的通りTSすることに・・・。

それと、占い部分は勝手な解釈です。
納得できなくても、その辺はご了承くださいm(_ _)m
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