ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

34 / 40
なんとか前回の投稿から一か月以内に最新話を投稿できました・・・。


第30話 赤い龍の目覚め! 駒王協定とその後・・・

ドクンッ!!

 

赤い輝きの奔流を放ちながら翔は内側から脈動する力を感じとる。

だか、突如翔から放たれる輝きと力はなりを潜める。

 

静けさが辺り一帯を支配する。

だか、その静寂は嵐の前の静けさ、と表現したらいいのだろうか。

まるで、これから予想にできない大きな『何か』が始まることが、感じ取れる。

 

そして、赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)に右手を添えると、翔は静かに語りだす。

 

「平和を叫びながら、その手に剣を執る。それもまた悪しき選択なのかもしれない・・・」

 

元々、下地は出来ていた。

神器(セイクリッド・ギア)は、所有者の想いを糧に進化していく・・・。

故に、その強靭な精神と折れることのない不屈の魂を持つ翔ならば何時至っても可笑しくなかった。

ならば何故至れなかったのか?

 

 

―――求めていなかったからだ。

 

 

別にドライグを信用していなかったわけじゃない

ただ、それほど神器(セイクリッド・ギア)の力に固執していたわけじゃなかっただけで、ないならないで対して気にしなかった・・・

だが―――

 

 

神器(セイクリッド・ギア)の力が高まり、ある領域に至った者が発揮する力の形。

 

 

誰かが悲しみ、涙するというのなら、俺は・・・

 

 

使いようによっては『世界の均衡を崩す力』と言う意味でそう呼ばれる。

それが―――

 

 

「だが、今は・・・争いの連鎖を断ち斬る力を―――」

 

 

―――禁手(バランス・ブレイカー)だ。

 

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!』

 

 

力強い音声が籠手から響く。

 

 

一瞬の静けさの後に、辺り一帯に莫大な力が吹き荒れる。

まるで大地が揺れているかと錯覚するほどの圧倒的な力・・・。

左腕にある宝玉から赤い輝きが解き放たれ、その赤い輝きは翔を包み込み、天を貫くのではないかというほど、その赤い閃光が空へと駆け、一つの柱となる。世界を照らせるのではないかと錯覚するほどだ。

 

その様子を見てヴァーリの頭の中にある答えが導き出され、歓喜の声を上げる。

 

「そうか・・・ついに君も至ったのか! 御剣翔・・・ッ!! これでようやく私と同じところに来たということだね!!」

 

『同じ? あれが我々と同じところだと? ・・・ヴァーリ、お前は相手の力量を見誤っている。

ああ、確かにあれは禁手(バランス・ブレイカー)だ。―――だが、従来の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)のものとは放たれる力の波動が違いすぎるッ!!』

 

ヴァーリの背中にある青い光翼についている青い宝玉からアルビオンの戦慄した声が響く。

 

「それでいい・・・それでこそだ! 御剣翔!! 君は私の想像の遥か上を行く・・・ッ!!」

 

「やれやれ、お前を喜ばせるためではないのだがな・・・」

 

ヴァーリの歓喜の声に、苦笑の言葉が返される。

赤い輝きが治まりはじめ、翔の姿が露わとなる。

 

漆黒のロングコートのような独特な着物は相変わらずだが、着物の上には袖のない白い羽織を羽織っている。その背中には赤龍帝の紋章が赤い線で描かれていた。

手首まであった裾は、肘までの長さになっており、その代わりに両腕に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が装着されていた。

だが、通常の赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)とは異なり、その形状は変化していた。

無駄がなくなり、より洗礼された姿へと変わっていた。籠手と言うよりは手甲に近い形だ。

そして相変わらず、手の甲の部分には緑色の宝玉が嵌め込まれている。

 

白龍皇であるヴァーリの禁手(バランス・ブレイカー)白龍皇(ディバイン・ディバイディング)の鎧(・スケイルメイル)と比べると、手甲だけと随分と軽装である。

 

「・・・どうだ、ドライグ?」

 

両手を軽く握りしめたり、軽く体を動かしたりと、調子を確かめながら翔はドライグに問いかける。

 

『いい塩梅だ。相棒は始めから基礎は充分過ぎるほど出来上がっていたからな、一か月近くは余裕で維持できると思うぞ? だが、最大の倍加を行い続ければ、それ相応に維持時間も減るからな、そこは忘れないように』

 

「了解だ」

 

そうドライグに言葉を返すと、翔は正面にいるヴァーリを見つめた。

 

「いい・・・実にいいよ・・・ッ!! これほど心躍るのは何時ぶりだろう?・・・いや、今まで感じたことがないほどの心地よさだッ!! なら、私もそれ相応の覚悟を持たなければ!!」

 

全身からオーラを放ちながら叫ぶヴァーリ。

対して、翔は溢れだすオーラを深く秘め、無駄などなく、まるで刀身のように鋭い。

 

「『無限を妬み、夢幻を想う―――』」

 

再開される覇の呪文。

次第にヴァーリから放たれるオーラに不気味な負のオーラが混じりだす。

このままでは『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』が発動してしまう。

 

「往くぞ・・・」

 

『BoostBoostBoostBoostBoostBoost BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!!』

 

翔が一言呟くと、宝玉から響く一気に限界まで行われる倍加の音声。

それにより翔が纏うオーラが一気に膨れ上がる。

まるで翔の全身が炎に包まれたかのように錯覚するほどだ。

 

ヴァーリは呪文と唱えながらも、翔の動きを見逃さないように視線は翔に固定されていた。

そして、何時でも対処できるように身構えている。

故に、彼女はその場から動かずに呪文を続けるが―――

 

「『我、白き龍の覇道を極め―――がはっ!?」

 

「まずは一撃だ」

 

ヴァーリの腹部に深々と突き刺さる翔の右拳。

彼女は兜の中で血反吐を撒き散らす。

 

何故だ・・・ッ!?

 

ヴァーリの頭の中はそれで埋め尽くされていた。

自分は確かに呪文を唱えながらも翔から視線を外していない。むしろ、翔が動いたら即座に対応できるように身構えていた。

だというのに、ヴァーリは翔の攻撃を避けるどころか、初動すら察知できなかった。

 

「疾ッ!」

 

そこから続く三連撃。

下段廻し蹴り、膝蹴り、上段廻し蹴りの左脚による三連撃はヴァーリの鎧を容易に破壊する。

 

「ごふっ!?」

 

吐血するヴァーリ。

だが、翔は攻撃の手を緩めない。

彼女の纏うオーラには『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』によって不気味なオーラが未だに纏われていたからだ。

 

『奴は『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』の影響で歴代白龍皇の残留思念が活発になっているのだろう。このままでは残留思念の力が強くなって、暴走を起こす危険があるぞ』

 

なら、それが一瞬で消え去るような一撃を加えるだけだ

・・・これなら行けるか?

 

翔は頭の中にある考えをドライグに伝える。

 

『・・・確かに可能性があるとしたら、今の相棒に出来ることはこれだけだろう。

だが、随分と分の悪い賭けになると思うぞ?』

 

そんなことはこれまで何度もあったさ

出来る出来ないの話じゃない。―――やるかやらないかだ

 

『くくくっ・・・いや、本当に退屈にさせないな、相棒は。・・・この賭け乗ったぞッ!!』

 

翔は右足を前にして、後ろにある左足にやや重心を乗せる。

右手は軽く開いてどこまで自然な状態でヴァーリに向けて伸ばす。

そして、左拳は自身の腰に引き込み、軽く握りしめて、そこにある『イメージ』を浮かべる。身体の数か所を全て固定させるイメージ・・・。

 

「破ッ!!」

 

気合の籠った声と共に溜めていた力を一気に開放する。

前にしていた右足に重心を移動させて、その際に発生した力をあますことなく左腕に伝える。

突き出していた右手は自身の腰に引き込むと同時に、それに入れ替わるように腰に構えていた左拳を突き出す、空手の正拳突きの動きだ。

だが、それだけではなく。翔が加えたイメージによってその一撃はさらなる高みに昇華させていた。

 

―――剛体術。

 

突きの動作に稼働する間接は、実に数十箇所である。これは同時に数十箇所のクッション・・・緩衝材が存在するということである。そして、このクッションが打撃力の最大の障害となってしまう。

仮に、この関節(クッション)を完全に固定化できたとしたら、人は鉄球になりうる。

翔の体重が約60キロと仮定すると文字通り60キロの鉄球の出来上がりだ。

さらに言うのなら、翔は神器(セイクリッド・ギア)に収納されたアスカロンの聖なるオーラを左手に込めている。

そんな一撃を今の状態のヴァーリが耐えられるはずもない。

故に―――

 

「・・・・・・ッ!!!???」

 

あまりの一撃にヴァーリは声も出せずに、その場に崩れ落ちる。

そして、彼女が纏っていた不気味なオーラが薄れていった。

 

狙い通り上手くいったな・・・

 

『ああ、賭けに勝ったな。それにこれほどのダメージを受けてはヴァーリ・ルシファーも戦闘続行は出来ないだろう』

 

翔が狙ったのは『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』によって活性化してい歴代白龍皇の残留思念の鎮圧だ。だが、それはあくまでもヴァーリの持つ神器(セイクリッド・ギア)である白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)によるもの。外部から干渉するのは難しい。

故に、翔は収納されているアスカロンで干渉することにした。

 

アスカロンは龍殺しの聖剣だ。

聖なるオーラは別に魔を滅するだけではなく、時には誰かに祝福や幸福を与えることもある。

それによって、翔は暴走しそうな歴代白龍皇の残留思念を鎮圧しようと考えたのだ。

だが、アスカロンは剣であり、武器だ。どちらかというと敵を倒すことに特化していると言っていい。

故に、ヴァーリにダメージを与えるだけで、残留思念を鎮圧することが出来ないかもしれない。

そのため、ドライグは『分の悪い賭け』と言ったのだ。

 

 

「もう終わりだ、ヴァーリ」

 

「・・・終わり、だって・・・?・・・まさ、か・・・こんなに、心躍る・・・戦いを・・・終わ、らせる・・・なんて・・・・・・」

 

痛みに耐えながらも言葉を途中で詰まらせながらも、ヴァーリは戦意を消すことはない。

 

「肋骨の何本かに皹が入っていて、それ以外にも内臓や重要な器官にもダメージが届いているはずだ。息する動作だけで激痛が襲いかかってくるだろう・・・・・・投降を勧めるぞ」

 

「何を・・・馬鹿な、ことを・・・・・・ごはっ!?」

 

言っているの?と言葉を続けようとしたヴァーリであったが、途中で口からドス黒い血を吐き出す。

 

「これ以上の戦いは無意味・・・これ以上続けてもお互いにメリットは何もない。

大人しく捕まれ、ヴァーリ」

 

「・・・本気で言って、いるよう、だね」

 

苦悶の顔を浮かべながらもヴァーリは、苛立っている雰囲気が感じ取れる。

だが、次に翔が放った言葉によって、それは霧散された。

 

「ああ。それにこれ以上、戦ったところでお前の憎悪や悲しみは消えやしない」

 

「ッ!?」

 

その言葉にヴァーリの顔が驚愕の表情に歪む。

 

「な、何故? 貴方、が・・・それを・・・!?」

 

「別にお前の過去を知っているわけじゃない。・・・ただな、その瞳の奥には計り知れない憎悪、悲しみ・・・闇が秘められているのを感じてな」

 

まるで全てを見え透いているかのような視線をヴァーリに向ける翔。

 

先に発動させた流水制空圏は、相手の流れに自分が合わせ、そして一つになり、最終的には己の流れに相手を乗せるという三段階に分かれている。

命のやり取りをしているとう極限状態において、相手の身になって物事を考える―――それこそが流水制空圏の極意。

相手の心を読みとることにより、相手の行動を先読みするだけではなく、そのものの『心の起源』までも読み取ることも可能である。

 

「だから何なの? 貴方には関係ないことよッ!」

 

『Divide!』

 

痛みを無視して大きな声を上げるヴァーリは白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)の能力を行使する。

だが、翔には何も作用していない。

ヴァーリは己に半減の力を作用させたのだ。

痛みで動けないなら、痛みを感じなければいい。

半減の力で自身に襲いかかる痛みを半減させたのだ。

だが、それは痛みを半減させているだけで、ダメージが消えたわけではない。痛みがないため動くことは可能になるが、裏を返せば肉体の限界に気付くことが出来ないということだ。

 

「はぁああああ!!」

 

感情を高ぶらせて真正面から襲いかかるヴァーリ。

ヴァーリの動きを見て、彼女が何をしたかを察知した翔は、厳しい視線をヴァーリに向ける。

だが、そんなことを気にするほどヴァーリに心に余裕はない。

ひたすら目の前にいる翔に怒涛の攻めを続ける。まるで幼い子供が喚き散らすかのように・・・。

 

今までのヴァーリから考えられないほど感情的になっている。

ヴァーリの心の中には今まで感じたことがないほどの激情が占めていた。

 

何故・・・・・・何故・・・・・・・・・何故ッ!?

目の前の男はそんな眼で私を見ているのッ!

まるで全部分かっているみたいな目を向けてくるのッ!

何も・・・何も知らないくせに・・・ッ!!

 

これほど怒り狂ったのは何時ぶりだろうか・・・もしかしたら初めてかもしれない。

それほどまでにヴァーリは感情を高ぶらせていた。

 

嫉妬、激怒、憎悪、嫌悪、殺意・・・それら負の感情が全て一つになり、ヴァーリを突き動かす原動力となっていた。

頭の思考は全てそれらに支配され、他には何も考えることは出来ない。

翔が全ての攻撃を、時には受け止め、時には受け流すことで、攻撃している側のヴァーリにダメージが行かないように配慮していることには全く気付かず、ただ目の前にいる敵を完膚なきまでに徹底的に破壊するという思考のみ。

ひたすら拳や蹴りを放ち続ける。戦略や駆け引きなどは一切考えず、本能で攻撃を繰り広げるだけだ。

 

「はぁああああああ!!」

 

感情の全てを籠めたんじゃないかという気合の声と共にヴァーリは全身のオーラを迸らせ、全体重を乗せた右拳を放つ。

だが、翔はそれすらしっかりと威力を無力化させてから受け止める。

そうして二人が触れ合った瞬間―――

 

ジ・・・ジジ・・・ッ

 

ヴァーリの頭に微かなノイズ音が響くと共に一瞬だけ視界に映る映像とは違う映像が流れる。

 

 

―――黒い衣に身を包んだ男の背中、荒れ果てた荒野、そしてそこに数多くの人の死体。

 

 

一瞬であったために、その殆どを理解できなかったヴァーリであったが、一つだけ理解したことがある。

頭に流れた映像にいた男は今目の前にいる御剣翔であるということ。

 

「ッ!? はぁああああ!!」

 

戸惑い、動揺をするヴァーリであったが、それは一瞬であり、それらを振り払うように再び怒涛の攻めを続ける。

翔はヴァーリの動きが止まったのに気付いたが、その理由は分からないので、今まで通り彼女にダメージが行かないように攻撃を全て受け止め、受け流す。

 

「くっ!?」

 

ヴァーリは翔と触れ合う度に頭には自分の知らない映像が頭の中に流れ続ける。

そのどれにも必ず翔の後姿だけが映るのだ。

正面から移ることはなく、後姿だけ・・・・・・そのためヴァーリからは翔がどのような表情を浮かべているか分からない。

ただ分かることは、再生される映像の中で、そのどれもが翔が傷ついていた。

 

 

銃弾が飛び交う戦場で傷を負いながらも刀を振るっていた。

 

異形の存在から人々を護るために戦っていた。

 

火災があった場所で体が焼けることなど気にせずに、瓦礫に埋もれた者達を助けていた。

 

 

何時、どの場所でも彼は誰かのために戦っていた・・・。

だというのに―――

 

『何故、もっと早く助けてくれなかった!? お陰で、片腕が使えなくなっただろッ!?』

 

『何故、私が傷を負わないといけないのよ・・ッ!?』

 

『何故、子供を見殺しにしたの・・・ッ!?』

 

『何故・・・ッ!?』

 

護ってもらっておいて、救ってもらっておいて、なんと身勝手な言葉のだろう、とヴァーリは思った。

翔は全てを賭けて、人々を救い護ろうとした。

だが、それでも救えぬ者がいる。全てを救うことなど無理だ。

むしろ、よく救えた、よく護り通した、という場面ばかりだ。

 

だと言うのに、人々の声が、言葉が、彼の心に亀裂が奔る。

その後ろ姿は力強いのに、それと同じくらい弱々しいものに感じられた。

 

―――人殺し!

 

―――化け物!

 

―――気味悪いんだよ!

 

―――二度とその顔を見せるんじゃない!

 

―――貴様のせいだ!

 

救った、護った者達から放たれる言葉は感謝ではなく罵声のみ。

決して報われない彼・・・・・・それでも彼は救い続ける。

 

 

例え、唾を吐きかけられようとも・・・。

 

例え、石を投げかけられようとも・・・。

 

例え、罪を擦り付けられようとも・・・。

 

 

彼は誰かを救い続けた。

 

 

ずっと独りで―――戦い続けた。

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

すでにヴァーリの攻撃の手を止まっていた。

翔の目の前で顔を俯かせている。

誰もがヴァーリの行動に怪訝な表情を浮かべていると、彼女は唐突に口を開いた。

だが、その声はどこか何かに堪えるように震えていた。

 

「・・・アルビオン、貴方は見た?」

 

『ああ、俺にも見えた。恐らく、こちらの神器(セイクリッド・ギア)とあちらの神器(セイクリッド・ギア)が共鳴を起こしたのだろう。それ故に、触れ合った際にこちらにあの映像が流れてきたのだろうな』

 

「そう・・・ってことは?」

 

『ああ、あの映像はドライグの宿主である御剣翔の過去に相違ない』

 

「やはり、そうなのね・・・」

 

ヴァーリとアルビオンが何かを話している。

勿論、間近にいる翔にはその声が届いているのだが、アルビオンの声はヴァーリにしか聞こえていないため、ヴァーリが一人で喋っているようにしか見えず、何を話しているかまでは分からない。

 

翔が怪訝な表情をヴァーリに向けていると、彼女は鎧の兜を収納し素顔を晒した。

その突然の行為自体にも疑問を持つのだが、さらに翔が疑問を持ったのは彼女が涙を流していたからだ。

 

「・・・何を、泣いているんだ?」

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

翔の問いかけにヴァーリは答えずただ沈黙を貫くばかり・・・。

数分ほど経った頃だろうヴァーリは突如閉じていた口を動かした。

 

「・・・貴方は何故戦ってられるの?」

 

「突然、何を・・・?」

 

彼女の問いかけに翔が疑問の声を上げるが、ヴァーリはそれに構わず語り続けた。

 

「多くの人々を救い続け、護り続けてきた・・・・・・でも、そんな貴方に人々は何をしたっていうの!?

確かに感謝をしてくれた人もいた。だけど! その大半が貴方を畏れた! 貴方を嘲った! 貴方を傷つけた!

それでも何故・・・ッ!?」

 

涙を流しながら感情的に叫ぶヴァーリ。

それに対して、翔は静かに言葉を発した。

 

「・・・どういう原理かは理解できないが、神器(セイクリッド・ギア)を通して、俺の過去の一端を見たようだな」

 

その言葉にヴァーリは沈黙で肯定する。

 

「何故、と言われても、俺がやりたくてやっていたことだ。理由は特にないな」

 

「でも、貴方は報われてないじゃない・・・ッ!?

救った人から平気で裏切られ、護った相手から感謝などされず、戦いを終わらせた功労者の筈なのに戦争の原因にさせられ殺されそうになったり・・・・・・貴方は人々のために戦い続けた。でも、その結果が―――」

 

ヴァーリは堪え切れなくなり、言葉を途中で止めて涙を流し続けた。

 

「ああ、結果は一般的に言うなら散々たるものだろうな。だが、それがどうした?

別に俺は褒められたくて、感謝されたくてやっているわけじゃない。その結果がどうであろうと俺は気にしないし、何とも思わない」

 

―――嘘だ!?

 

と、ヴァーリは強く否定したかった。

だが、言葉には出来なかった。

きっと彼は本当にそう思っているから・・・・・・でも、いくら頭でそう思っていても、心には着実に『痛み』は蓄積されていった。

罵倒の言葉が剣となり、彼の心に突き刺さる・・・その度に心に皹が奔っていく。

 

きっと人をやめて、機械的になることが出来たのならば、彼は傷つくこともなかったのだろう・・・。

だが、それは出来なかった。彼はあまりにも人らしかった。

故に、『痛み』を誰にぶつけることなく、耐え続けた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

ヴァーリは自身の頭を翔の胸に押し付けて、下唇を噛み締める。

 

「それにさ・・・・・・」

 

不意に翔が声を漏らす。

それに反応したヴァーリは俯かせていた顔を上げて翔の顔を見つめる。

 

「誰かを助けたいという願いは間違いではない、からな・・・」

 

以前、サーゼクスに語った言葉を今一度告げる。

苦笑いと微笑みが混じったような表情を浮かべて告げる翔の顔を間近で見つめたヴァーリは―――

 

「ッ!!??」

 

顔を一瞬で紅く染め上げる。

 

ドクン!ドクン!ドクン!

 

自分の意思とは関係なく自身の鼓動が高鳴るのがはっきりと感じ取る。

今まで感じたことがない感情・・・・・・だが、不思議と悪い気はしない。

ヴァーリの中でこれまでない感情が芽生え始める。

 

「どうした?」

 

「・・・ッ!?」

 

ヴァーリより身長の高い翔は、やや見下ろす形で彼女の顔を見つめる。

すると、ヴァーリは咄嗟に視線を横にずらし、翔を直視しないようにする。

翔はヴァーリの行動に怪訝な表情を浮かべる。

すると―――

 

「おいおい、帰りが遅いと思ったらボロボロじゃねぇかよ!

赤龍帝の強さは噂には聞いていたけど、まさかヴァーリが負けるなんて俺っち吃驚だぜぃ!」

 

やけにテンションの高い声が響くと、翔とヴァーリの近くに一つの人影が舞い降りる。

三国志風の鎧を身に纏っている青年のような見た目で、軽い口調の男。

 

「・・・美候か、何しに来たの?」

 

「いやいや、どう見ても酷いダメージ受けてるじゃねぇかよ!? 何平然としてんだ? それに赤龍帝に体まで預けちゃって・・・」

 

「ッ!? こ、これは、別に関係ないわ!」

 

「何顔紅くさせてんだ?・・・・・・は~ん、なるほどね・・・」

 

顔を紅く染めて咄嗟に翔から少し離れるヴァーリ。

それを見て、美候は最初こそは疑問の声を漏らしたが、すぐにどんな状況化を察知して非常に憎たらしい声と共に見る者を苛立たせるようなニヤニヤとした表情を浮かべる。

 

「・・・何よ、その顔は」

 

何故、美候がニヤニヤしているのかは理解できないが、その顔はヴァーリにとって非常に不愉快な感情を抱かせた。

 

「いやべっつにー・・・ただヴァーリもそんな顔するんだなぁって思っただけさ。

んで、俺っちがここに来た理由はお前のお迎え役。何でも北のアース神族と一戦交えるから帰って来いってよ」

 

「そう・・・。もうそんな時間なのね」

 

「いやぁ、それにしてもほんとにヴァーリが負けるなんて想像もしてなかったわ。

今代の赤龍帝は相当強いな! 俺っちは美候! 闘戦勝仏の末裔だぜぃ!」

 

「闘戦勝仏の末裔だと・・・? 孫悟空の血筋だとは思いもしなかったな・・・。それで、これからどうするんだ?―――俺と一戦交えるか?」

 

全身から赤いオーラと覇気を迸らせながら翔はそう告げる。

 

「・・・・・・おいおい、ヴァーリと戦ったっていうのに、全然衰えてないじゃないかよッ!!

魅力的な提案だけど、今回は辞退させてもらうぜぃ。今回はヴァーリの回収が目的だからな・・・。それにこれ以上は流石の『黒歌』も結界に干渉するのは難しそうだからな」

 

翔の言葉を聞いて美候は無意識のうちに唾を飲み込む。

だが、今回は戦わないと意思表明をすると、手に持つ細長い棍棒をぐるりと一回転させてから、地面に突き立てた。

すると、そこを起点に黒い霧に様なものが広がり、ヴァーリと美候を包み込んでいく。

 

「俺がみすみす逃がすと思っているのか?」

 

「いや、逃がすね。こっちにはケガ人のヴァーリがいるんだ。噂に聞く赤龍帝なら手を出さない・・・出せないはずだ。それに初めての禁手(バランス・ブレイカー)で思っている以上に消耗しているのは俺っちの眼には誤魔化せないぜぃ」

 

「・・・・・・読まれているわけか。なら―――」

 

そう言って、翔は残った力の半分を右手に集中させる。

そして美候に向かって曲げた中指を親指で押さえる仕草・・・・・・所謂デコピンをする仕草を取る。

怪訝な表情を浮かべる美候に、翔は貯めた力を開放する。

 

ドンッ!

 

「痛てぇ!!」

 

空気の振動した音が響いたと思ったら、美候は片手で自身のデコを抑える。

 

「な、何するんだよぃ!? てか、何したんだ!?」

 

若干涙目になりながら翔に文句を言う美候。

 

「ちょっとした意趣返しだ、気にするな。ただ単に空気を振動させた衝撃をぶつけただけだ。それに加減はしたさ」

 

「加減してこの痛さとかありえねぇー!?」

 

「美候、煩いわよ・・・。まぁいいわ。翔、今回は私の完敗・・・・・・でも、次は負けないわよ。次、戦う時はもっと激しくやろう。お互いにもっと強くなって―――史上最強の二天龍として戦いましょう」

 

「俺としては御免被りたいんだが・・・そうも言ってられんか。

敵に言うのは変かもしれないが―――またな」

 

ヴァーリに近づいた翔は彼女の頭を軽く撫でてからそう告げる。

 

「ッ!? ・・・・・・またね―――翔」

 

一瞬目を見開いて、何が起きたかわからない表情を浮かべたヴァーリであったが、翔に頭を撫でられたと自覚した瞬間、再び顔を紅く染め上げて視線を翔から背けて、聞き取れるか聞き取れないか微妙な声量で呟き、ヴァーリと美候はこの場から消えていなくなってしまった。

 

「ふぅ・・・」

 

翔が息を吐くと同時に禁手(バランス・ブレイカー)が解除される。

両腕にあった手甲は左だけの籠手となり、服装は漆黒のロングコートから駒王学園の制服姿となる。

すると、タイミングを見計らったかのようにアザゼルが翔に近づいて来た。

 

「やれやれ、逃げられちったか・・・。ま、仕方ないか。

それにしても今代の赤龍帝の禁手(バランス・ブレイカー)は亜種かよ!?

今までにないことだぜ!! 後で調べさせてくれよ!!」

 

「分かったから、近づいて来るな・・・」

 

まるで子供のように目をキラキラと輝かせて翔に詰め寄るアザゼルに対して、翔は若干鬱陶しそうにそう告げる。

 

「名付けるとしたら、赤龍帝の手甲(ブーステッド・ギア・ガントレッド)・・・って感じか?」

 

「さてな・・・。それでカテレアはどうした?」

 

「ああ、あいつとその部下はサーゼクス達によって冥界に転移されたようだぜ?

多分、『禍の団(カオス・ブリゲード)』の情報でも提供してもらうんだろう。

何、悪いようにはしねぇだろ」

 

「そうか・・・」

 

それから翔とアザゼルはサーゼクスやミカエルがいる方へと歩いてい居た。

 

「おう、堕天使総督と赤龍帝の帰還だぜ」

 

翔を引き連れたアザゼルがそう軽口を叩いて、サーゼクス達の会話の輪へと入る。

 

「翔! 無事でよかった!」

 

リアスをはじめとして、ギャスパーの停止の効果が切れて動けるようになったオカルト研究部のメンバーにソーナが翔に駆け寄った。

 

「ああ、別に何ともないさ。そこまで心配するな」

 

リアスが翔に近づいてきて抱き締めようとするが、翔は彼女の額に人差し指と中指の二本の指を当てて押さえつける。

 

「むぅ・・・別に抱き着いたっていいじゃない」

 

それに対してリアスは不満げな表情を浮かべるので、翔は思わず苦笑を漏らしてしまう。

 

「許せ、リアス。俺も少しばかり疲れてるんだ」

 

「そうだぜ、リアス・グレモリー。そいつは平然としてるが、初めての禁手(バランス・ブレイカー)で肉体的にも精神的にも疲労は溜まっているはずだ。あんまり、構ってやるな」

 

翔の言葉に捕捉するように言葉を続けるアザゼル。

すると、サーゼクスが笑顔で翔に近づいて来た。

 

「翔くん、無事で何より。そして、良くやってくれた。君の迅速な対応で我々、三大勢力の被害はほぼゼロと言っていい」

 

「ありがとね☆」

 

「ええ、停止された部下を回収する時間も稼いでくれましたし、無理やりテロに参加させられていた者達も無事に回収できました」

 

「ありがとよ」

 

サーゼクス、セラフォルー、ミカエル、アザゼルと三大勢力のトップから感謝の言葉を贈られる翔であったが、彼はそれを手で制した。

 

「いや、俺だけの功績じゃないさ。祐斗達もいたから今回の結果に繋がったんだ・・・」

 

そう告げる翔にこの場にいる翔を除いた者達は微笑みを浮かべており、翔は周りの態度に怪訝な表情を浮かべる。

それに対して、リアスが微笑みながら理由を告げる。

 

「さっき、話していたのよ。翔ならきっとそう言うでしょうって」

 

優しい笑みを浮かべながらそう語るリアス。

それに翔は、まいったな・・・、と呟いて肩を竦める。

すると、サーゼクスとミカエル、アザゼルのトップが話し合いを始めた。

 

「カテレアから得る『禍の団(カオス・ブリゲード)』についての情報は分かり次第送るとしよう。

そして、すまない。今回、会談の場をセッティングした我々としては不甲斐なさを感じている」

 

「サーゼクス、そう責任を感じないでください。私としては三大勢力が平和の道を共に歩めることに喜んでいるのですよ? これで無益な争いも減るでしょう」

 

「ま、納得できない配下も出てくるだろうな」

 

ミカエルの言葉にアザゼルが皮肉を返す。

 

「では、私は一度天界に帰ります。すぐに戻ってきますので、その時に正式な和平協定を結びましょう」

 

この場を後にしようとするミカエルに、翔は声をかける。

 

「こんな時にすまないが、一つだけ願いがある」

 

「私にできることなら喜んで」

 

突然の翔の申し出にミカエルは時間がないというのに、嫌な顔一つもしないで微笑みを浮かべて返す。

 

「アーシアとゼノヴィアが祈りを捧げる分だけ、ダメージを無力化してくれないか?

以前に聞いた話だと、システムによる影響らしいから可能ではないのか?」

 

『ッ!?』

 

その言葉を聞いて、翔を除いた全員が驚きの表情を浮かべる。

いや、アザゼルは面白そうな笑みを浮かべ、ガブリエルは最初から翔の言いたいことが分かっていたかのように慈愛に満ちた笑みを浮かべていた。

 

翔が最初にミカエルと会って、『システム』について話を聞いた際にその考えが浮かんだのだ。

世界のルールがそれで決定されているのならば、それを無力化するのは不可能だが、祈りで悪魔がダメージを受けるのは、『聖書の神』が作り出した『システム』によるもの・・・・・・ならば、今現在『システム』の中枢を担っているミカエルが設定を多少いじれば、悪魔でも祈りを捧げられるのではないのか?と翔は考えたのだ。

 

願いをされたミカエルは小さく笑うと、うんうんと頷きながら言う。

 

「確かに二人分くらいなら、なんとかなるかもしれません。二人とも悪魔ですし、教会本部に近づくこともないでしょうしね。―――アーシア、ゼノヴィア、問います。神は不在ですよ? それでも祈りを捧げますか?」

 

ミカエルの問いに二人は首を縦に振る。

 

「はい、主がおられなくとも私は祈りを捧げたいです」

 

「同じく。主への感謝とミカエル様への感謝を込めて」

 

迷いのない二人の言葉を聞いて、ミカエルは微笑みを浮かべる。

 

「わかりました。本部に帰ったら、さっそくそうしましょう。ふふふ、祈りを捧げてもダメージを受けない悪魔が二人くらいいてもいいでしょう。面白いでしょうね」

 

「良かったな、二人とも。これで祈る度に痛がらずに済むな」

 

翔がそう言うと、アーシアは目元を潤ませながら翔に抱きつく。

 

「翔さん! ありがとうございます!」

 

「ありがとう」

 

アーシアは翔に抱きつきながらも礼を言う。

それに続きゼノヴィアも翔に感謝を述べる。

 

「俺は頼んだだけだ。実際に感謝されるのはミカエルさんであって、俺ではないだろ」

 

「いいえ、貴方がそれを口にしなければ、このような結果にはならなかったでしょう」

 

自身は何もしていないと告げる翔に、ミカエルはそれを否定する。

 

「まぁ、なんだ・・・・・・これで遠慮なく祈れるだろ」

 

翔は照れ隠しを隠すように、アーシアとゼノヴィアの頭を優しく撫でる。

すると、撫でられた二人はすぐに幸せに溺れたかのような蕩けた表情を浮かべる。

その様子をリアスと朱乃、小猫、ギャスパーの三人は羨ましそうに見つめており、セラフォルーやガブリエルまでもが似たような表情を浮かべていた。

 

すると、今まで黙っていた祐斗が一歩前に出てミカエルに声をかける。

 

「ミカエル様。例の件、お願いします」

 

「貴方から進言のあった聖剣研究の事も今後犠牲者を出さぬようにすると、貴方からいただいた聖魔剣に誓いましょう。大切な信徒をこれ以上無下にすることは大きな過ちですからね」

 

何時の間にか祐斗がミカエルとそんな話をしていたようだ。

きっと第二、第三の自分達が生まれないようにしたかったのだろう。

 

「よかったな、祐斗」

 

「うん。ありがとう、翔くん」

 

翔達のやり取りを微笑ましく見ていたミカエル。

 

「ミカエル、ヴァルハラの連中への説明はお前がやってくれよ。下手にオーディンの爺に動かれても困るからな。それと、須弥山にも今回のことを報告しとかないと五月蠅そうだしな」

 

「ええ、そうですね。堕天使総督に魔王が説明に行っても、話をまともに聞いてくれなさそうですから・・・。『神』への報告に慣れている私が行きます。それでは、私は一度天界に帰ります。ガブリエル、行きますよ」

 

「ええ、分かりましたわ。―――翔さん、また近いうちに会いましょう」

 

ミカエルの言葉を聞いて、彼の後ろに控えていたガブリエルが頷くと、一度翔に視線を向けて、慈愛に満ちた優しい笑みを浮かべると、背に12枚の黄金の翼を生やすと優しい光に包まれ天へと昇って行った。

それに続くようにミカエルも軽く一礼してからガブリエル同様に天界へと帰って行った。

 

「・・・・・・この短期間で随分と仲良くなったみたいね、翔」

 

ジト目を翔に向けるリアスを始めとして、朱乃やアーシア、ゼノヴィアに小猫までもが翔に対して、何か言いたげな表情を浮かべていた。

 

「流石は赤龍帝だな! まさかあのガブリエルまでもがお前を気に入るなんて、男冥利に尽きるってもんだぜ」

 

「翔くんの天然の女誑しは、まさか天界一の美女にまで通用するとは・・・」

 

アザゼルは面白そうな、サーゼクスは興味深そうな表情を翔に向けていた。

そんな周りの反応に対して、翔は疲れたように深い溜め息を吐いた。

 

するとアザゼルは待機していた部下達の前に立つと声を上げて言い放つ。

 

「俺は和平を選ぶ。堕天使は今後一切天使と悪魔とは争わない。不服な奴は去ってもいい。だが、次に会うときは遠慮なく殺す。ついてきたい者だけ俺についてこい!」

 

『我らが命、滅びのそのときまでアザゼル総督のためにッッ!』

 

怒号となった部下達の忠誠。アザゼルはそれに、ありがとよ、と小さく礼を言っていた。

凄いカリスマ性だ。伊達に堕天使の頭をやっているわけではないようだ。

アザゼルが自分の軍勢に指示を出すと、魔方陣を展開させて堕天使達が帰っていく。

悪魔の軍勢も同様に魔方陣から転移していっているようだ。

 

それからしばらくして、ほとんどの天使、堕天使、悪魔が自分の世界に帰っていくなか、堕天使で唯一残ったアザゼルは校門のほうへ歩いて行く。

 

「後始末はサーゼクスにまかせる。俺は疲れた、帰るぞ」

 

アザゼルは片手をぶらぶらと振りながらそう告げる。

 

そして、翔の横をすれ違いざまに、そっと小声で告げる。

 

「―――またな」

 

西暦20××年 7月

 

天界代表天使長ミカエル、堕天使中枢組織『神の子を見張る者』総督アザゼル、冥界代表魔王サーゼクス・ルシファー、三大勢力各代表のもと、和平協定が調印された

以降、三大勢力の争いは禁止事項とされ、協調体制へ―――

 

この和平協定は舞台になった駒王学園から名を採って『駒王協定』と称される事になった

 

誰も知らないような偏狭な土地でヴァーリは戦闘の傷を癒していた。

そこにはヴァーリだけではなく、他にも数人の男女がいた。

 

「いや〜、まさかここまでヴァーリのダメージが大きかったなんて、俺っち予想してなかったぜぃ」

 

「ほんとにゃ。まさか、あのヴァーリがここまで追いつめられるなんて思ってもみなかったにゃ」

 

最初に言葉を発したのはヴァーリを迎えに行った美候。

そして、その次に続いたのは黒い着物を着崩した黒髪の妖艶な女性。だが、ただの女性ではなく、その頭には髪と同じ色の猫耳は生えていた。

 

「そうですね。それに赤龍帝はアスカロンに担い手として認められ、かなりの剣の腕を持っているとか・・・・・・是非とも一度剣を交えてみたいです」

 

「私もこっそり見に行けばよかったです」

 

スーツ姿に眼鏡をかけた紳士風の金髪の美青年が猫耳の女性の言葉に同調するように言葉を繋げ、魔法使いの衣装に身を包んだ金髪の青い双眸の小柄な少女が言葉を漏らす。

 

「彼には感謝しないとな・・・」

 

「彼って誰にゃ?」

 

「赤龍帝だよ」

 

赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の能力の譲渡で私自身の治癒力を高めたかもしれない・・・・・・あくまでも推測だけどね」

 

「あの時のヴァーリは他のことに夢中で気づいてなかったしな~」

 

「う、五月蠅いわよ、美候!」

 

美候の言葉にヴァーリは少し焦ったように文句を言う。

あの時の状況を知っているのは、ヴァーリと美候だけなので、他の者達は二人の会話が分からずに首を傾げていた。

 

翔がヴァーリにそっと治療を施したのは、別れ際に彼女の頭を撫でたときだ。

最もその時のヴァーリは翔に頭を撫でられてて、気づかなかったのだが・・・。

 

すると、この場に新たな人物が登場を見せる。

 

「やぁ、随分と手酷くやられたようだね、ヴァーリ」

 

学生服の上に漢民族の伝統的な民族衣装である漢服を羽織った黒髪の青年。

 

「・・・・・・こんなところに何の用かしら?―――曹操」

 

その言葉に曹操と呼ばれた青年は笑みを浮かべながら話を続ける。

 

「何、歴代最強の白龍皇が赤龍帝に下されたって聞いてね、ちょっと詳しい話を聞きたいと思ってさ」

 

「聞いてどうするつもりなの? 彼は私の獲物よ、誰にも譲る気なんてないから」

 

曹操の言い方が癇に障ったのか冷たく言葉を返すヴァーリ。

 

「それは困ったな・・・。何でもその赤龍帝は悪魔の転生をしたっていうのに人間のままっていうじゃないか? 英雄派のリーダーとしては、彼を勧誘しない訳にはいかなくなってね」

 

何でもないように言う曹操にヴァーリは冷たい視線を向けながら言う。

 

「無理ね。貴方如きが彼を御せるわけがない。それに彼は絶対に貴方の誘いは受けないわ」

 

「えらく断言するじゃないか? なんだ、俗にいう『拳を交わらせば、相手の考えが読める』って出来事でも起きたのかい?」

 

ヴァーリの言葉に曹操は皮肉気に返す。

 

「当たらずと(いえど)も遠からずと言ったところかな?」

 

それに彼が会談で話した過去は誰にも言うつもりなどないしね・・・

 

心の内で言葉を付け足すヴァーリ。

 

会談で翔の過去が本人の語られたが、それを知っているのはヴァーリと美候だけ。

駒王学園の近くで仙術によって気配を消して待機していた美候は会談に出席していたヴァーリを通して、会談の内容を把握していたため、翔が異世界出身で、そして英雄と呼ばれてもいいほどの偉業成していることを知っている。だが、ヴァーリから口止めをされている上に、自身で誰にも話すつもりはないと決めていた。

 

美候という男はお調子者で軽口をよく言うけれど、ああ見えて口はかなり堅い。

そのことを理解しているヴァーリは美候を信頼しているため、念のために言っただけに過ぎない。

 

「ふーん」

 

興味なさげに生返事を返す曹操であったが、その瞳の奥にはとてつもなく興味に惹かれた色を秘めていた。

それに気づいたヴァーリは軽く忠告をする。

 

「曹操、御剣翔という人物に興味を抱くのは構わないわよ。誰だっていきなり姿を見せた赤龍帝、それも『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』を使ったというのに悪魔には転生せずに人間のままでいる彼に興味を抱くなっていう方が無茶かもしれないわ。・・・・・・でも、これだけは言える―――彼を怒らせたら貴方達、英雄派はただじゃすまないわよ」

 

「その忠告は有り難く頂いておこう。それじゃ」

 

そう言って曹操は部屋から出ていった。

 

「あの様子じゃ、ヴァーリの忠告を大して気にしてないみたいだな」

 

「そうかにゃ?」

 

曹操が出ていった後、美候がそう漏らす。

すると、美候の言葉に黒髪の猫耳を生やした女性が疑問の声を上げる。

 

「いや、()()? お前は赤龍帝を見たことがないからそう言えるんだぜぃ?

戦いたいとは思うけど、正直言って本気の殺し合いはやりたくないわ」

 

「それはどういうことですか? 貴方もヴァーリほどではないにしろ、戦うことが好きなはずしょう?」

 

美候の言葉を聞いて黒歌が驚きで固まっていると、代わりにスーツ姿の眼鏡をかけた金髪の美青年が問いかける。

 

「だってよ~、()()()()。あの赤龍帝は味方なら頼もしいけど、敵なら厄介ってタイプだよ・・・・・・どんなに追い詰めたとしても僅かな可能性をもぎ取ってくるぜぃ?」

 

「それは面白そうですね。まぁ、私はどっちにしろ、彼には一度お会いしたいと思っていますが・・・。わずかな時間だと言え、エクスカリバーの復元を成した人物・・・・・・興味は湧きますよね」

 

アーサーと呼ばれた美青年が微笑みながら言うが、その瞳にはギラギラとしたものが宿っていた。

 

「アーサーもヴァーリに負けないくらい戦闘狂よねぇ~」

 

驚きで固まっていた黒歌がそう漏らす。

すると、また新たな来客がいた。

 

「ヴァーリ、翔に会った?」

 

「オーフィス・・・?」

 

音も気配もなく現れた少女。

黒いゴスロリの服を身に纏い、無を現すかのような真っ黒な髪に、何も籠っていない空虚の瞳。

だか、その瞳の奥底に『何か』が芽生え始めたように感じられるのは気のせいだろうか・・・。

 

「やぁ、オーフィス」

 

「ん」

 

ヴァーリが声をかけるとオーフィスは頷きで返す。

だが、ここで待った者がいた。

 

「いや! ちょっと待てヴァーリ! 今、オーフィスは『翔』って言ったぞ!?」

 

―――美候だ。

 

オーフィスの発言に驚きの声を上げる。

ヴァーリを除いた者達も驚きでわずかに硬直していた。

 

「・・・・・・確かにそうね」

 

美候に指摘されて漸く色々と認識し直したヴァーリ。

 

「ヴァーリから、翔のオーラの残滓、感じられる」

 

オーフィスはヴァーリに近づいてそう呟く。

 

「確かに会ってきたわよ・・・。手酷くやられたけれどね・・・。

まさか、これほど実力に差があったとは思わなかったわ」

 

「?」

 

負けたというのにあまり悔しそうな様子を見せないヴァーリにオーフィスは首を傾げる。

 

「まぁ、そんなことよりも・・・・・・オーフィス。どうして貴方が翔のことを知ってるの?」

 

「我と翔、友達」

 

『・・・・・・・・・・・・・・・はい?』

 

簡潔にまとめられたオーフィス。それを言う時の彼女はどこか誇らしげに語ってるように見れた。

そして、オーフィスの言葉を聞いてヴァーリを含めた全員が暫くの沈黙後、素っ頓狂な声を漏らす。

 

「いやいや、どういうこと!?」

 

一番に声を上げたのは美候であった。

理解できないと言った表情を浮かべて、オーフィスを見る。

それは黒歌達も同じで、彼と似たような表情を浮かべていた。・・・・・・ヴァーリを除いて。

 

「そうか・・・。オーフィス、君も彼と関わって何か変わったというのか」

 

何かを悟ったみたいな表情を浮かべるヴァーリ。

 

「翔に何時会える?」

 

「ま、何時か会える日は来るさ・・・・・・きっとそう遠くない未来」

 

問いかけてくるオーフィスに嬉しそうな笑みを浮かべて告げるヴァーリに美候を除く、全員が首を僅かに傾げる。

彼女の浮かべる笑みが、何時もの戦闘が楽しみという笑みとはちょっと違う気がしたからだ。

 

「―――赤と白は惹かれあう運命にある」

 

遥か遠くにいる翔の姿を思い浮かべながら、ヴァーリは言葉を静かに漏らした。

 

「てな訳で、今日からこのオカルト研究部の顧問になる事になった。アザゼル先生と呼べ。もしくは総督でも良いぜ?」

 

着崩したスーツ姿のアザゼルがオカルト研究部の部室にいた。

リアスは額に手を当て、呆れ果てたような声で問いかける。

 

「・・・どうして、貴方がここに?」

 

「セラフォルーの妹に頼んだら、この役職だ。まぁ、俺は知的でチョーイケメンだからな。女生徒でも食いまくってやるさ!」

 

「それは駄目よ!・・・って、何故ソーナがそんな事を!?」

 

「堅いな、リアス・グレモリー。いや、サーゼクスに頼んだら、セラフォルーの妹に言えと言うんだ。だから頼んだ」

 

「やれやれ・・・ソーナの奴。遠回しに俺らでアザゼルの事を監視しろって意味なのか?

今まで敵対していた勢力の長だから、不安なのも分からないわけではないが・・・・・・こいつに関しては監視する必要なのないだろうに・・・」

 

肩を竦めて呟く翔。

 

「それで、この学園に堕天使の長が入ってくるにはそれなりの条件があるだろ?」

 

「流石に鋭いな・・・。そう、俺がこの学園で教師をするにあたって、グレモリー眷属の悪魔が持つ未成熟な神器(セイクリッド・ギア)を正しく成長させることだ。ま、神器(セイクリッド・ギア)マニアの知識を役立てるってことだな。お前らも一度遭遇してるから理解していると思うが、三大勢力の和平が決まって、はいめでたし・・・なら、良かったんだが『禍の団(カオス・ブリゲード)』っていうけったいな組織が登場したわけだ。そんで、その組織に対する将来的な抑止力として、お前の名が挙がった」

 

そう言って、アザゼルは翔を指さす。

 

「―――『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』。俺が言うのもなんだが、ヴァーリは歴代で最強と言っていい白龍皇だ。それに対抗するには、やはり対となる存在―――赤龍帝が打ってつけってわけだ。俺らにとっては運良く。その赤龍帝様がこっち側にいるわけだし、テロに参加する気もないらしいからな」

 

「それって、また翔が独りで戦うことになるんじゃないのかしら?」

 

アザゼルの言葉に睨むように視線を向けながらリアスは問いかける。

 

「違う違う。まぁ、俺の言い方が悪かったな。赤龍帝を筆頭とした、お前らグレモリー眷属も含まれている。って言っても、お前らが相手するのはヴァーリ達だがな。カテレアから仕入れた情報曰く、『禍の団(カオス・ブリゲード)』って言っても、その中には大まかに分けて三つに分かれているらしい。まず、旧魔王の血を引く者を筆頭とした『旧魔王派』。んで、ヴァーリが率いている少数の派閥、『ヴァーリチーム』とでも言えばいいか。それで最後が厄介なんだが・・・構成メンバーは全て人間であり、その全てが神器(セイクリッド・ギア)を所有しており、その幹部連中の殆どが神滅具(ロンギヌス)の所有者である上に英雄の子孫である―――『英雄派』があるらしい」

 

「英雄の子孫ね、それに神滅具(ロンギヌス)の所有者なんて・・・。随分と厄介な相手ね」

 

「まぁ、ある意味正しい敵なんじぇねぇか? 人外の相手は人間、人間の相手は人外。それが昔からの流れだ。人外を倒すのは何時だって人間ってな・・・」

 

感慨深そうに呟くアザゼル。

古から生きる堕天使である彼には色々と思うものがあるのだろう。

 

「英雄の子孫が相手か・・・」

 

翔がそう呟くと、誰もが気まずそうな表情を浮かべる。

この中で翔は唯一人間の身である。それに彼はこれまで多くの人々を護るために救うために戦ってきた。それはこれからも変わることはきっとないだろう。

だが、そんな彼は今度は人の敵となる。果たして彼はこれからどうするのだろうか、と・・・。

 

「ああ、別に対して気にしてないぞ。奴らがいることで誰かが涙するというのなら

―――迷わず斬る」

 

瞳に宿る決意は決して揺るがないものだと分かるが、だがやはりどこか不安を覚えるリアス達。

きっと彼は言った通りに戦うのだろう。

戦って戦って、そして体も心も傷つけても尚、戦い続けるだろう。

 

「・・・・・・ったく、別にそこまで気張る必要はねぇよ。あくまでも将来的な話だ。お前らが活躍する場面なんて、そうそう起きねぇよ」

 

・・・って、言ったものの、起きちまうんだろうな。ドラゴンは様々なものを引き寄せる

ったくよ、出来るだけこいつの負担にならないようにしねぇとな・・・

じゃねぇと俺がガブリエルに殺されちまうぜ・・・・・・まさか、ガブリエルがここまで特定の誰かに入れ込むなんて初めてじゃねぇのか?

サーゼクスやミカエルの野郎もこいつを戦わせることは、あまりしたくないようだしな・・・。ま、それは俺も同じだが・・・

 

口ではそう言ったものの、内心では真逆の事を考えているアザゼル。

場の空気を切り替えるために、アザゼルは話題を変える。

 

「ところで赤龍帝。あの禁手(バランス・ブレイカー)はどんなもんだ?」

 

「俺の事は翔でいい。そうだな、ドライグの話だと一ヶ月は余裕で維持できるらしい。力を使えば、それ相応に時間も減るがな。まぁ、一日に何回でも禁手(バランス・ブレイカー)状態にはなれるが、それは俺の体力次第だと。今のところ能力は従来までの禁手(バランス・ブレイカー)と大して変わらないらしい。なんせ、歴代でも亜種の禁手(バランス・ブレイカー)に目覚めたのは俺だけなんでな、前例がないから予測もつかないらしい」

 

「だろうな。そもそも禁手(バランス・ブレイカー)の亜種化なんて、滅多に起きないものだからな。手探りで調べていくしかないだろう。ざっとあの時の戦闘データを調べると全ての赤龍帝を把握しているわけじゃないが、スペックはこれまでの赤龍帝の中でトップクラスだ」

 

懐から取り出した資料を見ながらそう告げるアザゼル。

 

「まぁ、お前の禁手(バランス・ブレイカー)赤龍帝の手甲(ブーステッド・ギア・ガントレット)は色々と可能性がありそうだな」

 

赤龍帝の手甲(ブーステッド・ギア・ガントレット)?』

 

アザゼルの言葉に、翔を除いた誰もが疑問の声を上げる。

 

「ああ、あの亜種の名称だ。本来なら赤龍帝の鎧(ブーステッド・ギア・スケイルメイル)と呼ばれ、全身を覆う赤い鎧だ。まぁ白龍皇の禁手(バランス・ブレイカー)の赤いバージョンとでも思っておいてくれ」

 

「結局、名称はそれで決まったわけか・・・」

 

「あくまでも現時点でそう呼んでいるだけだ。別に希望があれば変えられるが・・・」

 

特にこれと言って文句はないので、翔は肩を竦めるだけに済ませる。

すると、今度はアザゼルは祐斗へと視線を移す。

 

「んで、聖魔剣の。お前は禁手(バランス・ブレイカー)状態でどれくらい戦える?」

 

「現状は、5日くらいが限界ですね」

 

「お、結構持つじゃねぇか? まだ目覚めてからそんなに経ってないだろ?」

 

祐斗の答えに驚くアザゼル。

 

「はい。恐らく翔くんと修行してなければ半日も持たなかったでしょう」

 

「翔と? お前ら二人で修行でもしてんのか?」

 

「基本は俺と祐斗とゼノヴィア、それに小猫だな。あと偶にリアス達も体力作りとかには参加しているな」

 

「へぇ・・・どんなことやってんだ?」

 

「ただ単に手合わせしてるだけだ。それでお互いに気になった点を話してたりしてるだけでな。体力作りに関しては・・・まぁ、言葉通りだな」

 

「ま、それは今度見るとするか・・・」

 

そう言って、アザゼルは一瞬朱乃に視線を向けるが、すぐに外す。

視線に気づいた朱乃は複雑そうな表情を浮かべるだけで、特に何も言うことはなかった。

 

「あ、そうそう。サーゼクスからの言伝だ。内容は―――」

 

色々と大変だった一学期もようやく終わりを迎え、本日が駒王学園の終業式を終えて、これから学生にとっては最高の期間―――夏休みに入った。

 

「ん? どうやらもう来たようだな」

 

翔は心機一転と家の掃除をしていると、自身の家にある見知った気配が近づいて来たのを感じ取った。

 

チャイム音が家に鳴り響き、翔とリアス、アーシアの三人が玄関を開けると―――

 

「こんにちわ♪」

 

「やぁ、これから世話になるぞ」

 

大量の荷物を持った朱乃とゼノヴィアだった。

何やら妙なデジャヴを感じる翔であった。

すると朱乃は翔の姿を確認するなり―――

 

「翔くん♪」

 

「暑苦しいだろ・・・」

 

抱き付こうとする朱乃に対して、翔は人差し指と中指を彼女の額に突き立てて近づいて来るのを阻止する。

 

「サーゼクスさんの提案で眷属全員がここに住むようになったのはいいが・・・・・・まさかこれほど早く来るとはな」

 

「後は、小猫とギャスパーに祐斗ね・・・。さっき連絡があったけど、今日中には来るらしいから今日の夕食は御馳走を作らないとね?」

 

笑みを浮かべながらリアスは翔に話しかける。

 

「そうだな」

 

「あ、私も手伝いますわ」

 

「朱乃はいいわよ! 今日は私と翔で、ふ・た・り・で! 作るのよ!!」

 

「リアスはこの前一緒に作ってたじゃない! 今度は私よ!!」

 

目の前で始まる喧嘩に翔は嘆息しながらも、その口元は緩んでいた。

 

 

 

これからどんな者が立ちふさがろうとも

それにより誰かが涙を流すというのなら俺は斬るだけだ

例え、俺が出来るのが後始末だろうと・・・すでに手遅れで誰も救えないとしても

俺はこの歩みを止めたりなどはしない

 

 

 

 




ハイスクールD×Dの四章も無事に完結することが出来ました。
これでようやく新作のほうに集中できそうです。
一応、メインはこちらですが、しばらくの間は新作の方に集中すると思いますので、そこはご了承ください。
新作は今年中には投稿できると思うので、それまでお待ちください。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。