ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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すいません!
四月中に投稿したかったのですが執筆する余裕がなく投稿できませんでした!
家では出来ないと悟った自分は仕事の行きと帰りの電車の中でスマホでちびちびと書いていたのですが、物凄く指が疲れるし、眠気で誤字脱字が多いと色々と問題がありましたw
なんとなく区切りのいいところまでにしたので、今回は何時もに比べて短めです。

楽しみにしてる方々には本当に申し訳ない気持ちで一杯です。
本当はもっと更新速度を上げたいのですが、社会人って大変ですね!働きながらも更新速度を保っている方々は本当に凄いと改めて思いました。



第34話 冥界での修業開始!

 

「あはははは!! 腹いてぇ!!」

 

腹を抱えながら大声で大爆笑するのは堕天使総督であるアザゼル。

 

翔達がグレモリーの屋敷に帰宅するとそこには用事を終えたアザゼルが先に帰宅しており、グレモリー家の使用人の一人を口説いていたのだ。

その光景を見た瞬間、リアスと朱乃は口の端を引きつらせ、祐斗やゼノヴィアは苦笑をし、アーシアとギャスパーはどうすればいいのか分からずおろおろと困惑した様子を見せ、小猫は無関心を貫いた。

そして、肝心の翔だが―――

 

『ほう・・・。これから少しの間厄介となる屋敷の使用人を口説くとは随分と礼儀知らずのようだな』

 

いつの間にかアザゼルの頭を右手で掴み、その万力でもって彼の頭を握りつぶす勢いで締め上げる。

それによりアザゼルが絶叫を上げ、騒ぎを聞きつけてやってきたグレイフィアが事態を終息させて、この件は無事に終わりを迎えた。

 

翔から解放されたアザゼルは暫くの間、痛みでダウンしていたのだがそれもようやく収まり、リアスから今日の若手同士の会談について話を聞いて、翔が悪魔の上層部に啖呵を切ったのを聞いて大爆笑したのだ。

 

「笑い事じゃないわよ!」

 

どうやらもう我慢の限界だったのか今まで黙っていたリアスが苛立つように声を上げた。

 

「まぁ、そうかっかすんなよ。翔にしてはだいぶ我慢したほうだと思うぜ?

下手をしたら、権力しかねぇ上層部の連中はこいつの本気の殺気だけで死んでても可笑しくはねぇんだから。それにあいつも反省しているみたいだしな」

 

そういって視線を翔に向けるアザゼル。

向けられた本人はリアス達から少し離れた位置におり、腕を組んで壁に背を預けていた。

 

「軽率な行動だったのは認めるさ。お前達には要らん迷惑をかけてすまない」

 

翔はリアス達に頭を下げて謝罪をする。

 

それからアザゼルは真面目な表情を浮かべてリアス達を一通り見つめてから呟く。

 

「それにしてもソーナ・シトリーと対決とはな・・・」

 

「ええ、ソーナにはソーナの夢があるでしょうけど、私は―――私達はもう負けるわけにはいかないわ」

 

そう言ってリアスが思い出すのはライザーとのレーティングゲーム。

それはリアスだけではなく、朱乃と祐斗、小猫、アーシアにも言えることだ。

あの時の自分達は翔に頼ってばかりでいた。実際あのゲームがあそこまで互角に進められたのは翔がいたからだ。そのことを誰よりも自覚しているリアス達だからこそ、次のゲームではあの時のように翔に頼るのではなく、翔に頼られるようにしたい胸に秘めているのだ。

 

そんなリアス達の表情を見てアザゼルは満足げに頷いてから今後の予定を告げる。

 

「ゲームは人間界の時間で8月20日だ。今は7月28日だから残されている時間は約20日間だな。この期間やることはわかっているんだろ?」

 

「ええ、修行ね」

 

「その通りだ。明日から開始予定だ。既に各自のメニューは考えてある」

 

準備がいいアザゼルにリアス達は軽く感嘆の声を漏らす。

 

「だが、俺達だけ堕天使総督に修行の監督役をやってもらっていいのか?」

 

「別に俺はいろいろと悪魔側にデータを渡したつもりだぜ?それに天使側もバックアップ体制をしているって話だ。まぁ、あとは若手悪魔連中のプライド次第だな。強くなりたい、種の存続を高めたいって心の底から思っているのなら脇目も振らずに各勢力のアドバイザーにでも、頼むだろう。うちの副総督も各家にアドバイス与えてるぐらいだ。

ハハハ!俺よりシェムハザのアドバイスの方が役立つかもな!」

 

翔の最もな疑問にアザゼルは笑いながら答える。

 

「んじゃ、明日の朝、庭に集合だ。そこで各自の修業方法を教える。覚悟しろよ!」

 

『はい!』「了解」

 

アザゼルの言葉に全員が返事をすると、そこにタイミングを見計らったかのようにドアをノックする音が響き、開かれた扉からグレイフィアが姿を見せた。

 

「皆様、温泉のご用意が出来ました」

 

「冥界に来たのに和風の温泉に入ることになるとはな・・・」

 

「グレモリー卿の趣味なんじゃないかな?」

 

グレモリー邸の一角にひっそりとある和風の温泉。

洋風の城に対して、和風の温泉があることに違和感を覚える翔の言葉に祐斗が苦笑しながら答える。

 

「旅ぃ~ゆけば~♪」

 

少し離れた位置でアザゼルは漆黒の翼を全開に、鼻歌交じりで温泉を堪能していた。

普段からよく着物を着ていることから、彼が日本の文化が好きなことが予想できる。

 

「それにしても、翔くんが提案してくれた筋トレをやったおかげで前より筋肉がついたよ」

 

「そうだな。お前は元々速度に特化させるように鍛えていた影響もあって上半身、特に腕力があまりなかったかな・・・。まぁ、あともう少し頑張れば良質な筋肉になると思うぞ」

 

祐斗の体はこの数か月で比べ物にならないほど鍛え上げられていた。

彼の場合、相手を《騎士》によるスピードと多彩な魔剣で翻弄して戦うことを主にしていたのだが、禁手(バランス・ブレイカー)に至ったことで、創り出される剣の質が向上したことにより、戦術の幅が広がったため、全体的に鍛えるようにしたのだ。

その提案をしたのが翔であり、不足していたパワーを上げるために自身がかつて経験したトレーニング方法を行わせたのだ。

 

「確かに前まではゼノヴィアに力負けしていた部分があったけど、最近だとそれも少なくなったしね。・・・まぁその分地獄を見たけど」

 

焦点が合っていない瞳で遠くを見つめる祐斗。

彼がこの数か月で味わったトレーニングはどれも常軌を超えていた。

 

「あれでも結構優しくしたほうだと思うんだが・・・」

 

「お前はどんだけ地獄を味わっていたんだよ」

 

翔の呟きに先程まで上機嫌だったアザゼルが呆れたように言葉を返す。

彼は翔の頼みでトレーニングで使う器具の作製を行ったのだが、翔が考案してきた器具の数々はおおよそ普通のトレーニングで使われるものではないものばかりであった。

 

「下半身の動きを制限して360度から絶え間なく攻撃をしてくる人形達に、少しでも走るのをやめたら背後にある鉄板にぶつかり気絶しない程度に設定された電撃が流れるものだったりと、普通ならこんなの考えつかないぜ?」

 

「そうだろうな・・・。俺自身もあの時期は何度も蘇生を繰り返されていたからな」

 

遠い眼をしながら黄昏る翔。

あまりに彼の表情が哀愁を帯びていたので、軽く冷や汗を掻くアザゼルと祐斗。

 

「蘇生って・・・。それは修行じゃなくて拷問だろ」

 

「ああ、俺自身何度もそう思った時はあったが、別に辞めたいとか辛いとかはあまり思わなかったな。・・・ただあの時は必死に己を鍛えることしか頭になかったからな」

 

そうやって苦笑しながら告げる翔。

それを見たアザゼルと祐斗は顔を歪める。

 

翔の目指す存在―――『正義の味方』。

彼はどんなことがあろうこときっとその歩みを止めない。

例え、自分自身がどうなろうと・・・。

 

アザゼルと祐斗の心情を察した翔は、気にするな・・・と告げる。

すると、アザゼルも微妙になってしまった空気を変えるために別の話題をする。

 

「ところで、ギャスパーのやつはまだ入って来ないな」

 

「そう言えばそうだったな・・・」

 

すっかり存在を忘れていたギャスパー。

翔達が湯に浸かってからそれなりに時間が経つが、未だに風呂場に姿を見せない。

少し心配になってきた翔は一度脱衣室へ様子を見に行こうと立ち上がろうとした瞬間―――

 

「お待たせしましたぁー」

 

ギャスパーが姿を見せたのだが、女性と同じようにタオルで胸元まで隠していた。

 

「ギャスパー。お前、男のくせに女みぇてな感じにしてるんじゃねぇよ」

 

呆れたようにそう告げるアザゼル。

翔と祐斗も内心ではそう思っていたが、タオルの使い方は人それぞれだろうと思って、特に言わなかった。

 

「えぇ、駄目ですかぁ!?」

 

「いや、駄目じゃないんだが・・・」

 

アザゼルの言葉に若干涙目になって問いかけてくるギャスパーに困ったような表情を浮かべたアザゼル。

そして助けを求めるように視線を翔へと向けてきた。

 

「やれやれ・・・。ギャスパー、体が冷えるからさっさと体を洗ってから湯に浸かれ」

 

アザゼルの視線を受けた翔は軽く溜め息を吐きながらギャスパーに告げる。

それに元気よく返事をしたギャスパーは体を洗い始めた。

 

「本当にギャスパー君は翔くんに懐いているよね」

 

「そうか? まぁ悪い気はしないがな」

 

祐斗の言葉に翔は微笑みを浮かべながら答える。

すると――

 

「ところで、翔はリアス達とはどうなんだ?」

 

ニヤニヤした表情でアザゼルが問いかけてくる。

 

「急になんだ?」

 

「とぼけても無駄だぜ? あいつらが散々お前に迫ってるのは分かってんだ。もう一人くらいは抱いただろ?」

 

このこの、と言いながら脇を肘で突いてくるアザゼルに翔は深い溜息を吐く。

 

「別に彼女達とはそういった関係ではないさ」

 

「おいおい、マジかよ・・・。なんだ、お前恋人にならないと抱かないってのか?」

 

「普通はそうだろうが、俺はあまり気にしないな・・・」

 

「そう言うってことはお前童貞じゃねぇのかよ」

 

「まぁな・・・」

 

アザゼルの言葉に翔は苦笑しながらも肯定する。

その瞬間、女湯から不穏な気配を感じた翔であったが、特に気にする必要もないと判断したため無視した。アザゼルと祐斗も女湯にいるであろうリアス達が衝撃を受けたことは察知したため、苦笑いを浮かべた。

 

「じゃあ、リアス達も抱けばいいじゃないか?」

 

「彼女達とそういった関係になるつもりはないさ。彼女達には相応しい男がそのうち現れる。俺はそれまで彼女達を護るだけだ」

 

そう告げた翔にアザゼルは呆れた表情を浮かべ、祐斗は苦笑を浮かべた。

 

「まったく、これじゃリアス達も大変だな・・・」

 

ぼそっと呟いたアザゼルの言葉に翔は首を傾げる。

 

「先に上がらせてもらうな。ああ、アザゼル。あとで明日からの修行の内容の相談をしたいから部屋に邪魔するな」

 

そう言って翔は先に温泉を後にした。

 

翌朝、翔達はグレモリー邸の庭の一角に集まっていた。

全員がジャージを着ている。リアスが『統一させましょう』と言い、半ば無理やり、翔もジャージになったのだ。

因みにアザゼルもジャージ姿で、その手には資料を持っている。

 

「さて、今日から修行を開始する―――が、先に言っておく。今回、俺と翔で用意した内容はお前らの将来を見据えたものだ。すぐに効果が出る奴もいれば、逆に長期的に見なけれあならない奴もいる。だが、心配するな。お前らは将来有望な若手だ。ちゃんと方向性さえ間違わなければ、いい方向に成長するだろう」

 

そう前置き、アザゼルはまずリアスに視線を向けた。

 

「最初にリアス。お前は最初から才能、身体能力、魔力の全てが高スペックの悪魔だ。このまま何もせずにいても、それらは高まっていくだろう。大人になる頃には最上級悪魔の候補にもなってるだろうな」

 

手元の資料を見ながらアザゼルはそう告げる。

 

「大人になる頃には・・・ってじゃ、遅いのよ。私は」

 

「確かにな。お前は『赤龍帝』である翔の《王》としてこれからも注目されていくのは仕方ない。

そして、今のお前では明らかに実力不足だ。そこで俺が出すのは《王》としての素質を高めるためのと今までレーティングゲームのデータ、そしてゲームに関する知識を蓄えるさせる。それもゲームに関してはより実戦に近いやつをまとめたものだ。そして―――」

 

「俺からは消滅の魔力の操作と質の向上だ。あとは、ある程度の護身術とこの武器の扱い方を学べ」

 

アザゼルの言葉に続いて、翔がリアスの修行内容について告げる。

そして、翔は足元に置いてあった一つのケースをリアスに渡す。

 

「これは・・・?」

 

「中身は修行を開始してからの楽しみにしておけ。基本的な扱い方は修行の途中で俺が教えるが、本格的な扱い方は一先ずソーナとのゲームが終えてからだ」

 

「それで消滅の魔力についてはある方に講師を頼んでもらった。その方の紹介は後で・・・」

 

翔の言葉に引き継いでアザゼルが話すが、その内心では頼んだ講師について考えていた。

 

本当に受けてもらえるとは思わなかったな・・・

断られると思っていたのだが、まさか翔が頼んだら一発OKだもんな

いつのまに攻略してたんだか・・・

 

内心で呆れるアザゼル。

だが、結果オーライなのでそのことについて考えるのはやめて、次へと話を進めることにした。

 

「次は朱乃」

 

「はい」

 

名を呼ばれた朱乃は素直に一歩前に出てアザゼルの言葉を待っていた。

そんな彼女にアザゼルは意外といった表情を浮かべる。

 

「・・・思っていた以上に素直だな。俺に対しては快く思っていないと思っていたのだが・・・」

 

父親であるバラキエル絡みで堕天使に対しては良い気持ちは抱いていないと思っていたのだが、どうやらアザゼルが思っていた以上に、朱乃は自身の生まれについて向き合っているようだ。

 

「確かにあの人に対しては未だに気持ちの整理は出来ていない。―――けれど、このままでは私は強くなれない。なら、私は例え嫌だとしてもこの血を受け入れるわ」

 

右手を軽く握り締めて胸に当てながら決意を込めた表情を浮かべて、そう告げる朱乃。

 

「ならお前がやることは一つ。今までの雷に光を乗せ、『雷光』として撃てば、お前の本来の力を発揮できる。光は悪魔にとって天敵・・・。悪魔のみならず、他の種族の敵にも効果はあるはずだ『雷の巫女』から『雷光の巫女』になってみせろ」

 

「はい!」

 

力強く返事をした朱乃に対して、主であるリアスは嬉しそうな表情を浮かべるのであった。

すると、今度は翔が朱乃に課題を言い渡す。

 

「なら、次は俺からだな。朱乃はリアス同様にある程度の護身術を覚えてもらう。そして、槍術だな。これから『雷光』を扱うようになれば、堕天使同様に光の槍を作れるようになるだろう。それならば覚えていて損はない。まぁ俺自身、槍術はあまり使わないから基本的な部分を教えたらあとは実践あるのみだ」

 

「あら、うふふ。では、基本を学ぶ間は翔くんから手取り足取り教えてもらいますわ」

 

「・・・効率を考えるなら護身術はリアスと朱乃、同時にやったほうがいいな。あとでそれについてスケジュールを考えておくから決まり次第、各自に通達する」

 

アザゼルは最後にそう告げると次に視線を向けてのは祐斗である。

 

「次に木場は神器(セイクリッド・ギア)のより深い理解だな。実際に見せてもらったが、確かにあの聖魔剣は強力だ。だが、翔と話していた通り想定がまだまだ甘い。それに多種多様な剣を瞬時に作り出すのがお前の強みの一つだ。それを忘れるな。聖魔剣でも属性をつけれるようになるのがお前の課題だな。あとは剣術だな。そこに関しては大丈夫だろ」

 

「はい。剣術に関しては師匠が時間を作ってくれたので前半は基礎からやり直して、後半は神器(セイクリッド・ギア)についてと翔くんからの課題を熟すつもりです」

 

「それが一番いいな。昨日、翔と話していたが今のところグレモリー眷属で一番の成長株はお前だ。今のうちにしっかりと基礎を固めておけば今後さらなる発展が望めるだろう。それと後半には時間が取れれば翔と実戦に近い模擬戦をやってもらうつもりだ」

 

「ああ、俺自身の修行もあるからあまり時間は取れないが、できるだけやれるようにしよう」

 

「お手柔らかに頼むよ。いや、本当に・・・」

 

苦笑いを浮かべながらそう告げる祐斗。

そんな彼に対して翔は不敵な笑みを浮かべながら告げる。

 

「なにこの期間に一回や二回くらい限界を超えてみせろ。それにお前と後に説明にされるゼノヴィアにはこの期間で次の段階に進んでもらうつもりだ」

 

「ん? 私にも翔が修行をつけてくれるのか?」

 

「まぁな。詳しくは先にアザゼルの説明を聞いてくれ」

 

ゼノヴィアの疑問に答えた翔は話の続きをアザゼルに促す。

 

「んで、ゼノヴィア。お前がやるべきことはデュランダルを今以上に使いこなせるようになれ・・・。『絶世の名剣』と謳われた聖剣。その力はあんなものじゃない。翔ならもっと上手く使えるはずだ」

 

ゼノヴィアは悔しそうな表情を作りながらもしっかりと頷く。デュランダルの力を上手く使いこなせてないことは、彼女自身が一番理解している。

だが、翔もデュランダルを使えるという点に全員が疑問を浮かべる。

それに応えるようにアザゼルは呆れながら、翔に視線を向けながら告げる。

 

「こいつは、恐らく全ての聖剣魔剣に適性があるだろうな」

 

『えっ!?』

 

翔を除く、全員が驚愕の声を上げる。

 

「こいつは、アスカロンをその場で主人と認めさせたんだぞ? あの龍殺しの聖剣が龍を宿す者をだぞ?」

 

「・・・そう言えば、そうでしたわね。あの時はミカエル様も驚いていましたわ」

 

朱乃はその時の事を思い出し、苦笑する。

 

「そこでだ。そんな彼からアドバイスをもらおうか」

 

「急に言われても困るんだが・・・」

 

アザゼルから急に話を振られた翔は困ったように頬を指で掻く。

 

「そもそも、昨日の段階でお前にはどういった修行をやらせるつもりか言ってあるはずだが・・・」

 

「馬鹿野郎。ここはノリで答えろよ」

 

「まったく・・・。まぁいい。ゼノヴィア、後ほど渡される修行の資料に詳しい内容が書かれているからここではある程度説明は省くぞ。・・・まずお前が身に着けつべきことは一つ。デュランダルから垂れ流している聖なるオーラを制御しろ。以前、お前がデュランダルが暴君と言っていたがそれは間違いだ。ただ単に使い手が未熟であの剣に秘められた力を持て余しているだけだ」

 

「うっ!?」

 

翔の指摘にゼノヴィアは呻く。

言っていることが正論なため反論ができない自身が悔しいのだ。

 

「目指すのは持て余しているオーラを刀身にオーラを纏わせることからだ。そして次は圧縮して纏わせて、それをできるだけ鋭くする。これが現段階でお前に求める課題だな。最終的には『真名解放』まで行けるといいがそれは追々だな・・・」

 

「わかった。ところで『真名開放』とはどういうことだ?」

 

翔の言葉に頷いたゼノヴィアであったが、聞きなれない単語があったためそれについて問いかける。アザゼルを除く他の面々もゼノヴィア同様に聞きなれない単語があったためそれについて興味があるようだ。

 

「ああ。お前達に入ってなかったか。昨日、アザゼルには説明してあんだが、やはりこの世界にはその概念は知られて無いようだな」

 

「ああ、俺も結構長いこと生きてきたがそれを聞いたのは初めてだったぜ?」

 

アザゼルですら知らなかったことにリアス達は興味を強くした。

 

「『真名開放』ってのは、『宝具』に秘められている力を発揮するための詠唱のだな。『宝具』とは、貴い幻想(ノウブル・ファンタズム)・・・人間の幻想を骨子に作り上げられた武装のことだ。剣、槍、弓といった武器が多いとされるが、それらに限らず、盾、指輪、王冠といった他のものもある。主に英霊―――英雄が持つ、彼らが生前に築き上げた伝説の象徴だ。伝説を形にした『物質化した奇跡』である」

 

「初めて聞くわね」

 

翔の言葉にリアスはそう返す。他の面々も同様だ。

 

「例えば、武器で言えばアーサー王が持っていた『約束された勝利の剣(エクスカリバー)』やアイルランド神話『アルスター伝説』に登場する大英雄であるクー・フーリンが師匠である影の国の女王から授かった朱い魔槍である『突き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルク)』などがあるな」

 

「確かにそれらは『宝具』と呼ばれるだけの存在ではあるね」

 

例を聞いて祐斗が頷きながら言う。

すると、翔の話を聞いていた疑問を覚えた小猫が質問をする。

 

「・・・翔先輩は天界からもらったアスカロンを『真名開放』できるんですか?」

 

「ああ、できるぞ。前回の時は使わなかったがな・・・」

 

「どうしてよ?」

 

翔の言葉にリアスが疑問の声を上げる。

 

「いや、これは俺の自身の問題なのだが・・・アスカロンを『真名開放』をすると龍殺しの力が強くなりすぎてな。自身へのダメージが大きすぎて使えないのだ」

 

「担い手として認められたお前にもダメージが行くのかよ?」

 

アザゼルの問いかけに翔は頷く。

 

「だから切り札としては使えるが、ここぞという時にしか使えんな、今のところは・・・。

さて、話が長くなり過ぎたが次は誰なんだ?」

 

説明を終えた翔はアザゼルに次を促す。

 

「次はギャスパー!」

 

「は、はいぃぃぃぃぃ!!!!!」

 

若干ビビりながらも元気よく返事をするギャスパー。

それに対して満足気に頷くアザゼル。

 

「少しビビってるが元気があってよろしい。お前の最大の壁はその恐怖心だったが、だいぶ改善されてるな。当初の予定だとそれ用のプログラムを用意してあったがその必要はなさそうだな。お前の才能はおそらくこの眷属の中でトップクラスだ。神器(セイクリッド・ギア)もそうだが、吸血鬼としての潜在能力は類を見ないほどだ。吸血鬼の能力は翔の血を飲んで覚醒するらしいから大丈夫として、神器(セイクリッド・ギア)の制御がまだまだ不安な部分がある。今回お前に取り組んでもらう内容は主に神器(セイクリッド・ギア)の制御だ」

 

ギャスパーはあの会談を経て、精神的に大きな成長を見せた。

以前の彼だったらアザゼルに返事を返すのもまともにできなかっただろう。

まだ大勢のヒトがいる中ではビビって翔の背中に隠れてしまうが、いずれそれも無くなるだろう。

というか、これからそういった機会が嫌でもあると思われるので克服してもらわなければならない。

 

「は、はいっ!」

 

「あとはリアスや朱乃達と同様に翔から護身術を教えてもらえ」

 

そうアザゼルが告げると翔がギャスパーに修行の流れを伝える。

 

「まぁギャスパーの場合、護身術とまではいかないだろうな。まずは体を鍛えてもらい、そこから状態を見て鍛えていくつもりだ。・・・ああ、さっき言い忘れたがリアスと朱乃もそういう流れでやる予定だが、お前達の場合は悠長なことも言ってられないから少しばかり急ぎ足でやるからそのつもりで頼む」

 

途中でリアスと朱乃に言い忘れていたことを思い出した翔は、二人にそれを告げる。

するとそれを聞いた祐斗とゼノヴィアは―――

 

「部長に朱乃さん。頑張ってください」

 

「部長に副部長・・・。お二人は一体何回ほど生死を彷徨うんだろうな・・・」

 

気の毒そうな表情でそう告げてきた二人に当の本人達は顔を引き攣らせる。

普段から時々、翔と祐斗達の鍛錬を見学させてもらう時があるのだが、あれは拷問だと何回思ったことだろう。その時は自分達には関係ないと思っていたのだが、まさかの展開に二人は冷や汗が止まらなくなってしまう。

 

「しょ、翔・・・? 加減はしてよ? 私達は一応近接での戦闘経験はほぼ皆無なのだから。ね?」

 

「えっ、ええ、そうですわ。流石にいきなり急ぎ足でやってしまい体を壊してしまったら元も子もないですわ」

 

必死に修行のレベルを下げてもらうように告げてくる二人に翔は苦笑しながら答える。

 

「流石にその辺は理解しているさ。―――三日である程度体を鍛えさせる。まぁ人間では無茶でも悪魔であるお前達なら多少の無茶がいけるだろう」

 

その言葉に絶望した表情を見せるリアスと朱乃。

 

「俺も一応修行プランは聞いたが、今のお前らがギリギリ熟せるレベルだったぞ?

ま、ゲームに支障をきたすほど虐めるなよ」

 

一応、アザゼルがフォローで言葉を告げて、翔に軽く釘を刺す。

それに対しては、苦笑しながら頷く。

 

「さて、次はアーシアだな」

 

「は、はい!」

 

アザゼルに名を呼ばれ気合の入った返事をするアーシア。

 

「お前は基本的なトレーニングで、身体と魔力の向上。そしてメインは神器(セイクリッド・ギア)の強化にある」

 

「今でも十分アーシアの回復能力は高いわ」

 

アザゼルの言葉にリアスが口を挟む。

 

「確かに。アーシアの回復能力はこの世界においてもトップクラスといっても謙遜がないほどだ。

―――だが、今の彼女には決定的な弱点がある」

 

「弱点?」

 

不思議そうな表情を浮かべるゼノヴィア。

それは彼女だけではなく、翔を除いた全員も同様にアザゼルの言葉に疑問符を浮かべる。

それに対してアザゼルは、やれやれ・・・と言いながら肩を竦める。

 

「翔はすぐに・・・というか初めからわかっていたぞ?お前達には洞察能力が低すぎる」

 

するとアザゼルは、答えを言ってやれと意味を込めた視線を翔に向ける。

それに頷いた翔はアーシアの弱点を告げる。

 

「今までは然程問題視してなかった方だがこれからのことを考えると今のままでは駄目な部分がある。それはアーシア自身が回復する者へと近づかなければならない、ということだ」

 

「確かにそうかも知れないけれど、その時はアーシアが来るんじゃなくて私達がアーシアのとこまで下がればいいじゃない」

 

翔の言葉を聞いて納得はするリアスであるが、別にそこまで問題視してないという意見を述べる。他の者達も彼女と同意見なのか肯定するように頷いていた。

 

「ま、そうかもしれないが、他の方法があれば便利ってくらいとだけ考えてくれて構わないさ」

 

翔は彼女達の様子を見て苦笑してからそう告げた。

リアス達も翔がそう言ってるなら、まぁいいか、と深く考えなかったが―――

 

「いや、駄目だ。アーシアにはこの弱点をある程度は克服してもらう」

 

そんなリアス達の考えを否定するように僅かに声色を低くして言葉を言い放つアザゼル。

そして彼は厳しい視線をリアス達に向ける。

彼女達はアザゼルが出す威圧に無意識のうちに萎縮してしまう。

でも、まだ事の重要性を理解できていないリアス達にアザゼルは深い溜息を吐いてから低い声で理由を告げる。

 

「どうやらお前達はまだ翔に甘えるつもりのようだな」

 

そう告げてきたアザゼルにリアス達は最初こそ驚いたが、すぐに怒りを見せる。

今までは翔の足手まといであった故にこれから修行して少しでも翔に近づこうとしているのに、そんなことを言われたらリアス達が怒るのも当然だろう。

 

「どういう意味かしら?」

 

低く冷たい声色で問いかけるリアス。

そんな彼女にも動じることなくアザゼルは言葉を返す。

 

「本当にわからねぇようだな・・・。戦闘中に負傷した者を下がらせるのがどれだけ大変なことが理解してないようだな」

 

「確かに動けないほど負傷した場合は難しいことかも知れないけどその時は誰が一緒に下がればいいことじゃない」

 

「ああ、確かにそうだ。だがその者達が抜けた穴は誰が負担すると思ったんだ。このメンツの中で戦いながら下がった者達を護ることができる奴なんか翔以外にいねぇだろ」

 

『ッ!?』

 

アザゼルの言葉にリアス達はようやく彼が言いたい事が理解でき、そしてそこに考えつかなかった自身達に顔を歪ませる。

 

「いいか?お前達には戦闘経験、ましてや力量もこらから戦っていく上で全然足りてないことを頭に入れとけ!」

 

アザゼルの言葉に頷くリアス達。

 

「そして、翔もだ。お前はこいつらに甘いとこがある。全部一人で背負おうとするんじゃねぇ」

 

「わかったよ」

 

両手を上げて返事をする翔。

 

「話を戻すが、アーシアには回復のオーラの範囲を拡大できるようにしてもらおうと考えていたのだが、これには問題があってな・・・」

 

アザゼルは再びアーシアの話に戻し課題の内容を説明し始める。

 

「問題って何よ?」

 

リアスの問いかけに翔が答える。

 

「アーシアは優しい。その優しさ故に、範囲を広げることで敵味方関係なく回復させてしまう可能性があるかもしれないって事だ」

 

「ああ。そこでもう一つの可能性を見出す―――回復のオーラを飛ばす力だ」

 

「オーラを飛ばす、ですか?」

 

アーシアが首を傾げる。

それもそうだろう。今までそんなことを考えたことすらなかったのだ。いきなり言われてもイーメジができていない様子だ。

 

「一応、昨日の段階で翔に譲渡の力を飛ばして出来ないかを検証したところ飛ばすこと自体には成功したが、実用はまだ無理そうだけどな。まぁ可能なことはわかった。ならアーシアでも可能性があるだろうと踏んだわけだ」

 

「参考までに言うと、俺はオーラを指先に集中させて銃弾を撃ち出すイメージでやった。ま、アーシア自身がイメージしやすい方法でやってみるといい」

 

「が、頑張ります!」

 

アーシアは両手を握って小さくガッツポーズを取った。

 

「後はアーシアには今まで通り攻撃を避けるための訓練をしてもらう」

 

「はい!」

 

翔の言葉に元気よく返事をするアーシア。

 

「次に小猫だな」

 

「・・・はい」

 

アザゼルに名を呼ばれてかなり気合の入った様子で小猫は一歩前に出る。

 

「お前はオフェンス、ディフェンス、《戦車》の才を持ってる。身体能力も高い方だろう。―――だが、リアスの眷属にはお前以上のオフェンスが多い」

 

「・・・分かってます」

 

オブラートに包まず、はっきりと言い切るアザゼル。小猫は唇を噛み締めながら頷く。

 

「リアスの眷属の現在のトップオフェンスは、翔だ。ま、全員が分かっているだろうがな。次に木場とゼノヴィアだな。木場は聖魔剣を得てからは今まで不足していた火力も補えて、さらにここ最近では翔との鍛錬の影響で自力も大幅な上がっている。今現在グレモリー眷属の中でNo2と言ってもいい。そしてゼノヴィアはデュランダルという武器を有しており、火力に心配はない。まぁパワーに偏っているがそれはこれからどうにかなるだろう」

 

アザゼルの冷静な判断に小猫は言い返す事ができない。

彼が言っていることはすべて事実であり、今現在小猫がこの三人を超える何かを何も持っていない。日頃の翔との鍛錬で前に比べて成長した小猫ではあるが、裕斗やゼノヴィアの成長・・・特に裕斗の急成長には敵わない。

 

「小猫。俺がお前に言うことは一つだけだ。―――封印しているものを曝け出せ。朱乃同様、お前も自分自身を受け入れられなければ今後の邪魔になるぞ」

 

アザゼルの言葉に小猫は何も言わなかった。曝け出せの一言で、さっきまで見せていたやる気を完全に喪失させている。

 

封印してるものを曝け出せか・・・

昨日、アザゼルから小猫の正体―――猫魈

猫又の上に位置する妖怪。その最大の特徴は自然界に存在する気を操る方ができる、か・・・

確かにそれが可能となれば小猫は大きく成長できる

―――だが、彼女はその力を恐れてる

理由はしらないが、リアスか朱乃は知っているだろうな

修業の時に聞いておくか・・・

それまでに小猫が無茶をしなければいいが、それは無理だろうな。今何を言っても逆効果になる・・・今は様子見だな

 

翔は小猫の様子を見て、昨日アザゼルから聞いた内容を思い浮かべる。そして、どこか危うい状態である小猫の身を心配する。

 

「最後に翔なんだが・・・。お前のは本当に悩んだぞ?既にその実力は上級悪魔を超えて最上級悪魔に匹敵すると言ってもいいくらいだ。技術面でも戦闘経験においても他者を圧倒している。―――だが、お前は枷の影響で今現在全力で戦えないな?」

 

『ッ!?』

 

アザゼルの言葉に翔を除いた全員が驚愕の表情を浮かべる。

 

「ああ、全力で戦おうとすると俺自身がその負担に耐えられない」

 

「お前が前は出来た動きが出来ないってことだな?」

 

「ああ。だから、俺がやるべきことは俺自身の肉体を全盛期の時に近づけることと赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)禁手(バランス・ブレイカー)を体に馴染ませ、可能性を模索することだな。とりあえず、昨日話した通り、俺はグレモリー領にある山に一週間ほど篭る。それからリアス達の修業に所々で参加しつつ、自身の修業を進めていくつもりだ。既に山の使用許可はグレモリー卿とヴェネラナさんから貰っている。それに食べらる素材も調べ済みだ。まぁなんとかなるだろう」

 

自身のやるべき事が明確に理解できてる翔は既に修業の流れを考えてあり、そのための準備も抜かりがない。

 

「それにしてもこうして全員の修業プランを聞いたけど、翔だけ飛び抜けて忙しいわね・・・。本当に大丈夫?」

 

リアスの問いかけも最もだ。

自身の修業をこなしつつ、他者の面倒を見るのだ。

おそらく十分に休息を出来るタイミングは、ほぼ無いに等しい。

 

「まぁ、そこまで大変ではないと思うぞ。俺の場合やるべき事が決まってるからな。後はそれをやるだけだ」

 

「そんな翔にサプライズだ」

 

するといきなりアザゼルがそう告げる。

それに翔は首をかしげる。昨日の段階ではそんな話を聞いていないからだ。最もサプライズと言うのだから告げてなくて当たり前なのだが・・・。

 

「そろそろ来る頃なんだが・・・」

 

アザゼルは時計、それから空を見上げる。釣られて翔達も視線を上に動かす。翔達の視線の先には冥界にとっては何の変哲も無い紫色の空が広がっている。

すると―――

 

「確かにこれはサプライズだな・・・」

 

誰よりも目が良く、気配を探れる翔がアザゼルが用意したサプライズに気づいた。

リアス達は何見えていなかったのだが、段々と遠くから何かが近づいてくるのがわかった。

最初は黒い影程度にしか見えなかったリアス達であったが、近づいてくるにつれてその存在がはっきりと分かり、口元を引攣らせる。

そして、その存在は翔達の近づくともの速度を緩めて地面に降下してきた。

 

ドオオオオォォォォォォンッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!

 

地響きと共にソレが翔達の目の前に舞い降りた。派手に揺れる地面。翔は倒れそうになるアーシアとギャスパーを支える。もっとも、ギャスパーは即座に翔に掴まったが・・・。リアス達も衝撃に耐えて降り立ってきた存在に驚きに目を見開いていた。

 

「まったく、とんでもないのを呼び出したもんだ」

 

苦笑しながらそう呟く翔の眼前で砂煙が晴れていく。そして現れたのは強固な鱗と甲殻に覆われた巨体。攻撃的な角にずらりと生え揃った牙。樹木の幹のように太い腕と足。広がる一対の翼がただでさえ大きい身体を更に巨大なものにしている。

 

「・・・ドラゴン」

 

「ああ、そうだ。こいつはドラゴンだ」

 

祐斗の呟きにアザゼルが頷いてみせる。

 

「アザゼル、敵の領地でその堂々とした態度。呆れを通り越して尊敬の念を覚えるぞ」

 

「はっ! ちゃんと魔王様の許可は取ってるっての。それも直々にな。文句あっかこら」

 

口角を持ち上げるドラゴンにアザゼルは鼻で笑ってみせる。

 

「まぁいい。だが、サーゼクスの頼みで俺が来たということを忘れるなよ、堕天使総督」

 

「へいへい・・・てなわけで翔。この馬鹿でかいのがお前に対して俺が用意した修行相手だ」

 

アザゼルがドラゴンを親指で示しながら言う。

翔はドラゴンを見上げた。

 

「久しいな、ドライグ。聞こえているのだろう?」

 

すると、翔に―――翔に宿るドライグに話しかける。

それに反応するように翔の左腕に勝手に赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)が出現する。

 

『懐かしいな、タンニーン』

 

タンニーンって、確か聖書に記された龍の名前だったはず・・・

 

『ああ、それで間違っていないぞ。前に話した『五大龍王』は、元はタンニーンを入れ、『六大龍王』と呼ばれていたんだ』

 

ちなみにタンニーンは転生悪魔の中でも最強クラスの強さを持っており、現代の最上級悪魔なのだ。

というか、悪魔になる以前のスペックが馬鹿みたいに高いのだからそれくらい当然だろう。

 

「『魔龍聖(ブレイズ・ミーティア・ドラゴン)』タンニーン。吐き出す息の威力は隕石の衝突に匹敵すると言われている。いまだに活躍している数少ない伝説のドラゴンだ。タンニーン、サーゼクスから既に聞いてると思うが、今代の赤龍帝の修行相手になってくれ」

 

アザゼルの言葉にタンニーンは面白そうな表情を浮かべて翔を見下ろした。巨大な瞳で見下ろされているのに、翔は気にした様子もなく、タンニーンを見る。

 

「ほう、こいつが噂の人間眷属か、あのフェニックスのボンボンをぶちのめした・・・。良い眼をしているな。そして、相当の修羅場を潜り抜けてきたようだし、それに見合う実力もある。通りであれが呼ばれる訳だ。確かにこいつの修行相手は生半可な者では務まらないな。やし、ドラゴンの修行といえば元来から実戦形式。俺にこいつを虐め抜けということだな」

 

タンニーンが目を細め、楽しげな口調で了承したのだが、それに対してアザゼルは笑いながら告げる。

 

「タンニーン。言っとくが、あまり舐めてかかるとお前がやられんぞ? こいつの本来の実力は訳あって封じられてるが、それでも最上級悪魔に匹敵するほどなんだぜ?」

 

『こいつは歴代最強の白龍皇にも完勝している。くれぐれも、修行の域を超えないでくれよ?』

 

アザゼルの言葉に続き、ドライグも翔の実力をタンニーンに教える。

 

「くくくっ。それを聞いたら尚楽しみになってきた。お前達程の者にそこまで言わせる実力・・・是非とも堪能させてもらおう」

 

タンニーンは俄然やる気になったようだ。愉快そうに大きな口を歪める。その際、鋭い牙がより強調され、それを見たギャスパーは軽く悲鳴を上げながら翔の背中にしがみつく。

翔は軽くギャスパーを宥めてから、タンニーンに前に立つ。

 

「これから短い間だが、よろしく頼む。俺はリアス・グレモリーの《兵士》であり、赤龍帝の御剣翔だ。翔と呼んでくれて構わない」

 

「では行くか。これから飛んであの山まで行くぞ。行きは俺が連れて行ってやろうか?」

 

「いや、自分でいけるさ」

 

タンニーンの問いかけに翔は宙に軽く跳び上がり、そしていつも通り魔力で足場を作り、宙に浮いてみせた。

最初それを見たときタンニーンは驚いた表情を浮かべたが、すぐに不敵な笑みを浮かべて、挑発するように言葉を投げかける。

 

「俺について来られるか?」

 

「そっちこそ、遅れるなよ?」

 

翔は不敵な笑みを浮かべて対かけに問いかけで返す。

 

「威勢がいいな。では、今度こそ行くぞ!」

 

「行ってくる」

 

一度、咆哮を上げたタンニーンはその大きな翼は羽ばたかせ空へと昇る。それに続くように翔は一度リアス達に視線を向けて一言告げてからタンニーンの隣へと飛び上がる。

そして、二人は修行場となる山へとリアス達が視認できない速度で行くのであった。





新作
『ハイスクールD×D 大空を受け継ぐ者(仮)』の連載決定発表!

これは以前に番外編で少しだけ書いたハイスクールD×Dとリボーンのクロスオーバー?で書いたものをちゃんと連載することにしました。
ただでさえ、他の2作品の更新が遅いのにこれ以上は増やせないなと考えていたのですが、やっぱり自分はカッコいいツナさんが書きたいなという願望が抑えられませんでしたw
クロスオーバーと言ってもツナさんの性格は超死ぬ気モードの時のものになります。私にはギャグは書けないw
そのためリボーンからは設定と少しのキャラだけとなる予定です。

これから本格的に連載に向けて文章を書いて行くので投稿は未定です。他の作品も更新速度をこれ以上落とさないように頑張ります!

長々と書いてしまい申し訳ありませんでした。
これからもどうぞよろしくお願いします!
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