ハイスクールD×D ~正義の味方を目指す者~   作:satokun

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更新が遅くなって申し訳ありません。
あとがきに更新が遅れた理由を書きますので。


第35話 それぞれの修行と白猫の涙

「さぁて、今日で修行を始めて一週間が経ったが、翔とタンニーンはどんな感じだろうな」

 

アザゼルはそう呟きながら、翔が修行をしているグレモリー領にある山へと足を運んでいた。

 

翔達が修行を始めてから一週間が経った。

アザゼルはオカルト研究部の顧問として、リアス達を指導しているが、堕天使総督である彼も多忙を極めたため、それほど修行を見ている時間が取れなかった。最初の二日ほどは祐斗とアーシア、それにギャスパーといった神器(セイクリッド・ギア)所有者の面倒を中心に見ており、空いた時間に残りのメンバーの修行の面倒をしていた。唯一、翔だけは放置していた。タンニーンもいることだし、何かしらあれば連絡が来ると考えていたからだ。

漸く冥界で行う仕事をあらかた終えて、余裕ができたアザゼルはリアス達の修行を少し見てきて、最後に翔のところへと訪れたのだ。

 

「おーい。翔、タンニーン、どこだ~?」

 

修行場として使っている山へとやって来ていたのだが、肝心の二人の姿が見当たらない。

あまりに静かすぎる風景に怪訝な表情を浮かべる。

 

「修行場所を変えたのか?」

 

しかし、そんな報告は聞いていない。可笑しいな・・・と首を傾げてから周囲を見回していると―――

 

ドォオオオオオン!!!!

 

遥か上空から衝突音が響いた。

何事だ!?と思ったアザゼルは上空へと視線を向ける。

すると、上空から大きな影が近づいてきた―――タンニーンだ。

 

「いい塩梅の一撃だ! 久々だぞ、これほど滾っているのはッ!!」

 

恐らく翔の一撃を受けて上空から叩き落されてきたタンニーンは地面に激突することはなく空中で体勢を立て直し、上空にいるである翔に向けて、言葉を放つ。

どうやらアザゼルが来ていることに気付いている様子はない。

 

「それに俺の相手もしながら()()()()()()も相手するとは末恐ろしいやつだな!」

 

「ティアマットってどういうことだ!? とりあえず、一旦落ち着いて―――やべぇ!?」

 

アザゼルはタンニーンに話しかけようとするが、上空から赤黒い巨大な斬撃が降ってきたのを見ると慌ててその場から退避する。

翔の覇龍天翔だ。それは以前のものとは比べ物にならない規模の一撃であり、質もさらに向上しており、さらに言うならば聖なるオーラと竜殺しのオーラも混ざっている。

 

「ハハハッ! その一撃は受けたら俺でもただでは済まないだろうな! ならばッ!!」

 

大きく笑い声をあげながらそう告げたタンニーンは大きく息を吸い、ドラゴンのオーラを高める。

タンニーンの得意技であるブレスを放とうとしているのだ。その威力は魔王に匹敵する。

 

「おいおい、マジでそれはシャレにならないって!?」

 

制止させようにもまずタンニーンがアザゼルを認識していない時点でその行為は無駄となっている。

 

「これが本物のドラゴンのブレスというやつだ!―――コギャァアアアアアアア!!」

 

特大のブレスが迫りくる斬撃と衝突し、互いに相殺される。

 

「俺も割と本気でやったのだが、まさか相殺されるとは思わなかったぞ!」

 

ますます戦意を高ぶらせるタンニーンだったが―――

 

「どうやらここまでのようだな」

 

「アザゼルか・・・。相変わらず結婚は出来ていないようだな」

 

黒いロングコートのような独特な着物を身に纏い、その上に背中に赤龍帝の紋章が描かれた白い羽織を羽織った禁手(バランス・ブレイカー)状態の翔と蒼い髪を背中まで伸ばし、深い藍色の瞳を持つ美女が上空から降り立ってきた。

 

「んで、いつの間にティアマットと出会って仲良くなっていたんだお前は?」

 

あれから一旦修行を終わらせた翔達はアザゼルを加えて、翔が休む時に使っていた場所へと移動した。そしてアザゼルが一番最初に聞いてきたのが、翔の隣に腰かけている美女、ティアマットである。

ちなみにティアマットが腰かけているのは翔がこの山にある木を使って作成した椅子である。

翔とアザゼルは地面に座っており、タンニーンも話が聞ける位置に寝転んでいる。

 

天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)』ティアマット

現在の『五大龍王』の一角であり、その中で唯一の女性であり、最強のドラゴンである。

冥界にある使い魔の森によくいることがあり、それなりに地位のある悪魔が眷属もしくは使い魔として無理やり勧誘しているのだが、その悉くを返り討ちにしている。

 

そんな彼女がグレモリー領にある山にいて、そして何よりも翔とタンニーンに混ざって修行をしているなど誰も考えつかないだろう。

 

「いや、どうやら俺とタンニーンが来る前からティアがここで寝ていたらしくな。俺たちの戦闘音で無理やり起こしてしまい、それに怒った彼女がいきなり乱入してきたんだ。それから戦いながら少し話していたら一緒に修行することになってな」

 

「大事なことが抜けてるぞ、翔。私はお前が気に入って、使い魔になったんじゃないか」

 

「マジかよ・・・。ほんっとにお前は天然の女誑しだな」

 

ティアマットの言葉にアザゼルは唖然とし、そして呆れた声色で翔に向けて言う。

 

「解せんな。俺は別にそんなつもりはないぞ。第一、俺よりもいい男など腐るほどいるさ」

 

「鈍感ここに極まりだな」

 

片手を額に当ててながら呆れたように呟くアザゼル。

これ以上はそのことに関して翔に突っ込んでも意味がないと判断したアザゼルは話題を変える。

 

「それにしてもよくティアマットを使い魔に出来たな?」

 

「私自身もまさかこうなるとは思っていなかったからな。最初は騒音で起こされ、苛立ちを覚えた私はその元凶を排除しようと足を運んだのだが、そこには翔とタンニーンが戦っていてな。それぞれに一撃入れて済ませようとしたんだが・・・。翔が今代の赤龍帝だとわかってな、ドライグに対しての積年の怨みを晴らそうと思って割と本気で一撃を放ったんだが・・・」

 

「俺がそれをアスカロンで斬り裂いてな。そしたら、そこからタンニーンも交えながら三人で戦っていたわけだが・・・。一旦休憩を挟んだ時に急に使い魔になると言って来てな。半ば強引に結ばれていたわけだ」

 

「へぇ・・・、あのティアマットが自らとはね」

 

アザゼルの問いかけにこれまでの経緯をティアマットと翔が説明する。

それを聞いたアザゼルがティアマットに意味深な視線を向ける。その視線を不快に感じたティアマットは一瞬顔を歪めたが、すぐにその表情を戻して次はニヤリと笑ってアザゼルに言葉を言い放つ。

 

「ふん。未婚提督が、だからお前は結婚ができないんだ」

 

「うっせ! 俺は一生女で遊んで生きていくんだよ。束縛されずにな!」

 

「言い訳も見苦しいな。三大勢力が和平を結んでからというもの風の噂では堕天使の連中は次々と結婚しているらしいな。そういえば、シェムハザも悪魔の女と結婚したんだってな? お前はしないのか? 結婚?」

 

「くぅううう!」

 

ティアマットの言葉に苦い顔を浮かべながら悔しそうに唸るアザゼル。

 

「と、ところでドライグに対して相当怨みをもってるみてぇだが、理由は何なんだ?」

 

これ以上、結婚に対して突っ込まれるのに嫌気をさしたアザゼルは話題を変えるようにティアマットに問いかける。

 

「ああ、それはこいつが生前に私の伝説のアイテムを借りていてな。それを返してもらえないのとよく無理やり戦わされ、その度に完膚なきまでに叩きのめされてな。宝のほうは自身で回収したが、あの時の理不尽な戦闘を思い出すと苛立ちが収まらないのだ」

 

当時のことを思い出したのか、ティアマットの周りからは負のオーラが溢れ出していた。

 

「ドライグ、お前は何をしてるんだ・・・」

 

『いやな、あの時の俺は力を求めていたからな。強いやつと戦うことしか考えていなかった。ティアマットはドラゴンの中でも天龍に一番近い実力を保持していたからちょうどいい相手だったのだ』

 

呆れたように手の甲にある宝玉に言葉を投げかける翔にドライグは全くの悪びれることもなく告げる。

 

「まったく・・・。そういえば、アザゼル。今日は様子見を見に来ただけじゃないのだろ?」

 

ドライグに対して呆れたように溜め息を吐いた翔は、アザゼルにここに来た理由を尋ねる。

 

「ああ、察してくれてありがとよ。まぁ、まずはこれだな」

 

そう言ってアザゼルは風呂敷に包まれたものを翔に差し出す。

受け取った翔は風呂敷をとると中には大きな重箱が姿を見せた。

 

「これはリアス達が?」

 

「そうだ。リアスに朱乃、アーシアが修行の合間を縫ってお前に作ったものだ。ありがたく食べろよ」

 

「ああ、そうだな。あとで礼を言っておかねば・・・。基本休憩も取らずにやっていたしな。それに食べても獣や魚で済ませていたからな」

 

「おいおい、龍王を二体相手にして、休憩なしとか・・・。よく死ななかったな」

 

「翔は戦い方が非常に上手い。力の扱い方を理解しているから消耗も抑えていたからな。初日から一度も禁手(バランス・ブレイカー)の状態を解いていない」

 

タンニーンの言葉にアザゼルは驚きを見せる。

 

「まぁ、そのおかげで大分馴染んできたな」

 

未だに禁手(バランス・ブレイカー)を解いていない翔がそう告げる。

 

「お前の体力は無尽蔵かよ・・・。ところで、ドライグから『覇龍(ジャガーノート・ドライブ)』については聞いているか?」

 

「ああ、ヴァーリが使おうとしていたものだからな。すでに話は聞いてある」

 

覇龍(ジャガーノート・ドライブ)

ドラゴン系神器(セイクリッド・ギア)でその力を強引に開放する禁じ手。発動させれば一時的に神をも上回る力を発揮するが、それと引き換えに命を落とすか寿命を著しく縮め、発動中は理性を失う。理論上制御は不可能とされる。

 

「・・・絶対に使うなよ。ヴァーリは旧魔王の血筋でその身に莫大な魔力を宿しており、それで無理やり制御して短時間ではあるが使えるが、それでも死と隣り合わせなのは変わりがねぇ。お前の場合、ヴァーリと違って、それほど莫大な魔力を持ってるわけじゃねぇ。だから、生命力を吸われる。一度でも使えば生きて戻ってこれないと肝に銘じとけ」

 

真剣な表情で党告げるアザゼルに翔は苦笑しながら頷く。

 

「ああ、俺自身可能な限り使うつもりはないさ」

 

ったく、こいつのことだからそれ以外に手段がなくなったら迷わずに使うだろうな

 

翔の言葉に頷きながらも内心で苦い顔を浮かべるアザゼル。

 

「それで他にもあるんだろ?」

 

「ああ。これは全く私事になるんだが、朱乃のことどう思っている?」

 

「いきなり、どうした?」

 

突然の問いかけに翔は驚きを見せる。

 

「あいつは俺の親友であるバラキエルの大事な娘だ。俺が見守ってやらねぇとなって部分があるからな」

 

「まったく、お人好しな堕天使だな」

 

「・・・暇なだけだよ。―――だから白龍皇も育てちまったがな」

 

「暇なわりには結婚できないんだな」

 

「うるせぇ!」

 

今まで黙っていたティアマットが突然口を挟んできたと思ったら、アザゼルを馬鹿にするように口元を歪ませて告げると、それに対して吼えるようにアザゼルが答える。

 

「まぁまぁティア。アザゼルを揶揄うのもそれくらいにしてやってくれ。それで他に用事がまだありそうだな。小猫か?」

 

隙あらばアザゼルを揶揄うティアマットを諫めながら翔はアザゼルに話の続きを促す。

 

「ああ。相変わらず察しが良すぎるな。ま、小猫に関してはこの修行前から心配な部分があったからな・・・。んで、小猫が俺らが課した内容を数倍で取り組んだようで昨晩倒れたらしい。俺も知ったのは今朝だ。一応、アーシアに体の治療はしてもらったが、体力まではそうはいかねぇ・・・。未だに目が覚めねぇんだと。とりあえず、リアスと朱乃が交代で小猫を看病している。・・・ったく」

 

「ほう・・・。意外ともたなかったな」

 

アザゼルの言葉を聞いてそう言葉を漏らす翔にアザゼルは目を細めて、翔に問いかける。

 

「その口ぶりじゃ、お前。今回の修行で小猫が無理をするのが分かっていたようだな」

 

「当たり前だろ。冥界から来る前に毎日のように祐斗とゼノヴィア、小猫と鍛錬をしていたのだから、彼女が焦っているのは分かっていたさ。だが、そういう状態ではいくら周囲の者が忠告をしたところで意味がないからな」

 

「まぁ、確かにな。―――んじゃ、お前には一度グレモリーの城に戻ってもらうぞ」

 

アザゼルは話がひと段落したので降ろしていた腰を上げて、ズボンに着いた土を叩いて落とす。

 

「小猫の件だけか?」

 

「それもあるんだが・・・。―――ヴェネラナ・グレモリーがお前をお呼びだぜ?」

 

「・・・それは断れないな」

 

アザゼルの言葉に苦笑しながら翔も立ち上がる。

 

「そうならば、今日は半日休憩とするか。修業を再開するのは今晩からにしよう。

流石にオーバーワークだ、翔」

 

「そうだな。翔は基本休憩なしといったが、本当に休憩なしだからな。私達との戦闘が終わると、すぐに自身でトレーニングをしていたからな。倒れても可笑しくはない」

 

タンニーンが言葉を発すると、それに続くようにティアマットも話す。

 

「俺自身まだやれるんだが・・・」

 

「駄目だ。これでお前が倒れたりしたら、私が許さないからな」

 

真剣な表情で告げてくるティアマットに翔は肩を竦めて応える。

 

「わかった。それじゃ、今日は少しばかり休息をするさ。それで二人はこれからどうするんだ?」

 

「俺は一度、領地に戻ろう」

 

「私は少し寝てから体を軽く動かしている。久々にあれだけ派手に戦闘をして分かったが、体が鈍っているから翔と修行するまでには調整しておくさ」

 

「あれで全力ではないとはな、流石は龍王最強といったところか」

 

苦笑しながら告げる翔にティアマットは腕を組んで呆れたように答える。

 

「それはお前もだろうに・・・」

 

「俺の場合、まだ禁手(バランス・ブレイカー)に体が慣れていないからな。今は体に馴染ませることを集中しているだけだ。ま、この期間で大分慣れたからな、次やる時は本格的に死ぬ一歩手前までやるさ」

 

そう告げて、翔はアザゼルと共に山を降りて行った。

 

「お上手ですね、翔さん」

 

翔のことを褒めながら嬉しそうに翔の腕に抱かれてダンスをするヴェネラナ。何故か自身の胸を必要以上に押し当てている。

アザゼル共に一度グレモリー邸から離れたところにある別館に行くと、翔をヴェネラナが迎えた。

その別館の一室で翔はヴェネラナと共にダンスの訓練や作法の訓練をする予定だったのだが―――

 

「翔さんはダンスも作法も完璧ですね」

 

一通りやることを終えた二人はメイドが淹れた紅茶を飲みながら休憩をしていた。そして、ヴェネラナが翔に対して賞賛の言葉を告げる。

 

翔は全てにおいて完璧であり、訓練する必要はないのだが、ヴェネラナは、もう一度確認をしておいた方がいいと言ったので現在に至る。

 

「一応執事をやっていた時期があったからな。その時に全て叩き込まれたんだ」

 

「あら、そうなの? なら、私専用の執事でもしてもらいましょうかしら?」

 

翔は冗談だと思っているが、割とヴェネラナは本気で言っている。

それにしても翔と出会った時のリアスと同じことを言っている。やはり親子と言ったところか。

 

「それでヴェネラナさん。リアスの修行は順調に進んでいるのか?」

 

先日の一件でヴェネラナに対して普段通りに接する翔であるが、流石に呼び捨てはまずいと思い、さん付けで話す。

 

それで翔が聞いた内容がリアスの修行についてだ。

アザゼルと翔が用意したリアスの講師役とは、翔の目の前にいるヴェネラナ・グレモリーなのだ。

リアスとサーゼクスが持つ滅びの魔力はヴェネラナから受け継いだ力である。

そんな彼女に師事すれば、リアスは今よりももっと滅びの魔力を使いこなせるようになるだろう。

翔とアザゼルは、最初はサーゼクスに何とかして頼めないかと考えたが二人であったが、流石に魔王であるサーゼクスが一個人を鍛えるのは贔屓になってしまうため無理と断念し、サーゼクスの代わりヴェネラナを推薦したのが翔であった。

アザゼルは無理だろうと思っていたのだが、翔の一言でヴェネラナは了承したのであった。

 

そして、翔はヴェネラナにリアスの修行経過を聞こうとしたのだが、ヴェネラナは不満な表情を浮かべていた。

そのことに怪訝な表情を浮かべる翔。

 

「翔さん。これから私と話すときはさん付けもいりません」

 

「いや、しかし「翔さん」・・・善処し「翔さん」・・・・・・分かった、ヴェネラナ」

 

そう言うと、ヴェネラナは顔を恥ずかしさで紅くするが、その表情はとても嬉しそうであった。

 

「それでリアスはどうなんだ?」

 

「ええ。思っていた以上に魔力の扱いがなっていませんわ」

 

嘆息した様にため息を漏らすヴェネラナに苦笑を浮かべる翔。

 

「あの子は威力があっても制御が全然できていません。ただ、滅びの魔力を放っているだけ・・・。

なまじ滅びの力が強い故の弊害ですね」

 

ヴェネラナの言う通り、リアスはパワーに偏っている部分があり、テクニックが低い。

滅びの魔力は威力は絶大。そのまま敵に放つだけで相手を消滅させることができてしまう。

それ故にリアスはテクニックが低すぎるのだ。

 

「今は自由自在に滅びの魔力を扱えるように制御の練習をさせてますわ。幼い頃にはある程度の制御を教えましたが、今はそれ以上に制御できるように・・・」

 

「そうか。それで今はどれくらい進歩しているんだ?」

 

「とりあえずは、滅びの魔力をそのまま放つのではなく。球体などに形を変えて放てるようにはなりましたね。あとは防御用に滅びの魔力を壁のように放つことで敵の攻撃を防いだりできるようになりました。ですが、まだまだリアスが学ぶべきことがあります。修行期間は一切の情けを忘れ、厳しくしていくつもりです」

 

その言葉に翔は苦笑しながらこれからリアスに課せられる修行のことを思い、心の中で合掌した。

 

「ああ、あと聞きたいことがあるのだが・・・」

 

「はい、何でしょう?」

 

「あまりこう言った話は本人から聞くのが良いのだが、今回はそうも言ってられないからな。・・・・・・小猫の過去についてだ。彼女はどうして自身の力を封じてるのか」

 

「翔さんは既に小猫さんの正体を知っているのですね」

 

「ああ、正体が妖怪であるのは出会った当初から気づいていたが、猫又―――猫魈と知ったのはアザゼルから聞いた」

 

「そうですか・・・。では、私からあの子の過去について話しましょう」

 

そう言ってヴェネラナは静かに語り出した。

 

それは二匹の姉妹猫の話だった。

姉妹の猫はいつも一緒だった。寝る時も食べる時も遊ぶ時も。親と死別し、帰る家もなく、頼る者もなく、二匹の猫はお互いを頼りに懸命に一日一日を生きていった。

 

二匹はある日、とある悪魔に拾われました。姉の方が眷属になる事で妹も一緒に住めるようになりました。やっとまともな生活を手に入れた二匹は、それはそれは幸せな時を過ごせると信じていたのです。

 

―――ところが、異変は起こる。

姉猫は、力を得てから急速なまでに成長を遂げた。

隠れていた才能が転生悪魔となった事で一気に溢れ出たのだ。

 

その猫は元々妖術の類に秀でた種族でした。その上、魔力の才能にも開花し、挙げ句には仙人のみが使えると言う仙術まで会得したのです。

 

短期間で主をも超えてしまった姉猫は力に呑み込まれ、血と戦闘だけを求める邪悪な存在へと変貌してしまった。

 

だが、力の増大が止まらない姉猫は遂に主である悪魔を殺害し、『はぐれ』と成り果てました。しかも『はぐれ』の中でも最大級に危険なものと化したのです。追撃部隊を悉く壊滅する程・・・。

 

悪魔達はその姉猫の追撃を一旦取りやめたと言う。

そして、残った妹猫。悪魔達はそこに責任を追及した。

 

『この猫もいずれ暴走するかもしれない。今の内に始末した方が良い』

 

処分される予定だったその猫を助けたのが、魔王であるサーゼクスであった。サーゼクスは妹猫にまで罪は無いと上級悪魔の面々を説得したのです。結局、サーゼクスが監視する事で事態は収拾した。

 

だが、信頼していた姉に裏切られ、他の悪魔達に責め立てられた小さな妹猫の精神は崩壊寸前だった・・・。

 

「サーゼクスは、笑顔と生きる意志を失った妹猫をリアスに預けたのです。妹猫はリアスと出会い、少しずつ少しずつ感情を取り戻していきました。そして、リアスはその猫に名前を与えたのです―――小猫、と・・・」

 

「なるほどな・・・。彼女は恐れてるのか・・・。暴走した姉と同じように力に呑まれ、周りの者達を傷つけるのを・・・。―――故に頑なに自身の力を封じているのか」

 

「ええ・・・。彼女は怖いのでしょう。力に呑まれ、リアス達を傷つけ捨てられてしまう、と・・・」

 

翔の言葉にヴェネラナが憂を帯びた表情で言葉を漏らす。

 

彼女は小猫が幼い頃からグレモリー家でリアスと共に面倒を見ていた。

既に彼女にとって小猫はもう一人の娘のような存在だ。

それなのに自身には彼女の心の傷を癒すことができなかった。それが歯痒いのだろう。

 

「・・・さてと、そろそろ行くとするか」

 

翔は座っていた椅子から立ち上がり、何処かへ行こうとする。

 

「どこへ行くのです?」

 

翔が行く場所を察してるのに微笑みながら問いかけるヴェネラナ。

 

「後輩の様子を見にさ」

 

ヴェネラナの問いかけに翔は振り返ることなく、片手を振って部屋を出ていく。

 

「翔さん、どうかお願いします。彼女のことを」

 

「―――ああ」

 

出ていく直前に告げてきたヴェネラナの翔は言葉に静かに、だが力強く言葉を返すのであった。

 

「翔!」

 

気配を頼りに小猫がいる部屋へと歩いている途中でリアスと出会う。

リアスは翔の姿を見るなり、抱きつこうとするが―――

 

「久しぶりだな。といっても一週間程度だがな」

 

片手でリアスの頭を押さえ、近づけないようにする。

 

「もう! 抱き着くくらい、良いじゃない!」

 

翔の態度に不満を全開にするリアスの態度を見て苦笑する。

そして、頭に手を乗せ、優しく撫でる。

 

「ま、修行が終わったらな。それで小猫は?」

 

「・・・ついてらっしゃい」

 

リアスは翔の問いに険しい表情を作ると翔を小猫の元へと連れて行く。

 

リアスは既に話を終えているので、翔一人で入ることになった。

部屋の前まで行きノックをする。中から出てきたのは朱乃であり、翔の顔を見た彼女は驚いたような表情を作る。

 

「翔くん・・・」

 

「小猫の事をアザゼルから聞いた。・・・入って大丈夫か?」

 

僅かに逡巡した後、朱乃は翔を部屋の中に招き入れる。部屋のベットでは小猫が横になっている。

ここは小猫の部屋なので当たり前なのだが。翔は小猫の頭部に生えたものを見て目を細める。

―――小猫の髪と同じ色の猫耳があったのだ。

 

「翔くん、これは・・・」

 

「ある程度のことはすでに聞いてある」

 

翔はベットで横になっている小猫へと近づく。

 

「大丈夫そうだな」

 

声をかけながら翔はベットの脇にある椅子に腰かける。

怪我はアーシアが治したので見当たらないが、未だに満足に動けないのは体力的な疲弊だろう。

 

「・・・・・・自分の修行はしなくていいんですか?」

 

僅かに視線を翔に向けた小猫は、不機嫌そうな声色で翔にそう告げる。

それに対して翔は特に気にした様子も見せずに苦笑しながら答える。

 

「俺もオーバーワークと言われてな。今日は少しばかり休憩をもらっているんだ」

 

「・・・・・・そうですか」

 

冷たく言葉を返す小猫。

そんな彼女に対して翔はある言葉を放つ。

 

「それにしても思ったよりも早かったな。お前が倒れるのも」

 

「ッ!?」

 

「翔くん!?」

 

小猫は今度こそちゃんと翔に顔を向けて目を見開いて驚きの表情を見せる。

そして、翔の後ろに立っていた朱乃も翔の名を呼びながら驚きの声を漏らす。

 

「少しばかりお前を買いかぶりすぎていたようだな。高々、俺とアザゼルが出した課題を数倍取り組んだ程度で倒れるとは予想外だった。もう少し粘ると思ったが期待しすぎたか」

 

普段の翔からは考えられないほど冷たい言葉に小猫は怒りを露わにし、翔のことを睨みつける。

体が言うことを聞けば今にも殴り掛かりそうな状態だ。

 

「ちょっと、翔くん!!」

 

怒りを感じているのは朱乃も同じだ。責めるような声色で翔に声をかけるが、それは翔が次に発した言葉で止められてしまった。

 

「自身の力を封じて強くなろうとするんだ。それくらいの気概がなければ強くなるわけないだろ」

 

「ッ!?」

 

小猫は悔しさと悲しみが混じった表情を浮かべる。

そして、ようやくそのうちに秘めた思いを漏らす。

 

「・・・・・・なりたい。・・・祐斗先輩やゼノヴィア先輩、朱乃さんのように強くなりたいんです。それに翔先輩みたいに誰かを護れる強さが欲しいんです。ギャーくんも前を向いて強くなってきてる。アーシア先輩みたいに回復能力も無い・・・。私が・・・私が一番役立たずなんです。部長の《戦車》なのに、私が一番弱いから・・・」

 

小猫は涙をボロボロこぼしながら話を続ける。

 

「・・・けれど、内に眠る力を・・・猫又の力は使いたくない。使えば私は・・・姉様のように・・・。もうイヤです・・・もうあんなのはイヤ・・・」

 

「小猫ちゃん」

 

小猫の想いに悲痛な表情を浮かべる朱乃。

彼女は分かるのだ。小猫の気持ちが・・・。自身もそうだから・・・。

自身に流れる堕天使の力を使えば、今よりも強くなるのは理解していた。

だけど、それを使うのは彼女の中で最大の禁忌であった。故に使うことができない。

そのせいで周りに迷惑をかけていることがどれほど苦しいか、朱乃には理解できる。

 

「ああ、確かにな。暴走して周りに危害を加えてしまう力を恐れるのは当然だ。

―――なら何故、それを制御しようと思わない?」

 

「えっ!?」

 

翔の言葉に小猫を俯いていた顔を上げて翔のことを見る。

 

「危険なのが理解できているならば、それを制御しなければいけない。

仮にだ。お前が何かしらの要因で仙術の力が暴走してしまったら、どうする気だったのだ?」

 

「ッ!?」

 

その問いかけに言葉を失う小猫。

彼女は考えたこともなかったのだ。自身が封じていればそれで済む話だと思っていた。―――だが、それは違う。

何かの拍子で小猫が暴走してしまった際、周りに被害が出てしまう。

小猫はそのことを考えたことがなかったのだ。

 

「小猫・・・。猫又の力はお前自身の一部なんだ。どんなに捨ててたくとも、嫌っていても、拒んでいても・・・・・・それだけは変わらない。自身を受け入れないほど辛いことはない」

 

以前、リアスと朱乃の三人でギャスパーのことについて話した際に二人に告げた言葉だ。

 

「それに自身の力を恐れることは何も悪いことじゃない」

 

「それはどういうことですか?」

 

翔の言葉に小猫を首を傾げる。

 

「力に呑まれる者は自身の力を恐れたりはしない。恐れるということはそれだけ自身の力の使い方を誤ればどういったことが起こるか理解している。恐れるからこそ、その力に向き合わなければならない。だが、早々と自身を信じて制御などできない。それこそ今まで封じていたのならばなおさらだ。だから、自身を信じれないならまずはお前を信じるリアス達を信じろ」

 

「私を信じる部長達を信じる・・・」

 

そう言われ、小猫の脳裏には自身の主であるリアスをはじめとして、同じ眷属の仲間達の顔が思い浮かぶ。

 

「ああ、そうだ。お前が自分自身を信用できないかもしれない。だが、リアス達を信じているだろ?なら、彼女達を信じろ。それでも不安を覚えるならば俺がお前を止めてみせる。お前が暴走して周りを傷つける前に俺が必ずお前を止めてやるさ」

 

そう言って、翔は優しい微笑みを浮かべて小猫の頭を撫でてから、椅子から立ち上がると翔は部屋から出ていこうとする。そして、扉に手をかけるとそこで一度振り返って小猫と朱乃にそれぞれ言葉を投げかける。

 

「小猫。とりあえず、今日は一日ゆっくりと休め。そして考えろ。お前がどうしたいのかを・・・。次に朱乃。修行は順調そうだな。ここ数日でお前は次の段階へ進めた。・・・頑張ったな」

 

それだけ告げると、今度こそ翔は部屋から出ていったのであった。

 

朱乃は翔の言葉を聞いて嬉しそうな笑みを浮かべ、小猫は撫でられた頭を自身の手で押さえながら翔に言われた言葉を思い浮かべる。

そして―――

 

「・・・・・・やっぱり、翔先輩は女誑しです」

 

「ええ、本当にそうですわ」

 

小猫のこぼした言葉に朱乃は頷く。

だが、その二人の浮かべる表情は非常に穏やかなものであった。

 

「さて、今日はお前らに次の段階に進んでもらおうと思う」

 

翔は目の前にいる三人、祐斗とゼノヴィア・・・そして小猫にそう告げる。

 

小猫が倒れてから数日が経ち、小猫は完全に復帰をし、それから仙術の修行を少しずつではあるがするようになったのだ。今現在では小猫は仙術の修行もそうだが、アザゼルと翔が課した修行に過剰に取り組むことはなく順調に成長している。

 

ゼノヴィアはひたすらデュランダルの扱い方の向上と翔が課した基礎トレーニングを行っていた。

今のところ何とかデュランダルの漏れているオーラを刀身に纏わすことができるようになったが、それを行うにはかなり集中しなければならず、また継続する時間もまだ短いためまだまだ修行が必要だ。

 

そして祐斗はアザゼルから神器(セイクリッド・ギア)の知識を詰め込まれ、そしてここ連日は剣の師匠と修行を行いながら、翔から課せられた基礎トレーニングを行い身体能力も高めていた。

 

それぞれが順調に修行も進み、また本日と明日で祐斗の師匠に外せない用事があったこともあり、元々計画していた翔を交えて修行を行うこととなったのだ。

 

「やることは簡単だ。今日と明日一日中俺とほぼ実戦と変わらない模擬戦をしてもらう。予定としては最初に一対一で10分間行い、次の人と交代。三人が終わったら3分間完全休憩を取った後、お前ら三人がチームを組んで俺と戦う。あとはそれを二日間繰り返していくだけだ」

 

「わかったけど、それだと翔くんが休む暇がほぼないんじゃない?」

 

「そうだぞ。流石に翔も休憩なしでやれば危ないのではないのか?」

 

祐斗とゼノヴィアがそう問いかけて来るが、翔は苦笑しながら答える。

 

「これは俺自身の修行でもあるからな。そこは気にする必要はない。それに昨日まで龍王二体相手とほぼ休みなしで戦っていたんだ。体力は大丈夫だろう」

 

「あはは、相変わらず規格外だね・・・」

 

「翔は可笑しい」

 

「・・・翔先輩は本当に人間ですか?」

 

三人は顔を引き攣らせながら言葉を投げかける。

 

「何を言う俺は歴とした人間だ。ふむ、初日は少し様子を見てやろうと思ったが気が変わった。いきなり飛ばしていくか」

 

『ッ!?・・・・・・すいません!!』

 

「今更遅い」

 

翔の言葉を聞いて戦慄をした表情を浮かべた三人は恥を捨てて土下座する勢いで頭を下げるが、それを翔は容赦なく切り捨てる。

 

「まぁ、模擬戦を始める前にお前らに説明しておくことがある。それは武術家のタイプについてだ」

 

「武術家のタイプ?」

 

聞きなれない言葉に言葉を返した祐斗を初めとして他の二人も首を傾げている。

 

「これは俺の世界での話だからこの世界では知られていない。もしくは存在しないのかもしれないが、俺がやれているんだから問題はないだろう。まずタイプは二種類ある。常に心を落ち着かせ、闘争心を内に凝縮させ、冷静さを武器に戦う『静の者』。感情を爆発させ、本能的に戦う『動の者』だ。これらの属性に優劣の差があるわけではなく、一長一短ではあるが、『静の者』は如何なる時でも自身の実力を発揮することができ、安定している。対して、『動の者』はその時のテンション次第で実力以上の力を発揮できる場合もある。―――だが、『動の者』は、1つ間違えると精神のリミッターが外れっぱなしになり、人格が豹変して元には戻らなくなってしまう危険がある。完全に己を律することが出来れば問題はないが、完全に暴走させて『動の気』に呑まれてしまうと破壊と殺戮のみを求める修羅道・・・・・・すなわち『闇』に堕ちることになる」

 

「闇・・・」

 

誰かが小さく呟く。

 

「祐斗と小猫には『静の気』をゼノヴィアには『動の気』を修めてもらう。ゼノヴィアの場合、さっきも話した通り『動の気』はリミッターの解除を間違えると大変だから慎重にやっていくぞ」

 

『はいっ!』

 

「気の運用には三段階あり、『気の発動』『気の開放』『気の掌握』がある。そしてお前らにはこの夏までに一番初歩的な『気の発動』まではやってもらう。分かりやすいように祐斗と小猫のときは『静の気』で、ゼノヴィアとは『動の気』を俺が発動させて対峙するからそれである程度掴んでくれ、本来ならゆっくりと時間をかけてやりたいが、そうも言ってられん。じゃあ、時間が惜しい。祐斗から小猫、ゼノヴィアの順でやっていくぞ。ああ、それと対峙していない二人は軽く審判とタイムキーパーをやってもらう」

 

説明を終えた翔は拳を軽く鳴らしてから自然体で立つ。

 

「それじゃ、よろしくお願いします」

 

そう言って祐斗は無手のまま翔と対峙する。

小猫とゼノヴィアは少し離れて二人の審判をする。予め翔が準備していた大きなストップウォッチに小猫が近づき、ゼノヴィアに視線を向ける。ゼノヴィアは一度頷くと右手を高く振り上げ―――

 

「それでは―――始めッ!」

 

『Welsh Dragon Balance Breaker!!!!!!!』

 

ゼノヴィアが手を振り下ろすと同時に翔は禁手化(バランス・ブレイク)状態へとなる。

一瞬で禁手化(バランス・ブレイク)となった翔に動揺をする祐斗は一瞬動きを止めてしまった。

だが、それもすぐに切り替えて聖魔剣の設計図を頭に思い浮かべると一瞬で一振りの聖魔剣を創造した。その出来は修行前とは大幅に進化しており、骨子の想定は勿論、速度も比べ物にならないほどであった。祐斗は創造した聖魔剣を構えるが―――

 

「言ったはずだ。ほぼ実戦と変わらないと・・・」

 

ゾクッ!!??

 

冷たい感触と肌を焼くような痛みが首筋にあたる。

翔の冷たい声を聴いて、祐斗はゆっくりと後ろへ振り返る。

そこには聖剣アスカロンの切っ先を祐斗の首筋に添えている翔の姿があった。

 

「修行を始める際よりは聖魔剣の創造速度も大幅に向上したようだが、まだ甘い。実戦には開始の合図などあるわけがない。ならば、常に聖魔剣の創造をするのが当たり前にできるようにしとけ。ああ、それと先ほど言い忘れたが、この10分間、俺に一度も一撃を入れられなかったら次の番の奴がやっている間、ペナルティとして特別な基礎トレーニングをやってもらう」

 

「ッ!? それを最初に言ってほしかったよッ!!」

 

祐斗は右手に持った聖魔剣を後ろにいる翔に向けて振りかぶる。

だが、翔は最小限の動きでそれを躱すと、さらに一歩間合いを詰め、祐斗の腹部に右手を添える。

 

「まず一撃だ。―――浸透水鏡掌」

 

「ゴハッ!?」

 

表面と内部に言葉にならない痛みが襲いかかる。祐斗はあまりの痛みに吐血し、膝をつく。

 

「加減はした。直ぐに立て・・・」

 

「これは中々キツイ修行になりそうだね・・・」

 

口の端の血を手の甲で拭いながら祐斗は膝に力を入れて立ち上がる。

 

「この修行でスピードもかなり速くなったと思ったけど、翔くんはそれを上回っているね。全然、追いつけないよ」

 

「お前は未だに目で敵を追おうとしている。心を静めて周りの空気を肌で感じるんだ」

 

「心を静める・・・」

 

翔に言われた通り、祐斗は一度深く息を吐く。

そして細胞の一つ一つに新鮮な空気を取り入れるかのように大きく息を吸い込む。

 

「・・・・・・もう一手お願いします」

 

「いい感じになった。それじゃ―――」

 

一瞬で翔の姿が消える。

小猫とゼノヴィアは完全に翔の姿を見失うが、祐斗は動揺することなくその場で自然体で剣を構えている。

そして―――

 

ガキンッ!

 

「心が静められたようだな」

 

「・・・不思議な気分だよ。妙に心が落ち着いて、今までより視界が広がったような気がする」

 

「今の前は自身の制空圏をようやく認識した状態だ。その心の状態を忘れるなよ。『静の気』を発動させるのは常にその心を忘れないことだ。さて、お前もこの領域まで来たから、『静の気』の発動に移るぞ。まず心を深く静めろ・・・。そして、心のうちから湧き上がる闘気を感じ取れ」

 

「わかったよ」

 

翔の言葉に頷く祐斗は改めて翔と対峙する。

すると先程まで感じることができなかった翔から放たれる『何か』に気が付く。

 

一見闘志がないように見えるけど、そのうちに静められ、凝縮した『何か』が感じられる・・・

これが『静の気』・・・・・・なんて静かだけど重いんだ

 

今まで感じられなかった翔が放つ『静の気』に無意識のうちに唾を飲み込む祐斗。

 

「さて、あとの残り時間で俺に一撃を与えることが出来るかな?」

 

「全力で行かせてもらうよッ!」

 

初速からトップスピードで地を駆ける祐斗。

そして、それを迎え撃つ翔。

 

「今日の修行はここまで。明日にはちゃんと動けるように十分に休息をとること」

 

そう言う翔の前には疲れ果てて地面で寝ている祐斗達の姿があった。既にあたりは真っ暗になっており、そろそろ夕食の時間である。

あれから祐斗達は結局一撃も翔に入れることが出来ずにペナルティのトレーニングを何十回も受けることとなった。

 

「あははは・・・流石に厳しいね。もう指一本すら動かせる気がしないよ」

 

「完全に体力を使い果たした感が凄まじい」

 

「翔先輩は鬼畜です」

 

三者三様の感想を述べる。

そんな彼らの様子を見ながら翔は今日の進歩について考える。

 

やはり、この三人の才能は高いな・・・

祐斗はすでに『静の気』の発動まで行けたし、ゼノヴィアと小猫も明日には行けるだろう

急ぎ足でやったがどうにかなったな・・・

 

「さて、このままでは明日の修行に支障をきたすな。―――あれを飲ますか」

 

そう言って、翔は持ってきた荷物から何かを取り出し、準備を始めた。

そして数分で完成したあるものを三人の前に差し出す。

 

「これは俺が修行時代に飲まされていた特性の漢方薬だ。これは内部、つまりは内臓の機能が上がり傷の治りも早くなる。そして、明日にはある程度動けるようにはなるだろう」

 

湯呑に入ったソレは怪しげな煙が立っており、その匂いは形容しがたいものであった。

三人はソレを見て顔を引き攣らせる。

 

「しょ、翔くん。心配には及ばないよ。これくらい一晩休めば動けるようになるさ」

 

祐斗を筆頭に全力で漢方薬を飲むことを拒絶する三人。

それに対して翔は、動けない三人の口の中に無理やり流し込む。

 

『うぎゃぁああああああああああ!!!』

 

その日、グレモリー領にはある三人の悲鳴が響いたのであった。

 

祐斗達との二日間の修行を終えて、その後三日間かけて翔はリアスや朱乃、アーシア、ギャスパーに護身術を教えた。もっとも、ギャスパーは体作りが主だったが・・・。そして、リアスには修行前に渡した武器の指導、朱乃には槍術の基本的なものを指導し、自身の修行に戻っていた。そして今日は修行最終日・・・翔はタンニーンとティアマットと全力の模擬戦をしていた。

 

「今日は最終日だ! こちらも全力で行かせてもらうぞ!」

 

そう言って隕石のような炎の塊を放つタンニーン。

 

「龍王の全力のブレスなど冗談ではない!」

 

悪態をつきながらも、翔は右手に持つアスカロンの斬撃でブレスを斬り裂く。

そして、懐に左手を入れるとそこから黒鍵を三本取り出し、魔力で刀身を作るとものすごい速度で近づいてくるティアマットに放つ。

 

「その程度大したことない―――ッ!?」

 

人間形態のティアマットは腕の一部を龍化させて、その強靭な鱗で受け止めるが、黒鍵の刀身が触れた瞬間もの凄い衝撃が襲いかかり、後方へと吹き飛ばされる。

 

無造作に投げられたように見えた黒鍵は鉄甲作用と呼ばれる技法で投げられたものである。

 

「ほう! あのような方法でティアマットを吹き飛ばすかッ!!」

 

感嘆の声を漏らすタンニ―ンだが、攻撃の手を緩めることはない。

上空にいるタンニーンは制空権を生かし、次々に上空からブレスを放ち続ける。

翔自身も先程から隙を見て、上空へと行きたいところだが、如何せんティアマットも絶妙なタイミングで仕掛けてくるため、地面に縫い付けられている。

 

「ふぅ・・・先程から肝が冷えるな。少しでも対処を誤れば、俺は一瞬で終わるな」

 

『そう言っているが、随分と余裕で対処しているじゃないか? だが、このままではじり貧だ。何か決定打を打たなければ』

 

軽口を告げる翔に、ドライグは呆れたような声色で言葉を返し、これからどうするか尋ねる。

 

「そうだな。一か所に二人を集めて、今できる最高の一撃を放つ。ドライグ、あの機能の調整は終わったのか?」

 

『ああ。それなら完璧だ。だが、実際に使ってみないとどれほどのものかはまだ想像できないな』

 

「何、死ぬわけではないだろ?なら、ここで試しておかなければ実戦では使えない。―――ドライグ、次の一撃で決めるぞ」

 

『応ッ!』

 

「相談している余裕があるのか、翔!」

 

「ティアマット! 俺は次の一撃に全身全霊を込めるッ! 少しの間、翔の足止めを頼む!」

 

「了解だ!」

 

タンニーンのブレスを躱しながら、ドライグと相談していると先程吹き飛ばしたティアマットが翔に肉薄してきた。

その隙にタンニーンは正真正銘の全力の一撃を放つために、ティアマットに時間を稼ぐように伝える。

 

「ッ!? 強烈だな」

 

「ふん! 簡単に防いでおいて何をいてるんだ」

 

ティアマットの蹴りを片腕で受け止めた翔が軽く悪態をつくが、ティアマットは鼻を鳴らして答える。

 

「まだまだ行くぞ!」

 

その声と共にティアマットは拳に蹴りと次々と攻撃を翔へと放つ。

それに対して、翔は制空圏を築き、己の間合いに入ったものを次々と弾いていく。

そして―――

 

「嘘・・・!?」

 

ティアマットの渾身の力を込めて放った右拳を、翔は人差し指と中指で彼女の手首を掴み、『合気』によって重心を崩させ、上空にいるタンニーンへと投げ飛ばした。

 

「ハハハッ! 流石は翔だ! あのティアマットの一撃を避けもせずに逆に投げ飛ばすとはなッ!!」

 

「チッ! 単純に投げ飛ばされたわけじゃない。私の一撃の勢いを利用されたのだ。あれは人間が使う武術のといった技法の一つか・・・」

 

「思考するのは構わないが、今は目の前のことに集中したほうがいいぞ?」

 

「「ッ!?」」

 

突如、響いた声に思考していたティアマットは勿論のこと、豪快に笑っていたタンニーンも驚きを示す。

二人の前にはすでに次の一撃を放つ準備を終えた翔の姿が映った。

 

右手に持つアスカロンを左腰に添えて、抜刀術の構え。

その刀身はティアマット達からは見えないように翔の体で隠れているが、そこから放たれる力の波動はしっかりと二人に伝わってきた。自慢の鱗すら容易く切り裂くような力が・・・。

 

「これで修行の最後としようか、タンニーン、ティア。我が全力の一撃を受け止めてみろッ!!」

 

『BoostBoostBoostBoostsBoostBoostBoostBoostBoostsBoostBoostBoostBoost!!』

 

これまで修行中は常に禁手(バタンス・ブレイカー)状態であった翔だが、能力である一瞬倍加の使用をできるだけ多くしていた。その分体力の消耗も激しく、油断をすれば体力自慢の翔でも禁手(バランス・ブレイカー)状態が解けてしまう。

だが、何故わざわざ自分を苛め抜く行為をしていたかというと、体に限界の倍加状態を慣れさせるためである。

そうすることによって、現在の翔は修行前に比べ、最大倍加が格段に上がったのだ。

 

「おい、今から放つ翔の一撃は冗談抜きでヤバいぞ・・・。これはこちらも出し惜しみしてられないな」

 

「そうだな。私も全力の一撃を放とう」

 

タンニーンは先程から溜めていたブレスにさらに力を籠める。この後のことは一切考えずに、今放つことが出来る最高の一撃を放つために・・・。

彼の隣にいるティアマットも翔の力に脅威を感じ、今まで人の形態であったが、本来のドラゴンの姿へと戻る。タンニーンに比べて彼女の体躯は一回りほど小さいが、全身から放たれる覇気はタンニーンを凌駕していた。蒼穹のごとき鱗は神秘的で神々しささえ感じられる。ティアマットは巨大な魔方陣を自身の前に展開し、砲撃を放つ準備をする。

 

「真名開放―――力屠る祝福の剣(アスカロン)

 

そんな二人の様子を見た翔は、手に持つアスカロンの真名を開放する。

それによりアスカロンからは絶大な竜殺しと聖なるオーラが噴き出す。

噴き出したオーラが最大級になった瞬間―――

 

『Blast!』

 

限界まで上げた倍加の力を次の一撃へと籠める。

 

「―――征くぞ」

 

「「応ッ!!」」

 

ドォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!!!!!

 

ぶつかり合う赤黒い斬撃と隕石のような火球、魔方陣から放たれる蒼い砲撃。

 

「「「オォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」」」

 

三人は己の全てを出すように吼える。

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

地に背を預け、大きく呼吸を繰り返す翔。

その近くには同じく疲れたように息を吐くタンニーンとティアマットの姿があった。

 

三人の一撃は拮抗していたが、流石は龍王二体の本気の一撃。

翔の斬撃は僅かに負け、二人の攻撃を受けることとなったが、威力自体は翔の一撃で大分弱められていた上に、最後の最後で翔は限界を超えた倍加を行い、全身に魔力を纏わせることによって何とか受けきったが、その代償は大きく。今現在、翔は指の一本も動かせない状況であった。

 

「それにしても驚いたぞ。俺達の本気の一撃に拮抗するとはな・・・」

 

「はぁ・・・はぁ・・・。拮抗したのは僅かな間だけだ。最終的に負けたさ」

 

「いや、それでも十分だろう。それに最後の最後で限界を超えての倍加だ。この修行で翔は龍王に匹敵するほど力をつけた」

 

最後にティアマットが褒めるように翔にそう告げる。

 

「それはよかった・・・。それにしても、見事に山が消えたな」

 

「ああ、ここら一体焦土と化してしまったな。グレモリー卿に謝罪しなければな」

 

翔はあたり一帯を見渡して呟くと、それにタンニーンも苦笑しながら答える。

彼らが行っていた修行場は、山があり自然も豊かな場所であったのだが、ここ数日の翔達の修行でそびえたっていた山は消え失せ、緑は全て焼けたか吹き飛んでいた。

 

「ふぅ・・・・・・。さて、多少は体力も回復したな。本邸に戻るとしよう」

 

「無理はするな、翔。いくら回復したといっても歩くのも辛そうじゃないか」

 

ゆっくりとした動作で立ち上がった翔は本邸へと足を進めるが、その足取りはふらふらでまだ回復しきっていないことが窺え、人間形態に戻ったティアマットが咄嗟に肩を貸す。

 

「ああ、すまないな。ティア」

 

「まったく、お前はもう少し誰かに頼ることを覚えろ」

 

やれやれ、といった風に告げるティアマットに苦笑する翔。

そんな二人の様子を見たタンニーンは笑いながら話しかける。

 

「ハハハッ! 翔とティアマットよ、随分と仲が良くなったようだな。さて、俺もグレモリー卿に直接詫びの言葉を告げたいのは山々なのだが、大事な用があるので、それは後日行われるパーティーにてちゃんと告げよう」

 

「パーティー?」

 

疑問の言葉を浮かべる翔に、タンニーンは僅かに驚いたように答える。

 

「何だ、知らなかったのか? 明日に魔王主催のパーティーが開かれ、そこには貴族悪魔は勿論、若手悪魔達も参加することになっているぞ? ならば、リアス嬢の眷属であるお前も参加すのは当然のことだからすでに聞かされていると思ってのだがな」

 

「いや、全く聞かされてないのだが・・・。まぁいい。それじゃ、その時にまた会おう、タンニーン。短い間、世話になった」

 

『すまんな、世話になった。また会おう』

 

「気にするな、俺自身もかなり楽しませてもらった。それにしてもティアマット共にドライグの宿主の修行相手をすることになるとはな。長生きはするものだな。そうだ、パーティー入りの時は俺の背に乗るか?」

 

「いいのか?」

 

「ああ、問題ない。俺の眷属を連れて、当日グレモリー邸に来よう。ティアマットも一緒に来るか?」

 

「そうだな。偶にはそれもいいだろう。それに―――」

 

そう言ってティアマットは肩を貸していた翔の腕をとり、抱きしめながら言葉を続けた。

 

「私の主が誰なのかを見せつける良い機会だからな。私達の仲の良さを見せつけてやろうじゃないか」

 

「仲の良さを見せつけるのは構わないが、別に使い魔の契約をしたからと言って、別に主とかそういった風な関係を固執する必要はないからな。俺にとって、ティアは大事な仲間だ。それ以上でもそれ以下でもないさ」

 

「・・・・・・相変わらず、お前は女心をくすぐるのだな」

 

「ん?」

 

ティアマットに言葉に翔は苦笑してから、己の本心を告げる。

それにより頬を染めたティアマットは翔に顔を見られないように俯き、小さく言葉を漏らす。

その呟きは幸いなことに翔には聞こえておらず、彼は首を傾げるのであった。

 

あれからタンニーンは自身の領地へと戻り、ティアマットに肩を貸してもらいながら翔はグレモリー邸へと戻ってきた。

 

「さて、久しぶり・・・でもないか。あれから数日、またオーラの質が上がったようだな」

 

「・・・・・・気配を消して近づいたのに翔くんにはバレちゃったか」

 

驚いた声を上げながら物陰から現れたのは祐斗であった。

 

「いや、お前の気配の消し方はある程度の者には気づかれないと思うが、消し方が完璧すぎるゆえに逆に不自然に感じるぞ。気配を消すときは周りの気配と同化することを心掛けると良くなるぞ」

 

「そっか・・・。まだまだ、翔くんの領域には届かないか・・・。それにしても、君の隣にいるのは噂の龍王最強のティアマットで間違いないのかい?」

 

「流石は翔に鍛えられただけはあるな。私が僅かに出しているドラゴンの気配に気づくとはな」

 

祐斗の問いかけに感心するように声を漏らすティアマット。

 

「ああ、実際に顔を合わせるのはこれが初めてだったな。まぁ、ティアの紹介は全員揃ってからのほうがいいだろう。それにこれで全員揃うからな」

 

そう言って、翔が視線を祐斗からずらす。

それに伴って祐斗も翔の視線の先へと視線を動かせばそこには全身を包帯でぐるぐる巻きにしている人物が歩いて来ていた。

一瞬、驚きでギョッと表情を祐斗は浮かべるが、注意してみると包帯の間から覗いている緑のメッシュが入った髪が辛うじて見えたため、全身ミイラの正体が分かった。

 

「やぁ、翔に木場。元気そうだね」

 

「どうしてそんなに包帯まみれなんだ」

 

「これじゃ、ミイラだね」

 

呆れたように言葉を漏らす翔に祐斗は苦笑しながら言葉を続ける。

するとゼノヴィアは若干不機嫌な声音で言葉を返す。

 

「失敬な。私はピラミッドに永久保存されるつもりはないぞ」

 

そんな彼女の返しに翔と祐斗は揃ってため息を吐く。ティアマットだけは笑っていたが・・・。

 

「さて、外組が全員揃ったことだし、さっさと体を休ませよう。それにゼノヴィアは今から来るアーシアに治療して貰え」

 

「翔さん! 木場さん、ゼノヴィアさんも!」

 

城門からシスター服を着たアーシアが出てきた。

それに続くように奥からリアスも姿を現した。

そのことに祐斗とゼノヴィアは驚きを示す。何故なら、リアスの気配が全く感じられなかったからだ。

 

「久しぶりだな、リアス。あれから相当扱かれたようだな」

 

「ええ、大変だったわ。まぁ、でも祐斗やゼノヴィアには気づかれないほどにはなったようね。

そして彼女が天魔の業龍(カオス・カルマ・ドラゴン)ティアマットね。初めまして、私は翔の主であるリアス・グレモリーよ。どうぞよろしくお願い」

 

「ほう・・・。正直、思っていた以上のようだな。さて、先日翔と使い魔の契約を結んだティアマットだ。よろしく頼む」

 

龍王最強のティアマットに対しても、物怖じせずに堂々とするリアスに翔は彼女の成長を密かに喜びを示す。

 

「さて、みんな。シャワーを浴びて着替えたら、修行の報告会をしましょう」

 

翔は久々に文化的な生活が送れる。

 

 

 

 




改めて更新が遅れてしまったことをお詫びします。

理由として、一つは普通にリアルのほうが仕事などで忙しかったため、執筆する余裕があまりなかったのと、二つ目は以前に話していた新作の方をある程度書いたところでデータを保存していたUSBが壊れ、新作だけではなくこちらの作品とエヴァの設定等のデータが消え去ったため、執筆意欲が著しくなくなってしまったことです。
一応、パソコンの本体にもデータは残しておいたのですが、それがだいぶ前のであり、新作は勿論のこと、エヴァの方も何にも残っていない状況です。
そのため、楽しみにしてくださっている方々には申し訳ありませんが、二つの作品の投稿はしばらく出来そうにありません。

とりあえずは、こちらの作品が今の章を終えたら、問題の二つに取り掛かるつもりです。

どの作品も完結を目指して頑張りますのでどうぞ応援よろしくお願いします。
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