頭文字Dー赤城の歌姫ー(リメイク予定)   作:三坂

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いよいよ友奈初の妙義でのバトル
相手はGTRの使い魔中里毅
グリップ走行を得意としている彼に対して友奈はどんな攻略を見出すのか‥


EP12 AE86(結城友奈)VS R32(中里毅)in妙義

中里「結城友奈か‥覚えとくぜ‥その名前‥。んじゃそろそろ始めるか‥」

 

そう言って中里も自分の車をスタートラインに止めるために乗り込み、移動させる。すると先程までパソコンでシュミレーションをしていた涼介がパソコンを車にしまい拓海の元へ歩み寄る。

 

涼介「藤原、少しいいか?」

拓海「‥はい?」

 

それから一言二言話してから、不思議そうに見ていた池谷達へと拓海が視線を向ける。

 

拓海「俺‥、この帰り涼介さんに送ってもらうことになったんで‥」

樹「え‥!高橋涼介にか!?」

拓海「はい‥、そのついでに二人のバトルを助手席で見させてもらうことになったので‥」

祐也「マジかよ‥特等席じゃないか‥羨ましいぜ‥」

健ニ「それなら今度感想聞かせてくれよな‥!」

羽南「いいなぁ‥」

 

 

慎吾「それじゃカウント始めるぞ!!

スタート5秒前!!

 

 

4!!

 

 

3!!

 

 

2!!

 

 

1!!

 

 

GO!!」

 

 

慎吾のスタート合図とともに2台が弾かれたように飛び出していく。

 

「始まったぞ!!」

「ナイトキッズの底力を見せてやれ!」

 

興奮が収まらないギャラリー達の目の前を勢いよく通過していく2台。しかしいくらレース用エンジンを載せたハチロクだといえどスタートダッシュからの加速は4WDの方が有利か‥、グイグイと中里のR32が前に出ていく。

 

樹「やっぱり加速はGTRの方が速いか‥!!」

池谷「けど‥友奈ちゃんも負けてはいないぜ‥!!」

 

涼介「来たな‥、シートベルトはしっかりしてろよ」

拓海「‥‥」

 

ドアミラーに2台が映ったのを確認した涼介は、拓海にしっかり捕まっておくように促した直後アクセルを踏み込んでFCを発進させ、2台の後ろに合流する。

 

「FCだ!!」

「涼介さんが飛び出したぞ!」

「2台の後ろを追走する気だ!!」

 

高橋涼介のFCが飛び出したことき気づき更にギャラリー達が騒ぎ始める。

 

忠浩「藤原を乗せてか‥、涼介のやつは何を考えているのか‥」

啓介「きっとアニキは藤原にあのハチロクのテクニックを見せたいんだよ。」

 

忠浩の疑問に飛び出した涼介のFCを見つつ答える啓介。

 

ーだがアニキのことだ‥。他にも理由はあるはず‥、一体‥藤原に何を伝えたいのか‥ー

 

 

トラクションの良さをいかして前に出たR32、その後ろを少し車間を開けて、ハチロク、FCが続き第1コーナーに差し掛かる。

 

「こちら第1コーナー!!3台揃って突っ込んでくる!!」

「うひょー!!迫力あるぜ!!」

 

沿道にいるギャラリー達が歓声を上げる中、コーナー手前で中里がブレーキディスクが真っ赤になるほどのフルブレーキングでしっかしと減速、彼の得意であるグリップで通過する。

 

「相変わらず中里さんはいいツッコミだぜ!」

「あぁ!あのピーキーなR32でダウンヒルを疾走するなんて‥!惚れそうだぜ‥!」

 

そんなギャラリーの視線に続いて友奈のハチロクが突っ込んでくる。3速から2速に叩き込みほぼカウンターを当てない四輪ドリフトで、侵入時にはフロントバンパーを‥出口では車体をガードーレールギリギリに寄せて立ち上がる。

 

「すっ‥すげぇぞ!あのハチロク!」

「あぁ!地元の奴でもあそこまで寄せられねぇ‥!?」

「赤城の歌姫もなかなかやるぜ‥!!」

 

ー‥ちっ‥!初めての峠であそこまで突っ込めるやつは初めて見たぜ‥、やはりただ者じゃないな‥。だが‥ここは俺達ナイトキッズの峠だ!ドライバーは違えど同じハチロクに二度も負けてたまるか‥!ー

 

バックミラーをチラリと見て確信した中里は更にR32を加速させ、振り切りにかかる。

 

ー最初のセクションだと勾配が緩いからコーナーで追い詰めてもストレートであっさり取り返される‥、やっぱGTRのトラクションは化け物ね‥ー

 

ステアリングを動かしつつ、GTRの化け物じみた加速性能に表情を険しくする友奈。

 

ーとなれば勝負は勾配がキツくなる中間セクションから‥!そこまでは是が非でもついていく!!ー

 

友奈の気持ちに答えるかのようにハチロクのエンジンサウンドがGTRに負けないほど吠える。続く第2コーナーでも先程と同様にフルブレーキングからの四輪ドリフトで通過する。

 

「すげぇ‥!!赤城の歌姫のドリフトは流石だぜ!!」

「あぁ!見た人を虜にするっていうのは本当なんだな!」

「クソ〜!カメラ持ってくれば良かった!!」

 

涼介「どうだ?藤原、彼女の走りを見てみて」

 

2台の後ろを追走しているFCの車内では、ステアリングを握りつつ助手席に座っている拓海に聞く。

 

拓海「なんて言えばいいんでしょうか‥、あんまし専門的な知識はないのでうまくは言えないですが‥、あの子の走りは俺と似ているようで実際は違うように見えますね‥」

涼介「そうだろう‥。藤原が峠のスペシャリストとすると‥彼女はプロのスペシャリストだ」

拓海「‥プロ‥ですか?」

涼介「そうだ、彼女の走りを見ていると峠のスペシャリストのように見えても蓋を開けてみればプロのレーサーのような雰囲気が伝わってくる。」

拓海「なるほど‥」

涼介「だが純粋なプロレーサーだと峠ではあそこまで寄せられない。‥彼女にはほかの走り屋にはないような才能があるのかもな‥」

 

 

ーすげぇ‥後ろからゾクゾクとプレッシャーが伝わってくる‥。だが、それがたまらねぇ‥遠慮はしないぜ‥どこまでついてこれる!!ー

 

マフラーからミスファイアが鳴ると同時にR32がコーナーに勢いよく突っ込む。ハチロクも負けじまいと四輪ドリフトで突っ込む。

 

ーこの先の少し長めのストレートを過ぎた先のヘアピンから勾配がキツくなる‥。そっからが勝負!!ー

 

 

 

「きたきた!!3台来たぞ!!」

 

ヘアピンを過ぎた右コーナーに陣取っていたギャラリーの一人が声を上げた直後ヘッドライトの光が見え、少し遅れるように3台が飛び出すように現れる。

 

「すげぇ!!?ダウンヒルとは言えどGTRにハチロクが喰い付いてる!!」

「しかも、突っ込みがやべぇ!?」

「噂じゃあのハチロクレースエンジン積んでるって話だが‥、そうだとしてもGTRに喰い付くなんてまずあり得ない話だぞ!」

 

ギャラリー達が騒いでる間に3台がもつれ合った状態で突っ込む。グリップでコーナーに突っ込むR32に対して全開の四輪ドリフトでぴったりと背後に張り付くハチロク。その2台から少し間を開けてFCが続く。

 

ーすげぇ‥目がついていかねぇ‥ー

 

横Gに耐えつつ、ハチロクの動きに驚きの表情を浮かべる拓海。

 

ースタンドや学校だといつもは明るくて厶ードメーカーな感じなのに‥峠に飛び出したらこんな走りをするのか‥ー

 

拓海の目には先程からコーナーを曲がるたびにフッと消えたように見えるハチロクの姿が。

 

ーさっきから消えるように走ってる‥。これ‥俺よりも下手すれば突っ込み速度速いんじゃないのか‥?ー

 

ー‥このRのドライバー‥速い‥!サーキットでGTRをやり合ったことは何度かあるけど‥おそらくそれ以上かも!ー

 

フルブレーキングからの四輪ドリフトをしつつ中里の実力に少し焦りの表情を浮かべる友奈。しかしそれは中里も一緒であった。

 

ーストレートでも離れねぇ‥、それどころかさっきよりも距離を詰められてる‥。突っ込みが甘いのか‥?

それからもっとギリギリを攻めねぇと‥ー

 

そう思った中里はアクセルを更に踏み込んで限界ギリギリのコーナリングを行う。

 

ーペースを上げた‥振り切る気ね‥。でも逃がすもんですか!!ー

 

獲物を逃さない虎のようにハチロクもフル加速してこちらもさらにガードレールギリギリまで車体を寄せてコーナリングスピードを上げる。

 

ー中里の奴‥ペースを上げたな‥。まあその判断も無理はない‥。だが‥それが裏目にでなければいいがな‥ー

 

 

 

勾配がきつくなり始めた中間セクション、ピーキーなGTRで中里は黙々と攻め込んでいた。しかしハチロクが離れないことに徐々に苛立ちを見せ始めていた。

 

ーくそ‥くいつかれてる時間が長引く一方だ‥これだけ攻め込んでもついてこれるのか‥とんでもねぇやつだぜ‥。だが‥焦るな‥俺‥、ここで焦れば秋名の二の舞いだ‥こらえるんだ‥!ー

 

しかしなんとか踏ん張りを見せながらさらにアクセルを踏み込んで加速、そしてフルブレーキングからのグリップで立ち上がる。が‥R32に異変が起こる。

 

ーなっ‥!?ー

 

それに気づいたのは中里だけではなく後ろを走る友奈にも伝わっていた。

 

ー‥?今一瞬アウトに膨らんだ‥ミス?ー

 

気のせいかと思っていたが次の右でも先程のコーナー同様にアウトへと少し膨らんでいく。

 

ーいや‥ミスじゃない‥‥ステアリングは切れてる‥ってことは‥ー

 

ドライバーのミスではないということがわかればあとは一つしかない。

 

ーブレーキの熱ダレか!!ー

 

ーちっ‥、フロントタイヤの効きが悪くなってきやがった‥。熱ダレか‥、この感じだとブレーキディスクもやられてるな‥ー

 

中里や友奈の言うとおりR32のフロントタイヤは熱ダレを起こしていたのだ。なぜ高性能なR32が熱ダレを起こすのか‥、原作を読んでいる方はすでにわかっていると思います。いいとこ取りといってもいいほど性能がいいGTR、しかしそれは帰ってデメリットを生んでしまうということが起こる。いろいろと詰め込んで、なおかつサーキットの走行にも耐えられるボディ剛性となれば車重はかなり重くなる。それが平地やヒルクライムならなんの問題はない。だがダウンヒルとなれば話は別、ヒルクライムなどに比べ速度が乗りやすいほか、ブレーキング勝負がキモになりやすいダウンヒルバトル。そうなれば車の負担はフロントタイヤに集中しやすい。車重が重くないハチロクやロードスターなどの車ならそこまで負担はかかりにくい。しかしGTRなどのハイパワー車などは強力なブレーキングが必要となり、その際にフロントタイヤやブレーキディスクにかかる負担はとてつもない。

 

ー焦って突っ込む速度を上げたのが裏目に出やがったか‥予想以上に早く垂れてきやがった‥ー

 

ーやっぱり熱ダレ起こしてるんだ‥ステアリング操作もさっきより忙しくなってる‥。おまけにブレーキングもさっきより甘い‥ー

 

ー厳しくなってきやがったぜ‥。だがこの中間セクションはもう終わる‥最終セクションに入ってしまえばこっちのもんだ‥!ー

 

ーこのコーナーの先は最終セクション‥ということは簡単に開けてはくれないか‥。けど扱いにくい車の状態っていうのはどこかでやらかす‥絶対見逃さない‥そしてそこでぶち抜いてあげる!ー

 

熱ダレを起こした状態でもギリギリまで攻め込む中里、そしてここをチャンスとみた友奈は更に踏み込んでR32の背後にピタリと張り付く。

 

涼介「藤原‥よく見ておけ‥ハチロクが抜きに行くぞ」

拓海「抜きに‥行く‥?」

 

涼介にそう言われたもののあれだけインを閉められてる状態でどうやって行くのか、拓海は疑問に思っていたのであった。

 

最終セクション第1コーナー

 

最終セクション最初のコーナー、ここにも多数のギャラリー達が陣取って今かいまかと待ち続けていた。

 

「‥!来るぞ!」

 

その中の一人が近づくエンジンサウンドを聞いて声を上げる。直後ヘッドライトの光ともにR32が飛び出してきて、その背後にピッタリと張り付く形でハチロクとFC が続いてくる。

 

「マジかよ!?ハチロクが張り付いてやがる!!」

「妙義最速の一人の中里さんが苦戦してる!?」

「妙義のダウンヒルでもついてけるのは慎吾さんくらいだぞ!?」

「やっぱりレベルが高いんじゃねぇのか‥!?赤城の歌姫って‥!」

 

騒ぎが収まらないギャラリー達をよそに怒涛のブレーキングで3台がコーナーに突っ込む。

 

「ハチロクのブレーキングドリフト!!」

「くぅ~!赤城の歌姫はどんなドリフトでも惚れるぜ!!」

 

その次のコーナーでもフルブレーキングから全開の四輪ドリフトでR32に張り付きつつ流す。フロントタイヤが苦しくなりつつあるはずなのだが中里も負けじまいとドライビングテクニックでなんとか補う。

 

ーあと2つコーナーを過ぎればゴールだ‥この勝負‥貰った!!ー

 

勝利を確信した中里しかし残りコーナーに差し掛かった途端にそれは崩れる。 

 

ーなっ‥!?ー

 

熱ダレを起こしかなり負担がかかっていたR32、ここまでなんとか堪えていたがとうとう限界を超えてしまい、大きくアウト側に膨らむ。

 

ーしまった‥!!肝心なところでアンダーを‥!!?ー

ーここだ!いっけー!!ー

 

そんなチャンスを見逃さず開いたイン側にハチロクを滑り込ませる。そのまま2台は並んだ状態で立ち上がり最終コーナーに差し掛かる。

 

ーラインが狭い‥。おまけにフロントタイヤの効きが悪くて踏めねぇ‥‥今度はインを抑えてるのに‥くそ‥!

 

しかしフロントタイヤが熱ダレを起こし負荷がかかってる状態のR32では思う存分にコーナーで踏むとことができない‥。それに対してハチロクは、まだまだタイヤに余力がある。軽さと高回転エンジンの特性を活かしてジリジリと前に出ていく。

 

ー‥完敗だ‥。世の中すげぇやつがいるもんだぜ‥ー

 

 

 

 

ゴール地点‥

 

スタート地点にも負けないほどのギャラリー達が今かいまかと待ち続けていた。するとエンジンサウンドとヘッドライトの光とともにコーナーを立ち上がったハチロク、少し遅れてR32が姿を現す。

 

「まじかよ!?中里さんが負けた!!?」

「ありえねぇ‥レッドサンズとの交流戦以来腕を確実に上げていた中里さんが‥」

「マジでヤバいんじゃないか‥?赤城の歌姫って」

 

目の前を通過していくハチロクを見つつ驚きを隠せないギャラリー、32のRB26サウンドが悲しげか妙義に響き渡ったのであった‥。

 

スタート地点

 

健ニ「おい聞いたか!?友奈ちゃんが勝ったらしいぞ!!」 

祐也「よっしゃ!」 

羽南「さっすが友奈!」

樹「くぅ〜!やってくれる!」

池谷「ふぅ‥」

 

忠浩「‥赤城の歌姫が勝ったか‥、これで峠が変わっても天候が変わっても通用するということがわかったな」

啓介「アイツに現時点で張り合えるなら‥藤原拓海しかいないだろうな‥群馬エリアでは‥」

 

 

藤原豆腐店前‥FC車内

涼介「どうだったか?赤城の歌姫の走りは‥」

拓海「けっこう新鮮でした‥、ハチロクでもあんな乗り方もあるんだなって‥」

涼介「そうだろう‥。彼女の走りはなぜか惹かれてしまう‥。バトルしたときも‥追走したときも‥ついつい目がいってしまう‥」

拓海「世の中凄いですよね‥本当に」

涼介「だからいっただろう?外の世界を見てみろと‥。外の峠には本当に面白い奴がたくさんいる。」

拓海「そう‥ですね‥。それじゃ今日はありがとうございました‥」バム

涼介「あぁ、またな」

 

友奈宅

 

友奈「‥‥」

春香「あら?帰ってたの?」

 

バトルを終えて家に帰った後、自分のハチロクを眺めていると春香が近寄ってくる。

 

友奈「あっ‥、母さん。ただいま‥」

春香「おかえり‥♪どうだった?バトル」

友奈「もちろん勝ったよ‥♪それとさ‥このハチロク‥」

春香「ん〜?なに〜?」

 

少し言いかけた友奈だったがすぐに首をふる。

 

友奈「ううん‥♪なんでもない。んじゃ、明日朝早いから寝るね?」

 

そういって友奈は家に入っていくのであった。そんな友奈を見つつハチロクに視線を戻す。

 

ーここまで技術が上がってきたのなら‥そろそろあのセッティングもいいわよね‥ー

 

ブツブツと何やら言いながら、自身も家の中に入っていくのであった。

 




車のデメリットを活かした突破口で中里に勝利した友奈

そして春香は一体ハチロクに何をするのか‥?
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