今回はいよいよ星宮と小柏の二人による激しいダウンヒルバトルが繰り広げられようとしています!!
一体どうなるのか…!?
いろは坂にて
「それじゃ車を並べてくれ…!!カウント始めるぞ!!」
頂上のスタートライとなっている横断歩道の白線、そこにスタート合図を任されたエンペラーの一人が誘導するように手招きをする。
ウォン!!ウォン!!
誘導に従うように星宮のFCと小柏のMR2が更かしながらゆっくりと駐車場から出てきてスタートライン手前でキュと音を立てつつ止まる。
清次「しっかし珍しいな…京一が他所の奴らのバトルを指揮するなんてよ…」
京一「普段の俺ならここまではしないな…。…だがコイツらはバトルさせたらなにか面白いことになりそうな気がしてな…(フッ)」
清次の問に答えつつ2台を見てなにやら京一にしては珍しく笑みを浮かべている。普段なら他のバトルには関わらないがどうやら今回の二人のバトルには関わっているようだ。
京一「んじゃ俺たちもそろそろ行くか……清次、隣に乗れ」
清次「えっ…!?乗れって…」
京一「せっかくだ。お前の負かした奴の走りを特等席から見せてやる。そろそろ始まるぞ…急げ…!」
唐突な提案に驚きを隠せない清次であったがそろそろスタートが始まるというのと京一に急かされているためとりあえず指示に従ってエボⅢへと駆け足で向かう。
「それじゃカウント始めるぞ!!5秒前!!
4!!
3!!
2!!
1!!
GO!!」
ギヤァァァァ!!!
スタート合図とともに2台は後輪を激しくホイルスピンさせてカタパルトによって放たれる戦闘機を連想させるような加速力で飛び出していく。
京一「来たな……、清次…しっかりと見ておけよ…コイツの走りを…!」
清次「ゴクリ……」
2台が飛び出してきたことをバックミラーで確認しつつ清次にしっかりと見ておくように伝えた直後アクセルを踏み込んでエボⅢを発進させ、後から追うように2台の背後に躍り出る。
「おぉ!!京一さんも行ったぞ!!」
「珍しいぜ…!!いつもはこんなことしないのに!!」
「まさか秋名のハチロクとR32戦の時の再来か!?」
同じように躍り出ていく黒のエボⅢを確認するやいなやエンペラーのメンバー達はざわざわとしつつ驚きを隠せずにいた。…しかし前を走る2台はそんなことお構いなしに夜のダウンヒルへと突っ込んでいく。
最初の時の2台はほぼ並んだ状態で走っていたが、MR2よりも高い300馬力もあるロータリーロケットの加速は伊達ではない。ジワジワと前へ前へと押し出ていく。
ー早い……いくら馬力があるとはいえどストレートの加速勝負でミッドシップよりも伸びるなんてな……流石ってというかなかなかだぜ…ー
ーおまけにドライバーの腕もいい…スタートダッシュでここまでピリピリしたモンを感じるなんてことは無かった……。コイツは確実に速いぜ…!!なら尚更負けるわけにはいかねぇよな…!ー
前に躍り出たFCを見て関心の表情を小柏は浮かべていた。それと同時に闘争心も露わになっていき3速へシフトアップしてアクセルペダルを踏み込んで加速させる。
「こちら1コーナー!!FCが頭で突っ込んでくるぞ!!」
スタートして長いストレートの先、沿道で陣取っていたエンペラーのメンバーが無線で来たこと京一に報告する。その間にも2台は狭い峠道、しかもダウンヒルだというのにそれを感じさせない速度で目の前を通過していく。
「く〜…!?速すぎるぜ…!!」
「狭い峠なのになんであそこまで飛ばせるんだ……。MR2もかなりやるがFCも中々だぞ…!!」
ギャラリー達が見届ける中、ハイスピードで暗闇に包まれ道路のあちこちに積もっている落ち葉にものもとせずにコーナーへと突っ込んでいく。
星宮「っ…!!」
ギリギリまで引き付けて、ここぞというタイミングで星宮はフルブレーキン。4速から2速に叩き込んでステアリングを切り込む。直後ブレーキランプが点灯したと思ったら後輪から白煙を上げて車体を横滑りさせて鋭い角度でU字コーナーを思いっきり流していく。
「うぉ…!?見たかよ今の…!!」
「あぁ…!!とんでもねぇ角度で行きやがったぞ…!!あんなヤツ初めて見たぜ…!!」
「京一さんでも流石にあそこまでしない…。何者なんだあのFC…!!」
ー速い…!!コイツは冗談抜きで速いぜ…!!ー
鋭い星宮の突っ込みを見て驚きを露わにする小柏、彼も同じようにフルブレーキングからの素早いステアリングの切り込みで負けじまいと鋭い突っ込みで付いていく。しかし突っ込みは彼女に多少軍配が上がるのか立ち上がりで少し遅れる。
ーこの俺とコイツがコーナー勝負で遅れを取ってるだと…!?馬鹿な…そんなことはありえねぇ…!!俺は…誰よりも速いって自信があるんだよ!!ー
だが自分も負けじまいとアクセルを踏み込んで自身を震えたたせるように車を加速させてFCへと張り付いて行く。コーナー勝負で強力なアドバンテージを持つミッドシップ車、更に昔からいろは坂を原付きで攻めていた彼に取ってはありとあらゆることを知り尽くした峠。走るラインは完全に頭に叩き込まれている。
おまけに長年カートに乗っていたこともあり、ドライビングテクニックが高い小柏とコーナーリング性能抜群のMR2 のコンビとなればとてつもないコーナーリングマシンに化けるのは確実。…しかしそんな彼らをものともしない走りをこのFCは繰り広げていた。
ー早い…流石ってところね…ー
星宮はバックミラーをチラリと見ながらピッタリと張り付いてくるMR2に関心の表情を浮かべている。自分と得意としているコーナーリング勝負、それに少し遅れる程度でついてこれる小柏の実力に称賛の言葉を送っていた。
ーミッドシップ車の利点を大きく生かした走りってどこかしら。こっちのほうがコーナー勝負は僅かに速い…、けどそれでもその遅れを向こうはカバー出来てる…。これは縺れそうね…ー
バックミラーから視線を外して前に戻してギアを3速に叩き込んでアクセルを踏み込む。13BT ロータリーエンジン特有のエンジンサウンドを咆哮させながらFCを加速させていく。
京一「見事なもんだ、2台ともなかなかいいラインでは走ってるぜ…」
2台から少し距離を置くように走っているエボⅢ、その車内ではステアリングを握りながら京一が関心の表情を浮かべていた。
清次「俺にはあんまりピンとはこねぇが……凄いっていうのはなんとなくわかるぜ……。」
京一「ハイスピードでこのいろは坂を駆け下りて、フルブレーキングからのヒール&トゥー、おまけに鋭い4輪ドリフト……惚れ惚れするような走りだ……」
清次「あそこまでのコーナーリングは流石に俺でもできねぇ……。それだけ2台の走りがぶっ飛んでるってことか……」
京一「それはそれで面白いじゃないか、こんないいバトルを直で見れるなんてことはない…。楽しもうじゃないか」
京一の言うとおり、こんな白熱したバトルなんて滅多に見られることは早々にない。それが後ろから追走しながらも間近で見れるなんてことも…。珍しく彼は楽しそうな表情を浮かべながら2台を追走していくのであった。
星宮「っ……!」
小柏「くっ…!!」
その間にも2台は次から次へとコーナーをクリアしていく。手前でFCがフルブレーキング、少し遅れるようにMR2もフルブレーキングで減速、ほぼ同じタイミングで二人は3速から2速にギアを放り込んでステアリングを切り込む。
テールランプが点灯したと思ったら白煙を上げつつ後輪がスライドして、鋭い四輪ドリフトでキツめのコーナーを思いっきり流していく。立ち上がりもガードレールギリギリまで車体を寄せて抜けていく。
「く〜!ガードレールすれっすれだぜ!!」
「やっぱ上手い奴の走りは一味違うぜ!!」
「くっそ〜!こんないいバトルならカメラ持ってくれば良かったわ…」
たまたまこのバトルに居合わせたギャラリー達は目の前を怒涛のスピードで駆け下りる2台を見るなり大興奮で歓声をあげていた。…やはり上手い人の走りは見てて興奮するものなのだろう。そんなギャラリー達の目の前を通過したあと、まるで消えるかのように次のコーナーへと差し掛かっていく。
ーだが俺の予感は的中だな…!!ここまで速いというのは間違いじゃなかった…!!上等だ…!この速いFCをぶち抜いてやる…!!ー
覚悟を決め込むと同時にアクセルを更に踏み込んでいき加速させる。次のコーナーに差し掛かると先ほどと同じようにフルブレーキングからの怒涛のドリフトで流していく。
ーコイツに生半可な仕掛けは通じないだろうな……。となれば…あれをするタイミングが重要なんだ…!!ー
ー嫌な気配ね…。なんか仕掛けてきそうなオーラ漂わせてる…。けどここは道幅の狭いいろは坂…ましてやここヘアピンが連続している区間で抜くなんて到底無理な話…!!前に出ればこっちのものよ!ー
何かの気配をMR2から感じ取った星宮、しかしこのいろは坂というのは道幅があまり広くない+急なヘアピンが連続してるため抜かすことはかなり難しい。それを知っている彼女は過去の経験から抜かれることはないと確信していた。
ーっ!!ー
そんなことを思いながらもFCはコーナーに差し掛かっていく。ここぞというタイミングでフルブレーキング、3速から2速に叩き込んでステアリングを鋭く切り込む。直後それに答えるようにFCが急転回してかなりシビアな角度で突っ込んでいく。立ち上がりもガードレールギリギリに車体を寄せていくという、流石は羽南が認めた走り屋、いい走りを見せてくれる。
ーいいドリフトだ…こんな落ち葉がどこに転がっているかわからない際どい路面状況なのに正確なコントロールが出来てる…ー
ーもう待てねぇ…!そろそろいいだろ…!!仕掛けるのは…この先の右だ!!ー クワッ!!
京一「清次…!そろそろ小柏の奴が仕掛けにいくぞ…!」
清次「…へ?仕掛けるって……こんな狭いヘアピンでどうやって…」
京一にいきなりMR2が抜きにいくぞと言われても清次には全く理解が出来なかった…。それもそうだろうこんな狭くヘアピンが連続している区間でどうやっても抜くことはできない……一つの例外を覗けば…
ー更にオーラが強くなってる……何をする気なの……一体……?ー
「…!!来た!!」
3台がいる区間の一つ下、右コーナーの沿道では報告を受けたエンペラーのメンバー達がスタンバっていた。直後周囲に響き渡るスキール音とともに2台が奥のコーナーから勢いよく飛び出してくる。
「FCが頭だ!!その後ろにSW20!!んで京一さんのエボⅢと続いてる!!」
「くぅ〜!!すげぇ速度だぜ…!!地元でもこうはいかねぇぞ!!」
ーここも確実にいかせて貰うわ!!ー
ここも無難にクリアするためにいつものようにコーナー手前でフルブレーキング、ステアリングを切り込んで鋭いドリフトを繰り出そうとする。
小柏「ここだ…!!」
ギュン!!
しかしここがチャンスといわんばかりのタイミングでステアリングを切り込んでコーナー手前でスピンするような形でMR2を停止させる。直後後輪がホイルスピンしながらカタパルトのように飛び出していく。
清次「なっ!?」
星宮「っ!うそ…!?」
「おぉ!!」
「なっなんだありゃ!!?」
その光景をみた京一を覗く星宮や清次、はたまたエンペラーのメンバー達は呆気に取られてしまう……。驚愕した彼らの視線の先、…そこには急勾配のヘアピンを利用してまるで宙を切るようにFCの目の前に躍り出るMR2の姿があったのであった…。
ー悪く思うなよ…!インベタのさらにインというのは空中に描くラインだ!!高低差の大きい いろは坂特有のヘアピンカーブの地形だからこそ実現可能な・・・・ー
ーオキテ破りの地元走りだ!!ー
「地元走り」……それは小柏が原作で拓海を抜く際に使った手法、コーナーのさらに内側をジャンプしてショートカットすることで相手を追い抜くという荒業、慣れてなければ車が大破するかサスペンションがいかれるリスクがある。
だがそれを小柏はやってのけたのだ…。更に言えばこのいろは坂は抜いたり抜き返したりするのが難しいステージ…そう察しのいい方ならわかる通り一度でも抜かれてしまえば抜き返すのが不可能になってしまう…ということだ…。
ー…やられた…!こんな方法があったなんて…ー
小柏「この勝負勝ったぁぁぁ!!」
見事にやられたという表情を浮かべている星宮に対して、小柏は勝利を確信したような表情を現しつつFCの前へ落ちていき着地、その衝撃で地面と車体底面を擦りながらも無事に体制を立て直してフル加速していくのであった………。
原作でも拓海に衝撃を与えた地元走り……それは星宮も例外ではなく驚きを隠せずにいたのだ……。
あっさりと形成逆転をされてしまった彼女……どうやってこよ状況を切り抜けるのだろうか……?