頭文字Dー赤城の歌姫ー(リメイク予定)   作:三坂

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地元走りという峠、いやいろは坂ならではの方法によって一気にピンチになってしまった星宮。しかしここから彼女の反撃が始まろうとします!


EP15 地元走り

京一「ふっ…やったな…小柏の奴…」

 

 

清次「やっやったって…もしかして京一はこうなることを知っていたのか!?」

 

 

 

小柏の地元走りに驚きを隠せずにいた清次であったが、まさか京一がこうなることを知っていたことにもあ然とした表情になってしまう。

 

 

 

京一「知ってるも何も…、高低差の大きいいろは坂だからこそ出来る走りってやつだ。だがリスクが大きいから俺でも流石には出来ない。…だが小柏は違ったようだな」

 

 

ーやられた…まさかこんな抜き方もあるなんて…!!走り込んでる私でも気づかなかった…ー

  

 

 

まさかこんなダイナミックな抜き方をされるとは思わなかったようで彼女らしくない焦りの表情を露に表していた。いくらプロレーサー並の実力を持っている星宮だとしてもこんな峠特有のイレギュラーなことが起これば対処は…いやこの手法を知ってなければ防ぐことなど不可能に近い。

 

 

 

ーけど…!だからってこのまま引き下がるとは思わないでよね…!!行くよ!FC!!ー

 

 

 

一瞬呆気に取られた星宮であったが、すぐに切り替えて自分を降る立たせシフトアップしてアクセルを踏み込む。その期待にまるで答えるかのようにFCが咆哮して加速していく。

 

 

 

ーこれでもプロレーサーの端くれだもの…!ただただ負けっぱなしで走るわけにはいかない…!腹くくっていくわ…!ー

 

 

 

そうこうしていくうちに次のコーナーに差し掛かっていく。小柏はさっきと同じようにフルブレーキングからの鋭いインを刺して地元走りを繰り広げる。少し遅れながら星宮も負けじまいと先程よりも突っ込む速度をあげてフルブレーキングからのステアリングを切り込みハイスピードのドリフトでなんとかついていき、お互いそれを繰り返していく。

 

 

 

ー…とは言ったものの…あれの対処を考えないと…このままじゃ離される一方…ー

 

 

 

意気込んではいたものの、流石にこの状況が続くのはよろしくないと思っていた星宮はどうにか抜け口がないか必死で模索していた。その間にも前を走るMR2は同じような手口で地元走りを繰り広げていく。

 

 

 

ーいや…待て……となると…(フッ)なら行けるわ…!ー  

 

 

 

だが小柏のを後ろから見ていてなにか閃いたのかハッとした表情を浮かべたあとに笑みを星宮は浮かべる。そんな彼女に対して小柏はバックミラーでなかなか離れないFCに驚きを見せていた。

 

 

 

ー離れない…大したもんだぜ…。あれだけの走りでついてこれるのか…。よっしゃ、もういっちょやっておくかー

 

 

 

離れないのならもう一度しておこうと判断したのか、次に差し掛かってくるコーナーの手前で斜めにするように止まり再び先程と同じようにインの内側、急勾配で出来た段差を飛び越えてショートカットする。

 

 

ー向こうが行けるってことは…こっちも行ける…?いや!いく!ここでいくしかない!ー

 

 

地元走りを繰り出していく前方のMR2を見てあっちが行けるならこっちも行けるのでは…?と一瞬考えた星宮だったが迷ってるくらいなら行ってやるという雰囲気を現してコーナー手前でスピンするように停車、カタパルトで弾き出された戦闘機かのようにフル加速する。

 

 

ーいっけ…!!ー

 

 

ー……!?ー

 

 

バックミラーをチラリと見た小柏の視界に映り込んだのは…先程自分がやったように段差をショートカットして降ってくるFCの姿が…、これには流石の彼も何が起こったのか理解が追いついていないようだ。

 

 

清次「なんだありゃ…!奴もやりやがった…!?」

 

 

京一「面白くなってきたじゃねぇか…、やっぱり追走しておいて正解だったな…」

 

 

これには後ろから見ていた清次も何が起こったのか理解が出来てないようで、それとは正反対に京一は笑みを浮かべてどこか楽しそうな雰囲気を醸し出していた。

 

 

ー…!!ー

 

 

MR2に続く形で地元走りを繰り出したFCはそのまま火花を散らしつつも綺麗な着地を披露してあっという間に背後へと張り付いていく。

 

 

ーありえねぇ…何が起こってんだ…!やろぉ…一発でジャンプをクリア仕上がった…!?俺でもコイツを習得するのには何度も練習したんだぞ…。まるで走りの塊見てぇな奴だ…!ー

 

 

まさか地元走りを練習なしの一発クリアで成功させてきた彼女の実力に驚きを隠せないようだ。それでもギアを3速に叩き込んでMR2を加速させていく。星宮も3速に入れてFCを加速させてぴったりと背後に迫る。

 

 

ー確かにすげぇ奴かもしれねぇ…だが!この先のコーナーを過ぎれば最終セクションの高速区間!!俺を前に出したのが運の尽きだ…!このまま逃げ切らせて貰うぜ!!ー

 

 

星宮「ペースを上げた…この先の高速区間で逃げ切る気ね…。確かに貴方は速い…そのピーキーなMR2を落ち葉があちこちにあるダウンヒルで操れてるんだから…」

 

 

星宮「けど…だからって負けるつもりはないわよ…!こっちにだって奥の手はあるんだから…!」

 

 

そうこうしているうちに2台は中間セクションの最終コーナーに差し掛かる。ほぼ同じタイミングでフルブレーキング、3速から2速に叩き込んでステアリングを切り込む。無難なグリップで流していきそのままコーナー出口に差し掛かろうとしていた。  

 

 

ゴッ

 

 

小柏「っ!?」

 

 

立ち上がる直前FCの右側フロントがMR2の左リアバンパーに軽く接触した影響でリアが少し流れてしまう。そのせいで一瞬バランスを崩してしまったため小柏はアクセルを思うように踏み込めない。

 

 

ースピンするほど強くは押してない…相手の体制を一瞬崩しただけだから…。ミッドシップ車っていうのは確かに加速はいい…、けどその分コーナーでは動きがピーキー…そしてこの落ち葉…思うように踏めないでしょう…?ー

 

 

元々コーナーで動きがピーキーなミッドシップ車、少しリアを押されただけでも大きく動きを制限され易い。本来彼女は峠のバトルでこんなことはしないのだが地元走りをされたことで吹っ切れたようだ。

 

押し出されたことでイン側がガラ空きになったことを上手く利用してFCはMR2と並ぶようにコーナーから立ち上がっていく。ロータリーエンジンの魅力と言われた運動性能を遺憾なく発揮して安定した立ち上がり加速を見せつける。

 

 

ー何が起こったんだってんだ…クソッタレが…!!ー 

 

 

先程から連撃のように来られたため小柏の脳内は既にパンクしかけていた。それでも抜かれまいという本能でアクセルを強く踏み込んで頭を抑えにかかろうとした。

 

 

ー派手にやられたが…こっちだってプライドってもんがあるんだ!!抜かせるかよ…!!ー

 

 

まだ安定してない状態にも関わらず少しフラフラしつつもMR2はとてつもない加速力で狭いいろは坂でFCと横並び状態になる。…がそれが裏目に出てしまうことも知らずに…

 

 

ギュン!!

 

 

小柏「……!?」

 

 

落ち葉が道路のあちこちに吹き溜まりとなって溜まっており、踏めばどこにとっ散らかるかわからない大変滑りやすい状況…。そんな道路状態だったところを完全に忘れていた小柏は自然と名いっぱいにアクセルを踏み込んでしまったためフラフラしつつ走っていたMR2は耐えきれずスピンしてしまう。

 

 

ー…!ー

 

 

小柏が気づいたときは時すでに遅し、できる事だとすればスピンしてもいいようにステアリングを調整することだけだ…。MR2はそのままスピンしてしまうがFCはなんとか少し接触して体制を乱すがそのままクリアしていくのであった。

 

 

清次「スピンしただと…!!?」

 

 

京一「…!!」

 

 

目の前でMR2がスピンしたことに驚きを露にする清次、だが京一は冷静にステアリングを操りスピンしたMR2の横を何事もなかったかのように走り抜けていき、そのまま走り去っていく。

 

小柏「……ふぅ…」

 

 

なんとかガードレールに接触せずに止まれたMR2の車内では小柏が今さっきまで張り詰めていた雰囲気が抜けたことで大きなため息をついているのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

清次「しっかしたまげたぜ…。女の癖にあそこまでドライビングテクニックが豊富なんて…、あの見た目からしてまだ20歳も行ってないだろ?」

 

 

あれからいろは坂の麓にある駐車場に車を止めた京一にふと気になったかのように清次が声をかけ、肝心の京一は缶コーヒーを飲みながらその問いに答える。

 

 

京一「女だからって舐めてたら痛い目を見るぞ?群馬エリアにだって秋名のハチロクに勝って群馬エリア最速になった女ドライバーのハチロク乗りがいるんだ。不思議なもんじゃねぇぜ」

 

 

清次「いっ言われてみればそうだよな…。俺だってあのとき痛いくらい痛感したよ…」

 

 

星宮とのバトルを振り返ってあの時の自分がどれだけ間抜けだったか改めて痛感させられる清次であったのだった…。

 

 

京一「峠っていうのは奥が深いな……だがそれが面白い…。どうなっていくのか見物だぜ…」

 

 

 

ー麓、京一達とは別の駐車場ー

 

 

小柏「完敗だぜ……まさかあそこまでの実力の持ち主だったとはな……」

 

 

星宮「貴方もなかなかだったわよ?MR2をあそこまで乗りこなせる人は初めて見たから」

 

 

あのあと、ゴール地点で合流した2台はそのまま近くの駐車場に車を止めて少しばかりか話をしている。だが先程のバチバチの雰囲気は全く無くむしろどこか気が抜けたような雰囲気を醸し出していた。

 

 

小柏「それじゃ俺はそろそろお暇するぜ。いいバトルだった、またどこかで会おう」

 

 

そう言い残し、小柏はMR2に乗り込んでエンジンをかけて何度か吹かしながらもその場を後に走り去っていくのであった。 

 

 

星宮「ふっ…カッコつけちゃって…(笑み)。…さてと…そろそろ私も帰ろうかな…。そうじゃないと明日起きれなくなっちゃうし日課のゲームができなくなるから…」

 

 

走り去るMR2を少しばかりか見つめていた星宮であったが、自身も用事があったことを思い出して少し駆け足で乗り込んみロータリーサウンドを夜の峠に響かせながら駐車場を後にしていくのであった……。

 

 

 

それから数日後

秋山渉との一戦である日の前日

 

 

樹「くぅ〜!今週はまさかの三連休…!!しかも今日は午前で帰れるとなりゃ最高だぜ…!」

 

 

羽南「うんうん…!今週の休みはまさに学生のために出来たようなもんだよ…!!帰ったら何しようかな〜♪」

 

 

拓海「お前らはしゃぎすぎだよ……気持ちはわからないわけじゃないけど……」

 

 

どうやら今週は学校が三連休のお休みらしく、樹と羽南の二人はテンションが少し高めで帰路についていた。そんな彼らを拓海はやれやれという表情を浮かべながら見つめている。

 

 

祐也「まっ確かに三連休は学生にとっちゃ天国って言ってもいいかもな」

 

 

友奈「だね〜♪」

 

 

祐也もやれやれという表情を浮かべながらもどこか楽しみな雰囲気を浮かべており、その隣では友奈がまんま見て分かるほどのルンルンなのが肌に感じて伝わってきた。

 

 

樹「んじゃ俺達は今日バイトだから、明日のバトル頑張れよ…!友奈ちゃん!」

 

 

拓海「俺たちも予定見つけて池谷先輩達と応援行くから……」

 

 

友奈「二人ともありがとう〜♪期待に答えられるように頑張るから…!!」

 

 

学校を出てから歩いて数分ほど先にある交差点で一言二言話してから樹と拓海と別れる。そのあとはしばらく明日のバトルについての話で盛り上がっていたのであったのだが…

 

 

羽南「あっそうだ…!言おうと思ってたの忘れてたよ…」(ゴソゴソ)

 

 

祐也・友奈「「…?」」

 

 

何やら思い出したのかハッとした表情を浮かべながら羽南がカバンの中をゴソゴソと漁っている。そんな彼女を不思議そうに友奈と祐也は眺めていた。

 

 

羽南「友奈、降矢〜?今日と明日ってバイトない?」

 

 

祐也「んぇ?あっあぁ特にはないが……」

 

 

友奈「それがどうしたの羽南ちゃん?」

 

 

羽南「ふふん〜♪実はね〜」

 

 

二人の予定が空いていることを確認した羽南は先程とは違った楽しそうな雰囲気…、いやどこかニヤニヤしながらカバンから2枚のチケットを取り出して見せる。

 

 

羽南「じゃじゃーん♪秘境温泉入浴券〜!」(ヒラヒラ)

 

 

祐也「ん?秘境温泉入浴券…?また変わったのを貰ってきたな〜」

 

 

羽南「えへへ〜。この前商店街のくじ引きでまたまた当てちゃいまして…☆」

 

 

祐也「いや…お前運良すぎ…(汗)」

 

 

友奈「昔から羽南ちゃんそうだからねぇ…(汗)ところでその温泉入浴券がどうにかしたの?」

 

 

羽南「どうせ明日、あっちでバトルするんでしょ?そんでこれは埼玉にある秘境温泉の入浴券…!つまり二人で温泉楽しんでこい…!そしてイチャイチャしとけ…☆!」

 

 

友奈「ドヤ顔でしれっと言わないで〜!?というかそれが目的でしょ!?」

 

 

羽南「テヘ☆」

 

 

まさかバトル前日の日にこんな話を切り出されるとは思わなかった友奈はいつも通りの羽南に華麗なツッコミを入れるのであった……()




 

なんとか秘策で切り抜けることに成功し小柏に勝利した星宮。


そんな中、秋山弥との一戦で意気込みを語っていた友奈に羽南からとんでもないことを言われるのであった…(己)
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