頭文字Dー赤城の歌姫ー(リメイク予定)   作:三坂

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友奈対渉のハチロクをかけたダウンヒル・ヒルクライム混合のバトル。

はたして…友奈はこのバトルを何を得て…


そして覚醒するのか…?


EP18 覚醒

いよいよ始まったどちらが引くまで続けられるダウンヒル・ヒルクライム混合の先行後追いバトル。だが互いに実力が高いのとこの正丸峠の性質上どうしても拮抗になりやすく、決着がつかずままで4本目に…

 

 

祐也「…けっこう長引いてますね…。」  

 

 

先程から行ったり来たりしている2台のハチロクを見つつ祐也がポツリとそう呟く。それは他のメンバーも同じらしく彼の意見に賛同するように答えつつそれぞれ口にする。

 

 

池谷「それだけ実力が拮抗しているんだろうな…。おまけにこの路面の悪い峠だ、これが足引っ張って差が出にくいんだろう…」

 

 

健ニ「確かになぁ…、こんな路面の悪い峠じゃ思うように踏み込めないし…。ちょっとでも滑ったらとっ散らかるのは確実だよ…」 

 

 

拓海「おまけに相手もかなりやりますね…。走っているのを見ているだけでもハッキリとわかります…」

 

 

星宮「あら?意外と拓海君って見た目によらず鋭いのね。流石は秋名のハチロクってところかしら」

 

 

秋風「確かにターボ仕様のハチロクをこんな峠で乗り回している時点で速いドライバーは確実だしねぇ〜」

 

 

樹「…本当に拓海なのか…?」

 

 

羽南「…右に同じく(汗)」

 

 

いつの間にか拓海の走りに対する知識が増えていることに樹と羽南は驚きを隠せないのか開いた口が塞がらないような状況になっていた。

ここまで悪路でバンピーな正丸峠で意外にもコーナーでピーキーなハチロクターボをここまで乗りこなせている渉の実力は計り知れない。現にコーナーでフラフラしつつもしっかりとそれを抑えてロスを最小限にしているのが見て取れる。

 

 

池谷「なんせ相手の地元だからな…、つまりこの峠を事細かに知り尽くしているということになる…」

 

 

健ニ「つまり友奈ちゃんが不利なのは間違いないと…」

 

 

池谷「あぁ…」

 

 

…この正丸峠は秋山渉が走りなれている峠、つまり池谷の言うとおり相手に有利な材料が揃っているということになる。コースについて知り尽くせば知り尽くすほど付け入る隙がない。 

 

 

羽南「…大丈夫ですよ…♪友奈ちゃんはどんなときも必ず勝ちましたから…♪赤城でも…秋名でも…妙義でも…!例えどんな凄腕ドライバーが相手でも勝ったんですし…!このバトルだって…!」

 

 

星宮「あなたのそうゆう予想って百発百中で的中するかららね…。普段はアレだけど」

 

 

祐也「右に同じく()」

 

 

羽南「酷い…!?」(ガビーン)

 

 

秋風「あはは……(汗)」

 

 

だが羽南だけはいつもどおりの自信満々な表情を浮かべつつ行けるという感じの雰囲気を漂わせていた。小さい頃から一緒にいることが多かった二人、だからこそ分かるものがあるのだろう…。

 

 

そんな話の中でもまだまだ2台のバトルには終わりが見えず、とうとう6本目にハチロク先行レビン後追いで突入していくのであった…。

 

 

 

 

 

 

 

ー何本目だっけ……、4本目までは覚えてるんだけど……もう考える余裕がないや…ー

 

 

集中力が切れかかっている中、なんとかステアリングを操りつつ友奈なふと何本目だったか数えようとする。…しかし考えても何本目だったか思い出せないほど余力は全くなく走ることで精一杯な状態だった…。

 

 

ー体力もけっこうヤバいけど…車の方もけっこうヤバイかも…タイヤもズルズルだし…ー

 

 

やはりぶっつけでバトルし続ければ体力的にも車的にも限界がやってくるものなのだろう。彼女の表情は完全に疲れ切っており、ブレーキングのポイントなどの走りに少しの乱れが生じ始めてきていた。いや…彼女だけでなく車のほうも限界が来ているのだろう。思うようにラインに乗れないコーナーが回数を重ねるごとに目立ってくる。 

 

 

ー…けどそれは向こうだって…!ハチロクにターボ、そしてこのバンビーな峠ならこっち以上に苦しい…。ここは我慢比べ…!ー

 

 

だがこちらが苦しいということは向こうも同じということ、ここは我慢比べと言わんばかりの表情を浮かべつつアクセルを更に強く踏み込んでいく。

 

 

ー根比べなら私だって負けないからね…!!ー

 

 

 

 

ゴアァァァ!!

 

 

ー不味いな…何本目か分からなくなってきやがった…。それだけ集中力がなくなってきてるってか…!ー

 

 

友奈が苦しいのと同様に渉もかなり集中力が切れかかっているようだ。先程よりも立ち上りで弱カウンターを当てる回数が増えてきている。

 

 

ーおまけにタイヤも垂れて来てる…。おまけにこのバンビーな正丸峠だと余計にアンダーが出やすい…。…ターボ仕様の仇がここで響いて来やがったか…!ー

 

 

おまけにターボ仕様のハチロクとなれば長期戦になればなるほどタイヤや車にかかる負担は大きくなる。友奈のトレノでも苦しい状態となれば渉のレビンも例外ではない。

 

 

ー厳しくなってきやがったぜ…、だがそれは向こうも同じ…!!ここは我慢比べだ…!気合いと根性なら誰にも負けないんだよ…!ー

 

 

加速していくトレノを見つつ、離されまいと腹をくくってシフトアップしつつアクセルを踏み込んでいく。ターボ特有のウエストゲートが抜ける音を甲高く響かせながら、一瞬ふらっとしつつもしっかりとついていく。

 

 

ゴッ!!

 

 

友奈「っ…!!」

 

 

渉「くっ…!!」

 

 

コーナーが迫ってくるとお互いにフルブレーキングで減速しつつ3速から2速へ叩き込んでステアリングを切り込む。直後テールランプが点灯したと思ったら2台は後輪をスライドさせつつ、ハイスピードの四輪ドリフトで駆け巡る。

 

 

ゴギャァァァ!!!

 

 

立ち上がると再びアクセルを踏み込んでいき、2台のタコメーターは一気に高回転へと跳ね上がっていく。過給器音が当たりに響きつつ、外側に余力を残しつつ加速する。

 

 

ーだが見事なもんだぜ…!ハチロクというものをここまでコントロール出来るなんて。俺でもここまで出来るかと言われたら怪しいだろうな…ー

 

 

後ろから友奈の走りを見つつ、流石と言わんばかりの表情を浮かべつつ感想を述べていた。確かに、まだ二十歳もいっていないにも関わらずハチロクという車を極限までコントロール出来ている。

 

やはり小さい頃から初代歌姫と言われた春香からの英才教育を受けているからこそのものなのだろう。サーキットなどで様々なベテランドライバーなどとの走りを経験したり、はたまた峠では春香から走り方を教わったりしていた。だからこそ今の彼女がいるのだろう。

 

 

ーオマエはイケてるぜ…!最高に乗れている…!!このバトル以上の走りはこの先体験出来ないだろうな……!!ー

 

 

だが、だからこそなのか渉のテンションはMAXになりつつあり走りもどこか思いっきったような動きになっていた。そのため先程よりもフラフラが強くなった印象だ。

 

 

ゴフ…!! 

 

 

友奈「…!!」

 

 

渉「…!」

 

 

今度はヘアピンへとハイスピードで2台は突入していく。フルブレーキングからの2速へとギアを叩き込んでステアリングを切り込む。最初のヘアピンを後輪から白煙を上げつつ思いっきり流していき、いい感じのラインで立ち上がると直ぐに切り替えしていき2つ目のヘアピンも難なく立ちあがっていく。

 

 

ーだがこのまま引っ張るのは不味いな…!次辺りで決着つけねぇと…ー

 

 

だがいつまでも引っ張れるほどの余力がほとんど残っていないため、次あたりで決着をつけようとステアリングを操りつつ渉は考察する。すでに折り返し地点は近く、あとコーナー2つ、3つほど抜ければすぐというところだった…。

 

 

ーよし…!これなら行ける…!次でスパートかけて仕留めさせてもらうぜ…!!ー

 

 

そう決め込んだ渉はアクセルを流れるように踏み込んでいく。直後ブーストやタコメーターが一気に跳ね上がりレビンは軽くホイルスピンさせつつ加速力しようと……するはずだった…。

 

 

ゴキャァァァ!!

 

 

ー…!!?ー

 

 

流石にタイヤが限界だったのか、はたまたバンピーな路面で滑ったのかどうかはわからないがなんの拍子もなく突然立ち上がりでレビンがスピンする。

 

 

 

渉「…くっ…!!」

 

 

だが咄嗟に渉がカウンターを当てたことで、スピンはしたもののガードレールや山の斜面には当たることなく綺麗に留まることが出来た。

 

 

友奈「…あっ…」

 

 

もちろん、友奈もバックミラーで確認しておりぶつかっていないことから一度折り返し地点まで行って、それから戻って来ることにした。

 

 

渉「ふぅ……」

 

 

張り詰めた空気が一瞬で抜けたためプツリと切れたのか、どっと襲いかかってくる疲労になんとか耐えつつ思わずため息を渉は溢してしまう。

 

 

 

ー今日は…俺のステージじゃない…ってか…。完敗だぜ…赤城の歌姫…ー

 

 

ーそのテクニックがあるなら大丈夫だ…きっと…良いハチロク乗りになれるぜ…ー

 

 

 

 

ゴール地点の小屋にて

 

 

ウォン!

 

 

樹「…っ!来ましたよ!!」

 

 

まだかまだかと待っていた池谷達であったが上から響いてくるエンジンサウンドに気づいた樹が声を上げて他のメンツもそれにつられるように視線を向ける。

 

 

池谷「スローダウンしてるな…、決着がついたらしい…」

 

 

健ニ「どっちだ?どっちが勝ったんだ…、トレノか…レビンか…」 

 

 

ガードレールの奥、上の道を走っている白黒の車体がチラリと林の隙間から確認出来る。直後コーナーをゆっくり抜けつつ友奈の見慣れたカーボン仕様のハチロクが姿を表していく。

 

 

祐也「っしゃ!友奈が勝ったぞ…!」

 

 

羽南「やっ…やった!流石私の親友…!!」(ガッツポーズ)

 

 

池谷「おぉ…!!」

 

 

健ニ「またやってくれたぜ…!!友奈ちゃんは…!」

 

 

樹「拓海〜!!友奈ちゃんが勝ったぞぉ…!!」(抱きつき)

 

 

拓海「きっ…苦しいからあまり抱きつくなよ…イツキ…(汗)」

 

 

友奈が勝ったとわかれば、祐也達は歓声を上げつつ喜び合っていた。拓海も少しばかりだがどこか嬉しそうな表情を浮かべているのが伝わってくる。その様子を見つつ秋風は目の前を通過していく2台のハチロクを見つつ星宮に視線を向けつつ話しかける。

 

 

秋風「流石…ってところですね。噂通りの実力でしたよ…♪」

 

 

星宮「そう…ね、羽南からあの子の走りは聞いていたしちょくちょく見たりしてたけど…。こうして見ると改めてその凄さがわかるわ…」 

 

 

秋風「私達と同じ年齢なのに、下手すりゃこっちよりも速いかもですよ…♪赤城の歌姫と言われた実力は伊達じゃないですね…!」

 

 

星宮「えぇ…」

 

 

通過していき、麓へと走り去っていく2台の後ろ姿を見つつそれぞれ赤城の歌姫へ興味を示すかのような雰囲気を漂わせているのであったのだった…。

 

 

 

 

 

渉「完敗だったぜ…、流石は赤城の歌姫だな…」

 

 

友奈「いっいえ…、けっこうギリギリでしたし…あそこでスピンしてなかったらどうなったか…」

 

 

あれから麓へと降りた二人は、集合地点に設定されていた西武秩父駅前ロータリーへと戻ってきていた。関心の表情を浮かべつつ褒めている渉に対して友奈は少し遠慮しながら話している。

 

 

渉「何言ってるんだ、あのバトルでハッキリしたよ…。俺の負けさ…、たとえスピンしてなくても結果は変わらなかった…」

 

 

友奈「……」

 

 

渉「それに…、お前が探していた答えってやつは見つかったようだな…!そのスッキリした顔でわかるぜ」

 

 

友奈「そう…ですね…♪まだ完璧じゃないかもしれないけど……、この子のためにどんな走りをすればいいかっていうのは…♪」   

 

 

…だが秋山渉とのバトルを通じて自分の探している答えがハッキリと分かったようだ。バトル前と比べ表情が豊かになっており友奈らしいいつもの明るい表情に戻っていた…。

 

 

 

渉「それじゃまた会おうぜ、こっちもいい経験ができたよ。藤原との一戦に向けて更に走り込むことにするぜ…!」

 

 

友奈「…はい!」

 

 

 

その日の深夜

友奈宅にて  

 

 

春香「あら〜、おかえりなさい〜♪ずいぶん接戦だったのね〜」

 

 

あれから羽南達とともに群馬に戻った友奈。家に到着して車から降りると玄関のドアが開いて春香が笑みを浮かべつつ出迎えてくれる。

 

 

友奈「うん♪ただいま…!!あっもちろん勝負は私が勝ったよ♪」

 

 

秋山とのバトル前にあったモヤモヤは完全に吹き飛んでおり友奈は笑みを浮かべつつピースしつつ少々興奮気味に話していた。その様子を春香は微笑ましい表情を浮かべつつうんうんと頷いているようだ。

 

 

春香「ふふ…♪(…これなら…あのことも話して良さそうね…)ねぇ、友奈?」

 

 

友奈「ん〜?どうしたの母さん〜、」

 

 

車の鍵を締めて、家の中に入りつつ様子を見て察したのか春香が覚悟を決めて話しかけていく。急に声をかけられたため驚きつつも友奈は首を傾げながら視線を向ける。

 

 

春香「ちょっと話しておきたいことがあって…、もちろん友奈に最終判断は任せるんだけど……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

『友奈、あなたプロドライバーになる気はないかしら?』

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

友奈「プロ……ドライバー……」

 

 

 

 

突如としてそんな言葉が春香の口から出てくるとは思わなかったのか友奈は少し驚いた表情で見つめているのであった……。




激しい接戦のうえ、勝利を勝ち取って走りに対してのポテンシャルや無事にスランプも抜け出せたようだ……。


……しかし、家に帰ってから春香からまさかの提案を聞かされるのであった……。
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