唐突に赤城レーシングの元に訪れた彼女はいったい何が目的で訪れたのだろう…?
整備工場
事務所にて
文乃「なーんだ…♪去年の秋頃に秋名峠で出会った白の33Rは秋風ちゃんのだったのねー。峠じゃけっこう珍しかったから気になってたのよ♪」
秋風「私もびっくりしましたよ…(汗)。まさかあのとき出会ったカプチーノのドライバーにこんな形で会えるとは思いませんでしたから…(汗)」
あれから事務所に移動した一行であるが、まさかあのとき出会った相手とこんな形で再開出来ると思っていなかったようで文乃は外に止められているあの33Rを見つつ懐かしそうに話していた。
秋風自身は驚きを隠せないようで、少し苦笑いしながらも注いできたお茶の入ったコップをテーブルの上、湯月や文乃の前に置いていく。もちろん、自分のところにも置いてからゆっくりと腰掛けて湯月の隣に座り話を伺う。
湯月「やっぱり、前聞いたときからなんとなく感づいてはいたのよー♪青色のカプチーノで長野の白ナンバーって言ったらだいたい限られてるからね♪」
秋風「んもー、それならそうと早く言ってくださいよ……(ムスー)。こっちもいろいろ調べてたんですから…。」
湯月「ごめんってばー(汗)。っていのはちょっと置いといて…、文乃ちゃん整備工場の方じゃなくて赤城レーシング直接にお願いっていうのは何かしら?」
なんでもっと早く言ってくれなかったのかとムスーとしつつ不満そうな表情を浮かべている秋風をまあまあと宥めていた湯月であったが、それは一旦置いておいてから先ほどの表情とは裏腹に真剣そうな表情を浮べて文乃がきた目的を訪ねる。
文乃「最近貴方が所属している…いやリーダー務めてる赤城レーシングが復活したそうじゃないー?」
湯月「そうね、優秀な子達がドライバーとして揃ったからそろそろ頃合いかと思って♪サポートスタッフなら整備工場に腕利きの連中もいるし♪」
文乃「そうそう、それで聞いた話によれば近いうちに遠征始めるみたいだけど…その辺どうなのかしら?」
湯月「もうその辺まで知られてるのかー、やっぱブログの宣伝力は凄いわね。まあそんな感じで会ってるわよー、でもそれを聞くってことはもしかして…。」
文乃「流石察しがいいわね…!そうよ、私の所属しているチームスピリットとの交流戦を早速申し込みたくてここまで来たってことよ…!」
秋風「…(早速バトルの挑戦状…、やっぱブログの宣伝力強いなー…(汗))」
文乃「んまあそれは前置きでして、私の本当の目的は貴方のチームに所属しているダウンヒラーのハチロク『赤城の歌姫』とバトルしたいのが本音かしら。チームにはその口実して協力して貰ったってわけ。」
秋風「…(友奈さんと…)。」
湯月「ほほー、『赤城の歌姫』とバトルねー。貴方とカプチーノで挑もうって寸法かしら、長野エリア最速のダウンヒラーとして…ね?」
文乃「そうゆうこと…!ハチロクで群馬エリア最速の走り屋と聞いたらバトルしないという手はないでしょ…!」
どうなら文乃がここに訪れた理由は赤城レーシングとスピリットの交流戦の提案、そしてその本命ともいえる『赤城の歌姫』とのバトルの申し込みのようだ。…といっても湯月からすればプログをインターネットに載せた時点で誰からかバトルを申し込まれることくらいなのは分かりきっていたため、特に驚きもせずに話を聞いていた。
湯月「なかなか面白い話じゃない…(ニヤ)。なら赤城レーシング最初の対戦相手は文乃、貴方達のチームにさせて貰おうかしら…!」
文乃「その言葉を待ってたわよ…!直接話に来たかいがあったってもんだわ♪といっても交流戦だからお互い勝っても負けても文句はなしね…♪そんなの私の走り屋ポリシーに反するから…!」
湯月「相変わらず文乃らしいじゃない♪そりゃこっちも同じ意見よ…!でも挑戦仕掛けたことを後悔しないようにね…!」
文乃「それはこっちのセリフよ…♪うちには私とチームのリーダーで速いやつがいるから一筋縄じゃいかないからね…!」
秋風「…(…と言いながら二人ともなんか楽しそうなんだよねー(汗)。まっ初戦の身からすればこの方がやりやすいけど)。」
湯月「なら詳しい日程を決めないといけないけど…、やっぱバトルする峠は貴方のチームの地元大門峠ってところ?」
お互い意見が一致していれば話はあっという間に進むというもので、即決に近い形でお互い交流戦に向けた話し合いで本格的な話に入ろうとしていた。すると湯月がバトルする峠はどうするのかとふと尋ねると、文乃は笑みを浮かべつつ手を横に振りながら口を開く。
文乃「まっさかー♪わかりきっている地元でのバトルなんて盛り上がらないわ…!ここはお互いの地元じゃない峠でのバトルと行きましょう…♪」
湯月「相変わらずというか、でも面白そうだからいっか…♪それで?どこかいいところの案とかあるもあしら?」
文乃「もちろんあるわよ♪そこなら大門峠よりもきっといいバトルが出来るしギャラリー達も盛り上がると思うわ…!」
秋風「地元の峠じゃないんですか…?それはそれで珍しい提案ですね…?」
文乃「でしょでしょ!その方が楽しめそうだからね…!んでその峠っていうのが―――」
某日の金曜日
碓氷峠
ゴギャァァァァ
いつもの土曜日の夜ではあるものの、相変わらず街灯がないため暗闇に包まれている碓氷峠。しかしそんな静寂さを打ち破るようなエンジンサウンドの咆哮とともに青色のシルエイティがコーナーの影から勢い良く飛び出してくる。
碓氷最速のシルエイティと言われダウンヒルなら負けなして言われている女性コンビの走り屋、『インパクトブルー』。ドライバーの真子、そして助手席でアシスタントを務める沙雪というタッグで活動しており、今日もいつものようにダウンヒルを攻めているようだ。
沙雪「次!インベタグリップで…!立ち上がり余力残してね…!」
真子「…!(頷き)」ゴクン!!
助手席の手すりに捕まりつつ、その時のコーナー状態を見て瞬時に判断して沙雪は的確なアドバイスを出していく。それを受けた真子がその通りのラインで調整しながら、ステアリングを操って余力を残したグリップ走行で立ち上がる。
沙雪「いい感じだよ真子!なかなか絶好調の走り…!!確実に腕が上がってるよ…!」
真子「うん…!これなら誰が来ても負けない自信がある…!秋名のハチロクとのバトルでいろいろ学んだもの…!次こそは誰がこようが負けない…!」
ゴァァァァ!!!
真子の決意を現すかのようにシルエイティのSR20DETサウンドが甲高く咆哮し、その叫びは碓氷の深い谷へと児玉しながら響き渡っていくのであったのだ…。
碓氷峠頂上
駐車場にて
ボム!!
沙雪「最近真子いい感じじゃない?なんか前よりも上手いというか…ラインやタイヤのいたわりとかもかなり出来るようになってきたし…!」
真子「ううん、沙雪のお陰だよ…♪こうやってアタシが上達出来るのって的確なアドバイスとかメカとかを教えて貰ってるのもあるし…♪」
一通り走り終えて、休憩のため頂上の駐車場へと戻ってきた二人。そんなことを話しながら車から降りているとそこに少しダンディ?な男性が手を振りながら歩み寄ってくる。
?「よっ、今日も相変わらず熱心だなー。」
沙雪「あっ朝代さんじゃないー♪やっほー♪」
真子「お久しぶりです…(ペコリ)。」
朝代「二人共元気そうで良かったよ♪何気に直接会うの久しぶりだからねー。」
どうやら真子と沙雪とは顔見知りのようで、彼に気づくと同じように声をかけながら彼のもとへやってくる。彼の名は『朝代安芸』、長野県の有力な走り屋集団『スピリット』、そのリーダーでもありチームではヒルクライム担当を務めている。大門峠をホームコースとしつつも、二人は彼が務めている中古車販売店にある整備工場の常連客でそのツテで知り合ったようだ。ちなみにスピリットのメンバーも頻繁に碓氷へと走りに来ており、時折一緒に走っているようだ。
文乃「私ももちろんいるよー♪いい走りじゃないの…!」
沙雪「文乃さんもいたんですね!いつも通りというか、ブレなさそうで安心したわ♪」
文乃「そうゆう沙雪ちゃんや真子ちゃんもそうじゃない!あっそれと例の件、引き受けてくれてありがとうね!」
沙雪「あー、明日行われる交流戦のことねー。いいってことよ…!アタシたちも今噂になっている『赤城レーシング』の実力を見てみたいと思ってたし♪」
真子「それに…、拓海君が負けたっていう『赤城の歌姫』のハチロクが来るってことでしたので…、沙雪が碓氷の走り屋達に提案したら案外乗ってくれましたからね…♪」
朝代「はー、やっぱみんなの本命は『赤城の歌姫』ってかー。こりゃ明日のバトルはダウンヒルで持ち切りになりそうだ…(汗)。」
文乃「なーに言ってんの!朝代はリーダーなんだからしっかりしてもらわないと…!それに、みんなはあんたのこともしっかり応援してくれるわよ!」
沙雪「そーそー♪アンタはいつも通りどっしり構えていればいいのよ♪いい男なんだから…!」
真子「もう…沙雪ったら…(汗)(ボフッ!!)あっ…来たみたいですよ…?」
相変わらずの沙雪のテンションに突っ込みを入れていた真子であったが、複数のエキゾースト音が響き渡って来たことに気付いて顔の向きを変えつつ口を開く。彼女に言われて文乃達や他のメンバー達もそちらに視線を向けると、コーナーの奥からエンジンサウンドとともにヘッドライトの光が暗闇を照らすように光源を強くしながらやってくるのが確認出来る。
文乃「もう一つの主役の登場のようね…!(笑みを浮かべ)」
朝代「そのようだな…。」
笑みを浮かべている文乃に対していつも通り落ち着いた表情を見せている朝代という対称的な二人ではあるが、その背後には常人には見えないような濃いオーラを纏っている。その間にもエンジンサウンドはどんどん近づいてきて、秋風の33Rを先頭に、それに続く形で友奈のハチロクや3台のワンボックスカー(赤城レーシングステッカー付き)が姿を現して駐車場へと入っていく。
真子「いよいよ…だね…!」
沙雪「えぇ…!今巷で噂になっている赤城レーシング…どんなものか見せて貰いましょう!」
ボム
友奈「んー…!!ようやく着いた…!!」
秋風「あっちから近いとは言えど長距離運転は答えるよねー…(背伸びしつつ)」
ハチロクと33Rの運転席ドアかゆっくりと開いて友奈と秋風が姿を現し、長距離の運転で流石に答えたのか二人とも降りるとともに背伸びをしている。すると今度は助手席のドアが開き、それぞれ羽南と星宮も車から降りてきて二人に歩み寄ってくる。
羽南「まだ本格的に走ってないのにそれで大丈夫なのー(汗)。ここからが本番っていうのにー。」
秋風「仕方ないじゃないですかー…、私こんな長距離走ったことないんですから…(ムスー)。」
星宮「なら、秋風さんは長距離に慣れる特訓しないとね…(ニヤリ)。これが終わったら試しに首都高永遠にグルグルさせようかしらー。」
秋風「そっそれは勘弁してくださいよー星宮さーん…!!」
友奈「なんか秋風さん大変そうですね…(汗)。」
秋風「そんな呑気なこと言わないで友奈さんも助けてくださいー…!!」
湯月「んー…!(背伸びしつつワンボックスカーから降りてくる)相変わらず賑やかそうねー、てっきり緊張してあんまりリラックス出来てないかと思って心配してたけど…案外その心配はなさそうね…♪」
ワンボックスカー(1号車)の助手席でここまで来るのにずっと仮眠を取っていたようで、友奈達の賑やかそうな声で目が覚めたのか湯月が背伸びをしながら降りてくる。その際、車内に設置されていた冷蔵庫からお茶を取り出して一口飲む。
湯月「さてと…!気合入れて行きますか…!!」
冷たいお茶を飲んだことで頭のスイッチが入ったのか、シャキっとした表情を浮かべて先に作業に取り掛かっているメカニックのもとへ駆け寄っていくのであった……。
EP26 交流戦に向けて