頭文字Dー赤城の歌姫ー(リメイク予定)   作:三坂

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いよいよ始まった赤城レーシングの遠征バトル

その初戦、『スピリット』との交流戦に向けて一同は準備を着々と進めるのであった。



EP26 交流戦に向けて

 

ー碓氷峠ー

  

 

 

文乃「今どき女性中心のレーシングチームねー、なかなか珍しいんじゃない?」  

 

 

朝代「確かにそうかもなぁ…、走り屋の世界でもほとんどが野郎ばっかりだし…。こうして文乃やあの子達のような女性がこんなにいることはギャラリー以外じゃ滅多にないぜ。」 

 

 

文乃「言われてみればそうね……。でもそれだからこそ面白いんじゃないかしら?まあハチロクがダウンヒル、33Rがヒルクライムなのは確定でしょう。」

 

 

朝代「…となると俺の相手はGTRか…、見た目からしてまだ若そうだが…それに似合わないオーラ醸し出してるんだよなぁ…。…そういえば文乃は一回遭遇したことあるんだろ?そんときどうだった?」

 

 

文乃「んー…、そうねぇー」

 

 

 

赤城レーシングのメンバーである友奈達を見つつ、今どき女性中心で構成されたドライバー担当が珍しいのか興味深そうな表情で眺めていた。確かに、走り屋やモータースポーツ界でもそのほとんどの割合で男性が走ることが多い。だからこうしてドライバーのほとんどが女性を締めているチームは例に漏れずかなり希少なのだ。

 

そんなことを話しながら赤城レーシングのメカニックが作業を進めている様子を眺めていると自分の対戦相手の予定である33R、秋風がどんな走りをするのか気になったようで一度バトルしたことのある文乃にそのことを尋ねる。

 

 

 

文乃「といってもバトルしたのは一瞬だしダウンヒルだからその通りになるかって言われたらあれだけどねー。ひとまずちょっと走ってみて思ったのが、あのデカい車体を狭い峠で振り回せるテクニックはあると思うわー。なんならドリフトしてたしー。」

 

 

朝代「あの見た目でGTRを峠で振り回せるのか…見たところかなり若そうだが…。だがそうなるとヒルクライムじゃかなり厄介な相手になるなこりゃ…(汗)。ドライバーといい車といい。」

 

 

文乃「まっ赤城なら間違いなく朝代が不利だろうけどここは碓氷峠。あのデカい車体で抜かすのは至難の技、広い区間をしっかりと抑えていれば行けるはずよ!それに碓氷のヒルクライムで負けなしと言われたあんたのテクニックと70スープラコンビなら問題はないでしょ?」

 

 

朝代「あぁ、スピリットリーダーとして情けない走りは出来ないからな。あの子には悪いが全力で勝たせてに行かせて貰おうか…!って…どうやら向こうのリーダーさんがお出ましのようだな。」

 

 

 

そんなこんな話して、バトルに関しての意気込みを朝代が語っているとメカニック達と話していた湯月がこちらに視線を向けてゆっくりと歩いてくる。それに気づいた朝代と文乃は真剣な表情を浮かべながら彼女と向き直る。

 

 

 

朝代「チーム『スピリット』の代表、朝代安芸だ。今回のバトルではヒルクライムを担当させて貰う。うちの文乃の提案に乗ってくれてありがとうな、改めてお礼を言わせてもらおう(ペコリ)。」

 

 

湯月「いいってことよー♪丁度チーム始動させてバトルしてくれるところを探してたところだったから…♪それに文乃ちゃんの実力を拝見するにはいい機会だしね♪」

 

 

文乃「おぉー、言ってくれるじゃない♪ならちゃんとした走りを見せてあげないと!」

 

 

湯月「なら今後の日程についての再確認ねー、連絡はいってると思うけど。」 

 

 

朝代「もちろん、交流戦前に連絡でトラブルが起こるのは勘弁だしな…(汗)。」

 

 

湯月「っとと、その前にこっちの自己紹介してなかったわね(汗)。私は湯月雪、赤城レーシングの現代表だからよろしくね♪」

 

 

朝代「あぁ、よろしく頼むぜ…!」(お互いに握手を交わす)

 

 

 

 

 

 

 

 

湯月「―――それじゃこんな感じで大丈夫かしら?」

 

 

朝代「そうだな、今日1日はコース明渡しするから好きに使っててくれ。ここの連中には既に話は通してるから。」

 

 

湯月「ありがとうねー、手際が良くて助かるよー。それじゃまた後でねー♪(手をひらひらしつつ後にする。)」

 

 

 

あれから数分ほど予めいっていた連絡で間違いがないかしっかりと確認が終わると、湯月は手をひらひらしつつその場を後にしていく。その様子を見つつ朝代は少し拍子抜けたような表情を浮かべていた。

 

 

 

朝代「なんというか…、俺が知ってるレーシングチームのリーダーとは思えないような雰囲気だな…(汗)。フレンドリーというかなんというか…。」

 

 

文乃「まっ雪はいつもあんな感じだからねー。当時現役だった頃は男性ファンから熱烈な支持があったそうだし!」

 

 

朝代「そりゃあんだけフレンドリーなら誰だって注目するだろ…(汗)。しかもべらぼうに美人と来たらなぁ…。それより文乃の相手は予想通りハチロクのようだな?お前が気になっていた群馬最速の『赤城の歌姫』が…。」 

 

 

文乃「えぇ…!この日をどれだけ待ち望んでいたか…!!群馬最速のハチロクとして名を轟かせている『赤城の歌姫』とのバトル…!!今からでもうずうずしちゃうわね♪」

 

 

 

どうやら二人の予想通りヒルクライムは33R、ダウンヒルはハチロクで来るようで自分が望んでいた『赤城の歌姫』とバトルが出来ることが嬉しいのか文乃は少し興奮気味に笑みを浮かべている。 

 

 

 

朝代「まあ俺もどんな奴かは気になるな…。若そうだが、どれほどの実力を隠し持っているか…。」

 

 

文乃「そうねー、それは私も気になるわ♪けど私とカプチーノのコンビなら誰が来ようが関係ないわ…!軽く捻ってあげる…!」

 

 

朝代「その意気込みはいいが油断はするなよ?見た目は普通のハチロクだが中身は違うはずだ。ドライバーもかなり手強い可能性があるな。」

 

 

文乃「大丈夫…!そのへんはちゃんと分かってるから…!油断して負けちゃ元も子もないからね!」

 

 

 

 

 

 

 

 

湯月「二人とも、ウォーミングアップは終わったー?」

 

 

友奈「あっはい…!先ほど終わりました…!」

 

 

秋風「こっちもオッケーです♪」

 

 

 

朝代達と話が終わり、赤城レーシング側に戻ってきた湯月は丁度ウォーミングアップとを終えていた友奈と秋風のもとへやってきてその確認と今後についての話をしていく。

 

 

 

湯月「ビデオとかも見た?」 

 

 

友奈「見ました…!だいたい50回ぐらい…。」

  

 

湯月「ならある程度はコースレイアウトが頭に入ってるわね。わかってるとは思うけど最初の数本は流す程度で走りなさい、ビデオとリアルじゃズレがどうしても生じるから。まずはそのズレを直すことに集中しなさい?」 

 

 

秋風「わかりました!」

 

 

湯月「よし、大丈夫そうねー♪「湯月さん…!2台のセッティング終わりました…!!」っと…、いいタイミングじゃない…♪」

 

 

 

走る前のアドバイスが終わった丁度いいとも言えるタイミングで2台のセッティングが終わったことをヒルクライム車両のメカニック担当である秋高が伝えてきて、それを聞いた湯月が待ってましたと言わんばかりの笑みになる。

 

 

 

湯月「それじゃ行ってきなさい…!!」

 

 

友奈・秋風「「…はい…!!(頷く)」」

   

 

 

 

 

 

ウォン!!ウォン!!

ゴフッ!! 

 

 

 

碓氷峠頂上に2台のエンジンサウンドが響き渡る中、準備が出来たのかハチロクがゆっくりと動き出してその後に33Rが続くように発進する。その後、駐車から出た直後に激しくホイルスピンをさせながら飛び出して行く。

 

 

 

羽南「んー♪やっぱこうやって走る前のエンジンサウンドの咆哮って溜まらないよねー…!見ててこっちまで熱くなるというか…!」

 

 

星宮「見とれるのはいいけど、ゆっくりしてる暇はないわよ。走らないドライバーはメカニックさんたちの手伝いしないと行けないんだから…(汗)。」 

 

 

羽南「大丈夫大丈夫ー、ちゃんと覚えてるから…!ちょっとその前にエキゾースト音を聞こうと思いまして♪(テヘッ)」

 

 

星宮「本当に分かってるのかしら……(汗)。貴方の雰囲気じゃ見ただけじゃ分からないのよね…。」   

 

 

湯月「そこの二人ー、さっき話した通りこっちの手伝いをしてもらえるかしらー?」

 

 

星宮・羽南「「はーい!!(了解…!)」」

 

 

 

2台が走っていくのを見つつエキゾースト音を堪能している羽南に対して星宮が突っ込みを入れながら会話をしていると、案の定湯月に手伝ってくれとお願いされたため返事をしながら二人は彼女のもとに向かい、二人の車両などのセッティングなどの確認や補給するためのガソリン、タイヤなどの確認作業に追われるのであった。 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゴギャァァァ!!!    

 

 

 

交流戦が始まるとはいえ相変わらず暗闇に包まれた碓氷峠のダウンヒル。その静寂さを打ち破るようにコーナーの奥から勢いよく友奈のハチロクが飛び出してくる。

 

 

 

ゴフ…!!

友奈「やっぱ羽南ちゃんの言ってた通りここの峠は赤城とじゃ全然違う…!正丸峠の道が広い版ってところか…!」 

 

 

 

自分が走りなれた赤城峠とは一味違った碓氷峠の恐ろしさに眉を細めながらもコースレイアウトは頭に叩き込まれているため華麗な四輪ドリフトでコーナーを流して、ガードレールぎりぎりを立ち上がっていく。

 

 

 

友奈「右かと思えば左と連続するコーナー…!!気を抜けば岩壁にキスか谷底真っ逆さまね…!!けど…こうゆうところだから私の得意分野…!!」

ゴクン!!

 

 

ゴァァァァ!!!

 

 

 

やはりこのような峠に多少困惑しているようだが、それでもコーナー勝負が得意な自分にとってはこの程度で遅れを取るわけにはいかないと思いながらコーナー手前でフルブレーキング、ヒールアンドトゥで2速にギアを叩き込んでステアリングを切り込む。テールランプが点灯したと思ったら後輪が突如としてスライドし、切り込むように車体を滑らせながらコーナーを流していき立ち上がりもマージンは取りながらも車体を寄せて立ち上がるのであった……。

 

 

 

 

 

 

 

ギャン!!

プシャァァァ!!

 

 

 

同時刻、友奈の走っているダウンヒルとは別にヒルクライムではターボチャージャーのウェストゲート音とスーパーチャージャーの機械音を響かせながらどデカい車体をものともひない馬力で秋風の33Rがヒルクライムを駆け上っているようだ。

 

 

 

秋風「んー…、やっぱこんなに狭いと33Rみたいなハイパワー車で車体が大きいとキツイよねぇ…。四駆のトラクション活かせばなんとか走れるけど…ぶっちゃけここじゃ400馬力はすべて使いきれないかも…!」ゴクン!!

ゴキャァァァ!!!

  

 

 

いくらヒルクライムとはいえど確かに秋風の言うとおり400馬力の33Rのポテンシャルをこの碓氷で使いきれるかと問われたら彼女でもそれは怪しい。ストレートとより複雑なコーナーが多いここでは加速勝負よりどちらかというとアクセルワークを駆使した立ち上がり勝負でいかにタイヤを労れるかが勝負になる。

 

 

 

秋風「いくら剛性たっぷりなこの子でも峠のリズムに沿わない走りをすればタイヤは簡単にヘタれる…。ここのバトルの鍵はアクセルワークとどれだけタイヤを労れるか…ね…!」

 

ウォン!!ウォン!!

プシャァァァ!!

 

 

 

そんなことを呟きながらコーナー手前でフルブレーキングで2速にギアを叩き込みつつヒールアンドトゥでペダルを操作してステアリングを切り込む。いくらこの狭い峠とはいえそれを感じさせないような俊敏さで33Rは剛性たっぷりの車体を振り回しながらグリップでアウト・イン・アウトを意識しながら過ぎ、立ち上がりでは400馬力のパワーを活かした瞬発力で加速していく。

 

 

 

秋風「でも…!狭くて走りにくくてもそれを言い訳にはしません…!!33R乗りを目指すのなら…!この程度で苦戦するわけには行きませんから…!!」

 

 

 

だがそれを理由に走れないのはGTR乗りのプライドが許さないのか、時間の続く限り碓氷峠を秋風は攻め続けこのコースのリズムや車のポテンシャルを更に引き出せるように試行錯誤しながら走るのであった。

 

 

 

 

 

そして…

交流戦当日

のお昼ごろにて

 

 

 

 

祐也『ほー、いよいよ今日が新星赤城レーシング初の交流戦なのか。』

 

 

友奈「そうそう…♪ほら木曜日の夜くらいに2日くらい遠征で家開けるって言ってたじゃない?あれだよー♪」

 

 

 

まだまだ交流戦開始まで時間がかなりあるため明るいうちにコースの下見をしにきた友奈は携帯電話片手にチェックしながら祐也と楽しそうに電話しているようだ。いや、歩きながらとはいえコース下見しながら電話出来るとか器用ですね()。

 

 

 

祐也『確かにそんなこと言ってたなー。そんで初戦のコースは碓氷峠か…、確かそこには拓海と羽南がバトった碓氷最速のシルエイティーがいたよな?』

 

 

友奈「確かにいるよー、けど今回の相手はシルエイティーじゃなくてチーム『スピリット』っていう大門峠をホームコースにしてる長野エリア最速の走り屋集団。カプチーノと70スープラが相手みたい。」

 

 

祐也『70スープラとカプチーノか…、こりゃまた珍しい組み合わせだなー。まっお前の方もなかなか珍しいが…(汗)。だがダウンヒルは間違いなくカプチーノだなこりゃ…、初戦からなかなかの強敵だな…(汗)。』

 

 

友奈「そうなんだよねぇー、一度そのカプチーノ会ったことのある秋風ちゃんにどんな感じが聞いたんだけど車もいいしドライバーもなかなかの腕だって。」

 

 

祐也『まあカプチーノって軽自動車だが軽スポーツカーの分類になるから弄り方やドライバーのテクニック次第では化けるだろうよ。例えるなら友奈とハチロクみたいな感じってところかー。』

 

 

友奈「私とハチロクの感じ……、それならコーナー勝負もけっこう怪しくなりそう…。」

 

 

 

話を聞いていて祐也に自分とハチロクの感じのようなテクニックを文乃が持ってるんじゃないかと指摘され、少し不安そうな表情を友奈は浮かべていた。自分が得意としているコーナー勝負、それがもしかしたら通じないバトルになるのではないか…。そんなことを考えていると電話越しに感じ取ったのか祐也が安心させるように励ます。

 

 

 

祐也『大丈夫だよ、お前とハチロクなら行けるさ。長いこと側にいたからこそ分かるんだ。』

 

 

友奈「祐也……。」

 

 

祐也『俺だけじゃないさ、きっとお前のお母さんも羽南だって同じ回答をすると思うぜ?』

 

 

友奈「ふふ…♪そうだね…♪いつまでも不安になるわけにはいかないし、私頑張るよ…!」

 

 

祐也『お前はその明るさが一番お似合いだぜ♪それじゃ今日は頑張れよ…!初めての遠征バトル…!!見に行けないのが残念だが…(汗)。』

 

 

友奈「そればっかりは仕方ないよー。でもその分いい報告を楽しみにしててね♪」

 

 

祐也『あぁ♪楽しみにしてるぜ♪それじゃ…!(ピッ)』

 

 

友奈「ふぅ…よし…!!(パチン)チームのためにも…祐也にいい報告が出来るように頑張ろっと…!!」

 

 

 

 

電話を終えて携帯をポケットにしまった友奈は両手の甲で頬を軽く叩いて気合いを入れながら今夜のバトルに向けてのセッティングのために近くに止めてある自分の愛車に戻っていくのであった。

 

 

 






EP27 アクセルワークの達人
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