啓介とのバトルで友奈はどんな走りを見せるのか!?
啓介「結城友奈か‥覚えておくぜ‥、その名前。そんじゃ、そろそろおっぱじめるか‥」
友奈「はい‥!」
史浩「よぉし!車を並べてくれ!」
赤城レッドサンズの外報部長である史浩が大きな声で指示を出す。それに従って啓介と友奈なスタートラインに車を並べて止める。それを確認してから史浩は2台の前に立つ。
啓介「‥(ふっ‥見ておけよ‥。これが俺の実力だということをな‥!)」
史浩「それじゃカウント行くぞ!!
スタート5秒前!!
4!!
3!!
2!!
1!!
GO!!!」
史浩のスタート合図とともに、激しくホイルスピンし弾かれたように2台は走り出す。
「いよいよ始まったぞ!」
「スタートダッシュは互角か‥!!」
スタート地点から少し先の沿道からギャラリーが見る中
、赤城のダウンヒルへと疾走していく。
「というかハチロクってあんなに速かったか!?」
「そもそもスタートダッシュからこの直線でFDと互角の加速力を見せてる時点で普通のハチロクじゃねぇ!?」
ーくそ‥!やはりこのハチロクは普通じゃねぇ!加速でFDと互角なんてありえねぇ話だぞ!ー
並走しているハチロクを見つつ啓介は驚きの表情を浮かべている。そもそも通常のハチロクならこの時点でかなり後方に引き剥がされる。だが知っての通り友奈のハチロクは普通ではない。こうやって並走できているのもレースエンジンがあってのものだ。
ー上等だ‥!このハチロクをぶち抜いてバックミラーから消してやる!!ー
そんな啓介の思いとともに並走した状態のまま第1コーナー(カーブNo.68)へと差し掛かる。
「こちら第1コーナー!!先程と変わらず!!2台とも並走してます!!」
「ひぇ〜!互いに譲らないっていうのが表れてるぜ!!」
「FDがインを抑えてるのに並走状態をキープしてやがる!なかなかやるぜあのハチロク!!」
怒涛のスピードで走り抜ける2台をみつつ興奮が収まらないギャラリー。
ー前よりも速くなってる‥、あれから走り込んだねー
隣を走っているFDをみつつあれから腕をあげた啓介に感心の表情を浮かべる友奈。互いに譲らない状態のまま複合ヘアピンカーブのNo.67を通過。
「こちら複合ヘアピンカーブのNo.66!!今だ並走状態です!!」
「ここから先は2台並走で曲がるのはなかなかキツイ!!どっちが頭を押さえる!?」
ギャラリーや観客が見守る中、2台ともほぼ同時にフルブレーキング。3速から2速に叩き込んでステアリングを切る。コーナー入口から並んだ状態で派手なドリフトをしつつNo.65に差し掛かる。
「やはりインにいるFDが有利か!!」
「啓介さんがジワジワ前に出てる!!」
だが同じタイミングでも最短距離を疾走するFDのほうが有利というのも事実。ハチロクを抑えてジワジワと前に躍り出ていく。コーナーを脱出するときにはFDが先頭に、それに続く形でハチロクが差し掛かる。
「よっしゃ!啓介さんが前に出た!!」
「これは勝ったのも同然だ!!」
啓介が頭を抑えたことに歓声をあげるギャラリー、コーナーの立ち上がりもガードレール5センチほどしか開けずに脱出するFD
「ひゅ〜!流石啓介さん!!」
「やっぱり本気の走りは見物だよな‥!」
華麗な立ち上がりをみつつ興奮を隠せないギャラリー、
だがハチロクはそれ以上ガードレールに詰め寄る形で立ち上がる。
「なんだ‥ありゃ‥!?」
「啓介さんより詰めてやがる‥!?地元の走り屋でもあそこまでしねぇぞ‥!」
「下手すりゃ涼介さんより攻めてるんじゃねぇか‥!?」
「だが‥全体的に滑らかだったな‥、それに‥」
「あのスキール音‥まるで歌姫みてぇだ‥」
友奈の走りになにか惹かれるものがあったのか、しばらくギャラリー達は2台が走り去った先を見つめていたのであった。
史浩「そうか、わかった」ピッ
賢太「どうですか?」
史浩「65コーナーで啓介が前に出たそうだ。後ろにぴったり張り付かれてるが確実にこっちが有利になってる」
賢太「よっしゃ!流石啓介さん!!レッドサンズの真の実力を見せつけてくれる‥!!」
涼介「喜ぶのはまだ早いぞ、奴の実力はそんなものじゃないはずだ。」
史浩の報告を聞いて軽くガッツポーズをあげる賢太だったが涼介にたしなめられる。
史浩「どうゆう意味だ?涼介」
涼介「お前もわかっているんじゃないのか?あのハチロクは普通のハチロクではないということを‥、松本、メカニックとしてあのハチロクはどう見えた?」
松本「私としては、やはりあのハチロクは普通ではないです‥。啓介さんのFDは265馬力もあり、あのハチロクはターボもついてなさそうですし仮に市販エンジンだとするとそれでFDと同じ加速力があるとは考えられないですね‥」
赤城レッドサンズのチームメカニックである松本修一が涼介の問いに対して的確に答える。
涼介「そうだ、あのハチロクのエンジンは普通ではない。それに言っていただろう?彼女が赤城の歌姫だと‥」
史浩「‥まさか‥」
涼介「あぁ、仮に昔猛威を振るっていた赤城の歌姫と同じ車ならあのハチロクの中身は化け物性能だろうな」
史浩「だから啓介と互角の加速力を叩き出したのか‥」
賢太「つまりまだもつれるってことですか‥?」
涼介「確実にな‥」
「こちら50コーナー!!ハチロクがぴったりFDに張り付いています!!」
「ひゃーッ!?ぶつかりそうなぐらい張り付いてやがる‥!!」
ギャラリーが見守る中2台は怒涛のコーナリングを見せつつ通過していく。
ーくそ!振り切れねぇ‥!!どうなってやがる‥!?ー
ステアリングを操りつつバックミラーでハチロクをみつつ焦りの表情を見せている啓介。今までにないようなめいいっぱいの速度で走っているのに振り切るどころか徐々に距離を詰めてくる。
ーこの感触‥秋名のハチロクのときにも感じたぞ‥。セカンダリータービンの調子でも狂ったか!?ー
ー速い‥けど‥ついていけない訳じゃない‥ー
啓介の走りを見つつステアリング操作を器用にこなす友奈。昔からこの赤城峠は走り込んでおり、コースのビジョンは完璧に叩き込まれていた。
ーコーナーではしっかしインを締めてる‥。どこで仕掛けよう‥いや‥、これなら‥ー
今から遡ること5年前、友奈がまだ中学二年生の頃
春香「友奈〜?質問いいかしら?」
友奈「ん〜?何〜、母さん?」
この日の夜遅くもハチロクは赤城の峠を疾走している。その車内ではステアリングを握る友奈に春香が質問を繰り出す。
春香「峠のダウンヒルだと基本コーナー勝負が大事っていうのは知ってるわよね?」
友奈「うん〜。いくらダウンヒルだからってストレートはパワーある車の方が有利だからね〜」
春香「そうねぇ、じゃあコーナーで相手がしっかかインを詰めてた場合はどうする?」
友奈「ふぇ?うぅん‥インをしっかりか‥、立ち上がり勝負?」
春香「少し惜しいわね〜。正解はこれ」
そういって春香が指さした先には回転数を表示しているタコメーターが
友奈「タコメーターが鍵なの〜?」
春香「そうよ〜、どこの峠にも言えることなんだけど‥、ダウンヒルっていうのはコーナー間同士のストレートには中途半端な区間があるの。」
友奈「あっ、それ知ってる。その区間だとシフトアップして加速しようとしてもすぐに次のコーナーが来ちゃったりしちゃうからほとんどの人は引っ張るんだよね?」
春香「えぇ、でもこのハチロクのようなエンジンだと例外があるの。」
友奈「例外‥」
春香「このハチロクは高回転型エンジン。その意味がわかるわね?」
友奈「‥あっ!分かった!高回転型エンジンはそのぶん他の車よりも回転数が上だから踏み込めるんだ‥!」
春香「正解‥♪そう、このエンジンは他のエンジンよりも高回転に回るからそのぶん、中途半端な区間でもしっかし踏み込めるわけ‥♪それを利用してその手間のコーナーでアウトから仕掛けて中途半端なストレート区間で高回転型エンジンでぶち抜く、ってわけ」
友奈「そうなのか〜、勉強になるな〜」
そして時は戻り‥
ー確かそう母さんが言ってた‥なら‥!ー
決心した表情を浮かべた友奈。と同時にアクセルを踏み込んでさらにFDとの距離を詰める。あと少しでぶつかりそうになった直後にステアリングを右に切ってハチロクはアウト側のスペースに放り込ませる。
ーなっ!?アウトからだと‥!?ふざけんじゃねぇ!!行かすかよ!!ー
まさかのアウトから仕掛けてきたことに驚きを見けつつ更に熱くなる啓介。負けじまいと自身も加速させ、2台は並んだ状態で左コーナーに突っ込む。
「2台並んで突っ込んでくるぞ!!」
「ここで来るのか!?」
ほぼ同時にフルブレーキング、3速から2速に叩き込んでステアリングを切る。2台とも後輪をスライドさせつつ進入してくる。
「くひーッ!あのハチロク、ガードレールをものともししてねぇぜ!!リアバンパーすれっすれだ!」
「なかなかぶっ飛んでやがる!?」
ガードレールにリアバンパーが当たりそうで当たらないという微妙なコントロールを見せつつアウトを思いっ切り流す友奈。
ーこうゆうのはアウトよりイン側が有利!走り屋の常識だ!!ー
樹「きたきた!!来ましたよ!!」
その先のストレートに陣取っていた拓海達、FDとあの独特の歌姫ようなハチロクのスキール音と、上のギャラリーの声が聞こえた直後ヘッドライトの光がコーナー奥から照らされてくる。
祐也「この感じだともつれてるっぽいな‥」
拓海「あぁ‥」
直後、コーナーから飛び出すようにハチロクとFDが並んだ状態で視界に映る。
池谷「おいおいマジが!?並んでるぞ!!」
健ニ「ここで仕掛けるのか!?」
ーストレートに出れば加速はこっちが上だ!!ー
確信した啓介だったが、それは一瞬で打ち砕かれる。何故かハチロクがジワジワと前に出ていく。
ーなっ‥どうゆうことだ‥!?こっちは2速めいいっぱい使って加速してる‥!なのに‥なぜお前はそれ以上踏み込めてるんだよ!?ー
驚きを隠せない啓介を置いていくかのようにハチロクは
頭半分前に躍り出て、拓海達の目の前を通過していくのであった。
ー‥速い‥!ー
その時目の前をハチロクが通り過ぎる際何か感じたものがあったのか拓海に電撃が走る。
そのまま2台は再びフルブレーキング、右コーナーへ突っ込ませる。しかしポジションが入れ替わり、頭を取り尚可インにいたハチロクが有利になったことでFDの前に完全に出てくる。
啓介「なんだよそりゃ!!?」
思わずそう驚いて声に出した啓介。FDのロータリーエンジン音が虚しく赤城峠に響き渡るのであった‥。
麓のゴール地点
「来たぞ!!」
ゴール地点ではたくさんのギャラリーやレッドサンズ一部メンバーが2台が来るのを待っていた。スキール音が鳴ると同時にハチロクが現れる。
「ハチロクが勝った‥!!?」
「まじかよ!?」
「あの高橋啓介が負けた‥?」
そんな驚きを隠せないギャラリー達の目の前をハチロクは4AGサウンドを奏でながら通過していく。少し遅れて
FDが現れる。
「なっ!?これは‥!」
そんな中ハチロクとFDのコースレコードを測っていたレッドサンズメンバーの2人が驚きの表情を浮かべたのであった。
史浩「何!?」
同時刻、ゴール地点の報告を聞いた史浩が驚いていた反射的に視線を涼介達に向ける。
史浩「啓介が‥負けたそうだ‥」
ケンタ「啓介さんが!?」
松本「‥なるほど‥」
「「「ザワザワ‥」」」
史浩「それとあのハチロクのタイムが涼介さんの叩き出したタイムとほぼ同じらしい‥」
ケンタ「‥嘘だろ‥?」
涼介「‥‥」スタスタ
呆然としつつ騒いでいるレッドサンズメンバーを他所にFCに寄りかかって夜空を見つめる。
ーどうやら面白いハチロクがここにもいたとはな‥
これは久しぶりに楽しめそうだ‥。そして‥ー
ー決着をつけようじゃないか‥赤城の歌姫ー
友奈「ふぁぁ‥」
あのあと、そのまま家に帰ってきた友奈。眠たそうにしつつ玄関を開けて入る。すると丁度寝ようとしていたのかパジャマ姿の春香の姿が
春香「あら?おかえりなさい」
友奈「ただいま〜‥」
春香「どうだった?バトルは」
友奈「ちゃんと勝ってきたよぉ‥‥眠いから先に寝るね〜‥おやすみ‥」
そういってそのまま2階に上がっていくのであった。そんな友奈を見つつ自身は玄関から出て友奈のハチロクの元へ行く。そこには自分のR32と並ぶ形でひっそりと止まっていた。
ーふふ‥♪成長が楽しみ‥。でも、これから忙しくなりそうね‥♪ー
同時刻、観戦を終えた拓海達は帰路についていたのであった。
池谷「今日はすごいのを見れたよな‥」
健ニ「あぁ‥」
拓海と樹は祐也のエボⅣに乗っているため池谷と健ニだけ。
健ニ「まさか拓海と同じハチロク乗りで‥高橋啓介の地元赤城で勝つなんてな‥こりゃ化けるぞ‥」
池谷「‥‥」
健ニの言葉に無言で頷く池谷。そしてふと助手席の窓から夜空を静かに眺めているのであった‥。
ハチロクの高回転型エンジンの特徴を活かして圧勝した友奈。
そして高橋涼介の意味深な言葉の意味とは‥!!