雨のダウンヒルです!
レインバトル当日‥
予報どおり昼から振り始めた雨は日が落ちるに連れて徐々に激しく振り始めてきていた。
友奈「今日は激しく降るな〜‥‥」
課題を軽くしてから窓に視線を移し降りしきる雨を眺める友奈。彼女にとって雨のバトルはサーキットなどで経験はしている。だが峠でのバトルは初めて体験、少し緊張しているようだ。
友奈「受けて立った以上、悔いの無い走りをしないと‥‥」
春香「友奈〜、ご飯よ〜?」
友奈「はあい〜」
丁度春香が下から呼ぶ声が聞こえたため、筆記用具などを片付けて部屋を後にするのであった‥。
同時刻‥スタンドでは
店長「ほぉ〜、早速来たのか」
池谷「えぇ‥。んでそのバトルが今日あるみたいです。友奈ちゃんにとってあまり経験のない雨のバトルですから少し心配ですよ‥」
雨の降りしきるのをスタンド内から見つつ、雑談をしている池谷と裕一
店長「まあ雨の日のバトルっていうのはプロレーサーでもあっさりとスピンしてしまうからなぁ〜」
池谷「それに相手ときたら雨のバトルが得意なやつで‥」
店長「なるほどな〜、条件は確実に相手が有利って訳か。それでも大丈夫なんじゃないか?あの子ならFD戦の話を聞く限り行けそうな気がするが」
池谷「そうなればいいんですがねぇ‥」
暗くなり、雨でさらに視界不良になり始めてきた赤城峠
コーナーの至るところには前と同じようにギャラリー達が傘をさしつつ陣取っていた。
「まさか啓介さんが負けるなんて‥今だに信じれないぜ‥。しかも地元だぞ?」
「今回はケンタが相手だが‥、勝てるのか?」
「何いってんだ。アイツは雨のバトルが得意分野じゃねぇか。それは涼介さんや啓介さんも認めるほどだぞ?」
「相手が雨に弱ければ勝機はある‥!」
赤城山頂上
頂上にある駐車場ではいろんな走り屋の車に混じり友奈のハチロクと祐也のエボⅣが止まっていた。
祐也「今日は相手より早く来たんだな」
友奈「まあコースの下見を兼ねてたからね〜。どのへんに水たまりができてるとかの確認と路面の確認」
祐也「いけそうか?」
友奈「微妙かな〜‥、そこは全開走行してみないとわからないかも‥」
「来たぞ!!」
そんな話をしていると走り屋達が騒ぎ始める。視線をそちらに向けると見慣れたFCとFDを先頭にレッドサンズが駐車場に入ってくる。
祐也「‥お出ましだな」
友奈「うん‥!」
その中一台オレンジ色のS14を友奈は真剣な眼差しで見ていたのであった‥。
ケンタ「来てくれてありがとうな。俺は赤城レッドサンズの中村賢太だ」
友奈「結城友奈といいます‥!」
ケンタ「覚えておくぜ‥(クル)」
忠浩「よし!それじゃ車を並べてくれ!ハチロクは右側!シルビアは左だ!」
忠浩の指示を受けてそれぞれの車に乗り込む友奈とケンタ。直後2台のエンジンが始動、ゆっくりと動き出して駐車場からコースへと出る。
涼介「啓介、FCの隣に乗れ」
啓介「‥?」
涼介「モタモタしてるとスタートするぞ。特等席からヤツの走りを見せてやる」
一瞬何を言っているのかわからなかった啓介だが涼介の言うとおりに従ってFCの助手席に乗り込む。
忠浩「それじゃカウント行くぞ!!
スタート5秒前!!
4!!
3!!
2!!
1!!
GO!!」
スタート合図とともに2台は後輪を激しくホイルスピン、水しぶきを吹き上げつつ飛び出す。
涼介「行くぞ、しっかり掴まってろ」
啓介「‥ゴク」
その2台を追うかのようにFCも弾かれたように動き出して2台の背後につく。
「白のFC‥!涼介さんだ!!」
「おいおい‥!まさかいきなり赤城峠最速決定戦になるのか‥!?」
いきなり追い始めたFCを見て驚きを隠せないギャラリー達、しかしそれを置いていくかのように3台は暗闇のダウンヒルへと突っ走るのであった。
「第1コーナー!!ケンタが頭だ!それに続く形でハチロクとFC!!」
やはり雨に慣れてるぶん有利なのかスタートダッシュでケンタが前に出て1台分感覚を開ける形でハチロクが続き、それを観察するかのようにFCがギャラリー達の目の前を通過する。
「見た感じ涼介さんは高みの見物でついていってるみたいだな‥‥。間隔開けて追走しているし」
「あぁ‥そのようだな」
「それよりスタートダッシュでケンタが前に出れたのはデカい‥!!」
「啓介さんでもスタートダッシュでもつれたのに‥!やはり相手は雨に慣れていないな!」
「これならケンタに勝機はある!!」
ー相手は雨に慣れていないようだな‥。スタートダッシュで余計なホイルスピンが発生してる‥。だが‥何なんだこの雰囲気は‥有利なポジションは確保したのに‥逆に追い詰められた気分だぜ‥ー
圧倒的有利なポジション、そして天候を味方につけたケンタ。しかし何故か蛇に睨まれたカエルみたいな雰囲気を感じ取っていた。
ーあちゃー‥スタートダッシュで余計なホイルスピンやっちゃったか‥でも‥想定内‥、まずは雨に慣れることか始めよう‥ー
左コーナーが差し掛かると同時にS14が、遅れてハチロクも続きフルブレーキング。素早く3速から2速へと叩き込んでステアリングを切る。ケンタは無難なグリップで、友奈は少し抑え目のドリフトでクリアする。
涼介「見事は走りだ。雨に慣れていないはずなのに相手を魅力させるドリフト。感動ものだな」
啓介「んな呑気なこと言ってる場合じゃないぜアニキ‥。これでケンタが勝ってくれたら嬉しんだが‥、それだと俺のメンツまる潰れだぜ‥」
涼介「それは見てればわかるさ」
激しく降りしきる雨の中、水しぶきを上げつつ3台は赤城のダウンヒルを疾走している。
ケンタ「‥(乗れてる!!今日の俺は絶好調だぜ‥!このまま相手を引き剥がせば俺の勝ちだ!)」
ジワジワとハチロクを引き剥がしているのをバックミラーで見つつケンタのテンションはMAXになる。右コーナー手前でブレーキングを行い、滑りを抑えつつクリア、しっかしと立ち上がる。同じく友奈もフルブレーキングで減速、フロントバンパーをガードレールすれっすれに詰めて流す。そして立ち上がりも外側いっぱいを使い雨の日の難しさをものともしない走りを見せる。
「うひょー!見たか今の!?」
「ガードレールすれっすれだったぜ‥!!よくあんなに詰められるな!?」
「雨の走りは難しいっていうのに‥クレイジーな奴だぜ!!」
友奈の立ち上がりを見て雨で寒いというのきギャラリーは熱狂に包まれる。
ーなんだよあのコントロール‥!?ただでさえ雨の日は制御が効きにくいっていうのに‥なんであんなに寄れるんだよ‥!?ー
そんな友奈の走りは啓介にとって考えられないものであった。ふと隣に視線を涼介に移すと先程の表情とは裏腹に忙しくステアリングを動かしていた。
ーさっきとはアニキの雰囲気がまるで違う‥。赤城でもこんな表情になったことがないのに‥。まさか‥アニキが本気になったのか‥?ー
涼介の走りが本気になったのを裏付けるかのように先程に比べてハチロクの突っ込み速度が徐々に早くなって来ていた。コーナーを曲がる度に消えるように流れる。
ケンタ「‥見たか!おれは雨の走りが得意なんだ!赤城の歌姫なんてたいs‥なっ!?」
圧勝厶ードを漂わせていたケンタだったがバックミラーを照らすヘッドライトとともにハチロクがコーナーから勢いよく現れたことでその確信は打ち砕かれる。
ーなっなんでだ‥、俺は乗れてる‥。今まで以上に絶好調なのに‥なんでそこにいるんだ‥!?ー
友奈「‥(だいぶ感触が掴めてきた‥、仕掛けるのは‥この先のヘアピン!)」
そう思った友奈はアクセルを更に踏み込んでS14に完全に張り付く。ケンタも抜かせまいとアクセルを踏み込んで加速させる。
ーくそ!たがこのままの位置をキープすれば俺の勝ちだ!ー
涼介「啓介、ハチロクが抜きに行くぞ」
啓介「ハチロクが‥抜きに行く‥?」
涼介の言葉を聞いてハチロクへと意識を向ける啓介、その間にも2台はもつれつつヘアピンコーナーに差し掛かろうとしていた。シルビアのテールランプが光ると同時にハチロクは右側にライン変更、少し開いていたアウト側に滑り込ませる。
ーなっ‥!!ー
ケンタも気づいたが既に手遅れ、アウトに滑り込んだハチロクは流れるようにシルビアを抜いていく。ヘアピンコーナーの左でシルビアを抑えるようにドリフトでコーナーを過ぎる。
「すげぇ!?抜いたぞ!」
「それに雨の日でも正確すぎるコントロール‥!俺ならぶつける自身があるぜ‥!?」
「けっこう凄いんじゃねぇか‥!赤城の歌姫って!」
目の前でS14を抜いて抑えつつコーナーをすぎるハチロクを見て興奮を隠せないギャラリー達。S14を抜いたハチロクはそのまま先程のペースが嘘かのようにグイグイ離れていく。
ー‥‥完敗だぜ‥、まさかここまでの走り屋がいたとは‥ー
涼介「どうだった?特等席からのヤツの走りは」
麓の駐車場で涼介が啓介に質問する。
啓介「悔しいが、あいつの走りは桁違いだぜ‥。コントロールの難しい雨の日であそこまで攻められるなんて‥。秋名のハチロクとはまた違った驚きだぜ‥」
涼介「ふっ‥つくづくあのハチロクに興味が湧いてきたぜ‥。今度こそ決着といこうじゃないか‥赤城の歌姫」
涼介の言葉は静かだがどこか胸の底にある熱い彼を呼び起こすような雰囲気を感じ取れた‥。
雨のダウンヒルでケンタを下した友奈
そして涼介がいよいよ動き出します!!