鋼鉄の鶯   作:近藤さん

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第二話 小南桐絵

 優しく笑う子だった。

 

 誰よりも身体が弱い筈なのに、それを言い訳にして誰かを貶める事や自己憐憫に努める事もなく、ただ現実を受け入れ、言葉の一つ一つで姉を慈しんでくれた。

 

 白いシーツ、白いベッド、白い天井、白い壁、白いカーテン。真っ白な鳥籠の中で彼はいつも佇んでいた。人が来れば穏やかに迎え入れ、そうでなくとも脆弱な態度を見せず、鳥が羽を休めるように穏やかだった。

 

 己のなくてはならない半身が、微笑む。

 

 夢の中で、もう顔も身体も変わっている筈のあの子は、どう笑っているのだろう。

 

 

「あんたにいっこ聞きたい事があるわ」

 

 

 私は今、どんな顔をしているのだろう。

 

 

「桐葉って名前の子を知ってる?」

 

 

 

 

 ――――――――

 

 

 

 小南は双月を構え、目の前のゴリラのような図体のデカい近界民(ネイバー)に話しかけた。現在基地南部。突如現れた人型近界民(ネイバー)を複数の隊員で囲っている状態だ。

 黒い外套を羽織り、鉄腕を閃かせた近界民(ネイバー)はピクリと眉を寄せ、何かを確認するような目つきで小南を見た。

 

 小南の弟の事を知らない茶野隊や緑川、香取隊等の隊員は不思議そうな顔で小南を見ている。事情を知っている東は事の成り行きを見守っている。

 

「――知っているのね」

 

 目の前のゴリラ――ランバネインの反応を見て確信した小南が、返答も聞かずにドッと地を蹴って二つの双月を振りかぶった。

 

「あの子の情報を教えなさい!!」

「小南!」

「豪気な娘だ」

 

 突貫した小南に東が叫び、しかし一切速度を緩めず斧を振るう――直前に、ふっと身を屈めた。

 

炸裂弾(メテオラ)

 

 小南の背後から複数の炸裂弾(メテオラ)が飛び出し、ランバネインの周囲に撒き散らされ、次々と民家が破壊されていく。

 ランバネインの足元にも少数被弾し、煙幕となって妨害した。

 再びコネクターを使って双月同士を接続、煙幕の中、巨大な戦斧を今度こそ剛腕のまま振るった。

 その攻撃は読まれていたか、大砲ではない方の右腕で受け止め、切断した。

 

「成程。愚直に見えて、存外頭を使うな」

 

 双月を振るった直後、体勢を崩した小南に囲うように腕を回し、背中にトリガーを構えるランバネイン。

 

「小南先輩!」

 

 緑川がグラスホッパーを発動させ、踏ませた。

 パッと真横にスライドするように動き、大砲の一撃を躱した。

 

(デカいのはあんまり良くないわね)

 

 今は緑川の機転で躱せたが、トリオン効率度外視の一撃を入れるのは隙が多すぎる。シールドを容易く割ったという情報もあるし、大砲は絶対に喰らえない。二つに分割して機動力重視でちょこまかと駆け回った方がいいだろう。

 

 腕が片方なくなった隙に、緑川がグラスホッパーを使用して連撃を重ねた。一撃一撃はそう高い攻撃力ではないが、如何やらあの近界民(ネイバー)は近距離戦が不得意のようだ。スピードが高いというのもあるだろうが、上手く反撃し切れていない。

 

 緑川の対応に迫られる内に、グラスホッパーの間を縫うようにアイビスとイーグレットの狙撃が左腕に直撃した。

 ボーダートップクラスの狙撃手(スナイパー)、東と荒船だ。

 

『硬いな……。アイビス一つじゃ壊せないかもしれない』

『アイビスであれかよ。腕じゃなくて機動力(あし)狙った方がいいすか』

『そうだな。緑川、他はどうだ』

『マントが地味に硬いですねー。供給機関は流石にがっちり守ってるんで、スコーピオン単体じゃ無理かも。でも他はそうでもないです』

『大砲打たせて敵の姿勢を崩して。あたしが突っ込むわ』

 

 緑川を離脱させ、相手の出方を窺う。この中で一番破壊力が高いのは小南だ。小南の連結した双月を叩き込めば奴でも攻撃が通るだろう。

 

「なかなかどうして、厄介な集団だ」

 

 ランバネインが姿勢を低くし、その背中にキーボードのようなトリオンの光が浮かび上がった。

 

「警戒!」

 

 トリオンの弾丸が上空に飛ばされ、数瞬後、雨霰のような散弾が降った。

 ドドドッと魔光の雨が降り注ぎ、あっという間に建物が粉砕されていく。隊員はシールドを使いながら散開していく。

 一先ず半壊の建物の陰に隠れる。誰かが緊急脱出したようだ。

 

「今の誰?」

『穂刈と、茶野隊だな』

『容易く壊されたな、全防御(フルガード)しても』

 

 荒船隊から通信が、飛んでくる。遠くで潜んでいた筈の荒船隊が一名落ちたようだ。長距離且つ全防御(フルガード)を容易く砕く高威力の砲撃とは、(ブラック)トリガーも吃驚の高火力だ。

 

『どうします? 一旦他の部隊待ちますか?』

『いや、奴はここで落とす。あの近界民(ネイバー)は火力が高過ぎる。大人数で相手して全員全滅するのが最悪のパターンだ。今いるこの少数で殺すぞ』

『しかし……! 今は落ち着いてますが、奴がいつトリガーで暴れ回るか分かりません!』

 

 香取隊からの慎重な意見にも東は全く動じず、自分の意思を曲げなかった。

 

『いや、あいつは常に余力を残している状態だ。しかし小南に腕を斬られたことで、トリオンが漏れ出しているし、砲撃の威力も低くなっている。つまり短期決着をあいつも望んでいる筈だ。余力をなくし、押し潰す。さっき若村が言った通り、暴れられても困る。先程の飛行も長時間は不可能と見た。今こそ攻め時だ』

 

 東は元A級一位部隊の隊長だ。その判断を疑う者などボーダーにはいない。全員が『了解』『分かりました』と応答する。東の指示で陣形を組み出した。

 

 

 

 

(攻め込んでこなくなったな……。誘われているのか)

 

 一方、ランバネインは一気に人気がなくなった放棄されたマンションの元を歩いていた。

 

(ブラック)トリガー以外に腕が斬られるとはな……。トリオン漏れはもう治ったが、あまり長い時間は戦えまい。こうなったらいっそ暴れてやるか?)

 

 だが、玄界(ミデン)の兵がすぐ側にいてはミラのワープも警戒されるだろう。ここは慎重に動くべきか。

 ――が、ランバネインの思案を待たずに時は来る。

 一発、狙撃が放たれ、ランバネインの左腕の大砲に直撃した。

 

「仕掛けてきたな」

 

 狙撃してきた方向を見据え、ドドドドッと光束の機関銃を連射する。狙撃手らしき男は建物からアクション映画のスタントマン宛らに飛び出し、壁や柱を蹴りながら接近してきた。

 

「何のつもりだ?」

 

 帽子の男は狙撃手。それは見ればわかる。しかし、遠距離型の兵士がああも思い切って近づくのは愚策――。

 が――ランバネインからは見えなかったが――男は緑色のマントの奥に一振りの刀を隠し持っていた。

 それもその筈、その男は狙撃手(スナイパー)でありながら熟練の弧月使い、荒船哲次だ。

 

「旋空弧月」

 

 柄を握り、シールドで守りながら身を捻り、薄汚れた鈍色の壁に着地、そして一気に跳び出し、弧月を振るった。

 拡張された斬撃がビシッとシールドに直撃した。

 

「射撃兵が刃を振るうとはな!」

「チッ……。まあ俺の役目は終わった」

 

 しかし外套にフジツボのように浮かび上がった銃弾が無数に打ち出され、今度こそ荒船は緊急脱出した。

 近距離も遠距離も対応できる兵か。成程、一人ずつならば問題なく倒せるという認識は変えなければならないらしい。一人一人が優秀且つ非凡の猛者だ。

 

「となると、次に来るのは誰だ!?」

 

 瞬間、何時の間にか。

 紫色の服を着た青年二人が、ランバネインを挟むような陣形ですぐ近くにいた

 

「!!」

 

 いつ、どうやって――。一瞬、思考が鈍る。先程の男と同じ刀を持った青年、三浦は僅かに顔に恐怖と緊張を漂わせながらも、弧月を構えた。もう片方の若村も同様、畏怖は隠しきれていない。

 三浦は強張る身体を引き締め、刀身を鞘走らせる。

 

「……ッ!!」

 

 震える手を叱咤し、右方の三浦が弧月を振り下ろす。

 同時、左方にいた若村が突撃銃(アサルトライフル)で威力と弾速に振った弾丸を連射する。トリオン能力に差があり、矢張りシールドと妙なマントで防がれた。

 ランバネインが三浦の方へ一つシールドを備える。刀身は一つ。一枚で問題ないだろうという判断だ。

 

「幻踊弧月」

 

 白刃がシールドに触れる、その時、ぐねっと刃が歪んだ。

 驚愕するランバネインを放置し、シールドを躱した刀身がランバネインの巨躯に切痕をつけた。

 燦然と輝く光束の球弾が、いくつも放たれ、しかし四人分の全防御(フルガード)が二人を守った。グラスホッパーで即座に離脱させた。

 

「合わせなさいよ、中学生天才攻撃手(アタッカー)クン」

「合わせてあげるよ、ヨーコ先輩」

 

 爆風に紛れ、正面から疾駆する二人の若き俊傑。どちらもグラスホッパーを用いて短時間での瞬間移動を可能としている。

 シールドも間に合わぬ速度。刹那、二人の軌跡が交差し、三浦が切りつけた切痕に×の字を刻み込んだ。

 

「ぬうっ……!」

「もういっちょ!」

「鈍すぎんのよ」

 

 スコーピオンを片手に、グラスホッパーを片手に、パパパッと乱反射(ピンボール)を使用して俊足の斬撃を網目のように重ね合わせる。

 シールドも幾つも張られ、スコーピオンも簡単に壊されるが、そんなものは計算内だ。すぐさま新しく組成して連撃の手を緩めない。

 

(おいおい、連携なんて二人とも今日が初めてだろ)

 

 味方ながら、控えていた東はひっそり俊才に恐れを抱いた。完璧な連携、敵に有無を言わせぬ波状攻撃。あれほど密接していればお互いの邪魔にならないだけでも一苦労だ。それを初見の相手と一発で合わせるなど、並大抵ではない。

 しかし、人型近界民(ネイバー)も伊達ではない。 

 

「――それは一度見たぞ」

「うっ!?」 

 

 攻撃の瞬間、ガッと香取を足で踏み付け、完全に地面に固定する。

 

「まずはお前からだ」

 

 大砲にキィィィと光が収束し、発射準備が完了する。

 

「ヨーコ先輩!」

「来んな!」

 

 すると、後方から腕を斬り落とした斧使いがランバネインに向かって駆けていた。

 小南だ。 

 

「そう来るだろうな」

 

 ランバネインはそれがわかっていたか、大砲の集光を小南へと即座に切り替えた。

 一方、小南は小さな双斧を見せつけるように刃を後ろに控えながら接続して巨大化させる。

 完全な攻撃態勢。

 

「――今だ」 

 

 その時、東の号令がかけられた。

 二つの発射炎が閃いた。しれっと遠方に待機していた半崎のイーグレットと、荒船とは逆方向に鎮座していた東のアイビスによる射撃だ。

 二人の狙撃手(スナイパー)の精密射撃は――ランバネインの『雷の羽(ケリードーン)』の今まさに射出されそうになっていた、トリオンの集光に直撃した。

 

「なっ――」

 

 耳を劈くような爆発音。暴発により、大爆発が起きたのだ。

 一瞬、大砲の機能が停止する。

 小南はぐっと踏み込んで、巨大な戦斧を振りかぶった。

 

「くたばれ」

 

 シールドを張る間もなく、ランバネインはザッと真っ二つに斬り裂かれた。

 

(そうか、大砲から意識を反らす為の波状攻撃だったのか……!)

 

 狙いはあくまで本体。実際そうだったのだが、過程が違った。

 本体に攻撃し続ける事で、大砲は無視しているという意識を植え付けた。その上で、トリガーのトリオンを暴発させ、トリオン体を真っ二つにした。

 

「見事……。俺が四人足らずしか仕留められんとは……」

 

 トリオン体が解除され、生身のまま堂々と寝そべっている。

 トリガーなくしては全裸も同然だ。抵抗はもうやめたらしい。

 小南が、ズガッと双月を頭部の近くの地面に突き刺す。

 

「最初の話に戻るわよ。――桐葉の情報を、教えろ」

 

 自分よりも一回り小柄な少女に、思わずピリリとした感覚が肌に刺さる。それは、周りの隊員も同じだ。

 

「……キリハか」

「知ってるんでしょ? とっとと教えなさい!」

「ああ、そうだな。俺は敗北した身だ。素直に――」

 

「余計なことは喋らないで、ランバネイン」

 

 諫めるような静止の声が入った。女の声だ。

 ぶんっと黒い穴が浮かび、小柄な女性が(ブラック)トリガーを持っていた。

 

(ワープ!?)

 

 まさかあのトリガーで移動をしていたのか。だとすると突然出現したのも頷ける。

 

「ふむ、すまんな。キリハの姉上よ。気になるなら直接会って確かめてみるといい」

「待てッ」

 

 双月を振るうが、その前にワープホールが消えて空振った。

 完全に反応が消滅し、その場から消え去った。

 どんっと地団駄というには強すぎる力で地面を踏み付ける、というか抉る。

 

「アイツら……!!」

「落ち着け、小南。今は近界民(ネイバー)を退けただけで十分だ」

「…………」

 

 目上の東から言う事なので、強く歯軋りしてるだけで耐えた。ここにいたのが烏丸や迅だったのならば、大して聞かなかっただろう。

 桐葉を知らない隊員は何か訊きたそうな顔だったが、余りにも小南の雰囲気が剣呑としており、他を寄せ付けない態度だったので、何も言えなかった。

 

「桐葉っ……」

 

 

 

 ――――――――

 

 

 

「ミラ」

 

 桐葉がとある少女を視認して、ワープトリガー持ちのミラに声をかける。

 

『なに?』

「見つけたよ。――『金の雛鳥』」

『!』

「トリオンデカすぎ。ヴィザ翁よりあるかも」

『……! 直ぐに確認するわ。貴方は足止めをしなさい』

「了解」

 

 建物の角からバッとマントを翻して飛び出し、刹那の内に青い服を着た少年と金の雛鳥の前まで音もなく着地した。

 

「人型近界民(ネイバー)!?」

「そうだよ」

 

 眼鏡をかけた如何にも真面目そうな少年が金の雛鳥の手を大切そうに握っている。二人とも明らかに怯えたような表情だが、少年は如何やらやる気のようだ。

 

「眼鏡の人……」

「……? 何だ」

「トリオンが随分低いみたいだね。それで戦えるの?」

「!?」

 

 少年、修は唖然と驚愕した。確かに修のトリオンは低い。アステロイド等のトリオンキューブを使えば、確かにトリオン能力は大体バレる。しかしボーダーでもない人間に何故トリオン量が見抜けた。

 

「修くん。あの人……何だか小南先輩に似てる気がする」

「…………確かに、少し似てる気がするな」

 

 トリオン能力が見抜かれた時は背筋が凍ったが、彼の中性的な顔で、やや緊張感が抜ける。千佳の言う通り、顔立ちが似てる気もする。

 

「二人は――、!」

 

 桐葉が何か言おうとする瞬間、バッと慌てたように後方を振り向いた。そこには、白い上着を着たリーゼントの長身の男が拳銃を構えていた。

 

「いい距離だ」

 

 すぐさま羽を背中に回すが、僅かに間に合わない。ドドドドドドと連射された弾丸は羽を次々攻撃する。

 

「…………っ!」

 

 予想以上に威力が高い。ここは離脱だ。

 近くの屋根に飛び移ると、今度は狙撃と無数の弾丸が飛んできた。しかしこれは特に難なく躱す。

 

(! あの近界民(ネイバー)、攻撃を予測しているのか? 余りにも対応が速すぎる)

 

 迅の予知の様なものだろうか? いや、それなら最初から此処に来ても可笑しくない。だとすると、そんな都合のいいものではない筈だ。

 自分は先程トリオン能力を見抜かれた。――となると、奴は。

 

『三雲、雨取と共に下がらせろ』

「! 風間さん」

『口に出すな』

 

 内部通信でA級三位部隊風間隊隊長、風間蒼也から声が届く。隠密(カメレオン)トリガーで潜んでいるらしい。

 しかし、それを聞いて修は小柄な少年の方と、レーダーを確認した。カメレオンはバッグワームではないので、レーダーには映る。

 一瞬、一瞬――彼はレーダーで反応している菊地原の方向へ目線を向けた。

 

「!! 駄目です、風間さん!!」

 

 馬鹿が、と菊地原の声が響いた気がした。しかし、それでも修は叫んだ。

 

 

「そいつは……()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

 

 

「!!」

 

 

 修が叫んだ時、まるで色のない顔をしていた小南似の少年が、動揺したように目を見開き、今まで侮っていた修の方へと目を向けた。

 その反応を見て、風間隊は全員殆ど同時にカメレオンを解除し、

 

「上だ!」

 

 風間の警報で、上空から飛来した鋭い剣の羽から、弓場隊共々全防御(フルガード)しつつ、回避した。

 近界民(ネイバー)は眉を寄せて少し意外そうに修を見る。如何やらカメレオンで見えない振りをして、さっきの羽で仕留めるつもりだったようだ。

 何とか間に合った、と修は一息吐く。

 

「トリオンを直接感知しているって事か。あのままだったらシールドが間に合わなかったな……」

「奴は一度もこちらを見ていなかった。つまり目以外でも感知できるようだ。あの近界民(ネイバー)は狡猾な面もあるようだな」

「ったく、気付いてたならもっと早く言いなよ。僕たちが緊急脱出(ベイルアウト)したらキミが代わりに戦ってくれるわけ?」

「ごめんなさい……」

 

 戦略的に撤退し、修の近くまで退いた歌川と風間が冷静にサイドエフェクトを分析した。菊地原は相変わらず憎まれ口を叩いて修に冷や汗をかかせている。

 

 千佳の所へ態々奇襲もせず姿を現した事、トリオン能力の低さを見抜かれた事、トリガーの攻撃に逸早く反応していた事、様々な事象が重なって確認できた。

 

「いや、奴のサイドエフェクトが戦闘前に発覚したのは大きい。よくやった、三雲」

「あ、ありがとうございます」

 

 風間は三雲を賞賛した後、同じく退いていた弓場隊隊長、弓場拓磨へと声をかけた。

 

「弓場隊、お前等は三雲と雨取のお守りだ。本部まで共に避難しろ」

「ッシャァッス! 風間さん!!」

 

 弓場が余りにも大声で叫ぶので、修と千佳はびくっと身体を震わせた。見た目も相俟って威圧感が強い人だ。 

 

「お願いします、弓場さん」

「風間さんの頼みだァ、俺らがやられても走り続けろ、三雲ォ、雨取ィ」

「はい!」

「帯島ァ、お前ェからも何か言え!」

 

 背の低い少女が修と千佳の隣に張り付く。

 

「帯島ッス! 命懸けでお守りします!!」

「お願いします、帯島さん」

(あれ、この人自分のことさん付けで……?)

 

 帯島は修の言い方に少し引っ掛かりを覚えたが、今は関係ないと無視した。

 弓場と帯島が両隣を挟む形で走り出す。このまま本部まで直行だ。

 

「…………それは困る」

 

 が、今まで微動だにしなかった少年がダンッと跳んだ。

 黒いブーツを纏った脚をその場でヒュッと下から上へと振るった。

 風間が再びシールドで全防御する。見えにくいが、脛の部分から鎌鼬のような疾風の刃が飛んでくるのがわかった。

 しかし、今度は容易く割られ、瞬時にバッとその場から離脱して躱した。

 攻撃したのは、羽ではなく黒いブーツ。僅かに隙間が空いており、そこから斬撃を出したのだとわかった。

 

「……簡単には、隠し玉を切ってこないか」

 

 風間は両手にスコーピオンを装備し、自分と同じくらいの身長の少年へと襲い掛かった。

 

 

 

 ──────

 

 

 

『並列処理実行中』

 

『戦闘体設定変更。スリープモードへ移行』

 

『自律活動開始まで、残り一時間四十分』




小南 全力でお姉ちゃんを遂行する!!

ランバネイン 作者の力不足で何かあっさりやられた気がするゴリラ。

三浦 何気にいい活躍。そう言えばこいつ幻踊入れてたな、よし使おうってなった。

修 その眼鏡で桐葉のサイドエフェクトと帯島の性別を見抜いた。本当はもうちょい後にするつもりだったけど、メガネが未来を変えた。

桐葉 サイドエフェクトを見抜かれた。何だこのメガネって思ってる。

風間 桐葉に同い年ぐらいだと思われている事をまだ知らない21歳児。関係ないが作者は風間隊推し。
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