セーラームーン×モンスターハンター 月の兎は狩人となりて   作:Misma

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決戦前夜。


古傷という名の鎖①

 

 砂原の天気は、今日も快晴だった。

 砂漠地帯を見下ろせる高い崖の上に、デス・バスターズの幹部ユージアルは腰を下ろしていた。

 彼女1人だけだったそこに、どこからかヒールの音が響く。

 

「お待たせしました、センパ~イ! これ、頼まれてたものです~」

「それはどうも。こちとら、あんたとはほんっとーに心の底から会いたくなかったけどね」

 

 背後から声をかけたのは、もう1人の幹部ミメットである。

 彼女は愛想よく、資料らしき書類と小さな袋を差し出した。

 一方それを後ろから渡されるユージアルは、その後輩と目を合わせようとしないどころか、不機嫌そうにぴくぴくと頬を引きつらせている。

 

「まぁまぁ、前世のことは水に流しましょうよセンパーイ」

 

 ミメットは一向に動じず、ユージアルの隣にどかりと腰を下ろす。

 先輩であるユージアルが表情を変える気配はない。

 

 その先に見えるのはだだっ広い砂漠地帯だ。

 そこに、自然物としては明らかに不自然な、地中から噴き出す砂塵が見える。

 

「センパイも不思議な人ですねぇ。どうせうちのゴア・マガラちゃんを育てきればセーラー戦士なんか一網打尽にできるのに、因縁の相手専用に妖魔を育ててたなんて」

「少しでもセーラー戦士を減らすに越したことはないわ。……あの子もどうせあんたんとこの養分になるんだから、無駄にはならないじゃない」

「もう、ユージアル先輩ったらそんな言い方ないじゃないですか~~。ひっどぉ~~い」

 

 あざとくぷくっと顔を膨らませるミメット。

 ぶちん、とユージアルの中で何かが弾けた。

 彼女は怒りを露わにして立ちあがると、ミメットを睨み、指差して一気に距離を詰める。

 

「ひどいのはあんたの方でしょう!? こっちは知ってんのよ! あんたが私にも教授にも無断で、妖魔を予定よりずっと早く覚醒させたこと!!」

「それは一刻でも早くうちの子を育てて、『お兄ちゃん』に復讐させてあげようと思っただけですーっ」

 

 これにもミメットはぶんぶんと腕を振って自分は悪くないと主張した。

 如何にもぶりっ子ぶった態度が、余計に生真面目なユージアルの神経を逆なでする。

 

「そのせいでこっちは火山で出くわして追いかけ回されたのよ!? もしあれがこっちの動きに反応して『金の竜』になったりでもしたら……!」

 

 油を注がれた炎のごとくますますいきり立つユージアル。

 

「そういえばあたしも、知ってることありました」

 

 それをミメットは軽く躱しつつ、すっくと立ち上がった。

 何事かと眉を顰めたユージアルの耳元に、ミメットは顔を近づける。

 

 

「センパイがせっかく生み出した妖魔ちゃんたち、あちこちで殺されてるみたいですねぇ。この世界の『英雄さん』たちに」

 

 

 ユージアルの表情が一瞬で凍り付き、身体が後ろへ傾く。

 相変わらず、ミメットは満面の笑みを浮かべている。

 

「あんた、どこでそれを……!」

「これをみんなに知られたら、ノルマ達成できないって怒られちゃうかも知れませんねぇ。いや、それどころじゃ済まないかも」

「や、やめ……!!」

 

 ミメットは、手元に報告書のようなものをぶら下げた。恐らく、そこに証拠が握られているのだろう。

 ユージアルは慌ててミメットを掴まえようとしたが、彼女は身軽にそれを避けて後ろに積みあがった岩の上に立つ。

 

「でもぉ、あたし、()()()()()()()()()()()()センパイのことは心から尊敬してますから。センパイが悪いことしない限り、見逃してあげます」

 

 完全に立場逆転である。

 かつての後輩は、岩の上からユージアルを見下している。

 いたずらっぽく人差し指を唇の前に持ってきている小悪魔の瞳は、如何にも愉快そうに笑っている。

 

 それに対し、ユージアルはぎりりと歯ぎしりして臍を噛むのみ。

 実際、ゴア・マガラの管理を任せられたミメットの方がセルレギオス担当の彼女よりも位が上だった。

 デス・バスターズ、それに属するウィッチーズ5は対セーラー戦士組織ではあるが、彼女たちと違うのは役職という形で明確に上下関係が分けられている点だ。それに逆らうことは許されない。

 

「じゃじゃ、ライバルとの決闘頑張ってくださいね~」

 

 相変わらずの愛想のよい顔で手を振り、ミメットは消えた。

 後に残されたユージアルは1人、耐えるように両拳を握り締めていた。

 

「……絶対に見返してやる」

 

 かっと目を見開く。

 そのまま、ミメットから渡された袋も、書類も下の岩地に思い切り叩きつける。

 砂にまみれるのも構わず、書類を感情の赴くまま何度も踏みつける。

 

「セーラー戦士どもも! ミメットも! カオリナイトもビリユイもテルルもシプリンもどいつもこいつもっっ!!」

 

 彼女は怒り狂い、叫んで終いには砂を蹴り飛ばす。

 それからしばらく、荒くなった息を整える。

 ユージアルの周りは、外も内も敵ばかりだった。

 

「泥水啜ってでも、お前らを引きずり下ろしてやる!」

 

 袋をこじ開け、その中にある耳栓を取りつける。

 手荒いながらもしっかりと装着したことを確認すると、彼女は先ほどミメットが見ていた砂漠地帯を見下した。

 

「出てきなさい!!」

 

 直後、地中から砂塵巻き上げ、何者かの影が蒸気の中に姿を現す。

 ゆっくりとユージアルを見上げた奥に光る、赤い光。

 殺気と狂気を湛えた視線に、ユージアルは一瞬びくつく。

 だが耳栓がしっかり耳をガードしていることを確認すると、途端、彼女は強気に叫んだ。

 

「はいはい草食系くん、いま咆えたって無意味。それはお前の宿敵のために取っておきなさい」

 

 彼女は、時にこの生物の視線に一瞬肝が冷えることがあった。まるでこちらを観察して探るような冷たさだ。

 そのせいかは不明だが、ユージアルはこの飛竜に食性からヒントを得てあだ名を付けていた。そのひ弱な名前の響きで、彼女は自分を安心させていたのだ。

 彼女は余裕の表情を作り、そのまま谷を越えた先にあるもう一つの砂漠地帯を鋭く指さす。

 

「お昼ご飯の時間よ。早く行っておいで!!」

 

 ユージアルの指示にそれは素直に従い、再び砂を掻き分けて潜り地中を突き進んでいった。

 それを見送る彼女の表情は、いつの間にか軽くなっていた。

 唯一この時だけが、『何かが自分の思い通りになる』時間だったからだ。

 

 今回は、雪山から持ち帰った最新型の妖魔化ウイルスを感染させている。

 これまでよりもより強力に、なおかつ従順に。

 決して、反旗を翻すことなどあり得なかった。

 

──

 

 彼女の怨嗟は形を変え、海を越えてある2人のセーラー戦士の元に届いていた。

 以下が、その内容である。

 

~~~

 

 私の永久の敵、天王はるかと海王みちるへ

 

 驚いた? 前世では世話になったわね。今頃、妖魔たちがいきなり現れて狼狽えてる頃かしら?

 1週間後の正午、砂原のエリア8にて私の妖魔と決闘なさい。

 もしこれに応じなければ、お前たちのいるちっぽけな村を妖魔の群れに踏み潰させてやる。

 決して脅しなんかじゃない、今回は本気よ。

 妙なことは考えずお前たち2人だけで来るの。

 当日は楽しみにしているわ。

 

 デス・バスターズ幹部 ユージアル

 

~~~

 

「これは……果たし状ってやつじゃ」

「な、なになにー!? 何が書いてあるんですかーっ!?」

「「……あ」」

 

 うさぎたちが読み終わった時、アイシャが覗こうと背伸びをしていることに彼女たちはやっと気づいた。

 彼女が手紙の内容を知ったら、大騒ぎになることはほぼ確実である。

 

「なな何でもないです、どうやら前にあたしたちから出した手紙が今頃来たらしくってー!」

「そうそう、どうかお気になさらずー!!」

「あっ、ちょっとー!?」

 

 その場しのぎの理由をレイが叫び、亜美と一緒にアイシャを貸家の外へ押し出していく。

 一方、まことはベッドに腰を下ろしたはるかとみちるに詰め寄る。

 

「こんな脅しに従ってやる必要なんてない! はるかさん、あたしたちも一緒に砂原へ行きます!」

「そうよ! 残りのメンバーがモガ村を護れば万事解決よ!」

 

 美奈子も揃って拳を握ってやる気十分ではあった。

 

「では、天空山はどうするの? 先ほどそこに行くと決めたばかりではなくって?」

「あ……うーん……」

 

 みちるに筆頭リーダーからの手紙を目の前に示されると、2人の勢いはすぐ衰えてしまった。

 前者を優先すればデス・バスターズの企みが達成され、後者を優先すればモガ村が壊されるかもしれない。つまりはどちらを選んでも犠牲が生まれる可能性がある。

 まさにセーラー戦士たちにとって究極の選択である。

 

「はるかさんとみちるさんは、どうしたいの?」

「私はもう心に決めてるわ。はるかは……」

 

 うさぎが呼びかけると、ベッドに腰かけたみちるは隣にいる相方の横顔を見つめた。

 一見男性とも見紛うほど鋭い顔つきをした女性は、床を見つめて沈黙を保ったままだった。

 彼女は苦悩の表情でうさぎの顔を見上げた。

 

「……ちょっとしばらくの間、2人っきりにしてくれないか」

 

──

 

「……なんで迷ってるんだ」

 

 貸家のなか、はるかは責めるように言い募る。

 隣に座るみちるにではなく、自分に対してだ。

 

「デス・バスターズを討つのが僕らの果たすべき使命だろう。一刻も早くプリンセスと共に天空山に向かうべきじゃないか……だというのに、僕は縁がない村の心配を……!」

「『縁が無い』だなんて、流石に言いすぎよ」

 

 はるかは顔を上げて、みちるを見る。

 

「……て、火山でうさぎに言われたわ」

 

 冗談交じりに彼女は微笑んでいたが、やがて真剣な目つきを現してくる。

 

「はるか。本当は貴女はどうしたいの」

「……前も聞いたな、その質問は。外敵を討ち、月の王国の未来を護るのが僕たちの務めだ。それ以外のことなんて、考えるべきじゃ……」

 

 はるかの口はやや面倒そうながら、本を朗読するかのようにすらすらと言葉を並べ立てた。

 みちるの落ち着いた深海色の瞳に、鋭い光が宿る。

 

「はるか!」

 

 みちるは突然背を向けると、羽織っていた布を脱ぎ捨て、その下にあった肩を曝け出した。

 流石にこれにははるかも狼狽えを見せる。

 

「な、なにをして……」

「いいから、ちゃんと見て下さる?」

 

 彼女の背から腰に向かって、薄いが切り裂かれたような痕が走っていた。

 

「……その傷は」

「ええ。貴女が初めてセーラー戦士になった日、妖魔につけられた傷よ。あの時まで普通の中学生だった貴女は、迫りくる使命から必死に逃げようとしてたわね」

 

 みちるは左腕で痕をさすった。はるかは辛そうに眉を顰める。

 白く柔い少女の素肌にあるにしてはそれはあまりに生々しく、痛々しかった。

 

「最近アイシャから聞いたのだけれど、いま、砂原で大暴れしてるモンスターがいるんですって。なんでもその子、片角が折れた個体らしいわ」

 

 はるかははっと目を見開いて身じろぎする。

 砂原。片角。

 それらの単語はすぐ、ある一つの像へと結びついた。

 かつて、無謀にも真正面から襲い掛かってきたので軽くあしらった『暴君』の姿である。

 

「まさか、そいつ……!」

「はるか。傷跡って、鎖のようなものだと思わない? たとえ痛みが無くなろうと、その記憶と因縁に縛られ続ける。そこからは決して何をしても逃れられない……私も、その子も、前のラギアクルスも、みんな同じなのよ」

 

 みちるは自身の肩を握り締めた。

 次第に、細い指に力が入り始める。

 

「私たちはこの世界に来た時、常に心掛けていればこの世界と『無関係』でいられると思った……でも、それは土台無理な話だったのだわ」

 

 みちるは布を背に被り直すと、悲壮な顔ではるかに振り直る。

 

「はるか。いまの貴女は過去の心の傷に耐えられず、使命という言葉に逃げようとしてるだけ。もう一度聞かせてちょうだい。貴女、本当はどうしたいの?」

 

 はるかは逡巡し、自身の手を見つめる。

 セーラー戦士として犠牲を厭わず戦ってきた己の手を。

 その指に、みちるはしっかりと己のそれを絡ませる。

 はるかは眉を歪ませ、みちるの肩に頭を寄せる。

 

「……今更、正義の味方になれると言うのか? 使命のために幾度も手を汚したに飽き足らず、無垢な命を葬ろうとすらした僕たちが」

 

 みちるは何も言おうとしない。ただ、はっきりとした答えを待つように相手の瞳を覗き続けている。

 しばしの沈黙のなか、床の下からさざ波の音だけが響いてくる──

 

「なーに家の中でうだうだ喋ってるッチャ!」

 

 貸家の入り口に、乱入者が現れた。

 犯人は緑のどんぐりの仮面、青の蟹爪の仮面をそれぞれ被った2人の子どもである。

 

「チャチャ、カヤンバ……」

「悩んでることあったらいつでも相談しろンバ! それがオヤブンとしての役目ンバ!!」

 

 呟いたみちるに構わず、彼らはずかずかと屋内に上がり込んでくる。

 外に待機していたうさぎたちは彼らを捕まえようと追いすがった。

 が、身軽さに優れる奇面族たちは彼女らの手をするりと躱していく。

 

「もう、あんたたちこういう時の空気くらい読みなさいよーーっ!!」

 

 ちびうさはいよいよ怒り心頭で叫び、彼らの足をひっ掴んだ。

 

「ンギャッ!?」「ンバーッ!!」

 

 奇面族たちは同時に顔面から床に激突。

 そこから、壮絶な綱引きが始まった。

 

「お前ら、邪魔するなっチャーッ!!」

「邪魔するわよー!! 2人の空間を穢すヤツはいてはならない約束なのーっ!!」

「意味わからんこと言うなンバーッ!!」

「いいんだ。通してくれ」

「……え?」

 

 何を思ったか、はるかは奇面族たちの介入を許した。

 みちるでさえその意図は分からず首を傾げている。

 

「なあ、2人とも。ある少女1人を殺せば世界が助かると言われたら、お前たちはどうする?」

 

 はるかは彼らと向かい合うと、最初にそんなことを聞く。

 みちるは驚いたようにはるかに視線を投げかける。

 

 チャチャはカヤンバとしばらく問いの意味を考えていたが──

 間もなく、ププーッと可笑しそうに噴き出した。

 

「んな状況あるわけないッチャ! 古龍とかならともかく、人間の子ども1人なんか大したことないッチャ!」

「あり得ないンバあり得ないンバ! 流石にワガハイたちを見くびり過ぎンバ!!」

「……例えばの話だ。とにかくその少女は危険だから殺さねばならないと、とある人間たちから思われていた」

 

 可笑しさのあまり床を転げまわる奇面族たちにはるかはため息をつくも、話すのを止めなかった。

 みちるも何かを察し、黙って続きを促していた。

 

「だが彼らの仲間の1人、優しく慈愛に溢れる女の子とその友たちがその子の命を救おうとした。その冷酷な仲間たちと対立してまでね」

 

 うさぎとその仲間たちは、入り口近くで中の様子を観察していた。

 

「もしかして……あたしたちの前回の戦いのこと?」

「多分、ほたるちゃんのことよね」

 

 うさぎとちびうさがひそひそ声で話し合っていると、はるかは束の間、うさぎを横目で見つめた。

 見られた彼女はその意味が分からず口を噤んだが、どうも話すのをやめてほしいわけではなさそうだった。

 

「実のところ、狙われた少女は危険な存在なんかじゃなかった。その事実が最後に分かり、彼女を信じ切った女の子は真の力を解放した少女の協力を得、世界を一緒に救った、とさ」

 

 話は短いものだったが、奇面族たちもいつの間にかはるかの話に耳を傾けていた。

 彼女は話し終えると、自身よりもずっと小さい子どもたちへその顔を近づけた。

 

 

「……その子のようなことが、僕たちにもできると思うか? お前たちの立場から聞かせてくれ」

 

 

 彼女の視線は真剣そのものであった。

 みちるも、並んで子どもたちの反応を見守っている。

 床に胡坐をかく奇面族たちはふーん、と唸り合った末、仮面の口を開いた。

 

「できるとかできないとかじゃなくって、お前ら絶対そんなキャラじゃねぇッチャ」

「ンバ。すぐそいつの頸真っ先にかっ切りにかかるタイプッンバ」

 

 さすが、子どもは正直だった。

 

「あ……あぁ、そうか」

「さすが、容赦ないわね」

 

 ほぼ即答にも近いぶった切りに、はるかとみちるは思わず苦笑を漏らす。遠くから見守るうさぎたちも、同様だ。

 

「けどなんかそいつ、前のコブン第一号によく似てるっチャ」

 

 チャチャの口から突然出てきた名に、みちるが反応する。

 

「先代の専属ハンターさんと?」

「ンバッ、ワガハイがまだモガ村にいなかった頃の話ンバ。超超でかいナバルデウスってモンスターがこの近くの海底を揺らして、この村を沈めかけたことがあったンバ」

「……ナバルデウス」

 

 はるかたちにとっては何回か聞いたことのある名であった。

 モガ村の人々がたまに、「ナバルデウスの時は~」などと言い合うのを耳にしていたのだ。

 チャチャも胡坐から立ち上がって杖を掲げ、その場を周るようにして説明を始めた。

 

「その時、オレチャマたちは村丸ごとギルドから立ち退かされそうになったっチャ。普通考えれば、ビビり散らかして素直に村を捨てるのが道理ッチャ」

 

 チャチャはここぞとばかりにはるかたちの前にしゃしゃり出ていた。彼にとっても印象深い出来事らしいが、一方のカヤンバは肘をついてつまんなそうにしている。 

 

「しかーし! コブンはあろうことか、そいつに立ち向かうって言いだしたのッチャ! とんだ大馬鹿者ッチャ!」

「でもいまこの村があるということは、そのモンスターを退けすべてを護ったのね?」

 

 みちるがそう聞くと、チャチャが仮面越しでも機嫌良さそうににやりと笑ったのが分かった。

 

「フフン、それもオレチャマの協力あってこそのものだがなっチャ〜〜♪」

 

 チャチャが自慢げに胸を張っていると、カヤンバはけっ、と面白くなさそうに舌打ちした。

 

「ま、ハルカがそのさっき話したヤツと同じになれるかはともかく。少なくともお前らがコブン第一号に劣らぬ力を持ってることは、このオレチャマが保証してやるッチャ!」

「……」

 

 はるかがチャチャの言葉を受けしばらく何かを考えていると、カヤンバは不機嫌そうながら彼女の膝を杖で叩いた。

 

「なに黙ってるンバ。チャチャのヤツは間抜けでドジでアホだけど、コブン第一号の隣でずっと狩りしてたから見る目だけは確かッンバ!」

「ブーッ!? ナチュラルに暴言挟んでくるなッチャ!!」

 

 チャチャの反論を皮切りに、子どもたちは勝手に口喧嘩を始める。

 それを眺めつつ、みちるは改めてはるかに話しかける。

 

「はるか、気は済んだ?」

「……あぁ」

 

 その時のはるかは、みちるとしっかり向き合って話せるようになっていた。

 彼女は立ち上がると、奇面族たちの背中をぽんぽんと入り口の方へ押していった。

 

「ありがとうな。さぁおチビちゃんたち、そろそろ村の手伝いをしてくるんだ。僕たちはこれから、仲間うちで色々と決めなきゃいけないからね」

 

 入り口から出された奇面族たちは、そのまま口論を続けながらモガ村の人々の間に入っていく。

 うさぎたちが貸家の中に入って来ると、はるかは決心のついた顔で彼女らの前に立った。

 

「……僕たちは果たし状に従うことにする。お団子たちはすぐシナト村に行って来るんだ」

「でも、やっぱり2人だけじゃ……」

「モガ村には我らのプリンスも、遥か未来の姫君もいることだしね。ただの脅しでないとしたら、やはりここを襲わせるわけにはいかないわ」

 

 うさぎは心配したが、みちるは首を振って譲らなかった。

 はるかは外に行き交うモガ村の人々を、目を細めて見つめた。

 

「明日の明朝に出る。この村の人たちには調査に行ったってこと以外には何も言わないでくれ。特に、あのおチビちゃんたちにはな」

 




デス・バスターズ及びウィッチーズ5は基本的に会社に似た仕組みを取っている(というか大体の悪の組織がそうか)ので、セーラー戦士と対になる存在ではあるけれどめっちゃくちゃ仲が悪く同士討ちも辞さない競争社会。下手すれば自然界よりも残酷かも…。特にミメットはその性質が良く出た人物であると思います。原作アニメでも策略によってユージアルを実質殺害した人物であり、姿は可愛らしくはあるけれど、黒さにかけてはセラムン世界でもトップなんですよね…。
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