セーラームーン×モンスターハンター 月の兎は狩人となりて   作:Misma

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太陽のもと、集う②

 望遠鏡の中に映る少女たちは、ダレン・モーランの背中で跳び回り、手中の虚空から炎やら水やら雷やらを生成して浴びせかけている。

 その光景は、この羽織袴の髭面の男に冷や汗をかかせるに十分の強烈さを伴っていた。

 

「豪山龍ダレン・モーランと峯山龍ジエン・モーランの揃い踏み……前代未聞の事態ゼヨ」

 

 妙な語尾を付けて顎に手をやった彼の表情は、非常に厳しかった。

 彼の出で立ちは見ての通り軍人とはかなりかけ離れており、年若く気力に満ちた商人風の顔である。

 

「しかも『魔女』も一緒と来ている」

 

 男は望遠鏡から目を離し、後ろにいるもう1人の若者へと振り向いた。

 彼は銀髪のオールバックの長髪に端麗な顔立ち、青い装備に双剣を身につけていた。

 

「……筆頭リーダーさん、オヌシもその見立てゼヨか」

「私もあの噂には半信半疑でしたが、こうして目の前にした以上は実在を認めねばならないでしょう」

 

 筆頭リーダーと呼ばれた男は、生真面目な表情を崩さないままダレン・モーランの背で起こる異常現象を見つめていた。

 

「船長、こういった事態は既に経験があります。『魔女』という不確定要素がある分、今回はその何倍も危険な状態です」

 

「オヌシが言うなら間違いはないゼヨ。とにかく、少しでも多く人を呼ばねば!」

 

 船長は袴とは不釣り合いな拳銃を取り出すと、団長が放ったのと同じ赤い煙を空へ撃ちだした。

 

 その時、誰かがドタドタと甲板を駆けてくる音がした。

 片手剣を背負いオレンジの髪を揺らすハンターの若者が、慌てた様子で近寄った。

 

「先輩、ほんとッスか!?噂の『魔女』がモーランたちを操ってるって!」

「真偽はわからない。とにかく、お前も船員と協力して臨戦態勢を──」

「ちんたら用意してる暇なんてないッス!今すぐにでもこの撃龍船も攻撃に加わらないと、バルバレは綺麗に真っ平らッスよ!」

 

 そう慌てる彼の額にデコピンをしたのは、すぐ隣にいた褐色肌の女性ハンターであった。彼女はライトボウガンを背負い、至極落ち着いた様子でいた。

 

「姐さん!」

「落ち着きなさいよ、ルーキー君。仮にもギルド直属のハンターでしょ?」

 

 「もうルーキーじゃないッスよ」と口を尖らせた彼の額に、女性は人差し指を突きつけた。

 

「この状況だからこそ全体を見て最善の策を探し、その策がどんなものでも実行できるよう入念に準備するの。そこまで出来てやっとルーキー卒業って思わないと、ね」

 

 女性が筆頭リーダーに視線を送ると、彼は頷いた。

 

「信号は既に送った。増援が来るまでに今のうちに装備を整えろ」

 

 ルーキーは煮え切らない表情ながらも承諾し、忙しく行き交う船員の中に飛び込んでいった。

 リーダーは船長に向き直る。

 

「船長、『魔女』への対処は如何ほどに?ダレン・モーランに攻撃しているようにも見えますが」

「しかしこの状況、恐ろしいほどにあの噂と符合するゼヨ……」

 

 闇の力でモンスターを従えた『魔女』たちが、村や街ごと人々を踏み荒らす。

 既に船長たちだけでなく世界中にその噂は広まっていた。

 確かに『魔女』はダレン・モーランに攻撃を加えているように見えるが、倒せるほどの力を出していないようだし──

 あれでわざと刺激しているか、闇の力とやらを注いでいるのかもしれない。

 

 歴史上滅多にない超巨大モンスター2体の同時出現により、船長たちの疑心は頂点に達していた。

 船長は腕を組んで数秒ほど考えていたが、目を開くと手を振りかざして叫んだ。

 

「まずは小舟の威嚇射撃により『魔女』たちによる刺激行動を止める!本艦はジエン・モーランに攻撃し、少しでもあの船から遠ざけるゼヨ!」

 

「オーーッ!!」

 

 船員たちは覚悟を決めた顔で次々と小舟に乗り、発進していった。

 

──

 

「どっひぇーっ!聞いてないわよこんなの!!」

 

 ヴィーナスは慌てて瞼への攻撃を止め、光の鎖を縮めて瞼の真上の甲殻に戻ってきた。

 

「まずいわ!100メートル級のモンスターが2体もバルバレに突っ込めば、確実に被害は拡大する!」

 

「くそっ、一体どうすりゃいいってんだ!」

 

 ジュピターが頭を抱えて嘆いた。

 いくら彼女たちと言えど、この生ける山が2つもやって来てはお手上げ状態である。

 

 その時、ダレン・モーランの左側の地面で爆発が起こり、いくつもの砂飛沫が上がった。

 最初はまた別のモンスターかと身構えた彼女たちだったが、地平線に目を凝らしたマーキュリーはそれは違うと看破した。

 

「みんな!増援が来たわ!」

「やったぁ!タイミングナイス!」

 

 思わずセーラームーンが身を乗り上げる。

 見えるだけでも、3隻ほどの撃龍船がスピードを上げてこちらに追いついてきていた。

 そのどれもが側面に立派な砲門を揃え、周りには小舟の船団を引き連れている。

 

 小舟は1、2人が乗れるほどの大きさで、後方には舵を取る船員が、前方には大型の弩『バリスタ』を操る船員がいる。

 彼らはその機動力を生かし、彼女たちがいるダレン・モーランのすぐ近くまで迫ってきた。

 その勇敢な行動に、ヴィーナスは救われたような思いで胸を撫でおろした。

 

「助かったー!これで多少はマシに……」

 

 最も先行していた小舟のバリスタから、人の背ほどはある巨大な矢が放たれた。

 第一撃が、安堵しきっていたセーラー戦士たち目掛けて飛ぶ。

 

「えっ!?」

 

 跳びあがった直後、矢はセーラームーンがいた場所の甲殻に突き刺さった。

 

「ひえーっ!!」

 

 光る矢じりを見たムーンはその場で腰を抜かし、足をばたつかせながら後ずさった。

 小舟の船団が一斉に矢を飛ばす。その攻撃に、彼女たちへの配慮などひとかけらもない。

 弾幕のように張り巡らされた矢が、甲殻に次々に突き刺さっていく。

 

「なんであたしたちにまで攻撃してきてんのよ、下手くそー!」

 

 矢の速度は彼女たちならかわすには十分なほど遅いが、これでは技を撃つ暇もない。

 マーズが眉を吊り上げ睨もうとしたが、すぐにその表情は冷めた。

 1人の──いや、あらゆる船団の男たちが、恐怖に顔を引きつらせていたのだ。

 

「みんな見事にあの噂を信じちまってんだよ」

 

 ジュピターが、悔しげに変身スティックを取り出した。

 

「こうなったらいっそ正体を明かして敵意がないって……いや、ダメだね」 

 

 たとえ正体を明かしても、結局彼らに自分は変身できる人間だとアピールするだけだろう。

 むしろ状況が悪化する未来しか見えない。

 

「もう一匹の方が近づいてきたわよ!」

 

 ヴィーナスが叫んだ。

 船を挟んで右側後方にいたジエン・モーランが速度を上げてこちらに追いついてくる。

 すると、その向こう側で並走していた船から緑の煙が高く上がった。

 その途端、バリスタの雨が止む。

 

「どしたの?ビビっちゃった?」

「多分、あたしたちに対してではないわ」

 

 甲殻の隙間に潜り込み、顔だけ出して訝しく思ったムーンにマーキュリーが答える。 

 

「挟み撃ちにされた彼らが互いに近づいたら、団長さんたちが乗ってる船がどうなるか分からないでしょう?」

 

 今や団長の船は、ダレン・モーランとジエン・モーランに至近距離で挟まれている。

 兵器を構える船員たちもその危険性をよく知っているのか、撃ちたい気持ちを堪えているような面持ちだった。

 

「でもどんどんバルバレに近づいてる、早くしないと!」

 

 マーズが指さした先、地平線上にちらほらと飛行船やら見張りのやぐらやらが見える。

 どうしようもない状況に、ムーンは半泣きで涙ぐむ。

 

「じゃーどうすりゃいいってんのよ!」

「それを今から考えるのよ!あんたもちっとはろくに使ってない脳味噌働かせなさい!」

「えっ、ちょっと今馬鹿にした!?今のは流石に聞き捨てならないわよマーズちゃーん!?」

 

 ムーンがむっとしてマーズに額をぶつけ擦り付ける。

 

「んなこと今はどーでもいいでしょうが馬鹿うさぎっ!!」

 

 それに答えるようにマーズも額を押し付け火花を散らす。

 

「ああもうっ、こんなところで喧嘩なんてしてる場合じゃないのに!!」

「どーりで人類が平和にならないわけね……」

 

 ジュピターが頭を抱えヴィーナスがため息をつく一方、マーキュリーは2人が頭をぶつけ合う様子を見つめていた。

 

「喧嘩……そうだわ!ありがとう2人とも!」

 

 唐突に彼女の口から出た言葉に、ムーンとマーズは共に頬を押し付け合いながら振り向いた。

 

「……んえ?」

 

──

 

「うわーっ!来るな来るなーっ!!」

 

 アルテミスが半べそをかきながら、大砲にルナと2匹がかりで弾を込める。

 大砲は火を噴き、右舷側のジエン・モーランに着弾する。

 だが、相手が怯む様子はない。むしろ船に目掛けて時節体当たりをかましてくる始末である。

 衛は団長に指示され、ちびうさを船内部への入り口近くで護っていた。

 応戦しているのは、団長と猫2匹のみである。

 

「とにかくこいつらをこの船にもバルバレにも近づけるな!少しでも時間稼ぎをしろ!」

 

 団長は大砲の弾を軽々と持ち上げ大砲の筒の中へと放り込む。

 そして、左舷側のダレン・モーランへと砲撃を叩き込む。

 ひたすらその繰り返しであった。

 

「くそっ、流石に両舷を分散して担当は無理があったか!」

 

 彼は、すぐ後ろにある巨大な円状の銅鑼を振り返って見上げた。

 銅鑼を叩く槌が備え付けてあり、その下にはスイッチとそれを押すためのツルハシが用意されている。

 

「右の船団が行動できない以上、あれを使いたいところだが……この状況だとタイミングをよく考えなけりゃな!」

 

 ふと、砲撃の煙のなかから1人の人影が高く飛び上がった。

 彼が『魔女』と目する人物は、逆光のなか両方の掌を合わせた。

 唖然と見上げていると、彼女は手の中に眩い光を発した。

 

「『シャボン・スプレー』!!」

 

 泡のようなものが船上を瞬く間に包み込み、霧が視界を支配した。

 一寸先は何も見えず、聞くこともできない。

 

「な、なんだこりゃ!?」

 

 パニックになりかけた団長が、必死に叫ぶ。

 

「旦那、お嬢ちゃん、猫太郎たちよ聞こえるか、おい、おーい!」

 

 団長が旅人を呼ぶが、返事はない。

 そうした状況が1分ほど続いただろうか。

 叫び続けていたところ、やっと霧が晴れてくる。

 団長は衛たちが変わらずすぐそこにいたことにやっと気づいた。

 

「無事だったか!?何かされなかったか!?」

「ええ、どうにか!」

 

 それを聞き、団長はやっと安心した。

 だが、衛の表情はまだ何か言いたげだった。

 衛はちびうさと視線を合わせ、それから団長へ視線を戻した。

 

「実はあの霧の中である作戦を思いついたんですが、聞いてくれますか!?」

 

──

 

 船の右舷のジエン・モーランを包囲する10隻ほどの小舟船団は、背びれの上に5人の少女の姿を見た。

 

「おい、『魔女』たちがいるぞ!」

 

 1人の男が指さして叫んだ。

 

「あいつら、左舷側でダレン・モーランを操ってたんじゃないのか!?」

「今度は一体何をしやがるつもりだ!」

「あの小娘ども、ジエン・モーランの頭の上を走ってるぞ!」

 

 わざと見せびらかすように彼女たちは跳びまわり、一斉に攻撃をジエン・モーランの頭部に浴びせかける。

 

「うおおおおっ!!」

 

 目の前で色とりどりの爆発が一斉に起こり、男たちの間で悲鳴に近い叫び声が上がった。

 傷らしい傷はつかなかったが、嫌がるようにジエン・モーランが唸りながら身じろぎする。

 それを見た船員たちは、ぞっとして表情を引きつらせた。

 

「畜生、こちとら犠牲出さねえように気ぃ使ってんのに舐めくさりやがってーっ!」

 

 1人の船員が堰を切ったようにバリスタを放ち始めると感情が波紋のように伝播し、次々に攻撃が始まる。

 それを本艦の甲板から見ていたルーキーは、拳をぎゅっと握りしめた。

 

「あちらが動きを見せた以上、俺たちも加勢するッスよ!もう魔女たちの好きにはさせないッス!!」

 

 拳を振り上げたルーキーに、船員たちも追随した。

 

「そうだそうだ!」

 

「筆頭ハンターさんが言うなら間違いねえ!」

 

 ルーキーが先頭を切り、既に弾を込めた大砲を容赦なくジエン・モーランに撃ち込んでいく。

 それを見て慌てたのは、先ほど攻撃中止の合図を出したばかりの船長であった。

 

「みんな、見え見えの挑発に乗るなゼヨ!今砲撃したら、向こうの船が危険だゼヨーー!!」

 

 船長は力の限り叫ぶが、魔女を止めようと熱狂した船員たちは聞く耳を持たない。

 だが、その中で女性ガンナーとリーダーだけが冷静にこの状況を俯瞰して見ていた。

 

「……一体彼女たちは何を考えている?」

 

──

 

「旦那、それでその計画は上手くいく確証はあるのかい!?」

 

 団長はしゃがんでツルハシを取り出し、ちびうさと猫2匹に渡す。

 幼い少女にはまだそれは持つには重く、ルナとアルテミスが協力してやっと振り下ろせるかというところだった。

 

「もう俺たちに残された道はこれくらいしかありません」

 

 船首近くに設置された意味ありげなスイッチへ上がっていった衛は、団長に振り返った。

 

「やはり貴方から見れば、俺たちがやろうとしてることは無謀に見えますか?」

「いや、実は俺も賭けは嫌いではないタチでね。正直うずうずしてる」

 

 にやりとした団長に対し、衛もふっと笑い返す。

 団長は立ち上がると、左右に並び立った山の間にある太陽を帽子の下から見やった。

 

「いっちょ賭けてみようじゃないか、その『モーラン大喧嘩作戦』とやらに!!」

 

 ジエン・モーランは右側から来る矢と砲撃の嵐にまみれていた。

 だが、このモンスターにとっては人の必死の抵抗もかすり傷にしかならない。

 生物は、小五月蝿い音と鬱陶しい衝撃から逃れるために左に寄ろうとした。

 

 だが、その先には自分より少し小さいが邪魔なものがある。

 しかも、それもこちらに向かってチクチクと嫌な衝撃を与えてくる。

 

 あちらがどかないならば、こちらからどかす他ない。

 ジエン・モーランは一対の牙を、その障害物へと差し向けた。

 

「予想通りだな!」

 

 衛が言うには、右側の船団はもうすぐモーランたちをバルバレから進路をずらそうと総攻撃を加える。

 ジエン・モーランはそこから逃れるため、この船を破壊してでも左側に寄ろうとするだろう。

 その一瞬が、作戦の肝である。

 ジエン・モーランは、突如後退した。

 槍のような牙が正面から外れ、左にあるこちらの船へと傾く。

 

「ひーっ来たーっ!」

 

「ビビってんじゃないわよアルテミス!」

 

「行くわよ、とおりゃーっ!!」

 

 それを見たちびうさはルナ、アルテミスと一緒にツルハシを持って振りかざす。

 足もとにある装置のスイッチが入った。

 連動して槌が大銅鑼を叩き、響く大轟音。

 すぐ左側のダレン・モーランは驚いて仰け反り、動きを止めた。

 それを見た団長は、宙釣りの錨を船上に留めるロープを断ち切り。

 

「減速ーー!!」

 

 錨が左側の地面に落ち、船は左側に回頭しながら一気にスピードを落とす。

 ジエン・モーランはそのままの勢いで真っ直ぐ突っ込んでくる。

 天然の槍が、船の右側を削り取りながら通り過ぎる。

 船はジエン・モーランの軌道から左にそれ、代わりにそこに──

 先ほど怯んだばかりのダレン・モーランがいた。

 

 ジエン・モーランの牙が、ダレン・モーランの腹に直撃する。

 ドオッと岩が砕けたような轟音が鳴った。

 初めて、生ける山が苦痛の声を上げた。

 

 ジエン・モーランがぶつかった衝撃で、2体が描く軌道は左に偏った。

 すぐ後ろに取り残された団長の船は、モーランたちによる包囲網からやっと開放された。

 今や右側にはさっきまでジエン・モーランに隠れていた船団が見え、左には揉み合うモンスターたちの姿がある。

 モーランたちはパニックになったのか、一時的に動きが遅くなっていた。

 

「ようしっ!」

 

 団長は錨を切り離して帆を整え、船を前進させる。

 

「旦那、今だっ!」

 

 団長はちびうさからツルハシを受け取り、それをぶん投げた。

 船首近くにいた衛は、パシッと柄を掴み取る。

 船の穂先は、ジエン・モーランの右腹へ迫っている。

 衛はツルハシを振り上げた。

 

「発射っ!!」

 

 ツルハシの先がスイッチを押し込み、火花が出た。

 船首から飛び出す、螺旋状の槍。

 その名も最終兵器『撃龍槍』。

 

 それがジエン・モーランの脇腹に命中し、渦を描いてめり込む。

 苦しんだジエン・モーランがダレン・モーランを更に左へと押しのける。

 先ほどの船団が、全速力で右側のジエン・モーランを追いかけ砲撃を加えていく。

 信号を見た他の船団も駆け付け、次々と加勢する。

 

 その後の展開は早かった。

 集中的に攻撃を受けたジエン・モーランは、ダレン・モーランをどかそうと身体をぶつけた。

 ダレン・モーランもそれに押されるように、左へと大きく身体を傾ける。

 2体の進路変更は決定的になり、彼らは見事にバルバレの左方の砂漠へと駆け抜けていった。

 その状況を目の前にした団長は、力が抜けてその場に仰向けで突っ伏した。

 

「……大成功だ……」

 

 一方の衛とちびうさも、その場に崩れ落ちていた。

 

「みんな、大丈夫!?」

 

 その声とこちらを上から覗き込んだ顔に、団長ははっと目を見開いた。

 あの5人の少女たちが、姿を現したのだ。

 

「お嬢ちゃんたち、無事だったか!」

 

 それを聞き、あとのメンバーも5人の元に嬉々として集まった。

 美奈子が、団長に苦い顔をして答えてみせる。

 

「何とか後ろのロープを伝って登ってきたのよ!砂が口ん中入ってそりゃー大変!」

 

 勿論、嘘である。

 セーラー戦士たちは砲撃の雨をかいくぐり、こっそりと団長の船のすぐ後ろにたどり着いたのである。

 一方、うさぎは団長から少し離れて衛とちびうさに耳打ちした。

 

「ありがと、まもちゃん、ちびうさ」

 

 衛は微笑し、ちびうさは得意げに鼻を指で擦った。

 バルバレは最初から騒ぎなどなかったかのように、青空の下一隻の船を出迎えた。

 




おなじみのゼヨさんがいますがしばらく再登場はなしです。
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