セーラームーン×モンスターハンター 月の兎は狩人となりて   作:Misma

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砂漠に咲く真紅②

 狭い洞窟を抜けると、周囲を崖に囲まれた広場のような場所に出た。

 焚火を囲んで黒猫のような生き物たちが数匹集まり、新たな来訪者を見つめている。

 広場の周りは穴ぼこの開いた土壁が囲っていて、左側には彼らの似顔絵らしき壁画があった。

 

 奥の日陰には赤絨毯のうえに安楽椅子が設けられ、誰かがゆったりと腰かけている。傍にはアイルーたちが一所懸命に巨大な団扇を扇ぎたて、その人物に風を送る。顔やその全貌は、日傘から垂らされた薄布によって分からない。

 だが、うさぎとルナにもそれが誰であるかは分かった。

 

「お助けにきました、歌姫様!大丈夫ですか!?」

 

 うさぎが前に進み出て言うと、薄布の先の影はゆっくりと頷き、顔を腕で覆うような動作をした。

 

「よくぞ危険も顧みず来てくれた。心の底より感謝する」

 

 穴の中を案内してくれた赤毛で乱れた長髪の女が、うさぎに握手を求めて来た。

 握り返してよく見てみると、身体中に包帯を巻いた痛々しい姿だった。浅黒く筋肉質な身体は、彼女がハンターであることをよく表している。

 女護衛はその視線に気づいて少しうつむき気味に呟いた。

 

「情けない姿を見せて申し訳ない」

 

 脇には3人の男たちが同じように包帯を巻いて壁にもたれかかっている。彼らの傍には狩人用の鎧が置かれていた。どうも、最も怪我の軽い女護衛が彼らの世話をしてやっているようだった。

 彼女は、うさぎの後ろにいるルナをちらりと見た。

 

「助けに来てくれたのは君とそのオトモだけか?」

 

「ええっと、実はいろいろーと複雑な状況で……」

 

 うさぎは身分の証明としてギルドカードを差し出してから、ルナと共に状況説明をした。

 バルバレで魔女ミメットの軍勢が力を増していること、仲間たちは最後の砦としてバルバレに居残らねばならない事情があることを伝えた。

 

「なるほど。それであれに追いかけられてきたというわけか」

 

「確かあの一本角の竜、モノブロスってモンスターですよね?」

 

 うさぎが聞くと、女護衛は頷いて苦笑した。

 

「ああ、この肝心な時にココット村の伝説が現れるとは踏んだり蹴ったりだ。……だが正直なところ、君もアレを見て興奮したろう?」

 

 彼女の勇猛さを秘めた視線は、うさぎに同意を求めている。

 どちらかというと、うさぎは少し懐かしい気分になっていた。以前に滞在したココット村で、正式にハンターと認められるまでの道のりを思い出したからだった。

 

 モノブロスはハンターという仕事が生まれるきっかけとなったモンスターだ。若かりしココットの村長が二振りの剣だけでそれを倒したことで、それまで自然の脅威に怯えてばかりだった人々に立ち向かう勇気を与えたのである。

 

「なんたってあの一角竜だ。こういう状況でなかったら、狩人として挑んでみたかったところだな」

 

「えっ、そんなの危ないですよ!あの子、簡単にゲネポスをこんな風に、ぽーいぽーいっ!て放り投げてたんだから!」

 

 腕を振って自分が見た光景を伝えるうさぎに、女護衛は訝しげな視線を送った。

 

「ココット村出身のくせにおかしなこと言うな。そっちの伝説に倣い、あれを1人で倒すことが『英雄』の条件って子どもの頃から知ってるだろ?」

 

「へ?」

 

 狩人の間では常識中の常識らしい。

 ココット村で、村長はうさぎの狩人としての覚悟を確かめるため、単身で火竜リオレウスに挑ませたことがあった。

 いわばあれと同じような意味合いの慣習なのかもしれない。

 

「……うさぎちゃん」

 

「あ、あれねー!完全に思い出したー!!」

 

 ルナに肘で小突かれ、うさぎは咄嗟に大声で誤魔化した。

 そこでふと、彼らの乗ってきた船が脳裏に浮かんだ。彼女は話題を変えるついでにあのことを聞いてみることにした。

 

「もしかして、貴女たちの船はモノブロスに?」

 

「いいや、もっとおぞましいものだ」

 

 奥に横たわる40歳くらいの男が、思い出すのも恐ろしいと言うように目を細めた。

 

「船がこの地の『エリア7』を通った時、黒い息を纏った大量のモンスターが嵐のように襲ってきたんだ。ガレオスもゲネポスも()()()()()()な」

 

「種族関係なく?」

 

 ルナが聞き返すと、うさぎはごくりと唾を飲んだ。

 明らかにミメットによる支配の影響であった。

 女護衛は男のように低く自嘲気味に笑った。時折脚を庇うことから歩くのも辛いようだ。

 

「それでこの岩地地帯に逃げ込んだら次はモノブロスに閉じ込められる始末だ。全く、状況は魔女の方に傾いているらしい」

 

 その時、少年とも言えるほど若い男は、包帯を巻いた左手を庇いながら奮い立った。

 

「そんな弱気なこと言ってる場合じゃない!このままではドンドルマからの追加の救援まで歌姫様のお体が持たない。彼女と協力して一刻も早く安全なところに……」

 

 直後、彼は骨折しているらしい右脚を押さえてすぐ倒れて呻いた。

 うさぎが怪我人たちを痛ましそうに見たのち、歌姫の方に視線を向けると、彼女の影は相変わらず威厳を保って不動だった。

 だが、身体のラインはあまりにも細く、今にも倒れてしまいそうな儚さも感じられた。

 少女はやがて、あることを決心した。

 

「分かった。あとはあたしたちで何とかするから、あなたたちはここでドンドルマからの助けを待って」

 

 4人の視線がうさぎに集中する。ルナも、心底驚いた顔をした。

 

「おい。まさか、君たちだけで歌姫様を護送するつもりか?」

 

 白髪の混じった年長者が信じられないような面持ちで聞くが、うさぎは既に覚悟の決まった顔で自身の荷物を下ろし、応急薬と携帯食料を取り出す。

 

「あたしの仲間、バルバレのたくさんの人たち……我らの団と筆頭ハンターさんが今もあたしを信じてくれているの。何が来たとしても、やり遂げてみせる!」

 

「我らの団と筆頭ハンター……あの方々が!?」

 

 護衛1人ずつに数日分の応急薬と携帯食料、そして大きな水筒を渡しながらうさぎは頷いた。

 これは元より、護衛たちが数日生きられるようにバルバレギルドが用意した分であった。

 女護衛は光が差した瞳で3人の仲間に振り返った。

 

「彼らはかつて、度重なる災いから我々の街を護ってくれた。彼らが送り出したなら信用できる」

 

 だが、そこに若者が強く反駁する。

 

「無謀すぎる!ハンター1人なんか正気じゃないぞ。歌姫様もさぞかしご不安に……」

 

「僕が聞いてみますニャ」

 

 御付きのアイルーは手を挙げると、これからどうするか歌姫に聞いた。

 歌姫の影はひそひそと彼に呟き、返答をする。いそいそとアイルーが前に出て言った。

 

「『この乱世の時代、危険な旅路であることは元より覚悟している。どうか自身の命を軽んじることなく、そなたたちは助けを待たれるよう』とのことですニャ!」

 

 若者は目線を落とし、中年男は同情を顔に滲ませながら彼の肩に手を置いた。

 

「こんな身では足手まといにしかならん。ここは彼女を信じよう」

 

 女護衛は顔を引き締め、うさぎを真っ直ぐ見つめて言った。

 

「このままではドンドルマの人々に顔向けできない。せめて、少しでも君たちの役に立たせてくれ」

 

 全員が腹と喉を満たしモンスターについての情報を得たところで、中年男がばっと旧砂漠のマップを開いた。

 彼は、うさぎが先ほど通ってきたエリア10から東のエリア1、3、4、5を指さす。

 

「まず第一関門。撃退が目標だが、相手は伝説の飛竜。知っている限りのことは教えたつもりだが、どうかくれぐれも気を抜かないでくれ」

 

 うさぎは、その言葉に真剣な面持ちで頷いた。

 これから彼女はココット村の伝説と対峙する。かつてその村に世話になった身としては改めて気が引き締まる思いだった。

 

 中年男は、険しい表情をして南にある広大な砂漠、エリア7の箇所をぐるぐると指で囲うようになぞった。

 

「ここが第二関門。君たちも見たドスガレオスと子分どもがうろついてるだろう。できれば夜になって奴らの気性が荒くなる前にモノブロスを撃退してほしい」

 

 今の時間帯は、日の位置からして正午辺りだった。少なくとも6時間以内にあの強大な竜を撃退せねばならない。

 

「モノブロスを退けたら狼煙を上げてくれ。それを見たら私が歌姫様を南にお連れする。君もエリア7に向かい、ガレオスを倒したらすぐ船を修理し、君を送り出す……頼めるかな?」

 

 女護衛が改めて聞くと、うさぎは深く頷いた。

 

「はい!」

 

「大丈夫、うさぎちゃん?また悩んだりしてないわよね?」

 

 ルナが主人の顔を覗き込むと、彼女は笑ってピースサインを振り向けた。

 

「へーき!今回はちゃんと相手のことを調べられたし、何よりルナがいるから」

 

 ルナは一瞬キョトンとしたが、やがてフッと笑った。

 

「たまには嬉しいこと言ってくれんじゃないの」

 

──

 

 護衛たちが持ち込んだのと合わせた狩猟用の物資を持ち込み、うさぎは再びエリア10へ突入した。

 傾きかけた陽をうさぎは仰ぎ見て目を細めた。

 

「ココット村のこと、思い出しちゃうな」

 

 あの時から今までずっと、新しい狩人としての自分に戸惑いを感じていた。

 姿は狩人でも心は戦士であろうと決めていた、あの時。

 それへの答えを、今はこの場にいないココットの村長から迫られている気がした。

 

 少女は、胸当ての下に隠した、浄化の力を秘めた変身コンパクトを取り出して見つめた。

 もう、2年ほどの付き合いになる愛と正義の戦士の力。今も、彼女に重い鎧を纏い剣を振るえるだけの力を与え続けている。

 

 彼女はコンパクトを外し、そっとポーチに入れた。

 先日衛に渡された薔薇の入ったブローチと入れ替え、それを代わりに胸当ての中に収めた。

 ルナはそれを切なげに見届ける。

 

 地下を削る轟音がする。

 うさぎとルナは、さっと顔を引き締め前を見据える。

 この地の主は早くもこちらを嗅ぎつけた。

 

(モンスターたちに、ヒトと同じものを見ようとしてた)

 

 砂塵が見えた。

 

(この世界を、本当は自分たちの世界と同じだって信じたかった)

 

 躊躇なく一直線に、彼女たちがいる西側の崖上へ向かってくる。

 

(でも、違うんだ)

 

 うさぎは大きく振りかぶり、音爆弾を投げる。

 爆音が鳴ると彼女の直前まで来ていた砂塵が弾け、モノブロスが苦しげに呻いて半身を地上にさらけ出した。

 モノブロスもガレオスと同様、非常に発達した聴覚で地上を探るため、爆音に弱いという弱点があった。

 

「開始よ!」

 

 ルナの呼びかけを皮切りに、最初の一撃を斬り込む。

 丸出しになった腹は攻撃がよく通った。

 暴れていたモノブロスはやがて、翼をはためかせ飛び上がった。うさぎとルナが退避すると、地上に地響き立てて降り立った一角竜は、再び侵入者を討たんと走り出す。

 

 角を振りかざし、掬い上げるように突いてくる。

 それがかわされたと見ると、今度はこん棒のごとき棘の生えた尻尾を振り回した。回避しようとしたうさぎは危うく崖から落ちかける。

 更に追撃を加えようとしたモノブロスの眼前にルナが手持ちの閃光玉を放り投げ、一時的に動きを封じる。

 

「たああっ!」

 

 相手が眩暈を起こしているうちに脚を中心に斬っていくが、灰色の腱は恐ろしく強靭で傷が中々つかない。

 狩人たちから聞いた彼の弱点である腹や尻尾は、遥か見上げる位置にあって片手剣では届かなかった。

 

 視界を取り戻したモノブロスはうさぎの気配を敏感に察知し、間近で身を低く構える。

 慌ててうさぎが前転すると、彼女のいた地点を襟巻に飾られた真紅の角が掬うように抉る。

 だがその飛竜はそれに終わらず、目標を捉え直してもう一度角による一撃を見舞った。

 深緑の防具に掠っただけで、甲殻が容易く弾け飛んだ。

 

「ひっ……」

 

 一撃でもまともに喰らえば無事では済まないことが証明された。

 少女の背中に寒気が走る。

 

「……ぐっ!」

 

 彼女も負けじと果敢に斬り込む。

 自分の後ろに信じてくれる者がいる限り、伝説が相手だろうと後には退けない。

 角を避け、尻尾を避け、僅かな隙間を縫うように剣を振るう。

 砂色の筋肉の塊は、その巨大さと強靭さが何よりの脅威である。

 しかも素早い。地上で生活するためかその脚力は凄まじく、目立った隙も見せない。

 突進は言わずもがな、地中からの突き上げもすぐその場から離れて避け、僅かな後隙を狩るしかなかった。

 

 いつの間にか1時間が経過していた。

 

 スタミナは携帯食料で賄うが、精神的にもすり減ってくる頃合いだった。

 一方、モノブロスは動きを鈍らせる気配も見せない。

 何度も見せられた突進の構えを前に、うさぎとルナは息を切らして横へと走る。

 相手が振り返ったらとにかく横。横に逃げるのだ。そうすればほとんどの攻撃は凌げる。

 しかし、決して足を緩めてはならない。モノブロスは駆けだす直前まで突進の角度を調整してくる。何度か避けきれなかったせいで、うさぎの防具にはいくつか傷が出来ている。

 

 彼は脚につけられた傷など一切気にした風も見せず、1時間前と変わらぬ速度で驀進した。

 

「くっ!」

 

 疲労のせいか、走っていては回避が間に合わない位置にいた。うさぎは思い切って前転する。

 直後、モノブロスの角が彼女のすぐ背後を掬い上げ、大量の砂塵を巻き上げた。

 

「もう……ちょっとぉ!!」

 

 少女は振り返り、束の間停止した脚に飛び込み、筋肉の塊を縦に斬る。

 

「グギャオオオッ!!」

 

 その一撃が、脚に蓄積されていたダメージを目に見えた形で引きずり出した。

 巨体が傾き、ずしぃんと地響きが鳴る。

 脚に走った痛みで一時的に立てなくなったのだ。

 

「効いたわよ、うさぎちゃん!」

 

 ルナの言葉を受け、うさぎは「よしっ!」と自分を奮い立たせるように叫んだ。

 この1時間、モノブロスは正しく化け物だった。否が応でも、彼は伝説の名を冠するに値する存在と思い知らされる。

 それが今になって、やっと攻撃が効いたことが実感できた。

 やっと見えた希望に縋りつつ、弱点である下腹部や尻尾に追撃を加える。

 狩人たちから聞いた通り、刃の通りは脚よりも格段に良かった。

 

 だが、モノブロスが藻掻いていた時間は僅かだった。

 何事も無かったように立ち上がった彼の襟巻には、赤い斑点模様が浮かび上がっていた。

 

「あ、あれは……」

 

 嘴状の口からは黒い蒸気が上がっている。

 2人は直感した。

 モノブロスが怒ったのだ。

 

「グオオオオオッッッ」

 

 一角竜は低くくぐもった声で唸りながら尻尾を地面に叩きつけた。

 身を先ほどより低く構えて力を溜めると、先ほどとは比べ物にならない速度で突っ込む。

 走るだけでは間に合わない。

 

「わあっ!」

 

 うさぎとルナは、反射的に身を横へと倒すように投げ出した。

 モノブロスは素早く振り返ると、怒りを表すように低く呻いた。

 

「どうやら、まだまだこれからみたいね……!」

 

 砂まみれのルナの言葉を聞き、うさぎのその手に持つ細剣の柄を強く握りしめた。

 

 そこからは今しがた抱いた希望を灰に帰そうとするような攻撃の嵐であった。

 ただでさえ強烈な攻撃は更に強烈になり、隙も少なくなっていく。音爆弾も怒りに我を忘れたモノブロスに効果はなく、搦め手はほぼ通用しない。

 無理せず護衛たちがいる洞窟に戻り休憩も入れたが、その間にモノブロスが立ち去る気配はない。

 その癖太陽は相変わらず頭上に輝き、影が傾くことで憎らしいほど時間の流れを感じさせる。

 そのせいか、うさぎの心中は少しずつ焦りつつあった。

 

 何十回と見たモノブロスの突進。

 うさぎは走って躱し、ルナはブーメランで遠方から甲殻を削る。

 

「あと、どのくらいかな!?」

 

「この分じゃまだまだよ!ここで彼が退くとは思えないわ!」

 

 ルナの返答に、うさぎは自身を照りつける太陽を見上げた。

 先ほどより確かに傾いた陽は、残酷なほど時間が経っている事実を突き付けてくる。

 

「……早く巣に追い返さないと!」

 

 うさぎは急いで、少しでも攻撃しようと追いかけた。

 だが、それが仇になった。

 モノブロスは頭を傾け、後方を確認する。

 

 後ろから斬り込もうとした瞬間、うさぎは尻尾に撥ね飛ばされた。

 モノブロスは背後からの攻撃を予見し、左右に尻尾を薙ぎ払ったのだ。

 見事その罠に引っかかったうさぎは砂にまみれて地を転がる。

 

「ぐ……」

 

「焦っちゃダメよ、うさぎちゃん!ここで怪我したら後が大変よ!」

 

「分かってる!」

 

 駆け寄ったルナに、うさぎは立ち上がりながら返した。

 そして薄々彼女も気づきかけていた。

 

 モノブロスは本来、今の彼女が立ち向かうべき存在ではない。

 

 大自然に鍛えられた肉体はどこまでもこちらの想像を超え圧倒してくる。

 大地の女王リオレイアの防具と武器を以てしてもこの手強さだ。これにほぼ裸一貫で挑んだココットの村長は無謀というか、傍からすれば無茶苦茶な人だろう。

 

「でも……きっとそれだけ護りたいものがあったんだ」

 

 うさぎは髪の毛を振るい、砂を落とした。

 彼女も元の世界では護りたい人たちのために戦ってきた。

 そこは戦士としての運命に巻き込まれた時からずっと変わらない。

 

「たとえ未熟でも、足掻いてみせる!」

 

 少女は再び目の前の怪物を真正面に捉え毒の細剣を構える。

 モノブロスも自身より遥かに小さい彼女を真っ直ぐ捉えている。

 その瞳はこの砂漠に似つかわしく、ある種の情熱を帯びているように見えた。

 

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