セーラームーン×モンスターハンター 月の兎は狩人となりて 作:Misma
ユクモ村の一角にある訓練場。すぐ傍には小川が流れ豊かな木々に囲まれる、そのこぢんまりとした空間には、武器訓練を行うハンターのために丸太や的が設置されている。
「いよいよかぁ〜、緊張するなぁ」
そう呟いた金色の金属製の鎧、インゴットSを着込んだまことを始めとして、少女たちはある者の到着を待っていた。
「大丈夫よ、ここまで訓練して実践を詰んできたあたしたちならこのくらいの『試験』、受かって同然だわ」
「レイちゃんは相変わらずの強気ね」
レイと亜美が自然に話せている一方、うさぎはこの状況に寒気を感じているらしく、せわしなく両腕をさすっては周りを何度も見渡している。
「うう~、あたし、テスト当日寒イボ立つ癖あるの思い出したぁ〜。ねぇ、美奈子ちゃ…」
隣に同意を求めようとしたうさぎは、絶句した。
美奈子は、彼女と比較にならないレベルで冷や汗をかき、震え、青ざめていた。
「み……美奈子ちゃん、大丈夫?」
「ご、ごめーん、思い出したわ、ちょうど今できた用事が……」
笑顔で逃げ出そうとする美奈子の襟を、レイが腕を伸ばし捕まえた。
「どんな用事よそれ」
「うあああ受けたくない受けたくない受けたくなぁ〜〜い!!」
「美奈子ちゃん、武器をヘビィボウガンに変えて日が浅いものね…」
絶叫して髪を掻き乱し暴れる美奈子に、亜美は冷静な分析をぶつける。
「やあやあ『月の猟団』の諸君、調子はどうかな?」
美奈子の動きは、その爽やかな声を聞いて停止した。
ぎこぎこと油の切れた機械のような動きで首を振り向けた先には。
「どうだったかい、狩技の訓練は!?」
にこやかに笑う、1人の青年。
角の生えたモンスターを模したお面を付け、黒を基調とする忍者然とした身なり。
ついでに、顔がかなり良い。
いつもならイケメンを見ただけで目にハートが浮かぶ美奈子だが、この時だけはお化けでも見たように「ひゅうっ」と息が止まりかけた。
「ウ、ウツシ教官!」
「本当にいっつもどこから出てくるんですか」
まさに忍者のような現れ方にうさぎは驚き、レイは呆れる始末。
まことは苦笑して、肩を回してゴキゴキと鳴らす。
「訓練、本当きつかったですよ。モノになるまではもう連日筋肉痛続きで」
「そうだろうそうだろう! 俺も全種類習得するにはそれはもう手こずったさ。だが、これが愛弟子の将来につながると思えば何のその! そう、思い出せばあの時──」
ウツシ教官が目を閉じて立ち話を始めると、美奈子は息を殺しつつ摺り足で、隣のうさぎの後ろに摺り足で逃げようとする。
「おおっとまた感傷に浸ってしまったね! じゃあ見せてもらおうか、君たちの血のにじむような訓練の成果──ん?どうしたんだいアイノさん! ツキノさんに隠れて!?」
「な、なんでもありませぇんっ!」
かくして、狩技試験は始まった。
「さあ、行けえええええ!!!! この日々の鍛錬で磨き上げられた魂の輝きを、俺の眼に思う存分焼き付けてくれええええええええええええええええっっっっ!!!!」
鳥が驚き飛び立つほどの叫びを合図に、まずはまことが前に出る。
「じゃあ、あたしから行かせてもらうよ!」
彼女はハンマーを取り出すと目を閉じて息を吸い、次の瞬間には縦にその得物を振り回し始めていた。
次第に律動は風を生み出し始める。
それが最高潮に達した時に、溜まりに溜まった遠心力を──
「スピニング・メテオ!!」
そのままの勢いで、目の前にある樽にぶちかます。
樽を撃ち抜き、地面に食い込む鎚。
目標は言うまでもなく、木っ端微塵に吹っ飛んだ。
「いいぞ、100点満点っっ!!!!」
そう言われたまことは「よしっ!」と嬉しそうに拳を小さく握った。
「次はあたしの番ね」
レイが自信に満ちた足取りで太刀『灼炎のクルーガー』を縦に構える。
そのまま縦に置かれた丸太を見据えつつ飛び下がり、後ろに振りかざした刃に反射光を漲らせ。
「桜花、気刃斬っ!!」
踏み込み。
身体と太刀を捻り、回転しながら払い斬る。
残心。
2連撃を受けた丸太は、少し遅れて砕ける。さながら桜が舞うように大量の破片を周囲に撒き散らした。
「素晴らしい!! 素晴らしいぃぃぃっっ!!」
教官は感動のあまりかその場に膝をつき、両拳を握り締めながら泣き叫んだ。
最後に太刀を納刀してカッコよく決めたはずのレイだったが、その声量に圧されたせいで黙るしかなかった。
「今日もあの人、いつも通りだね」
「あははは……」
戻ってきたまことが亜美に話しかけると、彼女は苦笑いで答える。
ウツシ教官は超が5個付くくらいの熱血漢だ。訓練の内容は恐ろしく厳しいものの、常にこちらを褒めて伸ばしてくれる教官の手本と言ってもいい好人物。カムラの里なる村からわけあって出張してきており、その一環でうさぎたちの修行の面倒を見てくれている。
「さあ、ミズノさん! 次はキミの狩技を見せてくれっっ!!」
「あっ、はい!」
呼びかけられた亜美は、急いでハンターライフルを担ぎ上げた。
精神力を爆発させて繰り出すその技は、狩人の間で『狩技』と総称される。以前にうさぎが鬼兄弟から習得した『ムーンブレイク』も、そのうちの一つである。うさぎたちの世界からすれば狩人の必殺技、ということになろう。
亜美が向かったのは、木の枝から縄で吊るされた横向きの丸太。
彼女は銃身に異常がないことを素早く目で確認すると、そのライトボウガンそのもので丸太を殴り、前方上空へと弧を描かせた。
勢いよく振り上がった丸太は宙のある一点に停止し、そこから振り子の要領で戻ってくる。
「……バレット・ゲイザー!」
亜美が銃口を向けたのは、丸太そのものではなく地面。
後方に飛びのきざまに撃ちだされた弾丸は、ちょうど丸太が戻ってくる地点に突き刺さった。
弾丸はまだ爆発しない。着地した彼女は更に身体を捻り、回転させながらの2回目の後方跳躍。
同時に丸太がちょうど亜美のいた地点を通過し──大爆発。
弾丸、正確には弾丸型地雷が遅れて作動したのだ。
少女が背中から転がって衝撃を殺し、弩を構えつつピタッと止まると、
「ウォッ……ウォッ……ウォオオオオオオオオオン!!!!」
遂にウツシ教官は、モンスターの咆哮にも迫る勢いで号泣しだした。
「あ、あのー、大丈夫ですか……うわっ」
まことが心配して顔を覗き込もうとした瞬間、彼は涙を零しながら振り向いた。
「君たちを見てると思い出すんだ、我が愛弟子と過ごしたあの特訓の日々を! ああ、今頃愛弟子は泣いてないかな? 寂しがってないかな!? 俺は!! 今!! 強烈に!! とってもとっても寂しいよおおおおおお!!!!」
「こんな暑苦しい人と日頃から修行だなんて、愛弟子さんも大変ね……」
レイも、この強烈すぎる男を前にどこか狼狽している様子である。
「だが、泣いてる暇はない! さあ、次はアイノさんの番だよっ……んんっ、どうしたんだ地面にうずくまって!?」
「えっ」とうさぎたちが大地を見ると、いつの間にか美奈子がその場に丸まって倒れ伏していた。
「ぐげえええええええええええ……す、すみません、あたし、今日はお腹の調子が……」
「そうか。くれぐれも無理はしちゃダメだよ! ではツキノさん、彼女に代わってお願いするね!」
「は、はい……」
うさぎは前に進みつつ、ちらりと美奈子の顔を垣間見る。
よく見ると、顔を青くした美奈子の傍には『にが虫』──食べると凄まじく苦く、腹痛を引き起こす青い昆虫──が2、3匹這っていた。そして彼女の口端からは脚がちらほら飛び出ていた。
『美奈子ちゃん、どんだけテスト受けたくなかったの!?』
うさぎは彼女の覚悟に心底恐怖した。
こうなった原因は、美奈子の武器をよく変える癖ゆえだった。通常、狩技は武器を十分に使いこなしてから修得するもの。彼女は浅く広くやることこそは上手だが、深掘りするとなると、途端に弱みを見せてしまうのだ。
「さあ、ツキノさん! 倒れた彼女の分まで背負い全身全霊をその大剣にかけるんだ! 大丈夫! 俺もここで全身全霊の声援を送るからねっっ!」
「そー、そうですかー、ありがとうございますー」
うさぎは意気込む教官に張り付いた笑顔で答え、大剣を構える。
取り敢えずは切り替える。
今から繰り出すは、かつて雪山にてティガレックスに打ち勝つ契機となったあの技。それをこの地域で鍛錬を重ね、更に威力を高めたものだ。
何度も大剣を振り回し、十分に威力が乗り切ったところで、いざ。
「ムーンブレ……!」
「気炎万丈おおおおおおおおぉぉぉおおおおっ!!!!!!」
「あっ」
宙返りしようとしていたうさぎはちょうど重なった教官の声援に足が滑り、そのままひっくり返って墜落。
そのみぞおちに、大剣の柄が直撃した。
「ぶごぉっ!?」
「なにっ!?」
うさぎは仰向けのまま泡を吹いていた。
「だ、大丈夫かいツキノさん!? 一体どうしたんだ、しっかりしてくれーー!!」
「多分、ほとんどあなたのせいかと……」
驚いて駆け寄ったウツシ教官に、レイは冷静に突っ込む。彼自身は悪意0%なので余計にたちが悪い。
この男の何かと熱っぽいところは長点でもあり欠点でもあった。
「いや、すまないすまない……思わずいつもの癖で熱くなりすぎてしまったね。では少し休憩を取って、後からまた再開しようか!」
いろいろとトラブルも経て休憩に入ると、少女たちは木陰に入って地に腰を下ろす。相変わらず美奈子は唸りながら横になっていた。
「美奈子ちゃん、いつになったらお腹の調子治るんだろ……」
「多分試験が終わるまでずっとこうしてるつもりね」
うさぎとレイはずっとそれを観察している一方、まことは木に腕を後ろに組んでもたれかかっていた。
「ま、これも浮気癖ばかり繰り返してるせいだよ。ちょっとくらいは教官の熱心さを見習わなきゃ」
「まこちゃん、あの人と私たちを一緒にしちゃいけないわ。狩人としてのレベルが段違いなんだから」
亜美はそう彼女をたしなめる。
ウツシ教官は、ハンターとしての腕前はもちろんあらゆる武器種に精通しており、現在は新しい技術の開拓にも携わっているという。
ユクモ村に来たのも狩技やそれを扱う狩人の意見を参考にしてその開発につなげたいからで、彼女たちに狩技を教えてくれているのもその想いから来ているらしい。
教官は少し離れたところで、巻物に熱心に筆で何かを書き留めていた。
黙っていればイケメンなので最初は少し戦士たちの間で色めき立ったものの、口を開いた瞬間その空気は何処へと消えていったことは記憶に新しい。
それはともかく。
まことはふとその行為が気になり、同じものを見ていた亜美と共に教官の傍に寄った。
「教官、今日も新しい技の開拓ですか?」
彼はこちらに気づくと、眩しいくらいの笑顔で頷いてきた。
「ああ、そうさ! 今日も君たちの動きを見て参考にさせてもらってたところでね! 本当に君たちは訓練を重ねる度に愛弟子の動きに近くなっている気がするよ! 近年稀に見る逸材だ!!」
「あ……ありがとうございます……」
この男は、愛弟子の話になるとただでさえ熱い口調が更に熱くなるところがある。まことはその勢いに圧されつつも、素直に感謝して頷いた。
「それにしてもよく故郷を離れられましたね。しばらく愛弟子さんと会えないというのに……」
亜美の言葉を聞いた途端、ウツシは「ぐうっ」と胸を押さえ、苦しげに背中を丸めた。
「そう! 辛い、辛いよ! 我が愛弟子と会えないのは、モンスターに踏んづけられるよりもずっと痛ましいことだっ……!」
しかし、無理やり振り切るようにして彼は熱弁を続ける。
「だが新しいものとは常に、異なるもの同士が掛け合わさることで生まれる。既にあるものを参考にしたり、自分で試してみることはとても大切なことなんだ! 俺は今、まさにそれをしている!」
形こそともかく、ウツシ教官の言葉に誤魔化しとか、嘘といった概念は全くない。
彼は感極まったように筆を固く握りしめ、希望に溢れた眼差しを大空に向ける。
「これが上手く行けば、狩猟技術に革新が起こる! 我が愛弟子はもちろん、君たちのような遠い地域のハンターにも必ず利益があるはずだ! 今後の結果を是非とも楽しみにしていてくれっ!!」
しまいには少年のようにキラキラした瞳でグッドサイン。少女2人の頬に思わず笑みが漏れる。
傍から見れば、数秒ごとに何かと感情の起伏が忙しい変わった人。
しかし彼のこういう人間性そのものは、戦士たちからは好ましく受け取られていた。
「それに実は、もうすぐ同郷の人がここに来る予定になっていてね! ホームシックに関しては何も問題ないのさ!」
「あ、なぁんだそういうことか」
事情を聴いてまことが安心したところに、駆けてくる足音。
「ちょっとみんな! 大変よ!」
「ちびうさ、どうしたのよ! ルナとアルテミスまで!」
うさぎが戸惑っているところ、ちびうさの足元にいたルナが叫んだ。
「緊急! 村長さんが、ウツシ教官も含めて今すぐ来てほしいって!!」
──
ちびうさに連れられユクモ村の表に出る。今日も通りには観光客が溢れ、良質のユクモの木から組まれた家屋の煙突からは温泉の煙が吐き出されていた。
いつもなら村長は日傘を差して宙舞う紅葉を見つめているのだが、今回はこちらを待ち兼ねるように立っていた。
うさぎたちの姿を認めた彼女は立ち上がり、いそいそと着物の裾を掴んですり足で駆け寄った。
「来られましたか。お得意様からぜひ皆様に緊急の依頼を、と」
「お得意様?」
案内された先には、2人の女性が長椅子に座っていた。
両者とも顔立ちの整った美人で、紅の袴にゆったりとした白い着物。長い黒髪には縄状の髪飾りを結わえてある。
「あり? 同じ人が2人? 分身? 残像?」
「双子さんよ、うさぎちゃん」
目を点にしていたうさぎの肩を亜美が叩き、囁いた。
瓜二つの顔の女性は両者とも黒髪を後ろに長く伸ばし、眉の上でばっさり切り落とした大和撫子スタイルであった。ちょうどレイと似た髪型である。
「ヒノエさん、ミノトさん! どうしたんだい、足元をこんな泥だらけにして!」
「あらウツシ教官、久しぶりですね。心配せずとも大丈夫ですよ、怪我はありませんから」
「いえ、私にはあのことが気にかかります、ウツシの言う通り、無理はしない方が……」
慌てた様子のウツシ教官に、女性たちは慣れた様子で答えている。どうやら彼女らが先ほど言っていた、教官の同郷の人であるらしい。だが、それでも未だに分からないことがある。
まことが恐る恐るながら前に進み出る。
「あのぉ……どっちがどっちで?」
「あら、貴女方が『月の猟団』の皆様ですね。申し遅れてすみません、私は姉のヒノエ」
「私は妹のミノトと申します」
詫びつつ頭を下げ『ヒノエ』と名乗った女性は少し顔の色が悪く見えたが、垂れ目で包容力のある笑顔を浮かべる。もう1人のミノトは、少し鋭い目つきでクールな印象を抱かせた。
うさぎは純粋な光を湛えた瞳で、姉妹の顔を間近で見比べる。
「うっわー! レイちゃんと似てんのに凄くお淑やかね〜」
「……ん?」
レイはその言葉の意味を少し考え、直後、うさぎの頭を拳でガチリと挟んだ。
「ん゛ん゛〜〜〜〜? あたしはお淑やかじゃないですって〜〜〜〜!?」
「あっそういうとこそういうとこそういうとこ!!」
折檻されるうさぎにミノトはものも言えず唖然としていたが、ヒノエは口の前に上品に手を持ってきて、柔らかい笑顔を浮かべた。
「ふふ、喧嘩するほど仲が良いとはよく言ったものです……ね……」
ヒノエの言葉は途中で途切れた。
そのまま、彼女の身体はその場にぽすん、と倒れ伏した。
「え……ヒノエさん?」
明らかに、ヒノエの顔から血の色が引いていた。
「姉様! 姉様!!」
誰よりも先に反応したのは、妹のミノト。彼女は何回も姉に呼び掛けてそれでも起きないことを悟ると、必死の形相でうさぎたちに振り向いた。
「皆様! どうか今すぐ、渓流に行って頂けませんか!?」
「け、渓流に!?」
「私たちはここに来る道中、複数のモンスターに襲われました。幸いにして怪我はありませんでしたが……とても、とても大事な荷物を落としてしまったのです」
無念そうな表情のミノトに、先ほどの腹痛から少し復活した美奈子が話しかける。
「もしかしてその荷物が、今のヒノエさんを救えるってこと?」
「はい、その通りです。この手にハンター用の武器があれば、今すぐにでも行きたいところなのですが……この季節は状況が落ち着いていると思って油断しすぎました」
ミノトは何もない両手を眺め、悔しげにうつむく。
この涙の潤んだ表情とやり取りを見ていれば分かる。ミノトは実に姉想いの人物だ。この純粋な想いを前に断る理由などどこにもなかった。
うさぎは迷わず頷いた。
「分かった! 今すぐ行ってくるわ!」
「でもモンスターが複数いるとなれば、荷物を同時に回収するのはかなり難しくなるわよ」
亜美の意見は最もだ。モンスターが複数いる場合、当然ながら狩猟難易度は高くなる。合流などすれば最悪、荷物どころでなくなる場合も多い。
では荷物の回収だけに集中しよう、というのも手だが、モンスターが荷物に関心を持つ可能性は十分にある。衝突を避けることは難しい。そもそも、複数のモンスターが同時に人里近くにいること自体が交通安全上極めて危険な状態なのだ。
「じゃあ、どうすれば──」
そう言ったまことを筆頭に、少女たちは頭を悩ます。
ギルドの規則では、4人以上での狩りは原則禁止されている。
こういう場合、前の世界のように5人で行動できればやりやすいのだが──
「一つ、案がございます」
そう言ったのは、他ならぬユクモ村の村長。
普段の穏やかな雰囲気に対し、今の彼女は瞳に聡明な色を光らせて立っていた。
「ギルドが定める狩猟参加人数の制限対象は、あくまで『狩人』。すなわち、『狩りを遂行する能力を有する人』のみなのです。この意味、お分かりになりますか?」
うさぎと美奈子を除く少女たちは、それほど時間をかけることはなく「あっ」と村長の真意に気がついた。
「でも、良いんですか? ギルドの長がそんなこと言っちゃって……」
「規則というものは、状況によっては柔軟に捉えるべきものです。これも貴女方の実力を知るが故」
レイの問いにも、村長は余裕を持った笑みで答える。
さすがは長年この村を治めてきただけはあった。
3人の少女たちは視線を巡らし、一つのことを決める。
彼女らは頷き合うと、いきなりまこととレイがうさぎの両脇を固め、抵抗できないように固定した。
「え?」
亜美は「ごめんなさい、うさぎちゃん」と申し訳なさそうに大剣を背中から外す。
「どういうこと?」
「じゃあ、準備に行ってきます!」
少女たちは村長、ミノトやウツシ教官と顔を見合わせ頷き合ってから、マイハウスに向かってうさぎを引きずり始める。
うさぎは美奈子と顔を見合わせるが、彼女は知らない知らない、と主張するように首を横に振りまくる。
「お願いします! どうか、姉様をお救い下さい!」
「頼む! カムラの里を照らす太陽の運命、今ここで君たちに託すぞおおおおぉぉぉぉぉぉ!!!!」
完全に置いてけぼりを食らっているうさぎは、引きずられながら必死に叫んだ。
「どーゆーことー!?!?」
あくまでこの作品はライズ以前の時間軸設定なので、本編にはあまり絡みません。3rd未プレイのため、ユクモ村の描写もやや薄めです。ゲスト扱いが惜しすぎるくらい魅力的な人たちなのですが、こっちも詰め込むとややこしくなりすぎるので私の文章力も鑑みこの形式にしました。