愛さんの隣の席は苦労人   作:モッピ

26 / 105
第26話

俺は病室にいた。見覚えのある何度も通った場所……なんで俺はここにいるんだ。そこには窓を眺めて穏やかな笑顔をしているひとりの少女がいた。

 

???「あれ、部活は終わったの??」

 

「あ、あぁ…今日はオフなんだ。」

 

???「そんな事言って抜け出してきたんでしょ??もう、私のことは気にしなくていいのに…でも、ありがとう♪」

 

そう言って笑うその顔はいつも俺を振り回す隣の席の子にそっくりだ。

気にするに決まってんだろ、だってお前はーーー

 

「っ!?!?……ここは??」

 

???「あっ、気がついたの??夢でうなされてたみたいだけど大丈夫??」

 

目覚めると見知らぬ天井をまず初めに見た。そして隣には見知らぬ女性が心配そうに顔を覗いていた……え、ほんとに誰??

 

愛「おねーちゃん、ジュンジュンの様子は……ジュンジュン!!体調大丈夫?!家の前で倒れちゃったから愛さん心配したんだよ??」

 

「えっと…ごめん。」

 

愛「ほんとだよ!!このまま起きないんじゃないのかなって…。」

 

???「ふふっ、愛ちゃんずっと不安がってたの。もう今にも泣きそうな顔して。」

 

愛「お、おねーちゃんやめて!!」

 

え、おねーちゃん??この人お姉さんいたのかよ…どっちかと言うと妹とか弟いそうだなって思ってた。

そんな事より俺はひとつ聞きたいことがあった。

 

「あの、どうして膝枕されてるんですか??」

 

???「愛ちゃんがご飯の準備するからって交代したの。嫌だった??」

 

どういう事だよ。何交代って…え、待って交代??ということは……

 

愛「あ、あああ愛さん飲み物持ってくるね!///」

 

俺の考えを察したのだろう、愛さんは風のように部屋から離れた。ねぇ逃げないで。俺この人と初見だからね??気まづいなぁ……

 

???「あ、そういえば名前を言ってなかったね。私は川本美里です。愛ちゃんは実の妹じゃないけど妹の様に思っているわ。」

 

「そ、そうなんすか…てっきり姉妹なのかと。」

 

美里「こうやって話さないとやっぱりそう思っちゃうよね。ジュンジュンくん、いつも愛ちゃんを支えてくれてありがとう。」

 

「あの、ジュンジュンくんって…。」

 

美里「だって愛ちゃんからジュンジュンって名前しか聞いてないから…そういえばお名前を聞いてなかったね。」

 

おいなんで名前を言ってくれないんだあの子は。え、まさか愛さんの周りの人俺の本名知らずにジュンジュンで通ってるんじゃない??えぇ嫌だ。

 

「…夏目準太です。この名前で好きな様に呼んでください。」

 

美里「じゃあ準太くんだねっ♪じゃあ改めて。準太くん、いつも愛ちゃんを支えてくれてありがとう。」

 

「別に…支えてないですよ。」

 

美里「そんな事ないわよ。あの子準太くんの話をする時いつもより楽しそうに話してくれて、悩んでた時も親身に話聞いてくれてたんでしょ??」

 

そんな事したっけ俺……ソロアイドルの事か??

 

美里「あの子自分のことより周りの事考えちゃう子だから、あまり自分の悩みを言わなかったの。でもそんな愛ちゃんにも悩みを言える人に出会えてホッとしたの。」

 

この人の話を聞いていると言わなくても伝わる。愛さんの事が大好きでどれだけ大切な存在なのかということを。血が繋がっていないからこそより強い絆で結ばれているのだろう。

 

「えと…お役に立てて何よりです。」

 

美里「ふふっ、愛ちゃんって学校でも凄く元気でしょ??」

 

元気どころではない。まじでどこからそのエネルギーが生まれるのか教えて欲しいくらいだよ。そう思う反面ひとつ、彼女に対して思うことが変わったことがある。

 

「そりゃもう毎日振り回されて散々ですよ……でも」

 

美里「でも??」

 

「そんな彼女と一緒にいる時間が長くて、いつの間にかそれが俺にとって心地良い時間にもなっちゃってるんですよね。ほんとにあの子はみんなもそうですけど、俺まで笑顔にしてくれる素敵な女の子です。」

 

 

ーー愛視点ーー

 

愛「ど、どんな話をしてるんだろ……」

 

愛さんは恥ずかしくなって部屋を出た後、2人の様子が気になってドア越しから聞き耳を立てていた。だって今更入れるような雰囲気じゃなかったもん!

 

愛「〜〜!!おねーちゃんそんなに話さないでよ……///」

 

部屋からおねーちゃんがジュンジュンの事を愛さんが話していることを本人に伝えていて顔が余計熱くなるのが分かる。でも愛さん、そんなにジュンジュンの事話してたんだ……

 

準太「そりゃもう毎日振り回されて散々ですよ」

 

その言葉を聞いて一瞬心に刃物が刺さる感覚に襲われる。もっと仲良くなりたいと思ってたくさん話しかけてたけどジュンジュンにとっては迷惑だったんだ。

 

愛「あはは…ジュンジュンそう思ってたんだ。」

 

もうこの場に居たくない。そう思い離れようとしたらジュンジュンから"でも"という言葉が聞こえ慌てて聞き耳をたてるとーーー

 

準太「そんな彼女と一緒にいる時間が長くて、いつの間にかそれが俺にとって心地良い時間にもなっちゃってるんですよね。ほんとにあの子はみんなもそうですけど、俺まで笑顔にしてくれる素敵な女の子です。」

 

その瞬間私の心がドクッと高鳴った。男の子から愛さんにこんな事言ってくれることがなかった。

そして愛さんは今まで違和感に感じていた気持ちがハッキリした。

 

愛「愛さん……ジュンジュンが好きなんだっ///」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。