愛さんの隣の席は苦労人   作:モッピ

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第41話

あの決勝戦から数日後、俺は正式に弓道部を退部した。約1年半という中途半端に終わってしまったが、とても充実した日々を送れていた。別に会えなくなるわけではないのにみんな泣いて見送ってくれた。こういうのをされると素敵な部員に恵まれてたと改めて実感する。

そして、今俺はーーー

 

主将「待っていたぞ、準太。」

 

「待たせていたつもりはないんですが……。」

 

主将「言ったはずだぞ、待っていると。」

 

「俺も入らないと言いましたけど??」

 

主将「そうだな。だがしかし……お前はここにいる。」

 

「はぁ……それはあなたがきっかけではありませんからね??」

 

主将「何でもいいさ、こうして戻ってきてくれたのだから。……おかえり、準太。」

 

「……ただいまっす。」

 

主将「よしっ、早速全員集合させてお前を紹介しないとな!とは言ってもほとんどの奴らが球技大会でお前にコテンパンにされているんだがな??」

 

「俺そいつらに殺されませんかね??」

 

主将「何を馬鹿なことを。うちの選手にそんな奴はいない。それに準太に負けてからあいつら練習に対する意気込みが凄くてな、みるみる成長してるよ。」

 

「貢献出来たのなら何よりです。」

 

主将「だろ??じゃあミーティングするか!!全員集まれ!」

 

俺はもう一度、沙絵の為ではなく、沙絵が好きだった俺のバスケをする為に虹ヶ咲のバスケ部へ入部した。主将の言う通り、自己紹介をしたものの全員が俺の事を知っており、温かく歓迎してくれた。うちのバスケ部は強豪校のひとつとされており、他の優勝候補に引けを取らない。俺はこのチームで再スタートをするのだ。

 

主将「これでミーティングは以上だ。練習始めるぞ!!」

 

「「「はいっ!!!」」」

 

主将の合図とともに練習が始まった。練習をしていて分かったのだがやはり強豪校だけあってなかなかハードなメニューだ。そんな練習にも選手は弱音を吐くことはなく全力で取り組んでいる。何人かと1on1をしたがひとりひとりの能力が高い。球技大会で戦った部員ともしたが、以前と比べると桁違いに上手くなっている。

 

「こりゃ気を抜いたら足元すくわれるな。」

 

誰に言うわけでもなくそう呟き、俺もその日は周りに負けじと練習に励んだ。

そして練習が終わり、帰った俺はーーー

 

「つ、疲れた……」

 

完全にくたばりました。久しぶりにこんなハードな練習をした事で家に帰ると疲労が一気に襲ってきた。明日絶対筋肉痛だなこれ。

そう思っていると愛さんからメッセージがあり、確認すると……

 

愛『愛さんだよ〜!!!』

 

無視しよ。今日はその一言に返すほどの気力はないんだよ。

すると今度はスマホが振動して、渋々出てみるとあの元気な声が耳に響いた。

 

愛「どーせ返さないと思ったから電話したよ!!!」

 

「俺の考えは全てお見通しなようで。」

 

愛「どれだけジュンジュンと付き合ってると思ってるのさ!」

 

「数ヶ月だろ。」

 

愛「その通り♪愛さんはその期間でジュンジュンの事は分かったのだ!」

 

「じゃあ今俺が何考えてるか分かるか??」

 

愛「愛さんと電話したかったでしょ??」

 

「ひとりの時間が欲しいって思ってんだよ!!」

 

愛「ジュンジュン今ひとりでしょ??」

 

ジュンジュン何言ってるのとでも言わんばかりの返しが来て言い返すのが無駄と悟った。てかこの子も練習だったよね??なんでそんな元気なの??

電話越しでは愛さんのハキハキとした声が聞こえ、改めてこの人の太陽エネルギーは凄まじいと感じた。

 

愛「あ、そうそう!!ジュンジュン近々ある夏祭りに行く予定ある??」

 

「夏祭り??あー……別にないな、人多いの苦手だし。」

 

愛「そうなんだ!じゃあ愛さんと行こうよ!!」

 

「ねぇ話聞いてた??人多いのに苦手って……」

 

愛「無駄無駄無駄無駄無駄無駄っ!!!」

 

「もう反論の余地もないんすね。」

 

愛「折角のお祭りなんだし楽しもうよ!……それに、ジュンジュンと思い出作りたいんだよね、ダメかな??」

 

そんな電話越しでも分かる上目遣いをされて断れるわけないだろ…それにずっともやもやしている愛さんへの気持ちにも気づくかもしれない。

俺との思い出ね…そんな事言ってくれるの愛さんくらいだよ。

 

「分かったよ、集合場所とか時間決めないとな。」

 

愛「そうこなくっちゃ!!愛さんとしてはですねぇ……」

 

こうして俺は何の予定もないと思っていた夏休みに愛さんとの夏祭りが決まった。楽しそうに話している愛さんの声を聞いてさっきまでの疲労感が消えていくのを少しずつ感じていた。

人混みは嫌いな俺もこの祭りは……何故か楽しみに思えている。

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