俺たちは第2試合も無事に勝利し、その後も破竹の勢いで勝ち進んだ。そんな俺たちを多くの高校が注目したほか、虹ヶ咲を見るために来てくれる観客も増えた。優勝まであと少し、このチームで最後まで全力でプレイをしたい。
「……どこの高校だ??」
次の対戦校は俺の知らない高校であった。しかしここまで勝ち進んだということはそれなりに実力があると思っていた。
ここに勝てば次は準決勝、早く試合がしたくて仕方ない。愛さん風に言うとテンアゲだ。
主将「……。」
「どうかしたんですか??さっきからずっと暗い顔してますよ。」
主将「あ、すまない……ちょっと考え事をな。」
「考え事??」
主将「準太……次の試合はお前を出さない。」
「………えっ、どうして…。」
主将「異論は認めない。控え室に行くぞ。」
「ち、ちょっと!!そんな一方的に言われても納得出来ないですって!」
突如言われた衝撃の言葉に俺はただ抗議するしかなかった。何故ここに来てベンチなのだ。うちのチームは確かに強い、だからこそ俺もこのチームに貢献したいと思っていたのに、主将の言葉で今まで昂っていた気持ちが一気に下がってしまった状態で俺も控え室へ向かった。
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ーー愛視点ーー
愛「………あれ??」
璃奈「どうしたの、愛さん。」
愛「ジュンジュンがコートにいないんだ……どうしてだろ。」
愛さんは今、ジュンジュンの応援をするためにりなりーと観客席で試合が始まるのを待っていたんだけど、コートに彼の姿が見えなかった。前の試合では1番活躍していたし、コンディションも良かった。それなのに何故試合に出ていないのか疑問に思い、彼のいないコートを見て愛さんの中で不安がよぎった。
愛「ジュンジュン、大丈夫かな……。」
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「………。」
俺はベンチで腑に落ちない顔でコートを見ているだろう。部員もそんな俺を見て、気を遣ってくれるのだが主将への反感が消えない。
主将「相当怒ってるな。」
「……当たり前です。」
主将「こればっかりは聞いてくれ。この試合は俺たちで勝つから。」
「俺はもう用済みってことですか??」
主将「ははっ、そんな訳ないだろ。これからもお前にはもっと働いて貰わないといけないからな!!」
そして試合が始まった。開始からうちのチームが攻めて、最初は順調に進んでいた。相手チームもここまで勝ち抜いた事もありそこらの高校と比べると手強い選手が多かった。
しかし、この試合を見てふと疑問が浮かんだ。勝っているのは間違いなくうちだ。それなのに何故相手は余裕そうな顔をしている……
そう思っていた矢先にコートで信じられないことが起こった。
「……っ!!」
主将「うっ……!!」
「なっ……あいつ今!!」
相手選手のひとりが主将に肘付きをした。本来ならファウルになるはずが、上手く隠しており審判には気づかれていない。なんて事するんだ……今の完璧にアウトだろうが……!!
その後も主将以外にも虹ヶ咲の選手にしつこい程のラフプレーを繰り返し、選手が怯んだ瞬間ボールを奪い点を取っていた。
「このっ、ふざけやがって……!!」
監督「抑えろ、準太。」
「無理ですよあんなの見せられたら!!目の前で仲間が傷つけられているんですよ!」
監督「頼む、耐えてくれ……。」
「もう十分耐えました。俺が出てあいつらをプレーでねじ伏せてやりますよ。」
監督「ダメだ!!お前を行かすわけにはいかない!」
普段温厚な監督がここまで怒鳴るのは初めてだった。なぜ監督はここまで選手達が酷い目に遭っているのに助けないんだよ。
監督に対して怒りを覚えていると、監督の口が重く開いた。
監督「……あいつらの意志を尊重してやってくれ。頼む。」
監督がコートで仲間たちがお互いフォローしながら懸命に動いている姿を見てそう言った。一体なんの事だ……??
監督「コートにいる全員が知っていたんだよ、相手校のプレイスタイルを。」
「……えっ。」
監督「だからお前を出させたくなかったんだよ。……準太は俺たちのエースだからってな。」
主将達は俺に怪我をさせない為にベンチにさせたってことかよ……それであんた達が怪我して言い訳にならないだろう……!!
監督から理由を聞いてからさらに俺は仲間たちを苦しめる相手選手に強い憤りを感じ、いてもたってもいられなかった。
「……みんなの気持ちは分かりました。でも、エースならこんな時に仲間を支えないでどうするんですか!!」
監督「準太……。」
「試合が終わった後いくらでも叱ってください。でも今だけは……監督の…みんなの気持ちを無視します!!」
監督「……分かったよ、そこまで言うなら流れをこっちに持って来い!!」
「……はいっ!!」
そう言って俺は立ち上がり相手を見据える。待ってろよ、次は俺がお前らの相手をしてやる。