愛さんの隣の席は苦労人   作:モッピ

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第76話

沖縄に着いてから初めに昼ごはんを食べに俺達はバスで店に向かった。バスから見る景色は普段とは大きく違い、自然に包まれておりなんだか新鮮な気分を味わいながら窓を眺めていた。

同じ日本なはずなのに別の国に来たみたいな感覚だ。

 

愛「ジュンジュン!!はいさーい!」

 

「それ沖縄の言葉か?」

 

愛「そう!!色んな言葉があって面白いよ!ジュンジュンも話そうよ!」

 

「やだよ俺は今自然と戯れてるから邪魔しないで。」

 

愛「ここバスの中だけど??」

 

「……とにかく、俺はやらない。」

 

愛「ジュンジュンは愛さんにチムドンドン。」

 

「おいそれどういう意味だ。」

 

愛「えー何かなー??なんだと思うー??」

 

「わからんから聞いてるんだろ。変な意味じゃないよな??」

 

愛「変な意味ー??例えばー??」

 

「ゾッコンとかドキドキしてるとか。」

 

愛「えー知ってたの?!つまんなーい!!」

 

「知るわけないだろただの勘だよ!てかこの意味だったの?!」

 

愛「そうだよ!まさか当てられるなんてねー。」

 

「沖縄の方言分からん俺に何を言いやがるんだ!」

 

愛「当たったんだからいいじゃん!」

 

「よくない!!」

 

「はい、皆様〜。まもなく昼食を摂るお店に着きます。車内に忘れ物の内容にしてくださいね。」

 

「え、嘘もう着いちゃうの??」

 

愛「わー!!沖縄そばだね!愛さんお腹ぺこぺこだよ〜♪」

 

「景色まだ見たかった、、。」

 

愛さんと言い合いをしているうちに目的地に着いてしまい景色を眺める俺の楽しみは終わった。

愛さんが言っていたようにお昼は沖縄そばを食べた。普段そばをあまり食べないから普通のそばとの違いとか分からないがめちゃくちゃ美味しかった。お土産で買ってこうかな……。

愛さんも大満足のようで楽しそうに友達とお話をしている。

俺??俺は黙々と食べて心の中でみんなと感想を共有したよ何言ってんの。

 

******

 

お昼を食べ終えた俺達はひめゆりの塔へ向かった。1日目は沖縄戦の事を学ぶことをメインとしたスケジュールとなっており、体験者のお話や平和記念公園へ足を運んだ。その中で戦争の話、そしてその爪痕を目の当たりにし、なんとも言えない気持ちになった。

そして観光を終えたバスはさっきまでワイワイしていた賑やかさも静かになってホテルへ向かっていた。

 

「……大丈夫か??」

 

愛「へ??あ、あはは……ちょっときたかも。」

 

「ちょっと所じゃない顔してるぞ。」

 

愛「おばーちゃんが今日話してた人と同じくらいの歳だったからさ、おばーちゃんも昔辛かったのかなって思ってさ。」

 

「……そうだな。でも当時の人々が頑張ってくれたお陰で俺達は今何不自由なく過ごせてるんだよな。」

 

愛「……うん。」

 

「今日、沖縄来れて良かったな。」

 

愛「……うん。」

 

それから愛さんはホテルに着くまで何も話さなかった。俺も察して窓を眺めていたが、心はまだ落ち着いていなかった。学生のうちに戦争のお話を聞けることは学校によってはないだろうし、今回は個人的には凄く為になったと思った。

しかし愛さんも勿論だが他のクラスメイトも誰一人言葉を発していないのが心配だ。1日目静かに終えてしまうんじゃないかと思っいたのだがーーー

 

******

 

愛「ホテル綺麗〜!!!ジュンジュン!!早く降りて!!ホテル凄いよ!」

 

全く心配いりませんでした皆元気です。愛さんはホテルに着いてから凄いテンション高いし他のクラスメイトも死者蘇生されたかのように顔から笑顔が浮かび上がりワイワイと降りている。

待って俺まだ降りてないからそんな急かさないで。

 

愛「近くに海もあって森のテラスもあって……ここ最高!テンアゲ!!」

 

「生き返るの早いね。」

 

愛「へ??生き返るって??」

 

「……何でもない。」

 

ホテルに着いたから各自部屋に入り荷物を置いて少し休憩をした。同じ部屋になったクラスメイトとは少ししか話したことがなく絶対ボッチで過ごすと思っていたが、全員気さくに話しかけてくれて楽しく談話出来た。

……主に俺の恋愛事情だったんだけど。


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