愛さんの隣の席は苦労人   作:モッピ

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第88話

「今日も学校かぁ……。」

 

誰に言うわけでもなく呟きひとり学校へ向かう。最近は修学旅行だのギャルゲーだので全く静かな日常を過ごしていない。たまには何も無い日があってもいいと思うんだよね、無理だと思うけど。

教室着くなり早々愛さんに捕まるだろうし今日も平和な日々は送れなさそうだな……あれ。

 

「まだ来てないのかよ。」

 

教室に入って自分の席につくと愛さんがいなかった。普段ならこの時間には既にいるのに珍しいことがあるものだ。遅刻か……??

 

「まぁいっか。とりあえず休憩休憩。」

 

席に座り一段落しながらもちらちらと廊下を見るが愛さんが来る気配がない。え、まじでどうしたのよ。

そう思っていると先生が来てHRが始まった。……遅刻じゃんかよ。

 

「出欠をとるぞ〜……あ、そうだ。宮下は風邪で今日はお休みだ。」

 

「……風邪??」

 

先生から言われた一言。それは意外にも自分の中で驚きが生まれており、周りからも"愛ちゃん大丈夫かな??"、"珍しいよね"と声が聴こえる。俺もみんなが思っている意見と同じ気持ちだし、変に心配をしてしまう。

 

「てことで、準太。今日のプリント届けてこい。」

 

「てことでって何すか。てかなんで俺が??」

 

「おいおい彼女のプリントくらい届けてやれよ。」

 

ニヤニヤしながら先生は俺にプリントを渡した。え、待って先生も知ってるのどういうこと??怖いんだけど。

 

「そりゃお前らは有名なカップルだからな。よく話題になってるぞ。」

 

「聴きたくなかった……。」

 

「まぁともかくだ。部活終わった後でも渡しに行ってやれ、頼むな??」

 

「うっ……了解です。」

 

******

 

愛「はぁ……何かまた上がった気がする。」

 

今日の朝から何かダルいなと思ったらやっぱり風邪をひいてしまっていた。あんまり体調崩す事はなかったんだけどなぁ……。

おばあちゃんにお粥を作ってもらったけどあんまり食べれなかったし寝ても寝ても治る気配がない。

 

愛「ジュンジュン今頃部活かな……??」

 

ふと彼の事を考えてしまう。チャットで心配をしてくれてたけど、心配をかけさせまいと空元気な返事をしてしまった。正直しんどいし甘えたい。

 

愛「……会いたいな。」

 

ボソッと呟くとガチャっとドアが開く音がした。おばあちゃんかな??

虚ろな目でドアを見るとそこには愛さんが今凄く会いたかった人が立っていた。

 

******

 

「……何が元気だよ。」

 

愛さんの家にプリントを届けに行くと愛さんのおばあさんに家に上がるよう促された。さすがに申し訳ないと思い最初は断っていたが、あなたがいるときっとあの子も元気が出ると言われ半ば強引に家に入れられた。

愛さんの部屋に入るといつもの元気とはかけ離れた、しんどそうに横になっている姿が目に映った。

 

愛「あ、あはは……ごめんね、心配かけちゃって。」

 

「別にいい…てか起きようとするな。そのままでいいから。」

 

愛「うん、ごめんね。」

 

本当にしんどいんだろうな。俺の言葉をすんなり受け入れて横になった愛さんを見て、尚更心配になってしまう。

 

「食欲はあるか??」

 

愛「んー、あんまりかな。お昼少し食べたけどすぐにお腹いっぱいになっちゃってさ。」

 

「そっか……まぁ食べれたらでいいけど、これ欲しくなったら食べてくれ。」

 

愛「えっ……これ買ってきてくれたの??」

 

「食欲無いと大事な栄養が補給出来ないからな。これなら冷たいし摂取しやすいだろ。」

 

愛「調べてくれたの??」

 

「……知識が疎いんでな///」

 

愛「ふふっ、ありがとうジュンジュン♪」

 

「……そ、そういえば今日は……」

 

恥ずかしさを紛らわす為に俺らしくもない世間話を愛さんに語った。愛さんは楽しそうに話を聴いてくれて、心做しか少し表情が良くなった気がした。談話をしていると夕方だった外は真っ暗になっていた。

 

「もう日が沈んだのか。秋だと日が落ちるのも早いな。」

 

愛「ほんとだね、前まで夏だったのに季節が変わるのって早いなぁ。」

 

「よしっ、そろそろ行くわ。安静にしてろよ。」

 

そう言って帰ろうとすると弱々しい力で服を引っ張られた感覚がした。振り向くと愛さんが切なそうな目を向けて服を掴んでいた。

 

愛「あのさ……もうちょっといてくれない??」

 

「いや、でも……。」

 

愛「お願い……側にいて欲しい。」

 

今まで愛さんとは長く付き合ったきたがこれ程弱った彼女を見るのは初めてだった。いつもの元気が無さすぎるとまじで調子狂うな。

 

「……分かったよ、いるから。だから安心して身体を休めろ。」

 

愛「うん、ありがとう……ジュンジュン。」

 

「なんだ??」

 

愛「えへへ……大好きだよ。」

 

「……俺もだよ、バカ。」

 

愛「バカって何さ……可愛くないなぁ。」

 

「ほっとけ……っ!?」

 

愛「ふふっ、隙あり♪」

 

不意打ちにキスをされあたふたしていると仕掛けた張本人は悪戯っぽくこちらを見ていた。こういうことするのには元気なのね。

それから気づくと愛さんは静かに寝息を立てていた。その寝顔は幼い少女の様で来た時と比べ随分表情が良くなっていた。……早く元気になれよ。

 

ーー後日ーー

 

「あー……今度は準太が風邪を引いたそうだ。」

 

愛「ジュンジュン?!?!」

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