愛さんの隣の席は苦労人   作:モッピ

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第89話

「あーー……だるい。」

 

今、俺は非常に苦しい状況に置かれている。季節の変わり目に体調を崩しやすいから気をつけろと言われるが俺の場合季節は関係ない。何故かと言うとですね……

 

「愛さんの風邪うつったなこれは。」

 

以前愛さんが風邪をひいた時看病しに訪問したことがあった。そんな長くは滞在してないしそんな至近距離でも話していない。しかし決定的に移ったと思われる出来事があった。それはーー

 

愛『ふふっ、隙あり♪』

 

「絶対あの時だ。」

 

不意打ちに愛さんにキスをされたのだ。あの時はドキッとしたし可愛いなと思ったが、今思うと病人が何接触感染誘起こしてんだよどうしてくれんだこのダルさをと恨んでいる。

 

「でもまぁ、たまにはこういう静かな時間も大事だよな。」

 

正直1年生の時と比べ俺の日常は毎日か騒がしかった。大体は愛さんと出会ってからなんですけど……。これはきっと神様が与えてくれた休暇なんだな、うん、きっとそうだ。

それならせっかく神様から授かった休暇だ。ゆっくりとしよう。

 

愛「愛さんがきたぁぁぁぁ!!!!」

 

「………うそん。」

 

まさかの愛さん登場。え、俺聞いてないよ。てか何でこの子こんな元気になってんの、解せないんだけど。

 

愛「いやぁジュンジュンほんとに風邪だったんだね!!大丈夫ー??」

 

「……ギガドレインされた。」

 

愛「え、何の話??」

 

「いや、何でもない。……ちょーしんどい、だから静かにしてくれ。」

 

愛「あはは、ごめんね??この前ジュンジュンが看病してくれたから、今度は愛さんがジュンジュンを看病したくて来ちゃった♪」

 

何だろう、本来なら嬉しいって思うんだろうけど軽くイラッとするぞ。心配はしてくれてるんだろうけど、やる気満々の表情がちょっと不安。

 

「てか愛さん練習はいいのかよ。今日あったんじゃないのか??」

 

愛「あー、うん。あったよ?あったけど……心配で練習所じゃなかったから早退したんだ。」

 

「……悪いな。」

 

愛「もう、こういう時はありがとうでいいの!!」

 

「あ、ありがとう……。」

 

愛「ふふっ、よしよし♪」

 

何だろ、子供扱いされてる気がする……。抵抗したいがそんな気力がない。つまり今の俺は愛さんにされるがままである。

 

「来てくれたのは正直嬉しいんだけど……また愛さんに移すといけないから早めに帰りなよ。」

 

愛「大丈夫!!ちゃんと準備は出来てるんだぁ。」

 

「準備……??」

 

愛さんはそう言うとカバンから何やら妙なものを取り出した。えっ……なにこれ。

 

愛「じゃーん!!対ウイルスフィルター!!」

 

「おいおい何だこれ……。」

 

愛さんはプラスチック製のフィルターのようなものを被りドヤ顔を向けていた。……よくカバンからそんなもん出てきたな。てか常備してんのかこれ。

 

愛「最近お店で見つけたんだぁ!これならお互い接触しないし素顔見せれるよ!」

 

「いや凄いけど……普通にマスクで良くない?」

 

愛「……かっこいいでしょ!!」

 

「いやかっこよくない。」

 

愛「むぅ……。」

 

「つか、そもそも俺が風邪引いたのも愛さんが原因だからな??」

 

愛「え??何で愛さん??」

 

………え??嘘でしょこの子。まさか自覚なし??

 

愛「別に愛さんはジュンジュンに何も……あっ。」

 

おっとお気づきになったみたいだ。

 

愛「あ、あはは……ジュンジュンのエッチ♪」

 

「この野郎っ……!!」

 

何で俺がエッチになるんだよおかしいよね?!え、おかしい事言ってないよね??おかしいの愛さんだよね!?一発どついて……

 

「うっ……。」

 

愛「えっ、ちょ、ジュンジュン?!」

 

カッとなったのが良くなかったのか、だんだん俺の意識が遠のいていく。あー、愛さんが凄い心配してくれてる……変なフィルターつけて。

そもそもあなたが変な事言わなければこうならなかったと思うんだよね。

 

******

 

「ん……あれ、冷たい。」

 

目が覚めると額が冷たくてさっきより身体が軽くなっていた。隣を見ると愛さんが寝息を立てて座ったまま寝ていた。……ずっと見ててくれたのか。

 

「……結局外してんじゃんかよ。」

 

あんなに自慢してたフィルターマスクを外して寝ている愛さん。やれやれと思う反面、どこか微笑ましく思い、起こさないようにそっと布団をかけて俺はマスクをつけた。

 

愛「ん……ジュンジュン…。」

 

「起きたか??」

 

愛「そんなにお胸が好きなの〜……??」

 

「……夢の中の俺は何してんだ。」

 

愛さんの夢に突っ込みたいがとりあえず気持ちよく寝ているのでそのままにしておこう。しかしあんなにダルかった身体が愛さんが来て大分軽くなった気がする。あんなに騒がれて休む所ではなかったというのに。

 

「これも愛さんの力なのかね。」

 

隣で寝ている彼女を見てつい頬が緩んでしまう。今思うとあのフィルターマスクを持ってきたのも少しでも俺が元気になるようにと思っての行動だったんじゃないかとも思ってしまう。……たぶん違うんだろうけど。

 

「まぁ……愛さんに助けられたなこれは。……ありがとな、愛さん。」

 

愛「ふふっ……どういたしまして♪」

 

寝ているはずの愛さんから何か言った気がするが……まぁ気の所為だろ。

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