ブライト博士が神浜で二度としてはいけないことの公式リスト 作:ryanzi
うららかな昼下がりのカフェ。
それは突然の提案であった。
「そうだ、Hoi4でリレーしようぜ」
二木市に遊びに来たブライト博士がそう提案したのだ。
タピオカを飲んでいた笠音アオと智珠らんかは吹き出しそうになった。
「ごほっ・・・博士、本気なの?まだ初心者でしょ・・・?」
アオが不安そうに言った。
「大丈夫だ、私は君たちに会った時には300時間越えだっただろ?」
「あのね、Hoi4では違うんだよ???」
なお、今ではブライトも立派なベテランとなった。
あれからもっとやりこんだのだから。
今では核兵器プレイヤーとして愛されている。
「・・・ねえ、アオ。面白そうじゃん」
らんかは乗り気だった。
この二人は互いにHoi4プレイヤーだとわかって仲が良くなった。
「それにさ、四人ともHoi4実況者じゃん!
やってみたらさ、面白そうだと思うんだけど!」
「そ、そりゃそうだけど・・・」
「ぼくもらんかの言う通りだと思うな。
あと、もう二人くらいいたら面白そうだよ。
リアルの方でも知り合いの実況者がいるからその子も誘っていい?」
「いいとも、らんかも問題はないよな?」
「もちろん!」
「・・・こうなったら、わたしもやるっきゃないか!
わたしもリアルの方で、すごくやってそうな人を知ってるし・・・。
おっ、噂をすればなんとやら!ちょっと待ってて!」
アオはカフェの外に出ると、一人の少女を引きずってきた。
「蛇の宮のリーダーが何の用かしらぁ?」
「Hoi4でリレーやろうと思ってるんだけど・・・。
そもそも、Hoi4って知ってる?というか、やってる?」
「知ってるも何も、プレイヤーよ?実況もしてるし。
なんと300時間もやってるのよ!・・・何よ、その表情は?」
紅晴結菜という魔法少女兼Hoi4プレイヤーも加わった。
そして、後日、藍家ひめなという時雨がオフ会で知り合った実況者も。
なお、彼女もまたHoi4実況者である。
さて、Hoi4を知らない人のために説明しよう。
Hoi4とはHoi4である。
説明が終わったので、それぞれのチャンネル名と区画を紹介しよう。
第1区:らいんどチャンネル(智珠らんか)
第2区:蒸気財団(ジャック・ブライト)
第3区:しぐはぐ(宮尾時雨とアシスタントの安積はぐむ)
第4区:アオクマ(笠音アオ)
第5区:くれゆい(紅晴結菜)
第6区:アイカックZ(藍家ひめな)
この以上の六名による企画だった。
ルールは簡単で、ゲーム内で二年間やってデータを渡すだけ。
なお、MODは日本語化などの便利系MODである。
まあ、独立保障とかもなくなるのだが。
そして、プレイする国家はドイツである。
一番普通でやりやすい大国であったからだ。
そんなこんなで、それぞれのチャンネルも発表動画を出した。
視聴者が一番不安だったのは、二番目であった。
だが、とにもかくにもリレーは始まった。
まずは、らいんどチャンネルこと智珠らんかからだ。
「よーしっと・・・まずは撮れ高を目指して・・・」
彼女の最初の一手は、ある意味得のないものだった。
「ドイツで革命しちゃおうか!」
だが、ドイツに共産化ルートはないので、革命家を政治家として雇った。
すると、当然のごとく反乱が勃発した。
だが、すでに首都は既に手中にあり、反乱軍は二手に分かれていた。
一方はドイツ北部のハンブルク、一方は南部のラインラント。
「さて、主力はハンブルクか・・・じゃあ、先に南部やっちゃうか。
とりあえず、北部は防衛陣地で維持するとして・・・」
こうしてドイツを統一したのだが、すっかり焦土化してしまった。
復興と同時に、内乱がいつものように起きたスペインにも支援した。
ついうっかり機甲師団を二師団ほど全滅させてしまったが。
あと、ついでにオランダを秒で併合することにも成功した。
そんなこんなで二年間が経って、ブライト博士に渡す時が来た。
ちょっぴし嫌な予感がしたが、祈るしかなかった。
「さーてっと、私の出番だ」
「あら、何をやっているのかしら?」
「見ての通り、Hoi4さ・・・って、機甲師団ゼロじゃないか」
ブライト博士は状況をあらかた把握すると、さっそく戦艦を建造した。
「・・・素人のわたしが言うのもあれだけど、ドイツって戦艦必要かしら?」
「みたま、これにはとってもオッペンハイマーな作戦があるんだ」
「どんな作戦かしら?」
「いや、とくに作戦とかないな」
「縫い針どこにしまったかしら・・・」
次に空母を研究開発した。
あと、スロヴァニアを要求したらなぜかもらえた。
「よし、次はユーゴスラヴィアだ」
「スロヴェニア取ったばかりなのに追い討ちかけるのね」
「失った手足のオッペンハイマーについて、いかなる方法でも決定は覆せないんだ」
「ロシア大使館ネタはやめなさい。というか、オッペンハイマーって何なの?」
こうして、ユーゴスラヴィアは分裂した。
その間に空母研究も終了した。
使われないのも癪なので、乗せる飛行機も揃えてある。
「次にオッペンハイマー武蔵野美術大学に入るためにハンガリーを攻めるぞ」
「オッペンハイマー???」
「あの無駄に広かった国もなんということでしょう・・・。
こんなに使いやすいように分かれたぞ・・・」
時間的に後はルーマニアを攻めるだけだった。
だが、イタリアがなぜか宣戦布告してきた。
「ちくしょう!私のオッペンハイマーな計画が!」
「どう見てもイタリアが単独で世界を救おうと立ち上がったように見えるんだけど???」
「よし、雑魚でオッペンハイマーなイタリアなど一瞬で・・・無理」
「ギブアップRTAはやめなさい」
「面倒だからこのまま後ろに投げつけよう」
「えっ、どういうこと?」
「あとはオッペンハイマー的にお土産を付けるとするか」
こうしてドイツを中心とした陣営、『オッペンハイマー戦隊オッペンハイマー』が成立した。
あと、たくさん師団も提供することにした。
たとえば『キラキラ!あなたのオッペンハイマーを撃ち抜いちゃうぞ(物理)☆師団』である。
そんな師団を300師団も用意した。なお、最低限しか戦力がないので何も役に立たない。
あと、低級な士官もたっぷりと用意した。
「FBIはどの携帯番号だったかしら・・・」
「私が何をしたっていうんだ?」
「テロ準備罪どころか立派なテロをしてるじゃない」
「こんなにネタを用意してあげる親切なオッペンハイマー実況者だぞ、私は」
「親切という言葉を調べなおしたら?
あと、Hoi4ってどういうゲームかわかってる?」
「世界にいかにオッペンハイマーなダメージを与えるかってゲームだろ?」
「これは国際司法裁判所行き決定ね」
そんなこんなでゲームデータが時雨に渡った。
後に実況を見た視聴者はやっぱりと思ったそうだ。
なお、時雨は部活で忙しくて、締め切りをすぎてしまった。
そんなこんなで急いでやらなくてはならなかった。
だが、最初に画面いっぱいに現れたのは低級士官だった。
どう考えてもゴミとしかいいようのない師団に資源を費やしやがったのだ。
「あのクソ博士め・・・!」
「お、落ち着いて時雨!こんなゴミに費やすほどの余裕があるってこと・・・」
「ところがどっこい、イタリアに負けてるんだ」
「・・・もうイタリアに支配された方が世界平和のためじゃないかな?」
「そういうわけにもいかないから、二年間で無茶苦茶になったドイツをどうにかしないと」
こうしてイタリアと戦う羽目になった。
だが、蒸気財団(ブライト博士)の手のひらの上で踊らされるのも癪だった。
そういうわけで、ポーランドを全土占領することにした。
「このままだと第二次世界大戦になっちゃうんじゃないの?」
「いや、どっかの誰かさんがユーゴスラヴィアを無茶苦茶にするために、
事前に独立保障をなくすMODを入れてくれたから大丈夫だよ。
英仏も今回ばかりは弱腰でいてくれるよ。あー・・・ポーランド潰すの楽しいなあ」
「ポーランドだってこんなことのために生まれてきたんじゃないのに・・・」
「いや、このゲームではこんなことのために生まれてきたのさ」
(時雨がちょっと怖いよう)
そういうわけで、ポーランドは全土併合され、オッペンハイマー戦隊オッペンハイマーの一員となった。
あと、空母を護衛なしでイタリア海軍にぶつけた。当然、沈没してくれた。
そんなこんなで、イタリア戦も有利に進んでいた。
「これで戦犯の汚名を返上できるよ・・・」
だが、はぐむが余計なことを言ってしまった。
「それって、ネタにも真面目にも走らない中途半端なプレイじゃ・・・」
さっそく、オッペンハイマー戦隊オッペンハイマーを解体した。
「ごめん、ちょっと煽っただけなの!」
「次にスターリンにお願いしてコミンテルンに入るね」
そして、最後に日本に宣戦正当化工作をしてターンエンド。
急いで編集で動画を作成して、データをアオクマ(笠音アオ)に引き渡した。
「・・・なんかバルカン半島が神聖でもローマでもない帝国になってるし、
イタリア戦線がめっちゃ膠着してるんだけど???これは間違いなく博士の仕業だね。
まったく博士ったら・・・まあ、意外と憎めないんだけどね」
海軍もあちこちに散らばっていたが、まずはイタリア戦線の解決だ。
クロアチアを奪還すれば、三割くらいは殲滅できるので攻勢を開始した。
ドイツなのに歩兵しかいなかったのが辛い。
しかも、イタリアがどういうわけか大東亜共栄圏入りしている。
つまり、日本を倒さないとこの戦争は終わらないのだ。
仕方がないので、ロンメルに歩兵師団を任せてシベリア横断マラソンさせることにした。
「よし、スペインもイタリアも処分成功!あとは日本に強襲上陸だ!」
プレイ開始から一年経過(ゲーム内)、大東亜共栄圏は降伏した。
講和会議の結果、ドイツはイタリアから全植民地とヴェネツィアを獲得し傀儡化。
スペインも傀儡国にして、これでかつてのドイツ植民地が再来した。
日本や朝鮮ではそれぞれ共産主義国家が成立することとなった。
そういうわけで、後任に置き土産として中国陣営と戦争を開始した。
「とりあえず、あとは適当に削っておくか・・・」
そんなこんなで、動画を作っておいて、データをくれゆい(紅晴結菜)に渡した。
結菜は色々と確かめたのだが、散々たる状況であった。
「産業はまあまあ・・・原子力は世界最先端、陸上は大丈夫そう。
歩兵装備は・・・最低ね。戦車は現代なのに、砲兵は目も当てられないわね。
ドクトリンはまあいいとして、船が36年物・・・飛行機も・・・」
「酷い状況っすね」
結菜の馬ことアシスタントは煌里ひかるである。
「前任者の負の遺産はどうするっすか?」
「逃げるわよ」
「えっ」
とりあえず、仕方ないので中国を進撃していった。
「順調に包囲殲滅できて・・・」
「押してるっすね!」
「・・・包囲」
「わさびチューブのように押し出してるっす!」
「補給の問題ねえ・・・」
「そこじゃないっす、たぶん」
「でも、よく考えてみてほしいわ。
こんな中国戦を押し付けられて、寝首を掻き切らない私は、
ひどく穏健で優しいと思うのよ・・・。
とりあえず、この件はまた追及するべきね・・・」
こうして中国を占領して、分割した。
コミンテルン全参加国で民主主義に則って分割したのだ。
海軍もボロボロだったので再建した。
「これで私たちソビエトも勝利できるわあ・・・」
「結菜さん、これはドイツっすよ」
「じゃあ、ソ連に攻め込むわあ」
「へっ?」
結菜の目はとっくに死んでいた。
「どっかの誰かさんの負の遺産を押し付けられて・・・。
それでこのザマなのよ・・・笑えると思わない?」
「で、でも、かなり進撃してるっすよ!
スターリングラードまで一直線!こんなことできるのドイツだけっす!
ほらっ、降伏したっすよ・・・あれ、何してるっすか?」
「これが殺意なのねぇ・・・」
「待つっす。不穏なことは・・・」
プレイ国がソ連に交代した。
「ごめんなさい。もう、先輩の声が聞こえない」
「何してるっすかー⁉全てを無にしたっすね!
それはやったらいけないことっすよ!」
なお、こうしている間にドイツはベルギーに併合された。
師団を各国境に貼り付けたあと、アイカックZ(藍家ひめな)にデータが渡された。
「ときがみえるよ、ヒコ君・・・」
その後、彼女の必死の奮闘により世界に秩序が取り戻されたのはまた別の話。
しかし、これにより結菜との確執は決定的なものとなった。
ひめなが動画を投稿してから数日後、事件は起こった。
「ブライトのクソ野郎はいるかしらぁ!」
・・・何はともあれ、この話はここでおしまいだ。