ブライト博士が神浜で二度としてはいけないことの公式リスト 作:ryanzi
「・・・今気づいたんだけど、魔法少女浄化システムって無意味な気がするよ」
「灯花ちゃん、それは言ってはいけないことだよ」
「だって、お姉さま。どう考えても重曹浄化法の方が便利じゃん。
あっちはドッペルなんて不安定なもの使わなくてもいいし。
まあ、マギウスのときのわたくしはそれが気に食わなかったから、
里見グループの総力を挙げて、重曹を買い占めていたからなんだけど」
「裁判受けようね、灯花ちゃん?」
そんなこんなで色々とあった。
だが、ブライト博士だけがそこにいなかった。
みたまも以前より寂しそうだった。
それでも世界は回り続ける。
まるで、彼がいなくても何ともないと宣告するかのように。
まあ、そんなある日のことであった。
「・・・最近、共産党の勢いがすごいわね」
静海このはは新聞を見て憂鬱になっていた。
共産主義が幅を利かせると、株とかができなくなるからだ。
街中でもやけに目についたのは、あるフレーズだった。
『共産党は三倍の輝き!』
このよくわからないフレーズが余計に不安をかきたてた。
何かとんでもないものが帰ってくる予感がしてきた。
「・・・三倍の輝き・・・bright・・・ブライト?」
ワルプルギスの夜との決戦以降、彼は行方不明になっていた。
だが、誰も死んだとは信じていなかった。いや、そう信じたいのだが。
どっかで生きているだろうというのはなんとなくわかっていた。
しかし、こんなことで知るとはこのはも思わなかった。
『共産党はブライト!』
もう悪夢でしかなかった。
そのことを葉月に伝えた。
「・・・いやいや、さすがにそんなこと」
「ないと言い切れる?」
「そうなんだよねー。あの博士のことだから、政党を陰で操っていても・・・」
葉月も不安になったので、ななかに会って、状況を伝えた。
「・・・やはりですか。実は、今、水徳寺に市外からの魔法少女が逃げてきてるんです。
彼女たち曰く、属していたグループが外からやってきた人間によって赤化してしまったと・・・」
「それ間違いなくブライト博士だよね???」
「ええ、彼女たちもそう言っていましたし」
そんなわけで、ななかと葉月の二人は水徳寺を訪れた。
水徳寺には意気消沈した魔法少女たちがたくさんいた。
「・・・これはひどい」
「葉月さん、安心してください。まだ数人くらいはまともなのがいますから」
そして、そのまともな一人がやってきた。
「・・・すまんな、こんなザマで」
「いいですよ、涼子さん。
葉月さん、この人は南津涼子さんです。
正統時女一族のリーダーです」
「リーダーなんてガラじゃねえんだけどな・・・」
「時女一族?」
「そうか・・・普通の魔法少女は知らねえもんな・・・」
「説明しよう!時女一族とは日本を守るために結集した魔法少女の一団なんDA!
他の魔法少女と違い、大人たちからの支援を期待できるのが強みなんDA!
ただ、神子柴とかいうババアに牛耳られてたから、私が改革したんDA!」
「へえ・・・って、ブライト博士⁉」
なぜかブライト博士が現れていた。
「てめえ・・・わざわざこちらに出向いてくるなんて覚悟はできてるんだろうな?」
意気消沈していた魔法少女たちもここぞとばかりに立ち上がった。
「やめてくれ、私は亡命しに来たんだ」
「ほう、理由を聞かせてもらおうじゃないか?」
「イデオロギー闘争だ」
だが、涼子はあまり意味が理解できなかった。
「ななか、イデオロギー闘争ってなんだ?」
「わかりやすく言えば、仲間割れですね。
共産主義にはよくあることなんですけど・・・それにしても、不思議ですね。
ブライト博士、あなたほどの人心把握能力なら裏切られることはないはずですよ?」
「裏切りなんてやわなもんじゃない。それは財団時代からやられてるから慣れてるし」
「何があったっていうのさ・・・」
葉月が呆れたように訊いた。
「あれは確か・・・ワルプルギスの夜を倒した後のことだな。
私は死亡ドッキリをやろうと、神浜から旅立ったんだ。
すると、なんやかんやで霧峰村なんて場所についたんだ。
そこを支配してたババアが気に食わなかったから、一致団結して改革したんだ。
まあ、ちょっと赤くしたのは悪かったと思ってるよ」
「涼子さん、落ち着いてください。まだ殴るには早いです」
「問題はその後なんだよ。協力してくれた魔法少女の一人が色々と狂った」
「「「なんで?(三代目)」」」
「理由はなんとなくわかるんだよ。
それはアジトを神浜に移してからのことだった。
もとから彼女は正義感が強かったというか・・・。
魔法少女になってからは、私の悪意も感じ取れるようになったと。
酷いと思わないかい?私は少々茶目っ気があるだけなのに・・・」
「ステイステイ、涼子さん。アタシもぶっ飛ばしたいけど」
「それでも彼女は私と協力して改革に臨んでくれたのだが・・・。
着実に彼女の私に対する敵意と好意が化学反応を起こしていたんだろうね。
しだいに、変なことを言い出すようになっていたんだよ。
ブライト博士はわたしがいないと駄目だとか、
このままでは外に出すのが恥ずかしいからわたしと家にいようとか・・・。
私は私で、裏から乗っ取った共産党をどうやって自分色に染めるか考えてばっかりで、
全然気にかけてあげられていなかったんだよ・・・はは、悪い癖だ」
ななかたちは冷や汗を流し始めていた。
もう第三者から見ても、まずい状況が進行していた。
博士が研究者でなければ、もっと周りのことを気にかけていられただろうに。
「しまいには、博士は悪人だから牢屋で一緒にいてあげるという始末。
そして、彼女はついに最悪のイデオロギーを提案してしまったんだ。
その名も・・・ちゃる×ブラ共産主義・・・もはや共産主義ですらなくなったんだ。
さすがに私も必死に弁論を展開したんだが、支持を集めたのは彼女の方だった。
すなおと静香はブラ×ちゃるを展開するばかりで、どうにもならなかった」
「・・・それで逃げ出したと」
「いえーす」
「そうですか・・・帰りましょう、葉月さん。
涼子さん、あとの処分は頼みますね」
「ちょっと待て!地雷を押し付けんじゃねえ!」
一枚のビラが風に運ばれて、その場に落ちた。
『共産党はちゃる×ブラで!もちろん、ブラ×ちゃるもOK!』
事態はとんでもないところまで進行していた。
「・・・葉月さん、これはデリケートな問題になってしまいました。
もはや、日本の政治に関わるレベルでカップリングが行われています。
そんな問題を解決するために、誰か生贄にしても問題はないはずです」
「そ、そうだね・・・涼子さんはどう思う?」
「アタシも・・・さすがにそう思うよ」
「待ってくれ!いくらなんでもひどすぎる!」
ななかもさすがにブライト博士が可哀想になってきた。
「そうですね・・・博士、前にKeterという概念を教えてくれたじゃないですか」
「そうだが・・・待て、それは嫌な予感がするぞ!」
だが、ななかは待たなかった。
「
神浜市にも潜在的な
彼女は電話をかけた。
「もしもし、さなさん?ブライトに泥棒猫が迫っています」
すると、さながいつの間にか傍にいた。
「安心してください、ブライト博士。
私はあなたの盾なんですから」
「安心できないんだが???」
そして、件の魔法少女・・・広江ちはるまでやってきた。
「・・・だめだよ、博士。
博士は悪人なんだから、お天道様の下を歩いちゃだめ。
わたしとずっと
「・・・ブライト博士をあなたなんかにはわたしません」
「・・・よし!」
「ななか、私にとっては全然よくないぞ」
何はともあれ、ブライト博士は帰ってきた。
・・・とんでもない地雷を抱えながら。