ブライト博士が神浜で二度としてはいけないことの公式リスト   作:ryanzi

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リスト外:帰ってきやがったブライト博士

環いろはさん、マジで助けてください。頼みます。

ブライト博士とさなさんが悪ノリを始めてしまいました。

二人はいざという時のために世界を復活させるための筐体を造っています。

彼がおかしいのかどうかわかりませんが、正気なんじゃないかと思います。

さなさんはブライト博士のおかげで明るくなりましたが、このままでは彼女のためになりません。

どうか、私を倒して彼女を解放してください。そしてブライト博士を追い出してください。

 

 

 

突如としてブライト博士の消息の手がかりを掴むことができた。

ご丁寧に、場所まで添付されていた。

既に何体かウワサは倒したのだが、これは色々な意味で厄介だ。

ウワサが倒してくれと懇願するのも予想外だが、

よりにもよってウワサにまで迷惑をかけていたとは思わなかった。

 

「・・・それで、本当に助けに行くのか?」

 

都ひなのが嫌そうに言った。

二葉さなという子は助けてもいいだろう。

だが、ブライト博士が問題だ。

さなを助けるというのは、彼もついてくるということだ。

クレーンゲームでいらない景品がついてくるより最悪である。

 

「助けるしかないじゃない・・・穀物酢まで高騰したわ。

そろそろ新しい浄化法を彼に編み出してもらう必要があるわ」

 

「あの・・・」

 

「どうしたの、環さん?」

 

「寿司酢は駄目でしょうか?」

 

やちよは溜息をついて、禁止リスト五枚目のコピーを渡した。

 

「・・・ごめんなさい」

 

「いいのよ、ちゃんと見せておくべきだったわね」

 

環いろはに禁止リストをじっくり見せることができていなかった。

ウワサとか妹の存在を思い出したとか、色々と忙しかったのだ。

だから、未だにいろはの中では「ちょっと変わった良い人」なのだ。

 

「ブライトは狂人だ。それだけはくれぐれも忘れるな」

 

十七夜は念を押すように言った。

魔法少女によって色々とブライト博士に対する態度は変わる。

いろはが神浜に来てから驚いたのはそれだった。

ある魔法少女はブライトに深く感謝していて、

ある魔法少女はブライトの功績を認めつつも、不満を抱えていた。

とくにマギウスの翼に所属している魔法少女は彼を毛嫌いしていた。

 

「やっちゃん、ワタシは反対ですよ!

せっかく、あそこに閉じ込めたっていうのに!

これ以上、ワタシの家に勝手に泊まられると困るんです!」

 

「そう・・・ちょっと話を聞かせてもらうわ」

 

「ええ、わたしも話が聞きたいわ」

 

「えっ、ワタシ被害者・・・」

 

みふゆはやちよとみたまに引きずられていった。

 

「・・・悪い奴じゃねえんだよ、博士って」

 

フェリシアがそう呟いた。

 

「確かに迷惑なこともたくさんするし、ヘンタイだし・・・。

でも、日常の相談に乗ってくれたり、一緒にイタズラしたり、

前にいた世界とかの面白い話もしてくれるんだよな」

 

「怪我した件は忘れないでございますよ」

 

「まあ、うちらもジェットストリームかけようとしたのは馬鹿だったけど」

 

「「ねー」」

 

「お前ら、どうしてここにいるんだよ」

 

すると、衣美里が息を切らしてみかづき荘に入ってきた。

 

「た、たいへんだよ、みゃーこ先輩、ろっはー!」

 

「ど、どうしたんですか?」

 

「あの暴力団・・・じゃなくて、ななかたちが先を越しちゃった!

今、電波塔の方に向かってるのを中央区の子たちが目撃してる!」

 

「・・・そうか」

 

ひなのはとくに驚いてもいなかった。

 

「いつかやるとは思っていたけど・・・まさか、今だとはな」

 

 

 

 

「おっす、おらブライト。おら、わくわくすっぞ」

 

「デカゴンボールの下手な真似はやめるネ」

 

かことあやめを除いた指定暴力団ななか組、アザレアがブライトと対峙した。

あの二人を抜いたのは、彼女たちがブライトと親しかったからだ。

 

「さゆさゆの純潔を汚したものには死を!」

 

「さゆさゆの純潔を汚したものには死を!」

 

「ちくわ大明神の純潔を汚したものには死を!」

 

「さゆさゆの・・・誰だ今の」

 

そして、史乃沙優希のファンである羽根たちも集結していた。

ちなみに、彼女たちはマギウスの指示なしで動いている。立派な命令違反だ。

 

「うわあ、大変なことになっちゃったぞ」

 

「ブライト博士・・・あなたは更紗帆奈の再来です。

このままあなたを放っておけば、全てを喰い尽くす飛蝗となるでしょう。

そうなる前に、あなたを早めに始末しなければいけない。

いくら不死のあなたといえど、殺され続ければ精神がもたないでしょう。

そうなれば、私たちはあなたの奇行に悩まされずに済む」

 

「新しい浄化法考えてやらないぞ?」

 

「いずれ重曹や穀物酢の値段も元に戻るでしょう。

そうなれば、もはや新しい浄化法など不要です」

 

ななかは刀を抜いた。

 

「まあ、待ってくれ。話をしよう。あれは今から7・・・」

 

「さようなら、ブライト博士」

 

斬撃は弾かれた。

盾を持った少女が、彼をかばったのだ。

 

「ブライト博士は私が絶対に守ります!

筐体計画の実現には・・・博士が必要なんです!」

 

「筐体計画・・・またろくでもなさそうな企てですね」

 

「今回はまともだぞ。私が言っても信用はなさそうだがな。

簡単に言えば、世界を救うための機械の製造だ」

 

「・・・そんな馬鹿げたもの、いくらあなたでも」

 

「なぜできないと?前にもやったことがあるんだぞ?」

 

「さすがに世界を守る組織とやらはやることがすごいね・・・」

 

あきらは肩をすくめて言った。

 

「とにかく、まだ私にはやることがあるんだ。

ここで殺されるわけにもいかない」

 

ブライト博士は壺に入り、ハンマーを手にした。

 

「私も何の対策もしなかったわけじゃない。

このE.G.Oとか奇跡論をもとにした魔法少女しつけ棒があればなんとかなる」

 

「魔法少女しつけ棒・・・お姉ちゃんしつけ棒なら買ってみたことはあるけど・・・」

 

「待って葉月、どういうこと???」

 

その時、リーダー格魔法少女が現れる。

 

「・・・ずいぶんと勝手をやってくれたな、ななか」

 

「あら、狂人に首輪も付けれなかったあなたたちに言われたくありませんね」

 

ブライトはその隙に逃げ出した。

壺に入った状態だったが、山を登る要領で進んでいった。

 

「危ないところだったね、さなくん」

 

「ええ、博士。でも、あと数分もあれば完成しますよ」

 

筐体はまさに完成しようとしていた。

だが、その筐体はあっけなく壊されてしまった。

 

「わーなにするだー⁉」

 

遠くからの攻撃だった・・・見慣れる魔法少女によるものだった。

 

「そこら辺に落ちてた紙を見たけど・・・こんなの絶対おかしいよ!

世界が終わった後に、たくさん人間を作ってやり直すなんて・・・」

 

「なぜおかしいと?前にもやったんだぞ?」

 

鹿目まどかの背筋は凍った。ブライト博士が別世界から来たというのは聞いたことがある。

そして、その世界で人類を守る組織で働いていたということも。

だが、彼の口ぶりから察するに、その世界は何度も滅んだに違いない。

そうでなければ「前にもやったんだぞ」とは言わないはずだ。

 

「・・・君、名前は?」

 

「鹿目まどかといいます」

 

「そうか、まどかくん・・・よーく考えてみるんだ。

私のいた世界と違って、この世界は魔女が野放しじゃないか。

こんな世界では、人類はいつ滅びても不思議じゃない。

というか、歴史すら簡単に書き換わるんだぞ?

たとえば私の知り合いの環いろはの妹がいい例だ。

ある日、ぱっと消えたんだ。この世界からな。

だからこそ、リセットボタンが必要なんだ」

 

だが、ブライト博士は別の魔法少女によって掴まれた。

 

「い、いつの間に・・・あやめ、どういうつもりだ!」

 

「どうもこうもないよ!博士を止めに来たんだよ!」

 

そして、かこがブライト博士に狙いを定めていた。

 

「あやめさん、遠慮などしませんよ!いいんですね!」

 

なお、かこの傍には眼鏡をかけた魔法少女もいた。

その魔法少女の近くに、縛られたさなが放置されていた。

この謎の早業は彼女が関わっているに違いない。

 

(まあ、もっとも、ほむらさんが寸前であやめさんを助けるんですがね)

 

あやめは必死にブライトを掴んでいた。

 

「かこ・・・まだかよ・・・お腹が空いてんだ・・・!」

 

ブライトはなおも逃げようとする。

 

「は、はやく・・・!」

 

だが、それ以上の力であやめがしがみついた。

 

「ま、まだそんな力が・・・!」

 

「へ、へへ・・・あちしもいっしょに死んでやる!」

 

「わ、私が悪かった!二度ともう悪戯はしない!」

 

「に、二度と騙されるもんか・・・!」

 

「う、嘘ではない・・・!私の言葉が信じられんのか・・・!」

 

だが、あやめは聞く耳を持たなかった。

 

「かこ・・・早くしろお・・・!」

 

そして、かこの持っていた栞状の武器が完全にチャージを済ませた。

 

「待たせましたね!覚悟はいいですか!」

 

「や、やれえええええ!」

 

「ま、まてえええええ!」

 

「煌道のページッ!!!」

 

「やめろおおお!!!」

 

ブライトの叫びも虚しく、緑色のレーザーが放たれる。

そのレーザーはブライト博士を貫通していった。

あやめは寸前のところで暁美ほむらに助けられた。

 

「・・・ふう、これでしばらく目覚めないはずです」

 

「あの・・・かこちゃん、本当に大丈夫なの?生き返るよね?」

 

「魔女に踏みつぶされても復活した人ですよ?

それにしても、意外と上手くいきましたね、フェリシアちゃん。

ありがとうございます。こんないい作戦を考え付いてくれて」

 

「おう、これからも任せてくれ!」

 

名無し人工知能のウワサことアイはその様子を見届けた。

そして、ようやくいろはが駆けつけた。

この後の戦いについては語るまでもないだろう。

そういうわけで、戦いの後のことについて説明しよう。

まず、各地域のリーダーはちょっと信頼が落ちた。あれを野放しにしたからだ。

マギウスおよびマギウスの翼も信頼が落ちた。あれに自由空間を与えたからだ。

いや、ウワサとかを放っている時点で信用はなかったのだが。

ななかたちはさすがにリーダー格には勝てなかった。

羽根たちは史乃沙優希がフェントホープにライブをしに行くということで引き下がった。

二葉さなは別れも経て強くなり、皆に受け入れられた。

 

「いやあ、今日は大変だったね。

私が帰ってきて夏目書房も賑やかになるだろうね」

 

「うれしくありません。これからまたずうっとブライト博士に悩まされたくありません」

 

それでも、賑やかなのも悪くなかった。

引き出しの中に時空間の乱れが生じたのは許せないが。

 

「それはそうと、あれはあるかね?」

 

「ありますよ。ちゃんと取っておきました」

 

かこはルールブックを渡した。

 

「これを何に使うんですか?」

 

「調整屋で歓迎会を開くそうなんだ。

それで、みたまからTRPGを提案されてね。

そのほうが友情を深めやすいっていうんだよ。

まあ、私の失踪やウワサとやらのせいで延期になってたらしいが」

 

「そうですか・・・あの、さっきはごめんなさい」

 

「いや、いいよ。私も暴走しすぎたし。

まあ、お詫びとして、今度ホテルで・・・」

 

まるで懲りてないブライト博士の顔はレーザーに包まれた。

それはそうと、ルールブックにはゲーム名が記されていた。

 

PARANOIA

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